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平成31年1月25日知事記者会見

平成31年度当初予算案

平成31年度の当初予算案が概ね取りまとまりましたので、その概要についてご説明いたします。昨年の12月に、国の平成30年度第2次補正予算が閣議決定されましたので、それに対応する京都府の平成30年度2月補正予算案を同時に提案するということで、昨年度に引き続き、14カ月予算案として編成を行っております。

 

予算編成の基本方針

予算編成の基本方針につきまして、ワンフレーズで言いますと「新しい京都の未来への挑戦予算」です。少子化・人口減少をはじめ、待ったなしの課題がございますので、子育て環境日本一などに取り組み、そうした課題に果敢に挑戦をするということです。

体系は5本の柱としております。

1.子育て環境日本一への挑戦

2.京都力を活かした文化・スポーツ・観光振興

3.京の産業の新展開

4.暮らしの安心・安全の向上

5.未来を拓くまちづくり

ということで、そのそれぞれに小さな柱をぶら下げています。順に、ご説明いたします。

 

1.子育て環境日本一への挑戦

子育て環境日本一への挑戦(総額221億円規模)

まず、子育て環境日本一への挑戦についてですが、非常に難しい課題、困難な課題に立ち向かうという意味で、「挑戦」という言葉を使わせていただいております。

総額では221億円規模です。少子化の現状については、今更でございますけれども、平成に入ってからも、出生数等、相当大幅な減少がございます。子育て環境日本一推進本部を立ち上げ、現在、戦略を検討中でございまして、夏には「子育て環境日本一推進戦略(仮称)」を策定したいと思います。中間案は2月議会でも報告したいと思っております。

 

(1)若者や企業の意識・行動変革

まずは、若者や企業の意識・行動変革です。行動の変革については比較的形に表しやすいですが、意識の変革につきましては、非常に地道な、息の長い取組みが必要だと思っております。子育て世代は、一日の多くの時間を職場、企業で過ごしますので、特に、企業に焦点を当てて、このような形でまとめました。

 

子育てに優しい職場づくり事業費(1.3億円規模)

まず、子育てに優しい職場づくり事業費です。子育てしやすい職場を作ると、企業の価値も高まる。そうすると、多様な働き方もできて、人材の確保につながるという好循環を生み出すことで、社会全体で子育てを支える環境を作りたいと考えております。

子育てに優しい職場づくりを進める企業を増やして、社会全体の気運を醸成するということです。具体的には、個別企業に専門家を派遣して、就業規則の改正や時間休暇が取りやすい環境づくり等を促進します。また、複数の企業がグループ化して、共同で人材を確保する等の取組みに対しても、補助制度をつくります。職場の意識・行動変革が中核的な新規事業だと思います。

ちなみに、府庁でも、在宅勤務を本格導入したり、不妊治療に伴う特別休暇を新設しようと思っております。特別休暇の具体的な内容は検討中でございますけれども、府庁内の改革も、併せて行いたいと思っております。

 

仕事と育児両立体験企業等導入事業費(0.1億円規模)

次は、仕事と育児両立体験企業等導入事業費です。これは従来から行っており、参加者と参加企業の両方から非常に評判が良く、効果もあるということなのですが、比較的人数規模が小さかったので、平成31年度は190名、最終的には4年間で1000名くらいを目標に、参加者を増やしていこうと考えており、多様なメニュー、プログラムを用意したいと思っております。

 

学校連携型小中学生乳幼児ふれあい事業費

これは、小さい頃から赤ちゃんに触れようということで、小中学生が乳幼児とふれあう機会を創出するものです。

 

京都女性活躍推進サミット(WIT)開催費

京都女性活躍推進サミットでも、府内の優良事業の紹介や発表を通じて、女性の活躍、そしてそれが、子育て環境の充実につながればということで挙げております。

 

(2)安心して出産・子育てできる環境づくり

次は、安心して出産・子育てできる環境づくりということで、これは特に北部の周産期医療体制が大きな課題でした。そこで、産婦人科医を府立医大附属病院から舞鶴医療センターへ2名、京大附属病院から京丹後市立の弥栄病院に小児科と産婦人科の医師を各1名で2名、平成31年4月から確保します。

 

周産期等子育て医療体制強化費(3.2億円規模)

これは、従来から取り組んでおります、NICU(新生児集中治療室)の増床(6床→9床)に向け、NICU及びGCU(新生児治療回復室)の設備や機器等の全面的リニューアルを行うものです。

 

赤ちゃん応援隊活動助成事業費

これは新しい事業でして、市町村の子育て世代包括支援センターをはじめ、子育てを応援してくれる主体はたくさんありますが、特に1歳までの乳児がいると、なかなか外に行けず、家庭外でのつながりが弱くなりがちなので、子育て経験者や元気な高齢者が、そういう方のところに出向いて声をかけるなど、相談に乗る体制を作ってもらうという事業でございます。

 

発達障害者支援体制整備事業費(1.1億円規模)

次は、発達障害者の支援体制です。最近ニーズが非常に高まっておりますし、スクリーニングの結果でもわかるのですが、なるべく早く療育につなげることが必要なので、保護者の不安に対応するためにも、相談など、支援の充実が急務です。具体的には、北部の「舞鶴こども療育センター」と中部の「花ノ木医療福祉センター」に専門相談員を配置します。

去年10月に「発達障害者支援センターこども相談室」も設けておりますので、全体として相談体制の充実を図りたいと思っております。

 

