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平成31年3月15日知事記者会見

本日の発表項目は2点です。

「京都府観光総合戦略」の策定について

1点目は、「京都府観光総合戦略」の策定についてです。

昨年6月に私を本部長とした「観光戦略総合推進本部」において、新しい時代の京都府観光のあり方について検討を行ってきまして、この度、観光総合戦略を策定いたしましたので、お知らせいたします。

まず、計画期間が2019年から2040年ごろまでということで、本格的な人口減少時代の到来を見据えた期間にしております。将来像としては、観光客ひとりひとりのニーズや満足度に着目しながら、観光を入口とした地域活性化、京都産業全体の好循環、地域社会との共生を目指すものということでございまして、単に観光客を呼び込むためだけの政策ではなく、ものづくり、農林水産業など幅広い産業の土台となる総合政策として観光を位置付けたところに特徴がございます。

今後の取り組み方針と重点プログラムについては、広域連携に関する取り組みということで、京都市、京都府域、近隣府県など、行政府域を超えた周遊の強化をはじめ、「もうひとつの京都」構想の深度化や、観光を支える人材確保・育成、文化資源を生かした地域振興なども位置付けております。KPIの指標は、2022年における府域の観光消費額1000億円、府域の観光入り込み客数4300万人などを設定し、PDCAサイクルを回しながら、施策・事業を展開して参りたいと思っております

この戦略は、元々観光戦略総合推進本部で作りましたので、府庁の中の全部局が関係することは当然でございますけれども、府民の皆様や市町村、関係の業界団体、民間企業とオール京都で取り組むことにより、京都市内の一部の地域に集中している観光客の、京都府域全域への周遊を実現してまいりたいと思っております。

 

「京都府観光総合戦略」の策定について(PDF:703KB)

 

「宇治茶バス」がデビュー!完成お披露目及び出発式について

次に、2点目は「宇治茶バス」のデビューとその完成お披露目及び出発式についてです。

1点目で観光戦略について申し上げましたが、「もうひとつの京都」の地域への観光客の周遊が大きな課題でございまして、この宇治茶バスはその方策の一つということでも位置付けております。

この度、「お茶の京都」の地域で京都京阪バスの路線バスとして宇治茶バスを走らせていただくことになりました。4月6日(土曜日)のダイヤ改正から本格的な運行が始まることになっております。2枚目にイメージ画像をつけておりますが、このバスは、バスに乗ること自体を目的としていただけるような特別仕様のバスで、鉄道の車両で例えれば「ななつ星」や「瑞風」、京都丹後鉄道なら「あかまつ」「あおまつ」といったイメージです。

外装には宇治茶のグリーンに茶畑や茶壺が描かれており、特徴的なハート型の窓が付いております。インスタ映えで話題となりました、宇治田原町の正寿院の猪目(いのめ)窓がモチーフです。車内には、黄金の茶室をイメージした対面式の座席があるほか、インバウンド対策として、Wi-Fi設備や英語表記のモニターも備えております。今後は、宇治茶の振興や地域イベントにおいても宇治茶バスを活用いたしまして、お茶の京都を盛り上げていきたいと思っております。

3月26日(火曜日)に完成のお披露目、並びに出発式を行いますので、取材についてもよろしくお願いしたいと思います。

 

「宇治茶バス」がデビュー!完成お披露目及び出発式について(PDF:871KB)

 

主な質疑応答

記者

観光施策について知事が本部長として力を入れた分野や、こだわった部分は。

 

知事

広域観光というか、なるべく京都の北部・南部に広く観光客の方に周遊していただくことが、一番重視した点です。京都市内の一部への観光客の集中がありますが、集中抑制のためではなくて、魅力を知ってもらうことで、集中の緩和につながると思っております。

もう一つは、一人あたりの観光消費額が、京都市を除く府域では京都市域の10分の1ということもありますので、なるべくお金を落としてもらう仕組みを作ることです。

また、手法として観光戦略総合推進本部を作ることで、関係部局との連携をお願いしたいと言いました。コンテンツでいえば、スポーツや文化など京都の持っている強みがあり、そうした施策との連携もありますので、施策の実施に当たっては連携を重視してほしいと言っています。

 

記者

観光客が京都市に集中しているという課題があるが、計画策定に当たり京都市との連携で力を入れたいことはあるか。

 

知事

市長との府市懇談会でも話題にしておりましたが、京都市観光協会と府内の3つのDMOが連携した旅行商品の開発や、「京の七夕」「花灯路」を府域に広げるという話もあります。そうしたものは、京都市や京都市観光協会と連携しなくてはなりません。戦略を作る過程だけではなく、既に京都市とは府市協調で連携していく前提に立っております。京都市に来られる方が、そこから周遊されるということで、タイアップして商品開発していかなければならないことも多いと思います。旅行商品の開発などは連携としては一番いいと思います。

