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平成30年10月5日知事記者会見

まずは、台風について申し上げます。この度の台風24号は、強い勢力を保ったまま9月30日(日曜日)の夜間に京都府域を通過しました。京都府北部や中部を中心に大雨や暴風による被害が発生しております。福知山市では男性1人が亡くなりました。衷心よりお悔やみ申し上げますと共に、被災された方々にお見舞いを申し上げたいと思います。またこの間、災害対応に当たられました警察・消防などの関係者、また地元の消防団等の奮闘に対しましても、心から御礼申し上げたいと思います。
それでは、配布されている資料に基づき3点ご説明いたします。

京都府特別栄誉賞の贈呈について

一番目は、去る10月1日に、京都大学高等研究院 副院長・特別教授の本庶佑様の2018年ノーベル生理学・医学賞の受賞が決定されました。本庶様におかれましては、免疫抑制機構の阻害によるがん免疫治療法を発見され、画期的ながん免疫治療薬の開発につながり、世界中の患者に希望をもたらす素晴らしい成果を上げられました。京都府としても京都府の名誉を世界的に高め、広く府民に希望と力を与えられたことに対し、その栄誉を称え、京都府特別栄誉賞を贈ることといたしました。また、京都大学に対して、自由な学問研究環境や教育環境を生み出して、10人目の快挙となりますノーベル賞受賞者の育成や、京都に育まれている先端的学術研究の発展に貢献されたことに関しまして、感謝状を贈呈することといたしました。後日、本庶様への京都府特別栄誉賞の授賞式を開催する予定です。これは日程が決まりましたら改めてお知らせいたします。

京都府特別栄誉賞の贈呈について(PDF:278KB)

 

平成30年度「京都府あけぼの賞」受賞者の決定について

2つ目ですが、「京都府あけぼの賞」の受賞者の決定についてです。京都府では、男女共同参画社会の実現による豊かな地域社会の創造、また、女性の一層の能力発揮に向けて、いろいろな分野で先駆的に活躍する女性やグループに対して「京都府あけぼの賞」を授与しています。

お一人目は、京丹後から京都市に進出して料亭を経営され、食品工房の敷地内に植樹を行うことで、「和久傳の森」を整備し、森の中に、食品工房の他に美術館、レストランを新設するなど京丹後の地域振興に貢献されました、株式会社紫野和久傳代表取締役会長の桑村綾様です。

2人目は、350年以上続く千家十職、中村家の当主として、平成18年に十三代宗哲を襲名されまして、伝統文化を継承するとともに、現代に即した漆器利用の提案や他分野の芸術家とのコラボレーションによる作品展の開催など、文化振興に貢献された塗師(ぬし)の中村宗哲様です。

2人目は、京都大学こころの未来研究センター初代センター長として「こころ」という分野について、専門の異なる研究者が集まって研究を行い、成果を社会に発信するという先駆的な取組を推進された、京都大学こころの未来研究センター教授の吉川左紀子様(注※「吉」はうえが短い「つちよし」)です。

次に団体ですが、京都PR隊として京小町踊り子隊の踊りを国内外で披露するとともに、簡単できれいに着ることのできる「dricco着物」の開発販売を行い、和装振興にも貢献されたNPO法人京小町踊り子隊プロジェクト様です。

二つ目の団体が、競技の垣根を越えた全国で唯一の女性スポーツ統括組織で、託児サービス付きのスポーツフェスティバルの開催など、多種目の女性スポーツ団体の交流を図り、女性がスポーツをする環境を幅広くサポートし、女性のスポーツ振興に貢献された、京都女性スポーツの会の皆様です。
以上の3名2団体を表彰したいと思います。

また今回は、第30回「京都府あけぼの賞」を記念して、女性経営者として長年京都の経済界を牽引するとともに、京都府公安委員会委員長として女性の視点を生かして警察運営に大きく貢献された株式会社太洋堂代表取締役会長の瀧静子様。

