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平成31年4月12日知事記者会見

知事就任1年の所感と今後の抱負

今日は資料をお配りしておりませんが、来週16日(火曜日)で知事就任から1年を迎えますので、この1年を振り返っての所感と今後の抱負をお話したいと思います。

 

まず、知事就任後は、新しい肉付け補正予算の編成をするとともに、私自身が本部長となりまして、子育て環境日本一推進本部と観光戦略総合推進本部を設置して府政をスタートしました。その直後から、大阪北部地震や7月豪雨、度重なる台風など連続して自然災害が京都府内に大きな被害をもたらしました。

6月の定例会では、閉会日の前日に追加の補正予算を緊急に取りまとめて府議会でご議決をいただきました。9月にも台風21号関連の補正予算を追加編成し、12月には国の補正予算を活用して予算を編成することで、災害からの復旧復興、生活の再建に全力で取り組みました。

 

一方で、昨年は明るい話題もありました。本庶佑(ほんじょたすく)京都大学特別教授のノーベル生理学医学賞の受賞や2020年のNHK大河ドラマに、京都にゆかりの明智光秀を主人公とした「麒麟がくる」の放送が決定しました。歴史・文化・学術の街である京都にとって明るいうれしい話題でした。

また、今年3月16日には「京都経済百年の計」と言っておりましたオール京都での中小企業の総合支援拠点である「京都経済センター」がグランドオープンしました。センターには約60もの経済団体・産業支援機関等が集積し、さまざまな団体が持っている機能が結集することで、知恵が融合し、新たなイノベーションが起こることを期待しております。

特に「オープンイノベーションカフェ」では、新しい発想やビジネスを形にしていくということで、スタートアップ支援や中小企業支援、人材育成の総合支援拠点としての機能をフルに活用していきたいと思っております。また、テレビ会議システムも設置しておりますので、効果を府域全体に波及させることを期待しております。

 

改めて振り返りますと、災害対応に追われる中ではありましたが、私が就任当初に掲げました、「現場主義」・「前例にとらわれない」・「多様な主体との連携」を職員の皆さんに一貫して求めていました。結果として、子育て環境の日本一や、文化スポーツ観光の振興、京都産業の新展開、暮らしの安全・安心といった喫緊の課題に府庁一丸で、また、オール京都で対応する一歩を踏み出せたと考えております。

 

先ほど申し上げました通り、災害が多く、しかも地震・豪雨・強風といろんなバリエーションの災害がありました。実際に災害現場に行って被害者の話を聞いておりますと、第一は府民の生命・身体を守ること、次に、生活再建や農林水産業の立て直しにも迅速性が非常に求められていることを痛感いたしました。そのため、今年度から新たに「危機管理部」を設置するなど、災害への体制を強化しました。昨年の災害にはバリエーションがあり、多くの教訓がありまして、今、検証中ではありますが、今年の出水期までに地域防災計画や災害時応急対応業務マニュアルへ反映する努力をしていきたいと思います。

 

今後の府政運営で申し上げますと、少子高齢化と人口減少という問題が府民の生活や地域社会に及ぼす影響を突き詰めて考え、今後の府政運営に反映させたいと思っております。例えば、これは日本社会全体の共通の課題ですが、産業面でいえば人材確保をどうするか。マーケットが縮小するという懸念もありますから、経済の活性をどうするか。また、医療・介護の現場でも人材不足がありますので、府民の安心・安全をどう保っていくか。身近なところですと、地域コミュニティなど地域社会が維持できるのか。人口減少に起因するさまざまな問題がありますので、今後も正面から取り組みたいと思います。

 

天皇陛下がご退位され、皇太子殿下がご即位されるという、まさに新しい時代が幕を開け、スタートの年だと認識しております。6月にはG20大阪サミット、9月にはラグビーのワールドカップとICOM(国際博物館会議)が開催されます。来年には東京オリンピック・パラリンピック、2021年にはワールドマスターズゲームズ、そして、文化庁が京都に全面移転する。その先には、2025年には大阪・関西万博が行われます。

