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植物園よもやま話(2007)

植物とお客様に感謝(平成19年12月28日)

今年も残りわずかになりました。暖かいせいか年の瀬の雰囲気を感じないのは私だけでないと思います。「猛暑、暖冬記録ずくめ」という記事が新聞紙面に載っていました。今年を振り返ると確かに暖かく、現場で植物相手の仕事をしていると、植物の異変を日々感じた1年でした。冬の寒さ不足による桜開花前線の逆転現象。夏は雨不足で水やりに明け暮れました。お彼岸頃に一斉に咲くヒガンバナは咲く時期がバラバラでした。害虫の発生が初冬頃まで続き、返り咲きの問い合わせは例年の倍はありました。高温がつづき紅葉のピークが12月に入るのでは、と気をもみましたが、寒波の到来で何とか11月に間に合ってほっとしました。よもやま話「秋も魅せます(平成19年11月28日)」でも紹介しましたが、今年ほど桜の紅葉が美しい年はベテラン職員でも知らないと言っています。天候の不順が多くの植物に異変を起こさせているのだと思います。当園の多くの植物は本来、野生に自生するものを展示していますから、もともと厳しい生育環境だとは思いますが、この一年間、本当にごくろうさまと声をかけてあげたいと思います。また、1年間、多くのお客様が植物園に足を運んでいただきました。本当にありがとうございました。いろいろと叱咤激励されたことを糧に来年もがんばりたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。(N)

秋も魅せます(平成19年11月28日)

ソメイヨシノの紅葉の写真 ソメイヨシノ満開の写真

暖かい日が続いたため、紅葉がきれいになるか心配でしたが11月後半からの冷え込みで例年以上に紅葉の美しい年になりました。 今年の特徴は紅葉を代表する「イロハモミジ」以外の樹種の紅葉・黄葉がすばらしいことです。中でも美しいものを選ぶとしたら「サクラ」の紅葉でしょう。写真はソメイヨシノの紅葉です。ざっとした表現ですが、ヤマザクラは紅色系、シダレザクラは黄色系、ソメイヨシノは朱色系と種類によってもさまざまな紅葉が見られます。木枯らし1号によってあまり葉が飛ばされなかったのも、サクラの紅葉が美しい理由のひとつです。春の花と秋の紅葉。どちらも甲乙つけがたい年になりました。

五色の紅葉(平成19年11月17日)

鴨川の紅葉の写真

植物園の西には鴨川が流れており、左岸には「なからぎの道」があり、右岸側にはケヤキ、ムクノキ、エノキなどの大木がある河畔林があります。この紅葉・黄葉が大変きれいで、赤、黄、茶、オレンジそれと緑葉のコントラストが朝日を受けるといっそう鮮やかになります。こんな風景を見ながらジョギングでもしたら気持ちいいだろうなと思い、通勤途中に北大路橋から写真をとりました(実際はもっときれいです。)。植物園にお越しの際はぜひこちらにも立ち寄ってもらったらどうでしょうか。

「まず咲く」というよりも「取り」かも(平成19年11月4日)

アメリカマンサクの花の写真 アメリカマンサクの写真

雪解けの頃に最初に見ることができる花に「マンサク」があります。そのため「まず咲く」がなまってマンサクという名になったという説があります。植物園では、紅葉・黄葉が始まりかけていますが、この時期に咲くマンサクが「アメリカマンサク Hamamelis virginiana マンサク科」です。マンサク属の仲間は北米と東アジアに隔離分布していますが、名前のとおりこの木はアメリカ出身です。黄葉と同じ色の小さな花のため、この花が咲いているのはほとんど気がつかれないと思います。場所は大芝生地と植物生態園南口の間に植栽されていますので、ぜひ見つけてください。この木につづいて、年明けにはマンサクやシナマンサクなどが咲き出しますから「まず咲く」マンサクかもしれませんが、季節感からいうと最後に咲く「取り」をとるマンサクのような感じもします。

京都由来の植物その2「キブネギク」(平成19年10月21日)