病児保育広域化推進事業費

次は、病児保育広域化推進事業費です。病児保育施設の利用者数が、平成27年から平成29年にかけて、23%以上伸びており、非常に需要が大きくなっております。小さなところではなかなか対応できないことから、受け皿の拡大と、市町村間の相互利用、具体的には、宮津市、与謝野町、伊根町が連携して行う病児保育の開設に向けた施設整備を支援します。

 

保育所専門人材派遣支援事業費

比較的小さな保育所では、専門人材が確保できないということで、そのようなところに専門人材を派遣する事業です。

 

(3)子育て家庭の経済的負担の軽減

京都子育て支援医療助成費(22億円規模)

事業の全体規模は22億円ですが、今回の拡充分は31年度では約1.7億円となります。従来は月額3,000円が上限のところ、3歳から15歳の通院の自己負担額の上限を月額1,500円に半減します。

子育て医療に係る助成は、従来から市町村が独自財源で充実しておりますので、府の制度拡充に伴い、そのような市町村の財政負担が軽減されます。今回の拡充の趣旨を御理解いただいて、負担が軽減された部分の財源については、ぜひとも市町村独自の子育て支援施策の充実に使っていただきたいという要請を行っております。

 

高等学校生徒通学費補助金(0.1億円規模)

次に、高等学校生徒の通学費補助を行っておりますが、これも経済状態が厳しい世帯について、年収250万円未満、いわゆる住民税の非課税世帯を中心に、定期代の支援を拡充したいと思います。

 

陽子線治療府民助成事業費(0.1億円規模)

次は、陽子線治療府民助成事業費です。本年4月から、府立医大病院の最先端がん治療研究施設での治療が開始されますので、そこでの治療につきまして、いくつか要件はあるのですが25万円の助成を行います。なお、子育て家庭、これは18歳以下の子どもがいる世帯ですが、それにつきましては、助成額を倍にし、子育て支援という観点からの充実策を、併せて実施したいと思っています。

 

幼児教育無償化(19億円規模)、第3子以降保育料無償化事業費(4.4億円規模)

次は、幼児教育の無償化です。国の措置で幼稚園等を利用する3~5歳児が無償化されます。初年度は全額国費となっております。また、無償化後も府独自の第3子以降の保育料の無償化は継続して実施します。

 

不妊治療給付等事業費(3.0億円規模)

不妊治療につきましては、今、男性の不妊治療に要する経費の助成は、初回20万円ですが、それを30万円に拡充します。

 

私立高等学校あんしん修学支援事業費(39億円規模)

これは、私立高校生徒の修学を支援するため、授業料等を軽減する事業です。

 

(4)児童虐待・不登校・ひきこもり総合対策

次が、児童虐待・不登校・ひきこもり総合対策です。資料に総合的な対策の図がありますが、横軸が乳児・幼児・小中学校、縦軸に早期発見・未然防止から最終的には専門的な支援となっており、学校を中心としたプラットフォームを活用することによって、切れ目なく支援しながら、総合的な支援体制を確立して、子育て環境日本一につなげたいと思っております。そのための連携体制・相互対策を行うというものです。

中身を具体的に説明いたします。

 

児童虐待総合対策事業費(1.6億円規模)うち児童虐待対応体制・連携強化事業費(0.5億円規模)

市町村子育て世代包括支援センターの機能強化や、市町村職員の児童相談所受入研修などを実施します。

 

いじめ防止・不登校支援等総合推進事業費(4.4億円規模)うち不登校児童生徒支援拠点整備事業費(0.1億円規模)

また、いじめ防止・不登校支援の拠点として、府内市町村の教育支援センター5カ所に臨床心理士等を配置し、不登校児童を早めに支援して、学校に行ってもらうこと等により、ひきこもりの未然防止を図ります。というのも、不登校が最終的にひきこもりにつながるケースが非常に多いためです。そのためにも、切れ目ない支援を行うという新規事業です。

 

脱ひきこもり支援センター事業費(0.7億円規模)うちひきこもり早期支援事業費(0.1億円規模)

ひきこもり対策としては、各教育局単位に早期支援特別班を置き、教育機関と連携しながら、中学卒業後もひきこもりを防ぎます。

 

地域で支える家庭教育支援事業費

次は、家庭教育を地域で支えるというもので、生活習慣が子どもの時から乱れていると、後々、不登校に繋がりやすいので、就学前から家庭に対して早めの支援を行うものです。

 

(5)教育環境の充実

北部ものづくり人材連携育成事業費(0.4億円規模)

次は、教育環境の充実についてです。北部で、ものづくり産業の求職者数が減少傾向にありますので、府立工業高校と峰山高校で、企業や大学等と連携して、知識・技能の習得を図り、地元の即戦力をつくっていくものです。

 

府立学校スマートスクール推進事業費(1.1億円規模)

スマートスクール推進事業費は、府立高校及び府立特別支援学校で、電子黒板や指導用のタブレット等を計画的に整備するものです。

 

新設特別支援学校建設費(21億円規模・別途債務負担行為:31億円規模)

次は、新設の特別支援学校建設費で、井手町と連携協力のもとで支援学校を新設します。山城地域で対象の児童数が急増していることへの対応です。

 

新設高等学校整備費(5.2億円規模)

次は、丹後地域の分校を統合再編し、峰山高校弥栄分校校地内に、新しいスタイルの高校を新設するものです。

 

向日が丘支援学校基本構想策定費(0.1億円規模)

