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若手職員によるこれからの広域制度研究会

この研究会は、地域の自立や地方主権の確立を目指し、府県制を含む「これからの広域制度のあり方」について、若手京都府職員らで、幅広い、自由な視点から調査研究を行ったものです。府県の区域などについての既成の概念にとらわれず、先行する道州制論等の受け売りとならず、府職員としての日常の問題意識から、忌憚無く議論しあったもので、京都府の公式の見解ではありません。

議論は未だ内容不十分であり、今後ともさらなる検討を進めていく予定ですが、平成17年3月の時点で、別添ファイルのとおり、一旦の報告を取りまとめましたので、参考までに供覧します。

この報告書についての御意見、お問い合わせは、下記へお願いします。

報告の概要はこのページの続きにあります。

報告書の全体を見る
表紙、目次、全体要約(PDFファイル、207KB)
府県と市町村のあり方部会(第1部会)報告(PDFファイル、294KB)
国都府県のあり方部会(第2部会)報告(PDFファイル、460KB)
府の特性のあり方部会(第3部会)報告(PDFファイル、121KB)
研究会概要(PDFファイル、18KB)

平成17年度は、この研究会をさらに進めて、「広域地方制度検討プロジェクトチーム」を立ち上げました。

若手京都府職員による広域制度研究報告概要
府民にとって最も暮らしやすい地方制度はどうあるべきか

1.将来像はフルセット基礎的自治体+広域自治体(道州)
市町村起点の自治と効率の追求

京都府民にとって最も暮らしやすい地方制度のあり方を考える中から、理想の地方制度として、フルセット基礎的自治体+道州レベルの広域自治体を提案

1) 住民に密着した直接サービスは、総合的にその処理権限と能力を備えた基礎的自治体が担う。

  • 人口30万人規模で、中核市から政令市の能力を持つフルセット自治体。
  • 合併努力を尽くした後もこの規模、能力に達しない地域は「市町村共同機構」を結成し同等能力を獲得(域内で完結)。府域内においては、広域振興局単位の共同機構を府と市町村で設立。

2)広域的な処理を要するサービスは、効率性追求の観点から道州レベルの広域自治体が担う。

  • 「近畿広域共同機構」
  • 府及び国の業務で道州レベルでの処理がより効率、効果的なものを処理。この段階で都道府県は発展的解消。

3)将来像に至るステップ

  (出発点) (改革のポイント) (ステップ)試行(現行制度活用) 最終(立法措置)
市町村 住民に密着した全てのサービスを市町村が実施(同時に「公共私」の役割分担も見直し) 合併と狭域自治への配慮 広域振興局単位で完結する府県事務の一部も含めて処理する「市町村版広域連合」を試行的に設置 市町村共同機構へ移行
府県 市町村で処理すべき事務(狭域化)と、より広域で処理すべき事務(広域化)への見直し 広域事務は効率性を追求 府県を越えて、国から移譲の事務も含めて広域処理する「府県版広域連合」を試行的に設置 近畿広域共同機構へ移行

広域制度のイメージ図(PDFファイル、102KB)

広域制度イメージ図の説明

  • 都道府県の事務のうち、専門性の強化が求められる広域事務と、国からの権限と財源の移譲をあわせて、これを処理する「近畿広域共同機構(仮称)を設立し、事務の共同・効率化を図る。
  • 都道府県の事務のうち、市町村行政とびったいてきに処理することが望ましい地域事務は市町村等へ権限移譲等を行い、都道府県は最終的に解消する。
  • 市町村は、権限に見合う規模・能力を単独で有する(人口20から30万人規模で中核市から最終的に政令指定市レベルの権限・能力をもつ)のが理想像だが、このレベルに達しない人口数万人規模やより小規模の市町村は合同で市町村共同機構(仮称)を設立し理想の市町村と同等の事務処理を行う。
  • 近畿広域共同機構は近畿の政令指定市、理想像の市町村、市町村共同機構のエリアをカバーする。
  • 市町村共同機構は、府内では広域振興局単位を想定。単体で執行し得ない業務を持つ域内の市町村は、機構へ業務を委託、共同処理する。構成市町村の人口割で議席配分した議会が意思決定。(小規模市町村ほど機構への委託は大、意思決定への関与は小)

2.広域自治体で処理する事務についての検討

(1)  一般論として、広域で処理できる事務はスケールメリットにより、広域の方が効率性が得られる。

  • 住民に密着したサービスは必ずしも効率性になじまないが、これは広域自治体では担わない(市町村の担当)。
  • 府県内に小規模市町村が残り、住民密着サービスの垂直補完を併せ持つ状態では、広域化による効果は得られにくい。

(2) 国事務の地方への移譲 ~住民へのメリットがあることが必要。

近接補完による住民自治の高まり/総合行政による一体的効果的サービスの提供/二重行政の廃止/地域の個性を活かした競争によるサービスの向上など(地方支分部局事務についての検討結果から)
1) 地方へ移譲すべきといわれている国地方支分部局の事務については、道路、河川等府県域を越えて整備、管理するものを除き、基本的に現在の府県の能力で処理できる。本省権限を含めた移譲が必要。
2) 地方へ移譲すべきと考える事務は、総論では類似しているが、地域事情を反映し必ずしも全て一致しない。

  • 特区等による試行段階ではよいが、地域によって移譲の利害が反する場合、最終的な統一に労を要する。
  • 関西広域連合(関西分権改革研究会)と北海道道州制特区提案での分類の相違例
    国有林野の管理運営(関西=国、北海道=道)、有料道路(関西=広域組織、北海道=国)など