キブネギクの写真その1 キブネギクの写真その2

過ごしやすい季節となり、本日は駐車場も満車状態。大芝生地もお客さんでいっぱいです。いま見ごろのコスモスの人気はやはりすごいものがあります。「秋桜」と漢字では書きますが、キク科の植物になります。植物生態園ではコスモスによく似た「シュウメイギク」(秋明菊:Anemone hupehensis var. japonica)、別名「キブネギク」(貴船菊)がいま咲き出しています。こちらはキクの名がつきますが、キンポウゲ科の植物でイチリンソウと同じ仲間になります。もともと京都貴船に多く自生していたことから、キブネギクと呼ばれるようになったようで、今でも貴船の料理旅館の石垣などで、この花を見ることができます。淡紅紫色の八重咲きで花弁に見えるのは、ガク片になります。数えると45枚もありました。中国原産で古い時代に日本に渡来したということが、通説になっています。あくまで推測ですが、留学僧が、珍しい八重咲き種(中国原産の基本種Anemone hupehensis は一重咲き)を都に持ち帰り、修行地の貴船付近に植え付けたものが野生化したのかもしれません。歴史とロマンを感じさせる美しい花です。今ではさまざまな園芸品種が「シュウメイギク」として出回っています。

夏休みが終わりました(平成19年10月17日)

10月に入り大学の多い京都市内では、長い夏休みが終わった大学生の通学姿をよく見かけるようになりました。植物生態園にあるオニシバリ(Daphne pseudomezereum ジンチョウゲ科)という低木もやっと夏休みが終わったようです。9月末の時点では、まだ葉はなく休眠していました。この樹木は周りの樹木の落葉が始まる頃からが成長期にはいります。
オニシバリの新緑の写真 オニシバリの花の写真

オニシバリの新緑(写真左)。夏には葉が無いことから、ナツボウズ(夏坊主)という別名があります。ちなみにオニシバリ(鬼縛り)の名は、鬼を縛れるほど強靱な樹皮からきています。開花は2月から4月頃です(写真右、2005年3月2日撮影)。ジンチョウゲ科の植物は移植を嫌がるものが多いですが、過去にオニシバリの性質を知らずに、3月に株を移植して枯らした苦い経験が私にはあります。

秋に咲くサクラ(平成19年10月10日)

「身ぐるみ剥がされました(平成19年5月10日)」でご紹介しましたバクチノキ(Prunus zippeliana バラ科)の花が今、満開を迎えています。先週は返り咲きの話でしたが、この木は秋に咲く常緑のサクラとして、個性的な存在です。 花は白い小さな花が数個が集まった総状花序で、花弁より目立つ雄しべとその中心に雌しべが1本あります。「博徒(ばくち)の木」とは、幹の特徴を表した、少し気の毒な名前ですが、名前とは裏腹に、かわいい花をいっぱいつけます。
バクチノキの花の写真 開花したバクチノキの遠景の写真 

写真は宿根草・有用植物園の東側の入り口の所に植栽の個体で、高さは12メートルほどあります。北山ワイルドガーデン西側(シナアブラギリに隣接)と植物生態園にも1本ずつあります。3本とも職員が1987年6月27日に挿し木して増やしたものです。今週いっぱいが見ごろです。

モモの返り咲き(平成19年10月5日)

残暑が厳しかったせいか、植物の世界にも変調が現れています。当園では、毎年お彼岸の頃に一斉に咲くヒガンバナが10月に入っても咲きはじめたり、エリカが満開だったりとか少し変です。新聞などでも、サクラやコブシが季節はずれに開花したことがよく報じられています。

 ベニバスモモの返り咲きの写真 ベニバスモモの全景写真

北山門入って東側では、ベニバスモモ(Prunus cerasifera var. atropurpurea)というモモが今咲いています。「返り咲き」は、(1)干ばつ、台風、虫害などで葉が落ち、(2)春のような温暖な日が続くことにより、(3)木が春と勘違いして咲く、というのが一般的なパターンで、コブクザクラや十月桜などのような四季咲き性の開花とは少し違います。右の写真は、左半分は春からついている葉で、右半分の少し透けたほうは一旦、落葉したあとに新たに葉が出ているところで、その部分だけが今、開花しています。落葉により、葉にある開花抑制ホルモンが減少することで、開花につながるものと考えられます。多くの植物の場合、その年の果実や来春の芽や花の蕾は初夏から秋にかけて形成されるため、返り咲きと言う現象とは、植物にとってかなりの負担になっているものと思われます。管理するものにとっては、「花を2度楽しめる」という心境にはいかないものです。