もう一人が、女性管理職、総合職の登用にいち早く取り組むなど、長年男女共同参画の推進に尽力されました吉忠株式会社代表取締役社長の吉田忠嗣様(注※「吉」はうえが短い「つちよし」)。この2名に対して女性の活躍に多大な貢献されたことを表彰する特別賞を授与したいと思います。
授賞式は、10月20日(土曜日)の第30回「京都あけぼのフェスティバル」で行いたいと思います。当日の取材もよろしくお願いしたいと思います。

平成30年度「京都府あけぼの賞」受賞者の決定について(PDF:1,510KB)

 

「海の京都 ふっこう周遊パス」の販売について

3点目ですが、この夏、平成30年7月豪雨で被災した京都府北部の復興と観光誘客を図るため、昨日議会で補正予算の議決をいただきましたが、「北部地域公共交通復興支援事業」として「海の京都ふっこう周遊パス」の販売を支援することとし、本日、京都丹後鉄道、丹後海陸交通、京都交通の3社の共同でパスを販売することとなりました。
このパスは、海の京都エリアにおいて鉄道やバスで周遊できるフリーパスで、それに加えて購入特典として、天橋立の傘松公園のケーブル・リフトや阿蘇海の観光船とか、伊根湾巡りの遊覧船の割引を受けることが可能です。それから、国の制度である13府県が対象の「ふっこう周遊割」を利用することで、宿泊についてもお得にできますので、この機会にこれを組み合わせて、京都府北部になるべく多くの皆様にお越しいただけるよう周知をお願いいたします。
なお、この後15時から交通3社の代表者の方と私が出席して販売開始のセレモニーを行いますので、取材についてもよろしくお願いいたします。周遊パス等の内容・詳細についてはその際に説明いたしますので、よろしくお願いいたします。

「海の京都 ふっこう周遊パス」の販売について(PDF:2,732KB)

 

質疑応答

<京都府特別栄誉賞関連>

記者

本庶さんへの特別栄誉賞についてですが、改めて知事から受賞に対する感想や受け止めは。また、電話等で直接祝意を伝えたのか。

知事

冒頭申し上げました通り、この本庶先生の免疫に関する発見というのは、画期的ながんの免疫治療薬の開発につながったということで、まさに世界中の患者の方に希望をもたらしたことに加え、実際の治療につながっているというのが非常に大きな成果だと思います。京都府も毎年7000人を超える方ががんで亡くなっておりますし、これから高齢化に伴ってがん患者の増加も予想されますから、我々も総合的にがん対策に取り組む中で、非常にありがたいというか、すばらしい成果だと思います。
本庶先生と直接話はしておりません。ただ、本庶先生が受賞の後でいろいろお話されておられ、一つ一つの言葉が素晴らしい。「教科書がすべて正しければ科学の進歩は無い」ですとか、「人が言っていることや教科書に載っていることをすべて信じてはいけない」とか、おっしゃっていることが正しいかどうかは別にして、メッセージ性が高い先生だと私は感じております。すべて紹介はしませんが、そういう意味から、人間としての器の大きさを非常に感じています。もちろんノーベル生理学・医学賞は研究成果に与えられているのですが、私の率直な感想としては、そういう意味でも人間的な魅力が感じられる人だと思っています。いずれにしても素晴らしい成果なので京都府にとっても誇りだと思っています。

記者

贈呈式の予定ですが、ノーベル賞の授賞式までにするのか、こだわらないのか。

知事

基本的には、過去の受賞者の動きを見ていると、授賞式まではものすごく準備も忙しいので、常識的にはその後になるでしょう。当面はノーベル賞の授賞式にご専念されると思います。具体的な日程は決まっておりません。

