農の担い手確保・育成アクションプラン
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プランの趣旨
農業の担い手の確保・育成については、新京都府総合計画の実現に向け、中期ビジョンに沿って「多様な担い手による農山漁村地域の維持発展」を図っているところであるが、国の農政の転換や、京都府農業を取り巻く環境の変化を踏まえ、将来の農業・農村を見通した迅速な施策の展開が急務となっている。
このため、京都府農業の維持・発展に向け、地域を守り生産を支える「農の担い手」づくりを進めるため、早急に取り組むべき具体的な施策を策定する。
1 現状と課題
(1)多様な担い手の連携による地域農場づくりの展開と担い手の減少
<現状>
- 中山間地域が約7割を占め、小規模集落が多く、農地は水田中心でその面積が狭小であるというのが京都府農業の実態であり、専業的形態による大規模経営のみにより地域農業を守ることは困難となっている。
- これまで、府内約4分の1の集落で、中核的農業者に加え、女性や高齢者、受託組織等を含めた多様な担い手が連携して地域農業の発展を目指す「地域農場づくり」の取組を推進しており、地域農場づくり事業により、受託組織が各地域に68組織設立されるとともに、農地集積の促進や京野菜の産地づくりが進められている。
- 販売農家、農業就業人口ともに大幅な減少傾向が続いており、耕作放棄地の増大も懸念されるところである。
<課題>
- 過疎化・高齢化が進展し、米価下落が続く中、農業・農村を取り巻く環境は一層深刻化しており、担い手の絶対数が不足、特に、中核的農業者の確保が必要となっている。
- 農作業受託組織等に対する農地集積が十分に進まず、米価下落もあいまって受託組織の採算性が計画より悪い状況となっており、構成員の高齢化が進む中で、従来の取組に加え、新たな施策による担い手育成が必要となっている。
(2) 国は新たな基本計画に基づき、認定農業者等「担い手」に支援を集中化
<現状>
- 平成19年産から開始される品目横断的経営安定対策では、京都府内で対象となる農家は少なく、面的カバーも小さい現状にある。
- 品目横断的経営安定対策の対象となるよう農作業受託組織が行う規模拡大に必要な機械等に対し緊急的に支援を行い、できるだけ多くの農業者が施策の対象となるよう取組を行っている。
<課題>
- 経営規模が零細で集落規模も小さい京都府農業の現状から見れば、国の対策は京都府農業全体の振興につながる状況にはなく、京都府独自の施策が必要となっている。
(3)地域農業をリードする中核的な担い手の不足
<現状>
- 京都府では、米から野菜への転換、茶の産地拡大等により収益性の高い農業が展開されるよう各種施策で支援している。
- 併せて、京都府では新規就農希望者を対象に、京都府独自施策の「担い手養成実践農場」等を施策展開する中で、就農・就業や農村での生活に関する相談から就農先の斡旋、円滑な就農に向けた実地研修、並びに就農準備・支援資金の提供など、新規就農者の確保・育成や後継者の育成対策を推進しているところである。
<課題>
- 地域農業をリードしていく役割が期待される認定農業者の数は依然として集落数を下回る状況にあり、その育成が今後の京都府農業の振興を図る上で重要な課題となっている。
- 京都府農業の振興にとって重要な作物である京野菜や茶については、近年、特に京都府中北部において京野菜産地の活力の低下や遊休茶園の増加などが見られ、今後、これら地域における担い手の確保・育成が喫緊の課題となっている。
(4)就農希望者の増大と受入のための条件整備の遅れ
<現状>
- 全国的な雇用情勢や職業観の変化に伴い、新たな職としての農業の可能性が注目されつつあるとともに、自然志向の高まり、団塊世代の大量退職の中で、生き甲斐としての農業・農村生活に関心も高まっている。
- 京都府では、実践農場による新規就農者支援や「農のあるライフスタイル実現プロジェクト」による都市住民の農山村への定住促進などを推進してきたところである。
<課題>
- 本格的な就農を希望される方から、「農」への触れあいを求める方まで、様々な要望に応えるためのサポート体制の整備が必要となっている。さらに、農地・住宅に関する情報提供等が不十分であり、これらも含めた農業・農村の情報を提供するための仕組みづくりが必要である。
2 施策の基本方向
府内の農業・農村の実態を踏まえ、今後とも多様な担い手の育成とこれらの担い手の連携による地域農業の仕組みづくりを基本とし、
- 多様な担い手育成と産地づくりを一体的に進める「地域農場づくり」