ようこそ植物生態園へ(平成19年9月27日)

フジバカマにとまるアサギマダラの写真

長距離の旅をすることで有名なアサギマダラというチョウが今年も植物生態園にやってきました。黒い脈に淡い水色のたいへん美しいチョウで、フジバカマ(Eupatorium fortunei キク科:絶滅危惧種)のところにきては蜜を吸います。人に対して警戒心が薄いようで、カメラを10センチぐらい手前まで近づけても逃げません。それにしても街の中にある植物園の数株のフジバカマを毎年よくぞ見つけるものだと感心します。なお、当園ではチョウの採取は禁止しております。ご理解、ご協力をお願いいたします。

カイヅカの剪定始まる(平成19年9月26日)

植物園のお宝の木であるカイヅカイブキ(Juniperus ’Pyramidalis’ヒノキ科) の剪定作業が始まりました。開園当初から植栽されている樹齢約110年(植栽当時30年生)の木が洋風庭園や観覧温室前を中心に41本あり、11月中頃まで作業がつづきます。高さ8メートルを超える大木のため写真のように高所作業車を使って作業することもあります。

カイヅカイブキの剪定作業写真 洋風庭園内のカイヅカイブキの写真

大正時代に京都の風土と洋風花壇との融合を図る試みで植えられたこのカイヅカイブキ。 ソフトクリームのようなモコモコとした独特な姿は当植物園オリジナルな仕立て方(写真上右)ですが、とくに外国からの来園者には大変好評で、本日も1枝1枝手作業の技を熱心に見学されていました。

自然樹形のカイヅカイブキの写真

開園以来、自然樹形を鉄則とする植物園の樹木ですが、ガーデンとしての見てもらうエリアとボタニカルなエリアでは同じ木でも樹形が違ってきます。整枝・剪定をせずに、自然にまかせた樹形にすると炎のように尖ったねじれた姿になります(写真下:北山ワイルドガーデン南側)。

秋に思う草(平成19年9月14日)

9月にはいったとたん暑い夏に休んでいた植物が再び動きだしてきた感じがします。人間も植物も同じなんだなぁと気づかされます。秋と言えば七草。その一つにススキがありますが、ナンバンギセル(南蛮煙管:ハマウツボ科)というススキに寄生する植物が咲いています。オモイグサ(思草)という名前で、万葉集でも詠まれています。決して派手な花ではありませんが、いにしえの人は、少しうつむき加減のこの花から物思いにふける人の姿に見立てたのでしょうか。これとよく似た花を自然の森「なからぎの森」で見ることができます。アキノギンリョウソウ(ギンリョウソウモドキ:イチヤクソウ科)という腐生植物です。どちらも葉緑素をもたず他から栄養をもらって生きる植物で、うつむき加減の姿はともによく似ています。

ナンバンギセルの写真 アキノギンリョウソウの写真

植物生態園のススキの根に寄生するナンバンギセル(写真左)。アキノギンリョウソウ(写真右)が落ち葉から出現してきた様子。半木神社の鳥居の池側付近で見ることができます。自然に生えているため観察にはくれぐれも足元にご注意をお願いします。

花に斑が入るハス(平成19年8月25日)

ハナハスタイセイキンの写真 

8月20日(月曜)の朝、宿根草有用植物園で「白い花びらに赤紫色の斑(まだら)の入った」花ハス、大洒錦(たいせいきん)が開花しました。斑入りの品種は当園の展示株30数品種中、この品種だけです。今春、ハスの専門家でもあります当園技術課長が自らの手により蓮根を植えつけた株です。八重の白花の花びら一枚一枚はやや内側に巻いており、その縁には赤紫色の染みがついたように斑が入ります。花ハス数あれど、斑入りの品種はたった二種だけなのだそうです!。珍しい花をぜひご一見ください。(8月24日現在、蕾が2つあります!)  