記者

特別栄誉賞にあわせ、感謝状を贈られるということだが、こういったものはこれまでも京都大学にも贈られてきたのか。10人目ということで贈られるのか。

知事

これまでも大学や所属企業にお贈りしています。いろんな知事賞があるのですが、大学にも贈っておりますので。

記者

今回だけですか。

知事

そうではなく、過去の例も同様です。

記者

山中教授の時も。

知事

はい。

記者

若手の研究者の充実や基礎科学・生命科学を勉強されている方に応援していけることは。

知事

レベルが高いので我々が応援できるかどうかわからないのですが、ただ、本庶先生の研究室はそれなりの資金環境や研究環境が整っていると聞いているので、直接ということは無いです。大学全体に対しては「大学のまち」と言っていて、京都産業の強みとして必ず大学の集積が言われているわけですけど、我々としては大学の環境整備についてはなるべく配慮したいと思っています。例えば、京都府は府内全ての大学と就職支援協定を締結し、我々にとっては京都企業の人手不足対策にもつながるものでありますが、大学にとっても就職3年以内に3割の人が辞めていく現状の中で、マッチングの問題もありますので、そういったところに幅広く提供していきますし、留学生支援とか、大学の環境、研究環境の支援についてもできる限り応援したいと思っています。

記者

知事は東京大学ご出身だが、京都大学の魅力や強みはどこにあると考えるか。

知事

これだけの成果が出ていることからわかるように、一つは、自由な学風もあるのかなと。一つひとつ研究者が何をされているのかはわからないのですが、本庶先生は、教科書を信じていいかは別として、研究はトライアンドエラーみたいなこともおっしゃられていて、思い切った自由な発想で研究に取り組まれていることが、最終的には画期的な成果につながっているのかなと思うのです。だからと言って、東京大学がそうでないとは思いませんが、過去の例でどうしてそれが発見されたかというのを見ると、何回も失敗している中で、たまたまできたということも多いですよね。そういったことを自由に研究するという学風をきちっと継承されていることかなと思います。

 

<内閣改造・地方創生関連>

記者

内閣改造で新たに大臣が入れ替わった。地方創生を含め、知事が関心のある政策を中心に、どういったことに期待するか。あるいは注文を付けておきたい部分はあるか。

知事

これは従来からですが、日本経済はマクロとして全体として成長を続けていますし、株価や雇用情勢、訪日外国人旅行客(インバウンド)も含めて、それを地域や中小企業などを含めたすみずみまで経済成長の効果を行き渡らせることが、我々にとっては何よりも重要だと思っており、課題があると思います。このように災害が多いと国土強靱化の話もありますし、少子高齢化ですと、安心できるような社会保障制度をどう構築するか。人手不足になっていますので、生産性革命、また、働き方改革や人づくり革命など内閣として課題を上げられていますから、それを着実に実行していただいて、それによって地方創生を図られると。地方が良くならなければ日本全国がよくならないと、元々おっしゃられていますので、ぜひともその点については、全力で取り組んでいただきたいということを期待したいと思います。

記者

知事の認識として、地方創生の政策は今の方向性で効果が期待できるのか。方向性や政策について目先を変えた方がいいのか。

知事

目先というか、今の日本の成熟した国家・社会では、連動しているわけですね。国際関係とも連動しています。やはり全体を底上げしていかないといけないのは確かです。その効果を地方に行き渡らせる手法というのは、それぞれ地域によって違う。例えば、京都経済自体、京都府内の企業については好調なところがあるわけですね。京都の中でも、市域と府域で処方箋が違うと思うのですが、基本はメッセージとして地方創生が重要だと言ってもらうということと、個別の施策については、地方6団体や、我々京都府としても国に要望していますので、なるべくその要望内容に沿って進めていただきたい。方向性というよりは具体的な施策だと思います。地方創生と言われていますので、いろんな交付金だとか、これは単なる依存ではなくて、こちらもクスリを出すからそれに対して支援をしてもらうということですね。
それと今回、いろんな形の災害があり、豪雨があり、大阪北部の地震、北海道の地震があり、雨や風の台風災害。そういったことを含めると国土強靱化の重要性も出ていますので、その上にいろんな地方創生や地域活性化が成り立ってくるので、そこは国の役割も大きいと思います。
安心して他の施策ができるように、その辺については、見直しの動きが出てくると思いますが、そこのところをきちっとやってほしいと思います。

記者

日本経済がマクロで成長しているというのはその通りだと思う。アベノミクスの効果を地域のすみずみまで行き渡らせると安倍首相も言っているが、京都についてのアベノミクスの効果についてはどう思うか。

