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平成30年8月31日知事記者会見

平成30年度9月補正予算案等の概要について

平成30年度9月補正予算案が取りまとまりましたので概要をご説明いたします。

全体の基本方針は以下の通りです。

[1]災害からの復旧・復興
7月豪雨の補正対応の追加、台風12号・20号被害へ対応、7月豪雨で影響を受けた北部を中心とした観光の賑わい対策等
[2]次なる災害への備えとしてブロック塀対策や避難行動タイムラインの関係
[3]暮らしの安心・安全として、児童虐待の緊急対策、府民の健康づくり
[4]文化財の保存・伝承

[1].災害からの復旧・復興
(1)被災したインフラの復旧等
7月豪雨については、6月議会で緊急的に追加補正をしましたが、それ以降に判明した被害と新たな台風被害への対応です。台風12号・20号でも、それぞれ被害が出ております。

土木施設の災害復旧(33億円規模)
土木施設の災害復旧は、道路だと物部西舞鶴線(舞鶴市)や宮津野田川線(宮津市)など、河川等の災害復旧は牧川(福知山市)や鱒留川(京丹後市)などです。合わせて33億円規模で、6月と合わせると108億円規模です。この中には台風20号被害の対応も一部入っています。

農林水産施設の災害復旧(9.7億円規模)
水田やため池の復旧が京丹波町の上乙見と舞鶴市の西方寺、林道については新宮深山線(福知山市)などです。6月と合わせて17億円規模です。

都市公園の災害復旧(2億円規模)
丹後海と星の見える丘公園の法面復旧です。

農業者等復興支援事業費(0.3億円規模)
農業施設については、台風12号・20号で暴風による被害が出ております。ビニールの破れや露地野菜用ネット等の復旧に対する支援、パイプハウスの復旧に対する支援をいたします。

医療施設の防水対策(0.3億円規模)
医療施設の防水対策は、与謝野町の府立医大附属北部医療センターの防水対策です。6月補正で北棟病室の壁面防水等の緊急対応をしたのですが、来年の出水期に間に合うように施設全体の防水対策を実施します。

社会福祉施設等の災害復旧(0.2億円規模)
社会福祉施設については、児童館や地域子育ての支援センター復旧を行います。

文化財等の災害復旧(4百万円)
文化財については、知恩寺の阿弥陀堂や萬福寺の鼓楼・総門を復旧いたします。

(2)観光にぎわいの復興支援
観光復興支援事業費(1.1億円)
国で創設されました制度を活用し、観光復興支援事業を1.1億円規模で行います。これは、7月豪雨で災害救助法が適用されました11府県について観光需要の早期回復を図るために創設された制度です。被災11府県の周遊旅行者に対し、府内での宿泊費を1泊あたり4千円割り引くもので、対象地域は、京都市を除く府内全域、対象期間は、平成30年8月31日~平成30年11月30日(予定)です。予算に限りがありますので、予算額に達した時点で終了させていただきます。被災11府県の2府県以上において連泊すること等を要件として、被災11府県で連携してやっていこうと考えておりまして、単純に宿泊費だけで計算すると約2万4千泊分の予算額となります。

北部地域公共交通復興支援事業費(0.1億円規模)
8月29日(水曜日)に京都丹後鉄道が全面再開しておりますので、宿泊に併せて周遊の面から観光の復興を支援するため、被災地域である海の京都エリアの公共交通機関で利用可能な周遊フリーパスの発行に対して助成します。対象事業者は、京都丹後鉄道と丹後海陸交通、京都交通の3社です。販売期間は10月上旬~年度内です(予定)。
先ほどの「宿泊」と公共交通を使った「周遊」の両面から誘客促進をしたいと考えております。

[2]次なる災害への備え
(1)ブロック塀緊急対応
府有施設ブロック塀等緊急安全対策事業費(3.4億円規模)
254の府有施設のうち、現行の建築基準法に適合していないものが148あります。その中で特に、不特定多数の府民が往来する道路に面しているもの、学校など不特定多数の府民が利用する公共施設に面しているもの、保育園等の配慮を必要とする施設に隣接しているものなど、緊急的に対応が必要な86施設について、年度内に工事完了したいと考えており、既決予算で対応する24施設以外の62施設について、今回の予算で対応します。ブロック塀については、地震の時に課題として取り上げられておりましたので、この予算で危険なところを解消させたいと思います。