暑さの中にも涼しさ(平成19年8月11日)

8月にはいって真夏日が続き、園内では水やり作業に追われる毎日です。本日も気温は36度の猛暑日です。しかし、大芝生地では34度、植物生態園の小川沿いでは32度に下がります。以前計測したときも北大路通りと「なからぎの森」では5度の差がありました。緑のありがたさを実感します。最近では、落ち葉が街を汚すということで、枝を剪定されて傷んでいる街路樹をよく見かけますが、真夏のことを考えると、もう少し守られてもよいのではと思います。

大芝生地で遊ぶ子どもたちの写真

大芝生地でスプリンクラーを回すとすぐに子どもたちが寄ってきます。ドボドボになるのも気にせず、走り回っている姿は元気そのもの。 

本日の銘花(平成19年7月27日)

第48回朝顔展がはじまりました。この展示会は、昭和36年の再開園の2年前からすでに始めれていた長い歴史があり、毎年、朝顔展を楽しみにされているファンも大勢おられます。その日の咲き具合で、鉢を入れ替えるのもこの展示会の特徴で、その日に出品された300鉢以上の鉢の中から、優秀な作品を毎日審査します。その中から、花と葉のバランスの良さや品種の特性がよく出ている、最も優れた一品が「本日の銘花」に選ばれます。今年は長雨と低温が続き、開花に苦労されたようですが、見事な鉢が揃いました。7月31日(火曜)までの期間中は午前6時30分からの開園となります。

 本日の銘花の写真 下鴨小学校の生徒さんの作品

本日の銘花「左京一笑」という品種。花の大きさと数、葉とのバランスが見事(写真左)。地元、下鴨小学校の生徒さんの作品。なんと「秀逸」(優秀作品は特選、優等、秀逸の順、なお特選は期間中数鉢しか選ばれない。)に選ばれていました。将来の朝顔名人が出てくれることを期待します(写真右)。

ドングリの赤ちゃん(平成19年7月11日)

子ども達にたいへん人気があるドングリですが、この時期どんな状態なのでしょうか。大芝生地周辺にあるドングリの木をちょっとのぞいてみました。

シリブカガシのドングリの写真 アラカシのドングリの写真

アベマキのドングリの写真 スダジイのドングリの写真

写真はシリブカガシ(左上)、アラカシ(右上)、アベマキ(左下)、スダジイ(右下)です。まだまだ赤ちゃんのようで、5ミリ程度の小さな姿でした。これから秋に向けてどんどん成長することと思います。ドングリの木は種類によりドングリが大人になる(成熟)までの期間がまちまちです。アラカシは春に開花しその年の秋に成熟しますが、その他は開花の翌年の秋に成熟します。昨年の枝にドングリが着いていれば成熟するのに2年がかりということになります。

理科学習・実践教育の場(平成19年7月1日)

6月30日、京都市立紫野高校の学生たちの理科教育の授業の一環として、当植物園が活用されました。 植物園は、「生きたホンマモンの植物」を収集し保存し育成栽培し、展示しています。理科担当のプロの教師が、それらの活用方法を開発してくださいました。 授業当日に使われたテキストを拝見し、体が震えるほど感激しました。 木本、草本、熱帯植物合わせて、なんと、88種もの植物をピックアップしていただきました。 88は八八。末広がりの予感がします。

ラムズイヤーを観察する高校生の写真

写真1 「ラムズイヤー」 シソ科の特徴である四角の茎と葉の感触を観察

オリジナルテキストを作成された、井崎先生のご努力に頭が下がります。 これで学べる学生諸君は、本当に幸せです。 ホンマモンの植物を教材にしたホンマモンの理科教育。 教科書にはまず載っていない植物、教科書ではまず説明されることのない植物の持つ、不思議そして昆虫類との見事なまでの生き残り戦略のための仕組みや感動、その謎解きのヒントがこのテキストにはギッシリと詰まっています。 自然相手の学問は、見てナンボ、触ってナンボ、香りを嗅いでナンボ、いわゆる五感で感じ取らないと理解したことにならない世界です。 学生諸君は、本当に、すばらしい授業が経験・体験できたのではないでしょうか。
ヤマアジサイを観察している写真 

写真2 「ヤマアジサイ」 装飾花の不思議を観察

植物園も、いい勉強になりました。これからも、「ホンマモンの生きた植物」を提供し続けます。 植物も動いています。一日の観察だけでは見えない動きは、日を置いて経過観察すると確実に動いた結果がわかります。 焦点をグッと当てて観察することにより、動物(特に昆虫)との共生関係が実によく理解できます。 不思議いっぱいの植物、勉強しましょう、そして、楽しみましょう植物園!!