最後は、向日が丘支援学校の基本構想策定費です。向日が丘支援学校の校舎改築に向け、地元でも共生型福祉施設構想を検討されておりますので、そこと連携するための基本構想の策定のための経費です。

 

2.京都力を活かした文化・スポーツ・観光振興

(1)文化首都・京都の未来づくり

まずは文化首都・京都の未来づくりということで、基本的に文化庁の京都移転を見据えて、ソフト(コンテンツ)とハード整備両面で取組みを進めていこうというものです。

 

国際アート市場形成事業費(1.3億円規模)

世界のアート市場規模は約6.8兆円あるのに対し、日本は全体でも2,400億円程度です。京都の作家・アートが国際市場で評価される仕組みが、今のところありませんので、最終的には2020年度の第1回京都国際アートフェア(仮称)開催に向け、2019年度は運営体制の構築や関連のプレイベントを展開します。

また、文化庁の国際文化芸術発信拠点形成事業を活用しようと思っております。ちなみに、ICOM(国際博物館会議)に合わせて、「KYOTO KOUGEI WEEK」を開催いたしますので、こうしたプロモーションもしっかりと活用したいと思います。

 

宇治茶ブランド世界発信事業費(0.1億円規模)

次は、宇治茶ブランド世界発信事業費です。宇治茶の世界遺産登録を目指しておりますが、今年もアゼルバイジャンで世界遺産委員会が開催されますので、そのようなところでのPR等を行います。

 

ICOM京都大会2019開催費(0.3億円規模)

これは、ICOM(国際博物館会議)開催を支援するための経費です。

 

新行政棟・文化庁移転施設整備費(5.2億円規模)

次に、人づくり・基盤整備関係の1つ目として、遅くとも2021年度中の文化庁の全面的移転に向けて、新行政棟及び文化庁移転施設について、実施設計、埋蔵文化財調査、府庁3号館の解体工事等を実施します。

 

文化を担う人づくり事業費(0.5億円規模)

2つ目が、文化庁と共催しております、全国高校生伝統文化フェスティバル開催などの経費です。

 

地域文化活動振興事業費(0.8億円規模)

3つ目は、地域文化活動振興事業費です。全ての振興局単位で地域アートマネージャーを配置し、地元での様々な文化活動へのアドバイスや支援をします。

 

北山文化環境ゾーン広場・プロムナード整備費(1.0億円規模)

最後は、北山文化環境ゾーンの整備ということで、京都学・歴彩館と植物園、府立大学などの周辺施設との連携・交流をしやすいよう、広場及びプロムナードを整備します。

 

(2)スタジアムを核としたスポーツ・地域振興

京都スタジアム整備費(81億円規模)

スポーツ関係では、京都スタジアムの整備費で81億円規模です。昨年の12月現在の工事の進捗率は47%で、今年12月の完成を目指しております。竣工式は来年1月で、こけら落としは2月を予定しております。資料の下にあるのが、完成のイメージ図です。設置条例は今議会に提案する予定です。

 

京都スタジアムにぎわいづくり推進事業費(0.4億円規模)

まずは、京都スタジアムを使ったにぎわいづくりということで、敷地内に例えば足湯やデジタルサイネージを整備し、観光情報等を提供し、京都スタジアムから他の観光地へのシャトルバスの試験運行を実施するほか、オープニングイベントも開催します。京都スタジアムを、サッカーの観戦以外でも立ち寄ってもらえるスポットとするためのものです。

 

京都スタジアム周遊拠点化事業費(4.3億円規模)

京都スタジアムを核とした地域振興ですが、最近eスポーツへの関心が非常に高まっておりますので、VR・eスポーツセンターを京都スタジアム内に設置することによって、スポーツ観戦以外の新たな客層を開拓したいと思っております。それ以外にも、元々、北部地域へのゲートウェイと言っておりますので、森の京都エリアでのさらなる周遊を促すため、保津川下りの新たなコースや船着き場、展示施設の整備など、京都スタジアムを拠点とした周辺の観光振興や地域振興に努めていこうというものです。

 

京のアスリート育成・強化総合支援事業費(2.4億円規模)

スポーツ拠点施設充実費(1.2億円規模)

スポーツ関係では、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会とその後を見据え、アスリートの育成強化や、広域的な観点でスポーツ施設の整備を実施する市町村に対する支援を行います。

 

ワールドマスターズゲームズ2021関西準備費(0.2億円規模)

ワールドマスターズゲームズ2021関西が行われますので、既に開催準備に入っておりますが、機運醸成と2年前イベント等を開催します。

 

(3)観光総合戦略に基づく府域活性化

観光総合戦略に基づく府域活性化(総額24億円規模)

次は、観光についてです。京都府観光総合戦略については、今年度中の策定を予定して準備を進めております。観光戦略総合推進本部も設置いたしましたが、もともと観光入込客数が、京都市内の一部と京都市以外を比べると差があり、また、一人あたりの観光消費額が低いという課題があります。

主な要因はコンテンツと、交通や宿泊の基盤だと考えておりまして、その2つに焦点を絞る形で事業を考えております。

 

「京都観光交流圏」形成・拡大事業費(5.9億円規模)

まずは、「京都観光交流圏」形成・拡大事業費です。文化が京都の強みの一番だと思いますし、文化財を保存だけでなく活用するという世の中の流れもございますので、文化財の活用、例えば保存修理の時期にさしかかっている東寺・清水寺・万福寺などの現場の特別公開、それと合わせて観光ツアーを開催するなど、文化財を活用した地域おこし、また文化財の美装化や環境整備などを、支援していこうというものです。