 

記者

住民の生活と観光の共生については、どのように進めるのか。

 

知事

戦略に書いている「地域との共生」は、京都市内のみを意識しているのではありません。京都府には、自然豊かな田園風景や、農業体験や、地域のお祭りや、地域の生活の文化体験などがありますので、インバウンドの方などの観光客の方にとっては、地域の方の生活そのものが魅力になります。それが自分たちの魅力発見にもなるし、観光客の方にとっても魅力になるということを意識しておりまして、全体としては「訪れてよし、住んでよし」ということです。

住民の方の生活と観光客の満足は相容れないものではなくて、一緒になって高めていこうと思っております。私のイメージとしては、観光客が行かれて、文化や農林水産業、景観など地元の魅力の再発見にもつながるし、観光による地域の活性化にもつながる。そのような意味です。地産地消はまさにそれだと思います。

 

記者

重点化プログラムでは、どこを強化したいか。

 

知事

生活文化との兼ね合いや、地元の食材を使って観光客の方が楽しまれるといった、まさに、地域の産業や文化と観光客とのマッチングだと思いますし、農家民宿などはまさにそうだと思います。農家の生活の中に観光客の方が来られて、交流も出来ますし、共生とはそのようなことだと思います。

 

記者

観光戦略については、観光客が京都市に集中している現状がある中で、集中を抑制するというものではないということだが、優先地域はあるのか。

 

知事

京都市域以外の京都府にも魅力があることは、元々はっきりしています。一度来られた方は、リピーターもおられるし魅力を感じておられます。我々は、地域がどことは考えてはいません。

 

記者

2022年という設定で、具体的な数字がはっきりしているので、考えてもよさそうだが。

 

知事

観光は周遊と言っておりますので、どこにいくら来て欲しいということではなく、全体として来て欲しいということです。どこの地域にということではなく、京都府域北部・南部の両方ですね。

 

記者

特徴に、府域のほかに近隣府県とあるが、例えば奈良県などか。

 

知事

例えば、北の方からいうと、山陰海岸でのジオパークの構想もありますし、一番南側にある「お茶の京都」は奈良と関係します。これからは、ワールドマスターズゲームズ2021関西が初めて広域開催されますし、その先には大阪・関西万博もあります。京都市と京都市以外の府域だけの関係では無いので、来られる方にとってみれば、魅力あるところはなるべく周遊していただきたい。色々なルートを考えることだと思います。

 

記者

滋賀県や兵庫県といった近隣の県も交えながら行うのか。

 

知事

関西広域連合には関西観光本部もありますし、私自身、関西広域連合の観光担当の委員ですから、関西全体をどうしようかという視点で、常に検討しておりますし、そのための予算も計上して、Wi-Fiや多言語表示といった受け入れ環境の整備も一緒に行っておりますので、そこは取り組んでいきたいと思っております。京都府の中だけで完結するわけではない、という意味で意図的に書いたということです。

 

記者

観光戦略は中長期的なものだが、こうした観光戦略政策は京都府にとっては初めてか。

 

知事

21年前の平成10年に京都府観光産業振興ビジョンを作っております。しかし、当時からは観光を巡る状況の大きな変化があります。日本全体のインバウンドも、平成25年に1900万人、2000万人に届きかけているところですが、平成10年は、数字は持っていませんが、400万人程度だったと思います。交通網のインフラの状況も全く違いますし、このとき観光が産業政策としてどれくらいの位置づけにあったのか、そういうところからすると全く違います。

観光を単なる誘客のためではなく、ものづくりや農林水産業を含めた全ての産業の土台として、と申し上げているのは、観光の魅力で来られた方が、京都で文化に触れ、学術研究に触れ、場合によっては産業に触れるということで広がるということで、平成10年とはかなり違います。今までこのような戦略がなかったので、作ろうとしたものです。

 

記者

たくさんの観光客に来てもらうというより、産業や文化を交えた総合的な戦略としては、京都府では初めてということか。

 

知事

そう考えていただいていいと思います。

 

記者

観光庁でも広域周遊ルートがあるが、京都府単独でするのか。

 