- 就農支援資金等就農を促進するための総合的「後継者育成対策」
- 新規就農希望者を研修から就農まで支援する「担い手養成実践農場」
など、これまでから進めている主要な担い手施策を一層強力に推進。
さらに、「地域農業をリードする役割が期待される中核的農業者の確保」、「農作業受託組織の法人化を含めた法人経営の育成」、「就農形態の多様化に応じた条件整備」など、当面の諸課題に対応するため、新たな重点施策として以下に取り組む。
(1)多様な人材の受け入れにつながる農業法人(「集落型農業法人」含む)の育成
(2)野菜、茶等を経営の中心とする中核的農業者の確保対策
(3)新たな担い手の育成にもつながる農地流動化システムの構築
(4)「農」への就農やふれあいを希望する方々へのサポート体制の強化
<取組目標>
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項目 |
現在(平成18年度) |
目標(平成22年度) |
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認定農業者数 |
933人 |
1,200人 |
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新規就農者数 |
36人/年 |
70人/年 |
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農業法人数 |
137法人 |
200法人 |
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遊休農地の活用 |
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200ha |
3 重点施策
(1)出資方式を取り入れた支援制度の創設による農業法人の育成
- 継続的で発展性のある農業経営の確保と担い手育成機能を発揮する農業法人化を促進するため、国の農業法人投資育成制度を活用する中で、行政や農業協同組合等による「京都府農業法人出資育成事業(仮称)」を創設し、農業法人における自己資本の充実と経営強化を図り、融資の代替機能を果たすとともに、民間企業等の出資を誘導することにより、京野菜や茶などの産地拡大を図る。
- さらに、農林水産業ジョブカフェ(後述)と連携し、雇用形態での就農希望者を斡旋することにより、幅広い就農の場を創出する。
- また、農作業受託組織など集落営農組織に対して、「京都府農業法人出資育成事業(仮称)」を導入することにより、黒大豆・小豆等との経営の複合化や加工、直売等の2次化、3次化による経営の多角化などを促進するとともに、多様な人材を受け入れる「集落型農業法人」の育成を図る。
- 商品開発、販路開拓などマーケティングや雇用の労務管理、人材育成等経営管理を習得する機会の提供などソフト的支援を行い、法人としての経営強化を支援する。
(2)農業大学校の改革と「京野菜等生産法人」の育成
京野菜等を担う若いプロ農業者の確保・育成を図るため、農業大学校を担い手育成の拠点施設として一層の機能強化を図るとともに、卒業後の就農先となる受け皿法人として、「京野菜等生産法人(仮称)」を育成し、将来の京都府農業を支える担い手を重点的に育成する。
<農業大学校の機能強化>
- 現在の養成部門については、学卒者等を対象に、プロ農家として確実に自立できるよう、収益性の高い京野菜・茶に特化した、より実践的な技術習得を目指す「若い中核的担い手育成コース」に再編強化する。
- 研修部門については、高等技術専門校等との連携を図る中で、他産業からの転職希望者等への「社会人向け短期技術習得コース」や、近い将来の就農希望者を対象とした「通信教育(e-ラーニング)」を新たに設けるとともに、現在の農業経営者等への「スキルアップ研修」など、幅広い府民ニーズに応え、多様な人材を育成できるよう充実強化を図る。
- 「若い中核的担い手育成コース」については、授業料の徴収と併せて、新たな修学資金制度の創設を検討する。
- これらの取組を進める上で、府立大学が各コースにおいて専門的な講義を担当するとともに、「通信教育コース」の公開講座やスクーリング(実習)を実施する等、府立大学との一層の連携強化を図る。
<農大改革と連携した「京野菜等生産法人」の育成>
- 「京都府農業法人出資育成事業(仮称)」を活用し、京都府、市町村、JA等が連携して支援する中で、計画的に農業大学校の卒業生など新規就農希望者を受け入れ、将来の中核的な京野菜等の生産農業者を生み出す役割を果たす「京野菜等生産法人(仮称)」を育成する。