それぞれのターゲットに狙いを定めて京都のポテンシャルを発揮しながら、京都府域の活性化に繋げていきたいと思っております。

それから、もう一つ、今後の府政の道しるべということで、新しい総合計画の策定作業を進めております。誰も経験したことのない少子高齢化と人口減少、頻発する自然災害と国際情勢の変化という課題を見据えながら、今なすべき課題に果敢に挑戦したいと思います。

 

京都にはさまざま強みがあります。特に広い意味では、文化が基点にあります。その文化を活かして経済や地域の活性化につなげていく。そして、府民の誰もが健やかで、夢を持って過ごすことの出来る京都を実現したいと思いますし、また京都での取り組みの処方箋が日本全体の今後のあり方に繋がるような、示唆できるようなものにつなげればいいという思いで、府政運営を行いたいと思っております。

 

主な質疑応答

記者

今日の総合計画の懇話会でも委員から指摘があったが、京都の弱み、特にこれから考えていかなければならないところはどこか。

 

知事

例えば、由良川筋の降雨状況に関連して、昨年は特に、7月豪雨で綾部市の上杉で3人の方が亡くなられました。綾部市内で、自然災害で亡くなられたのは何十年ぶりということです。また、由良川筋だけでなく府全域で水害が頻発していることから、自然災害の脆弱性を克服しなければいけないということは、弱みというよりは課題の一つだと思います。

京都経済センターの話をしましたが、京都にある今の世界的な企業やハイテク産業は、もともとベンチャーから発展しています。例えば、近年は開業率(新しい産業を起こす率)が全国平均を下回っています。現在、足下の経済がどうということはありませんが、将来につなげていきたい。雇用の状況を見ても、構造的な理由があるのかもしれませんが、非正規雇用の率が高いとか、子育て環境でも合計特殊出生率が全国の中では比較的下位にあるとか。平均寿命は全国トップクラスだけれども健康寿命は中下位だとか。一つ一つ克服しないといけない課題がたくさんあると思います。また、例えば、大学の集積は強みですが、一方で卒業生の府内での就職率が比較的低いといった強みと弱みの両方があります。

今日の委員の方々のご指摘は、それをわかりやすくということだったのかなと思います。それは課題として整理したいと思います。

 

記者

この1年を振り返り、苦労した点は災害対応か。

 

知事

災害は、被災者の方一人ひとりにとって非常に大変な事態なので、被災された方が一番苦労されています。知事就任後間もないということもあり、就任当初の仕事のウエイトとしては非常に大きかったと思います。補正予算も、ただ予算編成するだけではなく、現場を把握してどう復旧するかや、農林水産業や中小企業の被害など、被害状況の把握から着手するとか、様々な業務が重なりますので、府庁全体が大変だったと思います。

 

記者

自己評価としては、思っていたような府政運営ができたか。

 

知事

何を思っていたかにもよるわけですが、選挙を戦う上で公約として、「安心・いきいき・京都力」と言っておりました。「安心」は医療・介護・福祉、そして自然災害からの安心。その前段として子育て環境日本一と言っておりましたが、災害対応をやっている中で本部を設置し、それぞれの肉付け補正予算、また、平成31年度の当初予算編成でも子育て環境日本一については萌芽しましたし、観光総合戦略は3月15日にまとめました。そういう意味では自分がやりたいと思っていたことの芽出し、第一歩は踏み出せたと思います。

 

記者

点数を聞いてもお答えにならないですか。

 

知事

点数は自分でつけるものではありませんから。

 

記者

知事は、職員の方に就任式でも、現場主義の徹底や前例にとらわれない、連携にこだわると言ってきたが、職員の方の意識変化は感じるか。

 

知事

意識の変化は感じます。ただ、あくまで発展途上、改革の途上だと思います。どこが到達点ということはないのですが、常に言い続けることと自戒の意味を込めて申し上げているので、意識し続けることが重要だと思います。