食文化については、ガストロノミーエリア創出事業です。

そしてさらに、先ほども述べましたが、京都スタジアムを中心とした周遊ということです。大河ドラマについては、ツーリズムEXPOが大阪でありますが、ここにブースを出展します。交通と宿泊の関係では、「もうひとつの京都」の観光カーシェアリング推進事業ということで、民間と連携し、お茶の京都エリア3駅程度にカーシェアステーションを設置し、周遊観光を促進します。宿泊は、農業と観光の「農・観」連携ということで、農家民宿もあるでしょうし、色々な体験と合わせて、エリア全体を滞在施設化するような仕組みをつくるということと、従前から実施しておりますが、京都市以外の立地希望も徐々に出てきておりますので、宿泊施設立地の促進事業、そうしたものに積極的に助成をしてまいりたいと思っております。

 

海・森・お茶の京都DMO推進事業費(1.7億円規模)

そして、海・森・お茶の京都DMOがそれぞれのエリアの魅力を活かして観光誘客の取組み等を進化させていきます。

 

京都・かぐや姫観光事業費(0.1億円規模)

「竹の里・乙訓」では、大河ドラマもありますので、ブランディングや周遊観光の促進を行います。

 

「京の七夕」・「京都・花灯路」連携府域周遊事業費(0.1億円規模)

京の七夕や花灯路については、認知度が高いため、それを「もうひとつの京都」エリアで実施することにより新たな誘客を促進できないかということで、府域に広げていきます。

 

ビッグデータ活用推進事業費

デジタルサイネージから収集したビッグデータを活用するためのプラットフォームの運営を支援します。

 

3.京の産業の新展開

(1)京都経済センターを核とした京都経済百年の計

次世代人材育成・産業創造事業費(1.2億円規模)

次は、産業についてです。なんといっても、京都経済センターが既に竣工しており、3月にグランドオープンします。スタートダッシュが肝心だと思っておりますので、スタートアップ支援の強化を行います。オープンイノベーションカフェでアイデアソンやピッチ会、交流会を連日開催し、そこにたくさんの人が集まるようにしたいと考えております。中小企業の支援という意味では、中小企業応援センターをセンター内に設置し、ワンストップの伴走支援をします。また、人材育成のレベルアップのため、府内の人材育成メニューを体系化し、シームレスな研修を実施するとともに、中小企業大学校の京都サテライトゼミとして高度人材の育成も実施してまいりたいと思います。

資料に図示しておりますが、様々な機関が集まることは、支援の効果を高める意味があります。資金支援、技術支援、販路開拓、人材確保、入居支援、イノベーション、全てのことが経済センターで相談できるので、創業を志す様々な方も集まってくる。共創の場、交流の場づくりに加え、そのような創業のためのワンストップ支援を行うことで、ベンチャー育成の拠点、さらには、イノベーション拠点にしたいと思っております。

 

中小企業事業継続・承継支援強化事業費(0.4億円規模)

次は、中小企業の事業継続、承継支援強化です。全国の調査では、廃業が倒産の3倍以上に増加しており、しかも廃業時の半数は黒字廃業という現実があります。また、60歳以上の経営者の半分は後継者がいないとのことです。いわゆる事業承継のためには早めの相談が重要で、身動きが取れなくなってからの相談ではだめだということで、企業体としての継承もありますが、京都の中小企業はそれぞれが、貴重な技術や伝統を持っていますので、それがなくならないように、きっちりと対応したいと思います。

 

AI・IoT活用型ソリューション推進事業費

府の「AI・IoT活用推進会議」を設置し、企業や大学研究機関にも参加していただいて、政策課題の解決やベンチャー育成等を実施したいと思います。

 

人が輝く京都企業づくり推進事業費(1.8億円規模)

今まで雇用政策というのは、どちらかというと求職している方に企業を紹介するものでした。しかし、今は求職者よりも求人数の方が多く、人を待っていてもなかなか来ないということもあり、人手不足の企業への紹介などアウトリーチによる支援を強化します。併せて、府内企業の採用の力を高めるため、人財確保塾による講座等を開催します。

 

還流人財獲得プロジェクト事業費(0.5億円規模)

次は、国が進める「わくわく地方生活実現政策パッケージ」を活用するもので、地方の魅力を伝えるとともに、職業紹介も実施する、首都圏の在住者向けのUIJターンの支援窓口の設置です。また、首都圏からのUIJターンにより府内へ就職・移住された方に対し支援金を給付します。

 

建設業魅力発信プロジェクト事業費

そして、建設業の魅力アップについてです。特に府内有効求人倍率が施工管理技術者等で6.02、現場作業員等が7.54と、現在かなり人手不足になっておりますので、担い手確保に向けた建設業の魅力アップを、国の補助制度活用も視野に入れながら支援していきます。

 

(2)農林水産業の活力強化

スマート農林水産業加速事業費(2.1億円規模)

農業は、労働者数が10年間で20%も減少しておりますが、農業産出額については微減にとどまっています。それなりの生産性の向上が行われているのですが、今後も人はどんどん少なくなっていくということで、AI・ICTを活用し、作業性・品質・生産性を向上させます。京都の場合、例えば山なりの傾斜地茶園などでの農作業が多いので、そのようなところでも実用可能なアシスト付きの摘採機などスマート農業を加速させます。

 

「おいしい京都」世界戦略事業費(0.3億円規模)