授業に使われたテキストの写真 

写真3 授業に使われたオリジナルテキスト

白いマントで出現(平成19年6月29日)

キヌガサタケの写真 

割れだした幼菌の写真 マントをひろげる前の姿の写真

白いマントを身につけたキヌガサタケという華麗なキノコの姿を竹笹園で確認できました。梅雨時期になるとキンメイモウソウというタケのエリアにある卵のような幼菌が割れだし、かさの部分が隆起してきます。天候にもよりますが、お昼頃にはしおれてしまう短命のきのこです。下の写真は割れだした幼菌とマントが開く前の姿です。なお、タケの植栽区画内には、まだ幼菌が埋まっていますので、立ち入らないようにお願いいたします。

ごくろうさまです(平成19年6月20日)

今日は梅雨の晴れ間の蒸し暑い日でしたが、植物園ボランティアさんが活発に活動をされていました。

見ごろの花道案内の写真 見ごろの花道案内の看板の写真 

上の写真は、「見ごろの花・道案内」の様子です。ボランティアの伊藤さんが、開花中のホウライチクの案内をされていました。お客さんも、めずらしいタケの花には驚いた様子でした。「見ごろの花・道案内」は、平日の午前10時30分と午後1時30分の2回、北山門広場からの出発です。看板には「ボランティアと一緒に見ごろの花の所まで歩きませんか!」と書いてあります。

ペチュニアの花がら摘みの写真 こちら北山門広場ではペチュニアの花がら摘みをされていました。暑い中、本当にごくろうさまです! そしてありがとうございます!!  

京都由来の植物「キブネダイオウ」(平成19年6月7日)

京都北山の貴船という地に自生し、その地名から名前をとった「キブネダイオウ Rumex nepalensis var. andreaeanus 」というタデ科の植物の花が今、植物生態園で咲いています。京都府レッドデータブックでは絶滅寸前種に指定されており、自生地では個体の減少や外来の植物との交配などが心配されています。

キブネダイオウの写真 キブネダイオウの花の写真
当園の環境においては高さは1.5メートルにまで成長している(写真左)。キブネダイオウの花(写真右)。帰化植物のエゾノギシギシによく似るが、葉の中央脈が瘤状にふくれず、赤みも帯びない。  

経験と勘。日々の積み重ね。(平成19年6月6日)

ある植物を栽培し始めるにあたり、参考になるのは、栽培方法、植物特性を記す教科書、学術書、あるいはこれまでの栽培経験や経験者からの助言、また、定説や「言い習わし」等々です。
書物や定説、他者の経験などの「先人の知恵」から学ぶところは非常に大きく、先人の努力、蓄積に対してはただただ感謝するばかりです。ただ、植物は、「生き物」です。解明されていないことが多い「生き物」なのです。一部の栽培の容易な園芸品を除けば、マニュアルどおりにすればどこで作っても同じようにできあがる工業製品のようにはいきません。同じ種の植物でも、生育する環境により見せる表情は様々です。 様々な植物を自生地とは違う京都の植物園という特別な環境に持ってきて、植栽、展示するのです。自らの手で触り、自らの目で植物の日々の姿を観察し、枯れないようにするためには、そしてボリュームよく咲かせるには、最低限どうすればよいのかを日々模索することが大事なのではないかと感じます。
「日当たりが悪かったから。」、「異常気象だった。」、「雨が少なかった。」など言い訳をするのは簡単です。しかし、園芸に携わる者として、失敗は失敗として謙虚に受けとめ反省することも大事だと思います。そして、本をひもとき、経験豊かな先輩の声を聞き、日々の園芸作業の中で「この京都下鴨の環境では、この植物はどう作ればよいのか」を自分で考えねばと思います。「経験と勘」を養うために。 (I)