知事

他の府県を入れたのは、広域的な周遊ルートも念頭においています。過去に「昇竜プロジェクト」などの例はあると思います。府域と外のつながりでいうと、インフラの整備状況がまた一段と変わっているのと、インバウンドの方がこれだけたくさん来られているとなると、インバウンドの人は、国内の観光客以上に行政界や行政区域にとらわれていないと思うので、より広域的な観点は必要だと思っております。当然、今までのベーシックな取り組みを無視するわけでは無く、その上にということです。ただ、あの頃の議論は、それぞれの都道府県の観光局は、隣の都道府県と一緒にというよりも、ライバルと思っておりました。競争もいいと思いますが、コンテンツを磨くのと、どうやって周遊する基盤を作るのかということで、京都府と京都市の関係と同じように、他の府県とも兼ね合いが出てきます。観光客や旅行者ニーズと書いたのは、自分たちのというより、来られる方がどのようなルートを回れば満足してもらえるかを考えて、ルート設定なりが行われていくと思います。

 

記者

どう連携を図るのか、考えはあるか。

 

知事

戦略を作ったので、戦略を推進する仕組みを作っていかなければと思っております。当面は、一緒にやっていこうと呼び掛けている人たちに、中身をよく知ってもらい、旅行商品やルート開発を進めることが一番重要だと思います。我々自身はコンテンツを磨くことと周遊基盤、つまり、交通と宿泊の2つは自らの魅力を高めていくことが必要だと思います。

 

記者

宇治茶バスは、中で宇治茶が飲めるのか。

 

知事

通常の路線バスなので、運行中は飲めません。イベントなどでは飲んでいただけます。料金も基本的に路線バスと同じで、特別料金を取るわけでは無いのです。会社がイベントなどで活用できますが、路線バスとして運行することに意味があると思います。

 

記者

通常の路線バスとして、少し面白いバスが来るということか。

 

知事

それもあります。それが話題になって、お茶の京都に対する興味が増したり、これに乗るために来る人が出てくれたりすればもっといいと思います。

 

記者

通常のバスとして運行するということか。

 

知事

そうです。

 

記者

資金面などで、京都府として協力している面はあるのか。

 

知事

資金面では無いです。

 

記者

台数は何台あるのか。

 

知事

1台だと思います。

 

記者

DMO、京都市観光協会との連携が大事だと思うが、DMOの財政がどれだけ続くか考えると、地方創生の交付金が続くかが問題となる。中長期で考えたときに、続いていくのかということで、DMOの財政面での仕組みに課題認識はあるのか。

 

知事

それは、政府提案でかなり強く言っていますし、DMOの財政基盤の課題は重要だと思います。何をするのかと裏腹の関係で、ただお金が欲しいというのでは行政にならないので、今行っていることに対してどれだけの評価と、どれだけの経済効果が出ているのかという兼ね合いだと思います。DMOに持続可能性があるのか、本当は、観光だけでなく地域活性化や、まちづくりの核となるような組織に育ってほしいと思っております。財政基盤の確立は全体的に必要だと思います。

 

記者

雇用の問題の解決や、経営者の意識改革など書いてあるが、それだけではうまくいかないと思う。全般の課題の解決のために、財政支援も強化していくのか。

 

知事

財政支援の意味を私は把握していないのですが、生産年齢人口の人口構造は全体的にかなり先まで決まっているわけです。だから、人材の確保や人手不足の問題は、深刻な問題だと思います。特に観光産業という形であれば、人間が自らやらなければならない仕事が多いような気もするのです。AIやIoTに置き換わっていくというけれども、ものづくりに比べると、サービス産業は機械に置き換わりにくいので、産業だけで考えるのではなく、全体の産業の中の労働力確保を考えないと解決できないと思います。

財政支援は、経営にお金を入れることで、モラルハザードになる可能性がありますので、何のために、どこを解決すれば、持続可能性があるというところを見極めなければなりません。それぞれ競争基盤ですから、企業として成り立たないといけないので、よほど慎重に考えなければならないと思います。

 

記者

大阪ダブル選について、府知事と市長が入れ替わって立候補することについての見解は。

 

知事

直接、誰かから話を聞いているわけではないので、報道ベースなのですが、大阪都構想の住民投票の時期の調整が整わない、ということで、松井知事と吉村市長が入れ替えて出られるということです。政治手法ですし、公職選挙法も含めた制度の枠組みの中でされるものなので、私としては、コメントする立場にはありません。どのような選挙でもそうですが、大阪府知事と大阪市長が、どうしてこのような形で立候補して選挙をするのか、なるべく丁寧に説明されて、それに基づいて、大阪府民や大阪市民が判断することだと思います。私自身の考えはないです。

 

記者

1年近く知事をされて、京都市との関係で、大阪で言っているような二重行政の課題で感じるものがあるのか、その手法として改善するとすれば、大阪では、大阪都構想を一つの方法と主張しているが、感じるものがあるか。