民間施設ブロック塀等緊急安全対策支援事業費(0.1億円規模)
次に、民間施設のブロック塀等緊急安全対策を実施する市町村に対する助成を行います。道路・公園などに面し、安全性に問題のあるものを対象としまして、所有者が負担する4分の1を除いた4分の3に対して、国の助成が半分入り、残りを府と市町村が負担します。補助対象事業費の上限が15万円ですので、府の補助上限額は、37,500円となります。受付開始が10月ごろを予定しておりまして、助成制度の創設を府内の市町村に促すという観点から、平成31年度までの臨時措置としております。

(2)避難の実効性確保等
水害等避難行動タイムライン作成支援モデル事業費(6百万円)
行政側からの避難勧告・避難指示等の仕組みだけでは、限界があると有識者からも言われており、避難行動タイムラインの必要性が高まっております。今回、7月豪雨で被害を受けた地域において、外水氾濫・内水氾濫・土砂災害等の被害の類型別に、モデル地区を選定してタイムラインの作成支援を行います。

出水期前工事早期実施対策(債務負担行為25億円)
出水期前工事早期実施対策ということで、河川や橋りょうなどにおける防災対策工事等について債務負担行為、つまり契約等を今年度中に行って早期着手することにより、来年の出水期までに効果を発現したいというものです。債務負担行為の枠として25億円を設定させていただきたいと思います。

[3]暮らしの安心・安全
児童虐待対応力強化緊急対策事業費(2百万円)
児童虐待相談受理件数が毎年増えてきており、東京で痛ましい死亡事案もありました。そこで、児相、警察署、市町村の連携を一層強化するための連絡会議の設置やホットラインの構築、実践的研修による児童虐待に関わる市町村職員の対応力強化に取り組みます。
併せて、児童福祉司を年度途中に3名程度前倒し採用し、体制強化するとともに、府警との協定締結も速やかに行いたいと思っております。

中高年期いきいき健康づくり推進事業費(3百万円)
中高年期いきいき健康づくりとして、大学等と連携し、モデルとなる市町村を2つほど考えており、健康づくり事業の効果測定や分析、検証を実施します。保健所単位で健康長寿・データヘルス協議会を設置し、市町村の健康づくり対策の支援に取り組んでおりますが、次のステージに向け、効果測定等を行いまして、最終的には府全域での健康づくり施策の横展開につなげたいと思います。

受動喫煙防止対策推進事業費(3百万円)
受動喫煙防止対策推進事業ですが、今年7月に健康増進法の改正法が公布されております。2020年4月全面施行後、主に飲食店を対象に喫煙専用室等の設置が必要になりますので、なるべく早めに事業者に対する説明会や周知啓発等に取り組みたいと思います。

[4]文化財の保存・伝承
歴史的建造物等保存伝承事業費(1.2億円規模)
最後に文化財の関係です。歴史的建造物等伝承事業費ということで、東福寺などで建造物の所有者からの受託による文化財建造物の保存修理を行います。

予算案の規模
予算案の規模ですが、平成30年度の現計予算8,809億円と、今回の9月補正予算51億円台を合計しますと、8,860億円台となり、対前年9月補正後と比較しますと95.7%となります。教職員等の人件費等を京都市に移管している等の制度改正の影響もありますので、同じベースで比較しますと、102.2%となります。

平成30年9月定例会 提案予定の主な条例の概要

次に、平成30年9月定例会で提出予定の条例についてです。
「京都府青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」ということで、いわゆるJKビジネス営業に対する規制等を行います。京都ではまだ無いですが、こうした店舗が東京、大阪に多く、宮城、神奈川、愛知、埼玉、静岡に、昨年末時点で131店あります。これに対して規制をします。5つの都府県に条例があって、全国で6例目になります。
規制対象営業形態は、異性の客に接触する、同伴する、姿態を見せる等の役務を提供する営業で性的な好奇心をそそる恐れがあるものを有害役務提供営業とし、店舗型・無店舗型の形態があります。規制内容としては、青少年を従事させること、客として立ち入らせること等の禁止行為と、青少年の立入禁止の表示、従業員の名簿の備え付け等を義務付けます。違反時の実効性の担保として、中止命令・営業停止命令・公表及び罰則を規定、併せて立入調査権限を付与します。
条例を制定することにより青少年を有害な環境に近付けることを防止します。