府内農林水産業の発展のためには、付加価値を高めていくことも重要です。今でも、ブランド戦略で府内の野菜の生産額・産出額というのはかなり伸びていると思いますが、世界市場でも非常に高価格帯での販売が可能だということで、海外におけるレストランフェアや京もの常設販売コーナーの増設等、府内農林水産物の輸出額の増加を目指します。平成34年には15億円という目標を掲げて取り組んでまいります。

 

農商工連携・ビジネス支援事業費(0.7億円規模)

京都農業経営強化事業費(1.4億円規模)

農林水産業では、他にも農商工連携等、農業経営強化に取り組みます。

 

農と都市の共生社会実現事業費

また、都市農地の活用に向けた法律が施行されたことを踏まえ、取り組んでまいります。

 

宇治茶実践型学舎事業費

宇治茶の実践型学舎ということで、高い技術を持った担い手の人材育成に努めてまいりたいと思います。

 

(3)消費税率引上げを踏まえた中小企業等支援

今年はいよいよ消費税率引上げが行われますが、その対策として3本柱で万全を期します。売上げの減少や原材料の高騰で、経営が悪化した企業に対しての融資メニューの創設、消費税率引上げ対応に係る経費の支援、そして消費拡大ということで、プレミアム商品券の発行に対する支援を実施します。いずれにしても、軽減税率への対応もありますので、中小企業を含めて零細企業の方も、非常に不安であるということです。資金面だけではなく、経済界・市町村とも連携して、きっちり情報提供を行うと共に、伴走支援で対応していかなければならないと思います。

 

4.暮らしの安心・安全の向上

4本目の柱が「暮らしの安心・安全の向上」です。

(1)健康・長寿に向けた安心・安全

1.健康・長寿の推進

健康長寿については、よく統計で出ておりますが、京都の男女とも平均寿命が全国3位と9位で比較的高い一方、健康寿命は下位になっているので、昨年6月補正予算でプロジェクトを立ち上げて、地域別やライフステージ別の課題を検討しました。例として、ライフステージで見ますと、男性肥満が増加、運動習慣少ない、地域別で見ますと、南部は食塩摂取が多くて野菜摂取が少ない、北部は運動習慣が低いなど、様々な課題が浮き上がってまいりましたので、健康寿命の延伸を図るため、早期対応を行ってまいります。

 

きょうと健康長寿・データヘルス推進事業費(0.6億円規模)

一つには、これまでから未病改善センターで収集してきたデータ等を活用することにより、糖尿病の重症化予防等に取り組みます。もう一つには、健康に無関心な層への対策も重要ですので、ショッピングモールや大手スーパーなどにおいて、モール内を移動した歩数にあわせたポイント加算ができないかと検討しようとしています。あの手この手ですが、今までのデータ収集を活かして健康につなげていきたいと考えております。

 

総合医師確保対策費(3.0億円規模)

うち在宅医療・地域医療対応人材育成費(0.1億円規模)

もともと医師確保が困難な府北部地域などで、これは地域包括ケアでも重要なのですが、在宅も含めた地域医療を担う人材を育成・確保するためのプログラムを創設するとともに、学生に対する新たな奨学金枠を創設します。

 

京都府介護・福祉人材確保総合事業費(3.3億円規模)

うち北部介護人材確保・業務効率化支援事業費(0.1億円規模)

また、北部では介護人材の確保も課題であるため、学生向けフィールドワーク事業を拡充し、北部地域への定着を図るとともに、介護従事者の負担軽減ということで、ロボットの導入支援を上限30万円で府内全域を対象に行います。

 

看護師等確保定着対策事業費(5.4億円規模)

地域包括ケアを推進していく上で、看護師等が全体的に人手不足ですので、専門人材の育成・確保を進めてまいります。

 

(2)安心・安全な暮らしを支える地域づくり

1.地域の暮らしの担い手づくり

地域交響プロジェクト推進費(3.0億円規模)

地域の暮らしの担い手づくりでは、「地域交響」ということで子育て・見守り・介護・ひきこもりなど、年代別や地域別に様々な問題がありますが、行政のみで対応するのではなく、これらに対応できる地域の活動団体とともに、課題を解決していくため、団体の活動規模や回数をより広げられるよう支援してまいりたいと考えております。

 

きょうと地域連携交付金(19億円規模)

もう一つは、「きょうと地域連携交付金」です。非常に行政ニーズが多様化してきており、単独の市町村ではなかなか解決できない問題もあります。また、そうした課題に向けて連携してもらうためには、若干のインセンティブが必要だということで、連携に着目して交付金をリニューアルしています。府の施策との連携(15億円)、町村間での連携(2億円)、それから、最後は行政サービス改革や小規模市町村への支援(2億円)など、合計19億円規模となります。

 

2.共生社会の実現

多文化共生推進事業費(0.1億円規模)

次は、共生社会の実現です。改正入管法によって新しい在留資格の制度が創設されるなど、今後、在留外国人が全国的に増えることが想定されます。もともと共生社会の実現は京都府の大きな柱でしたけれども、今回は、(公財)京都府国際センターの中に、京都府多文化共生総合相談ワンストップセンター(仮称)を設置し、多言語による相談体制を構築します。

また、日本語教室が存在しない市町村が11あるということで、ボランティアやNPO、個人、企業にそれぞれ対応いただいておりますが、やはり語学に対する支援について実態を調査したいですし、国が年末に総合的対応策を決定しておりますが、この予算の中で、どういう多文化共生施策が必要か、どういったことをやれば、新しい在留資格の方がしっかり地域社会に馴染んでいただけるか、ということも併せて検討したいと考えています。

