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平成30年9月12日知事記者会見

台風21号が上陸し、近畿を縦断したことにより、人的にも住家にも大きな被害が出ており、被害に遭われた方に、改めて心からお見舞いを申し上げたいと思います。また、災害対応にあたられている多くの関係者の皆様にも、この場をお借りして御礼を申し上げたいと思います。

平成30年度9月補正予算案(台風21号関連)

台風21号に関連する補正予算を緊急的に取りまとめましたので、その概要をご説明いたします。今回、25年ぶりに「非常に強い」勢力を保ったまま上陸した台風21号により、京田辺市及び南丹市では観測史上最大、京都市内中京区では戦後最大の最大瞬間風速を観測しました。これはあくまで観測点ですから被害の状況を見ますと、さらに強い風速が出ているところもあると思います。被災された方々の1日も早い復旧・復興のため、追加的に補正予算を編成しました。補正予算の体系は次の3つで、規模は一般会計で12億円台です。
(1)農業者・中小企業の復興支援
(2)文化財の災害復旧
(3)インフラ・府民利用施設等の災害復旧

(1)農業者・中小企業の復興支援
農業者等復興支援事業費(1.4億円規模)
農業者や中小企業の復興支援に1.4億円規模を計上しております。パイプハウスや茶棚の復旧支援、ビニール等の小規模修繕に対する支援を行います。台風21号は風が強く、12号と20号に比べてもパイプハウスの全壊・大破が多く、今のところ608棟の被害が出ております。ビニールの破れなどの小規模なものを含めると、全体で1600件程度の被害となります。

農業者経営復興特別支援事業費(6百万円)
こちらは7月豪雨の時にも措置しましたが、災害で被災された方々の営農継続を支援するということで、無利子の貸付を行います。さらに、借入後、5年間継続して営農した場合は、償還額の3分の2を助成します。

農林水産緊急特別融資対策
既決予算を活用しますが、経営再建に要する資金借入に対する利子補給支援ということで、個人と法人それぞれ融資期間は15年以内(据置7年以内)、利子補給により5年間は無利子とする支援を行いたいと思います。

森林災害緊急整備事業費(0.1億円規模)
森林災害緊急整備事業費は0.1億円規模を計上しております。今回、風が強く、北山杉の倒木など林業被害も出ております。こうした被害木の伐倒・集積等、再造林に向けた環境整備を支援するということで、国庫補助事業の森林整備事業の対象にならないものについて、3分の2程度の補助率で支援をするものです

中小企業等復興支援事業費(0.5億円規模)
中小企業の工場の屋根や看板等が、かなり被害を受けておりますので、その復旧修繕のための支援を行います。
[1]規模の大きな施設の復旧等に対する支援
大規模なものについては最大100万円。連年で被災された場合等については、補助率等の引き上げをしております。
[2]小規模な施設の修繕等に対する支援
看板やショーウインドーなどについては最大10万円です。
[3]災害対策緊急資金融資により資金調達を支援(既決予算)
制度融資の最優遇金利(0.9%)で資金調達を支援いたします。

(2)文化財の災害復旧
文化財等の災害復旧(1.3億円規模)
次に、文化財等の災害復旧は1.3億円規模を計上しております。屋根や瓦が飛んだり、倒木等でかなりの被害が出ております。国宝14件、重要文化財94件をはじめ、全体で約350件の被害を現時点で確認しております。貴重な京都の宝である文化財について復旧の支援を行いたいと思います。

(3)インフラ・府民利用施設等の災害復旧
土木施設の災害復旧(5億円規模)
土木施設の災害復旧は5億円規模を計上しております。今回は水害というより、強風で発生した倒木の除去が主な内容であり、道路や公園、河川敷における倒木の除去でインフラの機能回復をさせるための予算です。

府民利用施設等の災害復旧(2億円規模)
それから府民利用施設としましては、府立植物園、府立大学、パルスプラザ、勤労者福祉会館などで、屋根や壁、倒木の被害がかなりの数発生しています。特に府立植物園では200本以上の倒木が発生し、非常に大きな被害が出ております。2億円規模を計上しております。