例えば、現場主義であれば、何か説明するときに中小企業の施策ならその現場はどうなっているのか。農業人材ならどうかということで、なるべく私も聞きたいと思いますし、説明しようという姿勢が見えます。

前例にとらわれないというのは難しいですよね。というのは、前例を無視してやるという意味ではないからです。継続している仕事も多いので、それをベースとして認識した上で、前例にとらわれないことをしないといけない。これは時間がかかるかもしれないですが、今後の施策展開としては重要だと思います。

連携は、予算編成の知事査定の時からずっと言っています。例としては、子育てしやすい職場環境を作る中でやっていました。これは府庁の中の連携ですが、京都経済センターや文化庁の移転はオール京都でやってきた流れですあり、府庁以外の市町村や企業や府民や団体とどこまで連携できるかということだと思います。

 

記者

府議会議員選挙の結果をどのように見るか。

 

 

知事

私が選挙の結果についてコメントする立場にはありません。まだ年代別の投票率は出ていませんが、投票率が下がったことは前から言っているように、投票は自らの権利を主張する民主主義の根幹なので、なるべく投票には行って欲しいということですね。

 

記者

無投票の選挙区が多くなったことについてはどうか。

 

知事

無投票は投票率の兼ね合いで言えば、その選挙区で投票の機会が失われているという意味では、政治と住民との関係を近づけるという意味で好ましくないとは思うのですが、立候補された方のせいではないので難しい問題です。

最近話題になっている地方議員のなり手不足の問題もありますし、私は分析をする立場ではありませんが、なるべく投票機会は確保される方が望ましいと思います。

 

記者

投票率が上がらない中で知事のアイデアはあるか。

 

知事

これは選挙管理委員会の仕事で、SNS発信や選挙のPRもあるのですが、私自身の考えは、政治や行政に関心を持ってもらうことがベースであって、それが投票につながることが望ましい形です。従って、政治・行政に関心を持ってもらうというのは我々もそうですし、メディアのみなさんもそうなのです。

国民全体として民主主義を振興・発展させるということであれば、関心を高める努力をみんなでしないといけないと思っています。

 

記者

今日、500弱の総合計画の中間案を示された段階で、知事はどう評価するか。

 

知事

懇話会の委員の方々に示した訳なので、私が評価するのは変だと思います。ただ、私が持っていた問題意識は、委員の方々とかなり共通していると思ったので、懇話会でたたき台を示した意味があると思います。まさにすばらしい意見ばかりだと思いますし、たたき台を叩いて、できる限りいいものにしていきたいと思います。

計画はいろんな機能を持っていて、行政の各論の運営指針でもあるし、一方で、全体をいろんな人が読みやすく、わかりやすくシンプルな方がいいとか、「一人ひとりが夢を持つ」ということが全体のキャッチフレーズではないかと言われたり、計画についてのいろんなご要請があると思うので最大公約数で答えられる計画にしたい。そのためにはなるべくたくさんの人のご意見を聞けたらと思っていますので、その一環としては非常にいい懇話会だったと思います。

 

記者

府の職員の印象はどうか。どんなことに苦心しているのか。

 

知事

苦心はしていないのですが、一言でいうとまじめで手堅いという印象があります。行政は市町村から都道府県、国とかいろんな形があります。都道府県の行政主体の持っている政策ツールからきているかもしれませんが、公的施設も直接住民の方と接する仕事がはるかに多い。国もそういうところもありますが、どちらかというと制度の企画立案が多く、府はその中間的な立場にあるので、市町村に対しては制度の企画立案の立場にいますけれども、国家行政と比較すると、より現場に近いという性格です。

みなさん非常に、まじめだなと思います。それと、私の印象ですが、非常に分野ごとでスペシャリストがおられるなと思います。

そこにずっとおられるという意味でもないのですが、得意な部分、施策対象の相手が民間事業者だったり、外の主体との関係でいけば、信頼関係も非常に重要なのかなと思いますし、人間関係もちゃんと作っておられるという印象を持ちました。これは仕事の中身というよりも率直な印象です。