 

平成30年度9月補正予算案等の概要について(PDF:1,355KB)

 

「明治150年 京都創生フェスティバル」の開催について

もう一点は、「明治150年 京都創生フェスティバル」の開催についてです。今年は明治維新、そして、京都府開庁から150年の節目の年です。明治元年の東京奠都により、多くの人や産業が東京へ移りまして、京都はかつてない大きな危機に直面しました。そうした中、京都の先人たちは、日本初の小学校や女学校の開校、また、大学誘致などを通じた人づくりを行いました。琵琶湖疏水の建設、西陣織や茶業などの産業振興、博覧会も行っております。京都の発展の礎を築いて参りました。

この秋から、明治期の京都人の挑戦やイノベーションを振り返るだけでなく、新たな価値を創出する機会として、民間企業や大学と連携して関連イベントを実施し、そのメインイベントとして「明治150年 京都創生フェスティバル」を10月6日(土曜日)10時から開催します。

当日13時からの記念式典では人間国宝 京舞井上流五世家元井上八千代(いのうえやちよ)氏による祝舞をご披露いただいた後、明治8年に京都の地で創業した島津製作所の上田輝久(うえだてるひさ)氏の基調講演・パネルディスカッションを行います。

当日は10時~16時まで、京都の大学の研究活動紹介や施設公開、小中高生向けの体験教室を行うほか、「にぎわい・文化ゾーン」として稲盛記念会館前で伝統の食や特産品ブース、宇治茶BARの出店なども企画しております。10月上旬を中心に企画展示も実施しますので、関連イベントもたくさんあります。

明日から配布の「府民だより9月号」に関連イベントも含んだ明治150年フェスティバルについて特集しておりまして、全体スケジュールについても紹介しております。多くの方にお越しいただけるよう、PRをよろしくお願いいたします。

 

「明治150年 京都創生フェスティバル」の開催について(PDF:1,240KB)

 

主な質疑応答

記者

補正予算のタイムライン作成モデル事業費があるが何カ所で行う予定か。

 

知事

3地区です。具体的にこれから選定していきます。

 

記者

債務負担行為を行う出水期前の工事は、今年度予定していたものか、それとも前倒しなのか。

 

知事

もともと毎年、一定の規模を債務負担行為として9月補正の時点で設定しております。公共工事は、ある程度時間がかかることがあるので、普通は当該年度に契約して当該年度に完了するのですが、来年の出水期の前に完了するためには、今年から契約する必要があります。自治体としては来年度予算になります。用地買収が終わっている等、もともと計画されているものの方が多いと思います。

 

記者

北部の河川改修まではできないのか。

 

知事

河川によってはあるかもしれません。具体的な箇所はある程度想定しておりますが、北部だけ実施するという観点ではなく、全体として出水期前の態勢強化となります。

 

記者

国で進める観光復興支援について、連泊では家族連れでは行きにくいという声もあった。うまくいかない課題もあると思われる。

 

知事

これは全額国費であり、支援していただくことはありがたいです。国から示された仕組みをなるべく活用したいというのが一点。そして11府県同じ豪雨で被害を受けておりますので連携も重要となります。おっしゃるように、連泊や11府県は広いので、具体的に旅行者にどのように活用されるのか分かりませんし、予算が限られているので予定より早く消化するかもしれません。何か使い勝手をよくするとしても制度の運用をやってみてからの話だと思います。なるべく使いやすい形ではやりたいと思います。ただ、今のところ国の制度を前提として最大限活用できたらと思います。

 

記者

タイムラインを作ることで住民避難にどのようにつながるのか。

 

知事

作成時の話し合いで「こういう状況の時には、どこにどのタイミングで避難しよう」とか「夜中ならどうしようか」「要介護者や要配慮者がいるところはどうするか」「個別の声かけも全戸に行くことはできない」などと話し合って、住民が参加して作ることで、問題意識や啓発にもつながると思います。機械的にわかるだけでなく、住民の方が備え、自分の問題として命を守る行動をとるきっかけになると思います。