3)管理執行事務については、民間に移譲した方がよい事務もある。

  • 職業安定事務は地方(府県または市町村)へ移譲すべきとされる一方、規制改革・民間開放推進会議の市場化テストモデル事業にも挙げられている。

(3) 広域自治体で処理した方がよい事務…広域自治体かモザイク的な連携強化か

府域を越えた調整等を要する事務の処理については、関係地域を包含する広域自治体による解決と関係地域からなるモザイク的な連携組織の強化による解決の2方向が考えられる。

  • 庁内調査によれば、現在京都府が関わる府県間の連携組織は100程度あり、約半数が近畿2府4~7府県の枠組みで「道州」の区域を連想させる一方、特定のテーマの下に近畿以外も含めたモザイク的2~4府県の連携も約2割あり、場合によってはこれらの方が戦略性が高いともいえる。
  • 後者の個別テーマ、連携強化策については最後の項参照。

3.京都府の特性に関する検討

(1) 京都府の構造

  • 「京都」というブランドイメージにぶら下がった重層的社会構造。京都府成立の歴史、産業、自然環境、生活環境により、複雑に入り組んだジグソーパズルの組み合わせのような構造。行政体を越えた様々な政策課題が存在する。
  • 京都と周辺地域の関わりは、歴史的には京都・大阪2大都市、現在は京阪神中心の近畿圏の社会経済活動の中で行われており、滋賀と京都はそのような中で、強固、一体的なつながりでなく、近江商人の例にみられるような相互に相対的なつながり。

(2) 府の区域を越えて連携を要する課題とその解決の枠組みの提案(新たな連携、特区、新たな自治体)

  • 連携(生態系から見た広域自然保護)
  • 特区化(丹波黒大豆・宇治茶についての原産地表示特区、淀川流域圏管理機構)
  • 新たな自治体(学研都市区域)など

(3) 京都市との関係

  • 「京都」のイメージは「京都市」のイメージに重なり、一体性を有している。
  • 将来像では、権限上京都市と他の基礎的自治体(30 万人規模)に差はなくなるが、都市の吸引力の差は別。
  • 広域化(関西)の中では、大阪、神戸に対し、京都の都市としての魅力を一層引き出す政策が必要。
  • 京都市を含めて広域で行うことが効果的な施策について、京都市内での実施形態を、「府と市の行政機能一元化特区」のような形で行うことの効果、実現可能性等について考えるとすれば、具体的テーマにそった検討が必要。

4.京都府に関してさしあたり広域的な取組の強化が求められる事務

  地域連携の強化策としての提案 関係地域
淀川流域圏における水利用・管理 流域圏管理機構。国の河川管理権限の移譲を受け、水質、水量を一元的に管理。水質汚染に関する賦課制度や排出権取引など独自財源なども含めた法制度見直しとセットで進める。 2府4県(三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良)
関西文化学術研究都市 学研都市区域を独立した一つの新たな自治体とする。地域におけるコミュニティ、住民自治を尊重しつつ、3府県及び市町から学研都市の整備、運営に関わる特定の権限を移譲された、既存の制度に依拠しない独自の自治体 6市2町(京都、大阪、奈良)
生息区保全・森林保全 以下の分野における新たな連携
・広域自然保護…ツキノワグマなどの希少種保護対策、農作物の被害が大きいサル、シカなどの習性に応じた生息域保全対策、ブラックバス等特定外来生物駆除
・森林、条件不利農地…農林地の所有と利用の分離の制度設計や、農林地保全管理機能の喪失が避けられない集落に対する取り扱いの研究、検討、制度化
・中山間地…環境重視の地域づくりの視点から、都市を支える中山間地域の公益的機能に着目した広域政策ゾーンの検討(大都市圏の整備法による近郊緑地保全区域のような政策提案)
福井、滋賀、京都、兵庫
農林水産物の原産地表示特区 JAS法で府県単位で行うことになっている原産地表示を、産地実態、流通慣例に則した表示を可能とする。
・宇治茶
・丹波黒大豆
(宇治茶)
京都、三重、滋賀、奈良の一部市町村
(大豆)
京都、兵庫の一部市町村

府域を越えた連携を要する政策分野の分布図。生息区・森林保全、二次医療圏、丹波黒大豆、宇治茶、水資源管理、学研都市について地図上に楕円で表示

若手職員によるこれからの広域制度研究会メンバー(平成16年5月から17年3月)

京都府職員(部局推薦+公募 計17名)50音順

  • 第1部会(理想の市町村像とこれをサポートする広域制度の将来像、そこへ至るステップを提案)
    大路達夫(保健福祉企画室)、高屋奈尾子(公営企業課)、中越豊(園部地域総務室)
    平井公彦(企画理事付)、山口孝司(地方課)
  • 第2部会(国地方支分部局の事務を中心に、国と地方の役割分担を検討。府の広域連携状況も庁内調査
    須堯紀之(府民労働総務課)、奈佐晋(統計課)、藤森和也(監理課)、
    古川博規(財政課)、森田鉄也(税務課)
  • 第3部会(京都府の特性分析から、行政域にとらわれないフレキシブルな連携策を提案)
    家垣卓令(人事室)、奥谷三穂(環境企画課)、加納伸晃(議会調査課)、
    田村智(介護保険推進室)、中地則元(経営戦略室)、本永治彦(農産流通課)、
    山口豊巳(商工総務室)
  • 事務局
    重松千昭企画参事、浅岡勝義、金谷宗子(以上企画参事付)、
    村上広志(立命館大学派遣)

有識者アドバイザー

  • 佐藤 満 立命館大学政策科学部教授(全体・第3部会)
  • 真山達志 同志社大学政策学部長(第1部会)
  • 村上芳夫 関西学院大学総合政策学部教授(第2部)

(所属等はいずれも平成17年3月現在のもの)