信号機等の災害復旧(3百万円)
また、信号機等の復旧ですが、信号機が倒れたり道路標識が曲がったりしておりますので、復旧経費として300万円を計上しております。

社会福祉施設の災害復旧(0.8億円規模)
社会福祉施設の災害復旧として、老人福祉施設は5施設、障害者支援施設7施設、児童福祉施設は21施設、0.8億円規模を計上しております。それぞれ対象となっている施設は、配慮を要する高齢者や障害者、子どもさんも利用している施設ですので、利用に不便をきたさないようにしっかりと復旧の支援をしてまいりたいと思います。

府立学校の災害復旧(1.4億円規模)
府立学校においても、校舎や屋根の破損、防球ネットが倒れるなど、極めて被害が大きかったと聞いております。

予算案の規模
予算案の概要は以上ですが、前回の9月補正で一部説明したものと、今回の12億円台を合わせて、9月補正の合計は64億円台となります。対前年の9月補正後と比較しますと95.9%となり、制度改正の影響を除くと102.3%となります。今回追加で編成した予算については、明日の9月定例府議会の開会日に、補正予算の本体の続きとして提出しますので、議会でも一体的にご審議いただけるのではないかと思います。私から説明は以上です。

 

平成30年度9月補正予算案(台風21号関連)(PDF:1,406KB)

主な質疑応答

記者

補正の審議は、先に発表された件も含め早期の可決が望ましいが、そういった要請をするか。

 

知事

今日発表しているものだけが緊急というわけではなく、補正予算は年度内に起きた、当初に予想していなかった事案への対応でありまして、そういう意味では、私どもとしては緊急で対応する予算をお願いするわけです。議会側としては、府民の代表としてきちんと審議したいということもありますので、なるべく速やかに議決いただきたいという思いです。一方で、中身もきちっと審議をいただきたいと考えており、先に提出したものと一体として審議いただきたいと考えております。

 

記者

台風21号に関しては、農業の部分などが膨らむかもしれないが、見積や見込みも含めてカバーしているという感触か。

 

知事

現時点では、把握している情報に基づいて可能なかぎり計上しておりますが、例えば山間部の奥の方では、被害把握のための進入が困難なところがありますし、停電や通行止めが続いている影響もどう出るか気になっています。大きな話をすれば、関空や北海道胆振東部地震の影響もあります。今見ていただいたものは、かなり生活に密着していて緊急に対策しないといけないのですが、打ち止めというわけではなくて、この後もさらに把握に努めたいと思います。

 

記者

住宅被害に関しては、地域再建被災者住宅等支援制度の適用にはならないのか。

 

知事

現行制度の適用要件を勘案すると適用は難しいと思います。ただし、今回の被災の復旧で屋根を軽量化するような場合など、耐震改修制度を使うことは可能です。全体にリフォームに対する住宅改良資金融資制度の利用は可能ですが、被災者の再建支援の枠組は適用が難しいと思います。

 

記者

農業者支援ですが、今回、西日本豪雨と台風12号、21号と災害から復旧が終わる前に再び次の災害があり、農家もかなり深刻なダメージがある。

 

知事

昨日現地でも申し上げましたが、厳しい状況にあると思うのでできる限りの支援をしたいと思います。農業に新規に営農されている方は、もともと農業従事者が減っている中で、しかも意欲的に経営されているので、是非とも継続してもらいたいと思うので、きちっと支援をしたいと思います。具体のケースについて承知しているわけではないのですが、思いとしては共に頑張っていきたいと思います。

 

記者

昨日、ビニールハウスの被害があった久御山町と八幡市を視察した感想は。

 

知事

一部片付けられたところもあるのですが、状況を見る限り、全部がベタッというのではなく、頑丈なハウスも一部屋根の上部が傷んでいて、場合によっては上昇気流が起こったと推測されるようなつぶれ方をしていました。風速が戦後最大というだけあって、風の脅威を改めて感じました。苗を作っている農家だと苗を待っている農業者にご理解いただかないといけない。小売で販売されているところでは、引き続き取引ができるのかなど、色んな心配をされているので、そういうところには対応しないといけません。改めてハウスの重要性もわかりましたし、農業されている方の苦労も感じたところです。