 

3.暮らしの安全の向上

警察本部庁舎建設費(89億円規模)

暮らしの安全では、警察本部新庁舎が平成32年度の供用開始に向けて、工事を着実に進めてまいります。

 

宇治警察署建設計画費

老朽・狭あい化が著しい宇治警察署の建替に向けた基本計画を策定するものです。

 

SNS情報検索システム活用事業費

災害時にはSNSでいち早く投稿される被害情報があります。情報の中には正しいものも間違ったものもあるのですが、AIを活用してそれをなるべく早く収集するシステムを府の災害対策本部と連携しながら警察で導入します。

 

交番機能強化費(4.0億円規模)

高齢者や子どもの見守りなど、安全・安心の地域づくりを推進する交番相談員について、来年度は6名増員し、146人配置します。

 

(3)災害の教訓を踏まえた安心・安全の確保

1.先進的な危機管理体制の構築

先進的な危機管理体制の構築です。

これはもう何度も言っておりまして、昨年の災害における課題や検証会議での議論を踏まえ、それに関連する予算ということで、総額としては12億円規模です。

 

水害等住民避難行動促進事業費(0.2億円規模)

ハード・ソフトを含めた対応をしていこうということで、水害時の速やかな避難行動を促進するため、中小河川に簡易型の水位計を設置し、避難開始の目安となる水位を設定して避難行動タイムラインの作成を支援します。また、避難時に重要な声掛けを行う、「災害時声掛け隊」を創設します。

 

洪水予想時ダム操作等検討事業費

大野ダムの貯留能力を向上させれば、一部治水効果が上げられるのではないかということで、そのためにはどれぐらいまで事前に水位を下げられるのかといったことも含めた実証実験を行います。

 

2.防災・減災基盤づくり

森林災害防止事業費(30億円規模)

昨年の台風21号によって、近年では最大級の風倒木被害が発生しており、そうした被害等への対応として森林災害防止事業費30億円規模を計上しております。国の「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」も最大限活用します。

公共造林も活用するのですが、森林所有者による対応が困難な危険箇所については、所有者の同意を得た上で、復旧を加速させるために市町村と連携し、災害防止森林整備事業を創設します。これは、府民税市町村交付金プロジェクト枠を組み替えたものです。人家裏・鉄道軌道沿い等の危ない被害箇所は、2箇年程度での復旧を目指します。

 

北近畿タンゴ鉄道緊急防災対策強化事業費(3.2億円規模)

京都丹後鉄道が、去年の7月豪雨で53日間もの長期間、止まっていました。もちろん観光もありますが、通学などに利用される重要な生活基盤ですので、今回総額10億円規模の緊急安全対策を実施します。国で、3カ年の緊急対策の中で位置づけられました。従来は原形復旧しかできなかったのですが、予防的な防災対策工事もできるようになりました。また、例えば鉄道敷の上が民地の場合、豪雨時に崩落が予想される隣接斜面等の鉄道用地外を含めた買収や工事が可能になりました。制度が拡充され、また、北部の大事な公共交通なので、安全確保のための緊急対策をしっかり支援します。

 

原子力防災対策事業費(18億円規模)

原子力防災対策事業ということで内閣府の事業等を活用し、避難路の整備や、病院等の要配慮施設者の放射線防護対策等を実施します。

 

防災・減災、安心・安全基盤の整備(794億円規模)

国の防災・減災国土強靭化のための3カ年緊急対策を活用いたしまして、例えば、その道路が埋まれば孤立するといったところは、なるべく早期の着手が必要でございますし、河道掘削や護岸等の整備による洪水発生リスクの低減、土砂災害の発生リスクが高い砂防事業もなるべく早期に完成させたいと考えております。

 

5.未来を拓くまちづくり

最後が「未来を拓くまちづくり」です。

木津川運動公園整備方針検討事業費

木津川運動公園の周辺では、平成35年度には新名神が開通し、アウトレットモールもできますので、新名神のルートの北側で、どういう方針で整備を行うか再検討が必要ですので事業を進めてまいります。

 

京都舞鶴港物流基盤重点整備事業費(1.6億円規模)

もう一つは、京都舞鶴港でございます。物流基盤重点整備事業ということで、コンテナの取扱量もクルーズ寄港件数も増えておりますけれども、将来を見越して舞鶴国際ふ頭のⅡ期整備に向けた準備、それと第2ふ頭の大型クルーズ船受入方法の検討を実施します。パースはあくまでイメージですが、どういう風に整備を行っていくべきかということの検討にまず着手します。

 

6.京都の未来に向けた戦略と体制の構築

(1)京都の未来に向けた戦略づくり

これは、秋に策定します新総合計画に係る経費です。検討過程で明らかになった重要な課題があれば、それについても調査検討したいと思います。

 

(2)持続可能な財政構造の確立

持続可能な財政構造の確立ということで、行財政改革につきましては、人件費で約20億の減、事業の見直しで67億円の減少、歳入確保の取組みでプラス9億円です。

 

利便性・生産性の向上ということで、京都府パ写っと納税(愛称)と書いておりますが、要はキャッシュレス納税ということで、スマホでバーコード等を撮影すればそこで納付が可能だというものです。これによって、府民の皆様の利便性が向上するとともに、我々にとっては徴収率向上や、督促状などの発付コストの減にもなります。