知事

京都のどちらかと言うと大きいところについては、全体の為替相場も含めて輸出環境や世界経済との関係で、トランプさんが出てきて、少し保護主義の色が出ていますが、基本的には自由貿易体制を維持して成長を遂げていると思うので、効果を上げています。ただし、京都を見ても、例えば北部では足下の製造業は比較的好調でしたが、人手不足の状況がさらに深刻さを増していることや、農林水産業でも担い手がいないこと、中小企業の事業承継の問題などは、日本の全体に迫られている課題だと思います。そういうところを丁寧に解決していかないと最終的にはマクロ成長が出ないと。そういう意味で中小企業対策は必要だと思います。あとは一次産業ですね。この二つがすみずみというイメージとして一番合っていると思います。

記者

今言われた、大きいところというと京都市のことか。

知事

個別の企業名は言いませんが、そういうところについては売り上げや利益を見てもそれなりに好調を維持しています。逆にそういう時こそ、一次産業や中小企業を含めて、次への備えをすることが重要だと思います。

記者

そういったところに効果を行き渡らせるということですね。

知事

そうだと思います。

記者

復興周遊パスについてですが、ふっこう周遊割と一緒にでも別でも使えるということだが、制度を使い、北部振興や復興をどのように進めるか。

知事

今回は、どちらかというと観光の風評被害があるわけです。被害の状況が繰り返し報道されましたし、丹後鉄道だったら50日以上運休してバス代行していましたし、バス路線も道路が傷んでいたというところで、風評被害が出ているので、まずは、観光需要を戻したいということです。これをきっかけに「安いから行ってみよう」となれば、足を運んでもらうきっかけになりますので、持続的な観光振興につながると。それといつも言っていることですが、観光だけでなく、それを入り口として、ほかの産業の振興に繋げていきたいと思っています。今回は観光需要の掘り起こしだと考えています。

記者

京都の人だけでなく、全国の人が使える制度だが、その点はどう考えるか。

知事

もちろん京都の人も使っていいのですが、基本的に全国各地から来てもらいたいという思いがあります。幅広く活用してもらうという意味では、全国で使うことができるというのはいいことだと思います。

記者

子育て環境について、組織横断的な部署を作られて、6月に第一回が行われ、その後、京都テルサ等で不妊治療の相談窓口を開設されたことで一区切りになっているのか。

知事

一区切りではないです。もともと6月の補正予算は、あのときは私が就任間もない中での肉付け予算だったので、とりあえずできることからやった方がいいということで、子育て環境については不妊治療についてやりました。不妊治療は費用の問題もありますが、企業の理解や時間がかかるということもありましたので、入り口というか、これからのものです。それが開設されるというだけなので、子育て環境については非常に幅が広いのと、横断的なテーマなので、これをやれば終わりということではないです。子育て環境日本一推進本部を作っておりますので、今色んな課題を聞いたり話をしたり、検討を続けていますので、できるものからやっています。これからだと思っています。

記者

第2回の会議は。

知事

それはまだ決まっていません。

記者

沖縄県知事選で、国策に反するような立場の知事が出たことをどのように受け止めるか。

知事

まずは、知事選挙なので、沖縄県民が選択された結果として、そのまま受け止めるということです。もう一つは、同じ知事という立場ですので、地方が抱えている問題はそれぞれ違うとは思いますが、課題解決に向けて一緒になって努力するべきところはしたいと思います。どの分野かは別として、同じ知事として問題意識としてはあります。

記者

辺野古については。

知事

米軍基地の問題は地元住民の生活に直結する課題なので、一般論として沖縄に基地の負担が多いということは全国知事会で認識しているわけですね。私としては、沖縄県民のこれまでの経緯を踏まえた感情を十分尊重した上で、国が対応する必要があると考えています。知事の立場で言うと、全国知事会には基地負担に関する研究会があって我々も参加していますので、全国知事会を通じて国への対応を具体的に求めていきたいと思います。

記者

国は、受け止めを慎重にということでしたが、これまでの方針を変えていくべきか。

知事

それはこれから新しい知事が、どういう話を政府にして、それをどう受け止めるかということなので、どういう方向か私が申し上げる立場ではないと思います。

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