 

記者

住民と有識者と一緒に作ることに意味があるのか。

 

知事

被災したところでやるということは、具体的にどういう風に被害が起こったのか、その過程でわかってくると思います。被害が起こっているところでの情報交換につながると思います。

 

記者

住民の方が具体的なイメージをしながら作ることができるということか。3地区は全て7月豪雨の被災地となるか。これから検証するか。

 

知事

はい、そうです。検証会議を2回やりましたが、その一環でやっていきたいですね。

 

記者

京都府は、受動喫煙対策として法律に上乗せした規制を行うのか

 

知事

法改正の前から、東京などでは法律以上に厳しい規制がありました。京都では関係者が集まった形である程度自主的な規制も含めて皆でやっていこうという雰囲気がありました。その時から上乗せ規制をしてこなかったので、私としては基本的には、今のところ上乗せをするつもりはありません。逆に法律で決まったことがいかに的確に守られるか、それが地域の魅力アップ等につながればいいと思います。

具体的な考え方は無いのですが、色んな方との話し合いで、特に事業者の方には制度を理解していただかないといけないので、この予算で理解の促進と意識の向上を図りたいと思います。

 

記者

補正予算の総括を伺いたい。

 

知事

当初予算、6月の肉付予算、6月の第二次補正があり、そして今回の補正予算という一連の流れがあります。補正予算なので何でもとはいきませんが、私の思いとしては、災害復旧として必要な予算もありますし、被災地における観光振興、タイムラインのような災害で明らかになった課題を今後解決していくということです。児童虐待や健康づくり、受動喫煙のような緊急に要すること等、トータルでくくると府民の安心や安全を守るための予算となります。財源にも限りがあるし、補正予算の性格上から、待ったなしの緊急的な課題についてこの補正予算で対応して、府民の安全を守りたいという思いが実現した予算だと評価しています。

 

記者

京都府と京都市で防災対応の上で二重行政の課題はあるか。

 

知事

二重行政で思いつくことは無いですね。例えば、河川管理も役割分担もはっきりしていますし、避難所の運営も市の仕事としてあるわけなので、災害対策としては無い方だと思います。

 

記者

京都府と京都市で常設の会を設けるということだったが、この間見えてきた課題があれば。

 

知事

冒頭あいさつで申し上げた通り、二重行政の排除や融合による無駄を無くすというのは当然進めるのですが、防災も観光も交通インフラが整ってくると、広域的な対応が必要になります。京都府の北部・南部地域の強みを京都市域の発展に繋げる。逆に京都市域の強みを京都府北部・南部の発展に繋げる。府市懇談会での、京都府と京都市の政策の融合をやっていきたいということには賛成ですので、府市懇談会はよかったと思います。市長からの協議会の提案は初めてお聞きしたのですが、私としては器というより視点が大事だと思いました。ああいう公開の場で市長と私が話すだけで政策が進むかというと、政策にいろんな影響力があり、検討しなければいけないことが多いので、そういう協議会があって、その場でその都度起こったものを詰めていくというのは、課題別のパネルよりは機動性があるし、効果的かなと思いました。名称も含めて、どういう体制にしていくかはこれからですね。

 

記者

先日、アジア大会で京都の選手を含む不祥事があった。また、本日も窃盗の疑いで逮捕事案があり、不祥事が重なっている。知事の意見は。

 

知事

私自身もスポーツをしていますが、世界に通用するレベルから日頃の運動も含めて、スポーツは心身の健康にもつながり、人間生活に重要だと思います。とりわけ青少年の健全育成にも効果があると思っています。そうした中で、トップアスリートという影響力の強い人の不祥事があるというのは極めて遺憾だと思います。今、それが増えていると思いたくないのですが、そういうことであれば、指導者の方に選手に対して教育や指導をして欲しいと思います。希望としては、不祥事がなくなるということに尽きると思います。

特に来年は、ラグビーワールドカップ、2020年はオリンピック・パラリンピック、2021年はマスターズゲーム関西ということで、ゴールデンスポーツイヤーを迎えます。この期にスポーツの振興だけでなく、日本の魅力発信や地域の活性化につなげようとしている時なので、そこに水を差す行動に違いないので、是非とも厳しくしてもらいたいというのが私の希望です。

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