それ以外にも様々な仕組みを導入することによって、府庁の中の生産性向上にもつなげてまいりたいと思います。

 

予算案の規模(14か月予算)

最後に予算の規模でございますが、来年度の当初予算が8,897億円台でございまして、本年度の2月補正予算をあわせますと9,040億円台。14カ月ベースでいきますと、対前年度102.6%ですが、税源移譲の影響を除いた実質で比較しますと、103.0%となります。

 

平成31年2月定例会 提案予定の主な条例の概要

 

最後に条例についてです。たくさんありますが、京都府部制設置条例の一部改正分についてのみ概要を説明します。3点ございます。

1.防災・減災対策の充実・強化

防災減災対策の充実強化ということで、一つは府民生活部にある危機管理部門を独立させ、危機管理部を設置し自然災害への対応力を強化いたします。併せて、自然災害という意味では、環境部に下水道部門がありますが、建設交通部で一体的に所管して治水対策の推進体制を強化します。

 

2.府民の暮らし・環境に関わる施策の一体的な推進

二つ目が府民の暮らし・環境に係る施策の一体的な推進ということで、府民生活部と環境部を再編して府民環境部を設置いたします。

 

3.子育て環境日本一の推進

それから、子育て環境の関係では今、府民生活部で青少年の健全育成を所管しておりますが、子育て環境を切れ目なく一貫して支援すると言っておりますので、健康福祉部の方に所管を替えて、全体として総合的に推進する体制をつくります。

以上でございます。よろしくお願いいたします。

 

平成31年度当初予算案(PDF:2,798KB)

 

主な質疑応

記者

知事に就任して初めての当初予算編成だが、どのような思いで編成されたか。予算編成方針で重点枠10億円があったが、配分はどうか。また新陳代謝プログラムについてはどういった効果が出たのか。

 

知事

私としては初めての当初予算編成で、しかも今年は統一地方選挙もありますので、編成期間も短い中で、事務的によく頑張ってくれて、今日を迎えられたなという所感です。

最初にキャッチフレーズでも言いましたが、人口減少や少子化、超高齢化、頻発する自然災害といった前例がない、しかも待ったなしの課題に立ち向かって新しい時代の京都づくりの布石となるような施策を示したいという思いで予算編成に入りました。

その中で子育て環境日本一の実現について申し上げれば、必ずしも十分な取組みがないなと思っていたのが、若者や企業の意識向上改革です。とりわけ子育てに優しい職場づくりについては、企業価値向上にも人材確保にもつながる好循環を産むような仕組みづくりができたと思っております。

また、従来、部の縦割りもあって、企業と接点が一番多い商工労働観光部が健康福祉部や府民生活部の支援制度や助成制度を必ずしも完全に把握していなかったこともあります。一方では、「子育て」という健康福祉部がメインとなる範囲では、企業がどのような悩みやニーズを持っているか把握していないことがあった。そういうところについては、特に連携にこだわりました。子育て環境については、施策の幅が非常に広いところですけれども、こだわったことの一つです。

もう一つは、本部を立ち上げた観光についてです。観光については、文化庁移転が具体的となってきたということもありますし、ICOMも含めて様々な文化関連イベントが多い中、京都の力の源泉である文化を活用した観光で、府域への周遊に徹底してこだわるということです。ここでも、商工労働観光部と文化スポーツ部、教育委員会という、部間連携について、どうしてもやっていきたいと思っておりまして、そういう意味では戦略をつくることもありますが、観光については、ある程度切り口を明確にして予算編成ができたと思います。

新しい京都の未来への挑戦と言っておりますが、成果がすぐに出るかどうかについては、単年度予算で完結するような課題ではないので、あくまでスタートだと思っております。数年先を見据えた形で、ぜひとも事業の推進に当たっては中長期的な観点でやりたいし、やってもらいたいと思います。

重点枠については、早めに重点的な課題を示して今、どう考えているのか各部局から聞かせてもらい、意見交換した成果を実際の予算要求に、よりブラッシュアップして反映させたものです。早くから検討を重ねてきた成果が出ていると思います。

計数は整理中ですが、今の発表した5つの柱でざっと申し上げますと、10億円は一般財源ベースで申し上げておりましたが、事業費、予算規模でいうと、一番目の子育て環境がおおむね10億円程度、文化スポーツ観光関係がおおむね3.0億円程度、3つ目の産業が7.0億円程度、暮らしの安心・安全の向上が5.0億円程度、未来を拓くまちづくりが2.0億円程度です。子育て環境が多くなっておりますが、予算や事業の性格によって、自らやるものもあれば、民間へのインセンティブもあります。

私は、早めに重要と思うものを示して意見交換をした後で、予算要求に入るというやり方は、非常に合理的なものだと思います。何回もやらないといけないこともあるので、事務方としては大変かもしれませんが、ブラッシュアップされたらいいなと思います。

新陳代謝については、どうカウントするかにより違いますが、中身を見直したものもあるので必ずしも額が減っているわけではありません。例えば交付金はリニューアルしたりしているので、そういうものは額が変わっていなければゼロカウントですが、事業の中身としては違う形でやっていきたいというものもあります。事務事業の見直しの効果は、総額で言えば67億円となります。

 

記者

山田前知事の政策からの転換はあるか

 