特に苦心したことはないです。ただ役人は皆そうなのですが、長い間やってきた習慣を直すのは大変なので、ここは常に、前例にとらわれないということを特に常に意識して仕事をしてもらいたいと思います。

 

記者

先ほどの投票率の話でも、政治や行政に関心を持ってもらうことがベースとおっしゃいたが、この1年メディアをどれくらい使いこなせたか、ご自身の発信ができたか。

 

知事

政治行政については二元代表制としてやっていますが、行政についての関心を持ってもらうということでは、時間がなかなかないと思うのですが、メディアの方に施策の現場取材をやっていただけると非常にありがたいと思います。

問題があったときは取材していただけるのですが、黙々と頑張っている現場もたくさんあります。私は国土交通省にしかいませんでしたが、いろんな現場があって、セキュリティであれば海上保安庁、公共事業の執行では用地買収とか構造物を作っていく現場とか、大変な現場があって、良い意味でも悪い意味でも伝えていただけることが行政や政治の現場を伝えていくことになると思います。ただ、記者クラブで現場見学会とかやっていないですよね。そういう基礎的なことを取材していただくということは、人手が大変ですが、現場を伝えていただければありがたいという思いはあります。

 

記者

去年の就任前の会見で「どんな知事になりたいですか」という質問に対して、府民の方に親しみを持ってもらえる知事になりたい、職員だけでなく、直接府民からも声を掛けてもらいやすい知事になりたいと仰っていたがどうか。

 

知事

その気持ちは全く変わっておらず、なるべく触れ合いたいと思います。ただ、直接触れ合う機会を自分の時間の中でたくさん取るのは、よほど意識しないと難しいです。「行き活きトーク」もしましたが、現場や外に出てたくさんの方と触れ合いたいと思いましたし、やっているつもりですが、もっと努力しないといけないと自分自身に対する反省としてあります。

 

記者

時間がとれないということか。

 

知事

時間が取れないということもありますが、どういう形で接するのかということですね。

 

記者

一般の方とどう直接触れ合うのか。

 

知事

一般の方でなくても、農林業の振興であれば、農家の方と現地で会って意見交換もしていますが、どれくらいの方と会えているのかとか、台風21号で久御山町や八幡市のパイプハウス被害の現場に行きまして、そこでいろんなハウスの被害についてのことや、「うちは苗を作っているから供給先から間に合わなかったら来年どうしようかとか言われている」こととか、「収穫前なのにどうしよう」とか、そのようにおっしゃっていたけれども、離農した人がほとんどいなかったと聞いてすごくうれしく感じました。

災害だから行っている感じもあるのですけども、そういう現場でそれぞれの声を聞く、施策で関連する現場で接する機会を作るのは相当意識しないとできないかなと思いました。

 

記者

前山田知事に参与に就任してもらい、聞くことは山ほどあると言われていたが、実際に、アドバイスを求める機会はあったのか。

 

知事

会う機会も多いです。アドバイスもそうですが、役所は特に、新しいことにも乗り出しますが、すべての仕事が継続しています。継続している中で、どういう経緯で今の状況になっているのか、そこは、課長なら課長、部長なら部長と、それぞれのクラスでみなさん聞いていると思います。

 

記者

山田前知事は西脇知事のカラーを出してほしいと言っていたが、西脇カラーはこの1年で出ているか。

 

知事

私のやっている行動がすべてカラーだと思ってもらえたらありがたいのですが、わざとカラーを出すみたいなことは全くないですね。奇をてらうことはないということです。

 

記者

4年間のうちの2年目はこういうことをしたい、ここまでしたいというものはあるか。

 

知事

私が昨年4月16日に就任したことや災害も多かったこともありますが、平成30年度は準備のためとか、芽出しはしましたが、平成31年度が施策のスタートの年だという意識です。たまたま新しい御代になるということもありますが、去年は京都府庁開庁150年という節目の年で、まさに151年目という意味では、私の意識ではスタートの年だと思っています。

 

記者

準備を整えて。

 

知事

その一つが31年度の当初予算で、年度途中にはなりますが、総合計画だということです。

 

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