 

知事

京都府と京都市の関係は、約40年にわたる府市の協調、トップ同士の会談も含めて、それをベースにした実務的な打ち合わせを行っているので、連携・協働する形になっていると思います。ただし、政令指定都市の制度があり、同じ地域において京都府と京都市の行政が当然あるので、二重行政にならないように、常に注意していくということです。

昨年、京都市長と懇談したときに話したのは、無駄を省くのは当然ですが、より前向きに連携をしていくということです。例えば、2021年度中の文化庁の全面的な京都移転や、明日グランドオープンする京都経済センターも、オール京都で取り組むものなので、経済団体や関係機関も含めてですが、その核となっている京都府と京都市が同じ方向を向いて取り組み、前向きな府市協調で効果を上げていくということです。

報道ベースで真意がわかりませんが、松井知事が「京都の場合は京都府と京都市がうまく協調されている」と仰っているそうです。本当に言われたかわかりませんが、クロス選に出ようとされている方がそのように仰っているということは、それなりの評価を外部からいただいているのかなと思います。

ただこれは、常に意識して、前向きにきちっと無駄が無いようにとか、より協調するようにしていかないと、実務も含めて、現場では常にそのような問題が起こりうると思います。

 

記者

米軍の交通事故について、京都府が把握している数と京都府警が把握している数字が違うが、なぜ府内でそういう情報が共有されていなかったのか。

 

知事

事故は、我々が自ら把握しているわけではありません。防衛省を通じて在日米軍に確認した上で情報提供をお願いしており、それを定期的に開催されている安全・安心対策連絡会で報告していただいております。この趣旨は米軍が認識した上で、もし事故を起こした場合は再発防止対策や安全確保対策に万全を期してほしいということです。

昨年2月5日以降、情報提供が無いことは誠に遺憾だと思っております。警察からの情報で、件数だけですが、事故が発生していたことがわかりました。交通安全の確保は、住民の安心・安全を守ることや地域との信頼関係を醸成するためには非常に重要なことですので、今までも情報提供してほしいと申し入れをしていましたが、3月7日以降、改めて私の名前で強く申し入れております。3月19日(火曜日)に安全・安心対策連絡会の開催が予定されていますので、そのときにも適切な対応をとって頂きたいと思っております。

私どもの方が警察本部に対して、米軍の関係した事故の件数だけでも問い合わせればよかったのかもしれませんが、どちらにしても内容については、防衛省を通じて米軍に確認した情報を重視しておりました。昨年の2月5日まではそれが行われていましたので、従来の方法できっちりやってもらいたいと思います。交通事故の情報は住民の安心・安全のために必要ですので、報告の仕組みについて、今後どのような形がいいのか、防衛省において構築していただければありがたいと思っております。当面、19日の連絡会でのきっちりとした対応を求めています。

 

記者

昨年2月以降、把握していない事故が14件あり、しかも昨年の2月以降は報告が無い。昨年の7月に電柱を倒した事故があるのに、知事は2月のことしか遺憾としていない。これだけ言っているのに、なおかつ報告が入ってこないというのは、防衛省を通すしかないものなのか。

 

知事

基本的にはそうですね。米軍と国との関係できっちりとしていただく。国には地元の問題意識を受け止めてもらって、同じ立場で米軍に対して言っていただくということだと思います。

電柱の話がありましたが、現場も含めて事実としてわかったので情報提供をお願いしたのですが、情報提供といっても、どういう方がどういう形でどういったことをやったのか、きっちりしていただかないと、今やっている交通安全講習会などの、安全を確保するための取組みにつながりません。連絡会で今までやってきたのですから、同じようにやってほしいと強く申し入れています。我々が直接米軍に言っても、同じように米軍にも思いが伝わると思いますが、防衛省にきっちりやっていただくことに尽きると思います。

 

記者

米軍施設の建設が始まった平成26年から新たにわかったものを含めると73件、5年で70件以上の事故を起こしていることに対して、申し入れする以上のことができないが、地元の知事として危機感は持っているか。

 

知事

交通安全の安心・安全の確保という意味でも、住民との信頼関係においても交通事故の情報は必須だと思いますので、きっちりと報告してほしいと思っています。報告を上げることが目的ではなく、事故を無くしていくことが重要なので、その上でどういう形の対策をとるのかということです。実際の交通安全を確保するための対策については、地元の所轄署も協力して行っていますし、我々が自ら行っている取り組みもありますし、防衛省や米軍が行っているものもあります。交通安全対策はトータルにありますので、さらに進めていく上でもきっちりとした情報提供が必須だと思います。

 

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