知事

行政は基本的に継続しているものが多いですが、私が就任して本部を設置した子育てと観光については、少なくとも今まで政策検討しておりましたから、自分なりの色というか重点は出せたと思っております。それ以外についても変わったということではなくて、京都の力を発揮するための京都経済センター、文化庁の移転が現実的になっている、それからスタジアムが来年度内にできるなど基盤ができます。それを徹底的にどう活かそうかということを考えるのが私の役目だと思いましたので、転換というより発展。もともと継承・発展と言っておりますが、発展させるということを一つの重点においたので、そういう意味では転換ではないと思います。

 

記者

自身の色という意味では、子育てや防災には出ているかなと思いますが。

 

知事

去年の災害もあり、国の方で防災・減災・強靱化ということで緊急に対策が必要という意識が統一された状況があると思います。京都府内でも被害がありましたし、色々なところに行っても、災害から安心してもらうことが最も重要という声をお聞きします。そういう意味では、山田府政の時とは少し違うかもしれません。

 

記者

危機管理部を新設するということですが、去年の相次いだ災害を受けて体制を強化するということか。

 

知事

今、危機管理監とは別に、府民生活部に事務方がありましたので、部長職をつくってその下に事務方がいる形にし、仕事の指揮命令系統がはっきりすることで、より体制を強化するためと考えていただければと思います。

 

記者

危機管理監の役職は継続されるのか。

 

知事

それはまだこれからです。今回は、設置条例の改正に係るものをお示ししているものです。

 

記者

まずは、部を新設するということですね。

 

知事

はい。

 

記者

子育てに優しい職場づくりを進める企業を増やすために専門家を派遣するということで、全国知事会では「イクボス」宣言もあるが、機運醸成のために知事自身が何か動くようなことはあるか。

 

知事

知事の仕事はそのようなものもあるのですが、きっちり制度を作ることも仕事でして、機運醸成で旗を振るだけでは動かない部分もあると思います。すべての企業がやっていただけるということはなくて、それぞれの企業の特色もあり、経営状況もあります。どうしてこれが二段構成になっているかというと、そういう企業に意識を変えてもらうこともあるのですが、大前提として今回わかったことは、本当に制度をあまりご存じない企業があるということです。補助金だけではなくて、時間休とは何ですかというところもあります。

今、中小企業支援のために企業訪問をしていますが、子育てに優しい職場になるようにという観点で回るということで、宣言に無関心では行き渡らないと考えています。直接行くということが一つのポイントです。

もう一つが意識醸成だけではやる気がでないかもしれないので、二段目として補助金でそういう動きを加速しようと思っています。企業自らが色々な時間休や社内での制度を設けているところもあるのですが、いろいろ聞いていると、小さなところでは時間休といっても代わりの人がいないですよとか、個別企業でどうしたらいいのか、という声もあったものですから、補助金を付けてでもその動きを加速させようということです。おっしゃっているように、何かすれば変わっていく生やさしい話ではないということはわかっています。

ただ、今までこういうアプローチを企業側にはしていなかったので、それがきっと企業価値の高まりにもつながると信念をもって働きかけをしていきたいと思っております。私自らどうこうするというよりは、これだけではなくて全ての施策も含めて、発信力をもって問いかけていかなければいけないというのは当然必要だと思っております。

 

記者

今回の予算規模が、前年度から大きくなっている要因は。

 

記者

個別の事業別に分析していないですが、一つは防災減災対策の国土強靱化の緊急対策があります。それからいわゆるハード整備についてピークを迎えている事業があること。例えばスタジアムもそうですし、警察本部庁舎の工事もそうですし、いろんな要因の積み重ねだと思います。根っこは社会保障費の累増が全国的にあります。新設の特別支援学校や保健環境研究所などは、大型施設が年度割りでいくとたまたまピークを迎えている。今は施策の中身の概要を説明をしていますが、分析していけばそういう形になっていると思います。

そういう意味では、単年度の要因と構造的な要因があり、それらが重なっていると思います。国の予算の総額も、地方財政計画の総額も増えていますので、それと大体同じような傾向で増えていると思っていただいていいと思います。

 

記者

防災・減災基盤づくりの防災・減災、安心・安全基盤の整備については、新規で794億円と結構な額が計上されているが具体的な場所が決まっているか。

 

知事

公共事業については、農林も含めてですが箇所の決定は予算成立後が大原則です。一部、補正予算では、成立後速やかに執行する必要があることから、一定の仮定をもって予算編成に臨みますが、それもあくまで予算が成立した上で箇所を決めます。もちろん事務方は、準備があるのでそれなりの想定はありますが、今のところ、どこをやるというのは決まっているわけではありません。

 

記者

選挙などでも知事がおっしゃられている京都の未来像の実現に向けて、どれだけ予算に反映されているか。

 

知事

柱立てにありますが、子育て環境については、広い意味での少子化対策に留まらず、子育て環境を充実していくことを一番重要視していることは間違いないです。それを実現していくためにも京都の持っている力を最大限活かしていく。それが私は文化だと思います。これを子育てにも産業政策にも人材確保にも生かしていく。そういうことがまずあります。そのためには、暮らしの安心・安全が土台として確保されていないと皆さん安心して新しい未来に向かっていけない。単年度ですべて完結するわけではないのですが、そういうメッセージを出したいと思っています。

 

記者

子育て施策の中で、府としてはこれまでもやってきているが、これからの少子化対策、人口減少対策として、企業の意識醸成を今後の子育て施策で柱に据えていくということか。

 

知事

柱になるかは別にしておりますが、そこが今までの取り組みの中では足りなかったところだと思っている部分です。

 

記者

これから重点的にやっていくということか。

 

知事

はい。

 

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