- 具体的には、府内4箇所程度にこうした法人を設立し、1箇所2から3ha規模のハウス団地を整備することにより、全体で5億円の京野菜等の生産の拡大を目指す。
(3)農地の有効活用を図る農地バンクシステムの創設
- 農地の有効利用を推進するため農地の利用権移動を行う、「担い手活用農地バンクシステム(仮称)」を京都府と市町村が連携して確立し、小規模ではあるが農地利用を希望する団塊の世代等の定年帰農者や「農」への触れあいを求める都市住民、さらには団地的農地利用を希望する中核的農業者・農作業受託組織など、幅広い層に対して遊休農地等の有効活用を図る。
- なお、こうしたバンク機能と連動した農地活用を総合的に計画する地域段階の仕組みも必要であり、平成19年度から国の施策として始まる「農地・水・環境保全向上対策」の取組と一体的に整備する。
(4)2007年問題を含めた府民の幅広い農業・農村ニーズへの対応
- 2007年問題となっている団塊世代等の定年退職者、多様な就農形態を希望する転職希望者、就農に意欲を持つ若年層に対し、実践農場等を活用した就農や農業法人への就職を進めるため、「京都ジョブパーク」の中の一機能として「農林水産業ジョブカフェ(仮称)」を設置し、定年退職者を多く抱える企業や人材派遣会社、ハローワーク、大学・専門学校などと連携する体制を整備するとともに、定期的な就農面接会や就農セミナーなどを開催する。
- また、就農まではいたらないものの、ホビー的農業への志向、市民農園利用希望、田舎暮らし希望等、安らぎやゆとりを求める幅広い府民のニーズが実現できるよう農業・農村の豊かな情報を積極的に発信する機能を強化する。
- さらに、農業改良普及センターの就農講座の拡充や農業大学校による府立大学共同公開講座などを新たに実施し、都市住民等幅広い方々が地域農業の新たな担い手として活躍できるよう生産技術や経営能力の習得・向上を図る。
<京都府の多様な担い手支援に係る主な既存施策(一部、国の支援も含む)>
1 認定農業者等中核的農業者に対する個別支援
- 農地の利用集積にかかる事業(農地の売買等による利用集積、先導的利用集積事業)
- 農業融資制度(スーパーL、スーパーS、農業近代化資金 等)
- 農機等の割増償却制度
- 担い手経営展開支援リース事業
2 中核的農業者を中心とした生産組織支援
- ブランド京野菜等倍増戦略事業
- 茶業振興対策事業
- 農業制度融資(農業近代化資金)
3 女性・高齢者等支援
- 京の農業・農村を育む女性・高齢者等活動支援事業
- ブランド京野菜等倍増戦略事業
- 農業・農村活性化経営体づくり事業
- 農業制度融資(農業近代化資金)
4 農作業受託組織等組織担い手支援
- 農業・農村活性化経営体づくり事業
- 京の米産地づくり事業
- 中山間地域等特産物育成事業
- 京の稲作担い手緊急支援事業
5 新規就農希望者支援
- 担い手養成実践農場整備支援事業
- 就農支援資金
参考
1 検討委員
農の担い手確保・育成アクションプラン検討委員名簿(平成18年度)( PDFファイル ,7KB)
農の担い手確保・育成アクションプラン検討委員名簿(平成19年度)( PDFファイル ,7KB)
2 検討委員会の開催状況
第1回政策検討会 平成18年7月27日
京都府アクションプランについて
農の担い手確保・育成アクションプランについて
京都府農業の現状と担い手施策について
第2回政策検討会 平成18年8月30日
京野菜産地の新規担い手の確保・育成基本スキームの考え方について
・ 関連団体や行政等の出資・支援による「担い手養成ファンド」の創設
・ ファンドを活用した「京野菜等担い手養成法人」の設立
新たな地域営農システムの考え方について
・ 国の進める集落営農と京都府の考える地域営農について
「農の担い手確保・育成アクションプラン」取りまとめの考え方について
第3回政策検討会 平成18年10月5日
「農の担い手確保・育成アクションプラン」中間案について
・ 担い手農地活用バンクシステムについて
農業と雇用について
第4回政策検討会 平成18年11月21日
新規就農対策について
・農林水産業ジョブカフェ構想について
「農の担い手確保・育成アクションプラン」最終案について
第5回政策検討会 平成19年7月24日
アクションプラン関連事業の平成19年度推進計画について
農業大学校の改革について
地域農場づくりの新たな戦略について
政策検討会小委員会 平成19年12月18日
地域農業の新たな仕組みづくりへの支援について
農作業受託組織の事業範囲の広域化について
農作業受託組織の経営強化支援について