 

記者

災害が続いているが、農家の方もご苦労があると現場でも感じたということか。

 

知事

はい。ご支援をいただければ引き続き頑張りたいという前提で話しをされていましたのでそういう意味でありがたい、頼もしいというか、そういう気持ちに応えていかなければいけないと思いました。

 

記者

被害は知事の予想以上だったか。

 

知事

パイプハウスの壊れ方を見てそう思いました。

 

記者

台風21号の被害に対応する予算で、その後の大雨もあったがそれは踏まえていないのか。

 

知事

この予算は、台風21号の被害に対応するものですが、既決の予算で対応できるものは対応すると思います。

 

記者

観光への影響について、大阪の黒門市場や錦市場など話を聞くと、外国人の観光客が少なくなったと聞いた。観光関連の売り上げ低下の長期化の可能性があるが、そういった場合は予算措置を考えるのか。また、北海道の地震と関空被害を合わせると、日本の観光立国、インバウンド受け入れに水をさすような状況も懸念されるが、対応を取る考えはあるか。

 

知事

予算と連動することは横に置いておいて、関空の状況が関西全体の観光に与える影響は大きいと思います。分析はまだできていませんが、インバウンドのかなりの割合が関空利用していることは間違いないので、外国人観光客が来ていないということは実際の損失ですし、繰り返し関空の状況が海外で報道されていると聞いています。風評に対しては「そんなことはない、大丈夫ですよ」と発信しないといけない。

まだ対策は出ていませんが。まずやらないといけないのは関空の一日も早い復旧です。9月6日(木曜日)付けで関西広域連合として、早期復旧と代替機能確保に関する要請を国交省と関西エアポート株式会社に行いますし、一方で、関西観光本部からは、会員企業や関係団体に旅行者の不安の一掃につながるよう、正確な情報発信を文書で要請しています。

京都府域の観光地や京都市内の旅館やホテルのキャンセルも出始めていると聞いています。ここはきちっと分析をして対策を取ります。

一番は、関空の早期の復旧です。私も詳細にフォローできていませんし、結論は出ていませんが、伊丹空港と神戸空港で協力して少しでも分担し、その上で中部国際空港の分担など、なるべく影響を少なくしていく努力はみんなで行っていかないといけない。

北海道地震での京都経済への影響は、原料や飼料において直接的な影響は無いと思っています。原乳の供給は5割程度になっているということですが、ここはいずれ回復すると思います。

たまたま同時に地震と台風が起こって、自然災害に対するリスクから日本の観光立国、インバウンドの評価が下がるのは極めて問題だと思うので、実態の被害というより風評に対して、「安全」というメッセージを出すことが、オールジャパンで絶対に必要になると思います。北海道経済についてもそういった動きがあると思います。各地方とも手を携えてそういった努力をしていきたいと思います。

 

記者

総務省がふるさと納税の関係で、通知に反する自治体名を発表したが、府内の7市町について是正を求める動きはあるか。

 

知事

ふるさと納税の返礼品は対価ではなくて、感謝の気持ちということで制度的に限度があるものなので、本来であれば自治体が自主的にその趣旨に則って制度を構築すべきだと思います。こういう状況になりましたのでそれに従うことは必要です。京都府からそれぞれに今の段階で是正指導するつもりは無いです。特に割合については、3割を大幅に超えていないと聞いていますし、地場産業のところは色んな解釈があって、関連性を広く取れば地場だということになるので、それぞれの市町でどういう立場に立たれるか注視をしたいと思います。さらに事態が進んで、それでも制度趣旨に合わないということであれば考えます。私としては、自主的に趣旨に則った制度にしてもらいたい。それぞれの自治体が制度趣旨から逸脱しない中で創意工夫も必要なので、制度構築していただければありがたいと思います。

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