劇的に色変化・ヤマアジサイに思う (平成19年5月29日)

目の前で色が変わっていく、ということではありませんが、ガク片の色が純白から赤へ、それも綺麗な赤、深紅の赤に変化していく現象は全く不思議なことで、これは実際に、自分の目で確かめないことには気が済まない、そんな気分にさせてくれます。この色変化には痛く感激です。
植物の色が変わる現象は、特に落葉樹(夏緑樹)の葉の秋期における色変化、つまり、紅葉・黄葉でよく知られていますが、これはかなり長い期間の緑の時期の後、気温の低下特に最低気温がグッと下がってからの色変化が国民的な関心ごととなって全国を駆けめぐります。
ある種のヤマアジサイ。もっともっと関心をもってほしいものです。白から赤へ。これはヤマアジサイのガク片の色変化の表現ですが、はじめ白色のガク片が太陽の光に当たることによってピンク色から、赤へ。
二つの種類を紹介しましょう。
一つは「ベニガク」という江戸時代から知られているヤマアジサイ。ガク片が大きく、周辺にあるギザギサ(鋸歯)も明瞭でよく目立つ特徴がありますが、西洋アジサイの赤系統を作り出した元となる品種、シーボルト(1796から1866)の「フローラ・ヤポニカ(日本植物誌)」に記載されたアジサイ17種のうちの一種であったことは、ほとんど知られていません。純白から、うすピンク、そして赤色へと変化します。
もう一つは、「クレナイヤマアジサイ」。これとの出会いは衝撃的でした。京都周辺に分布するヤマアジサイのガク片の色は青色が普通です。信じられない色、が正直な感想でした。純白のガク片が、2~3週間で、これはまさしく深紅になります。長野県の原産ですが、たかがアジサイ、されどアジサイ。同じヤマアジサイというひとくくりでは済まされない世界、植物分類学とは別の世界が広がりました。
ヤマアジサイにはこんなにすごい、すばらしい変異があるのだと実感し、衝撃的事実を味わいました。 あじさい園、どうぞご覧ください。

クレナイヤマアジサイのガク片が白い写真 クレナイヤマアジサイのガク片がピンクの写真 クレナイヤマアジサイのガク片が深紅の写真  

写真は「クレナイヤマアジサイ」。ガク片の色は白、ピンク、深紅と変化していきます。

「宝石の塔」いくつ花があるの(平成19年5月17日)

いま旬の花「エキウム・ウィルドプレッティー(別名:宝石の塔)」ですが、いったい何個の花が咲くのでしょうか。植物園ボランティア「なからぎの会」のメンバーに昨年、花の数(種子)を数えていただいた結果、1本あたり16,000個の花をつけていることがわかりました。平均的な個体の高さが1.6メートルですが、今年は2メートルを越える個体が続出していますので、大きな個体の花の数は20,000個を超すのではないでしょうか。

エキウムウィルドプレッティーの花の写真 花の拡大写真

蕾は外に向かって次々と開花していきます(写真左)。ブルーの葯が割れると白い雌しべが伸びてきます。中央の花は葯が割れる前の状態(写真右、写真提供 河内静子氏)。ひとつの個体のなかで、花は日々変化しています。

ぶらさがる白い物体(平成19年5月16日)

アジサイ園北側にあるサイカチ(植物園よもやま話「命の継承」平成18年3月10日参照)の枝に白い物体がぶら下がっています。実は「モリアオガエル」という樹上で生育するカエルが産卵した泡状のかたまりで、毎年、水辺にかかる樹木の枝で見かけることがあります。

モリアオガエルの卵のかたまり 水路の上にかかる卵の状況

ちょうど目の高さに産卵しています(写真大)。しかし、卵は水路のへりの上にかかっているために無事に着水するか少し心配な状況です(写真小)。

日本一の「宝石の塔」 現場の技術力のすごいワザ(平成19年5月16日)

エキウムウィルドプレッティーの写真

ホンマモンの生物である植物を扱っていますと教科書には書いてない事柄にいくらでも遭遇します。 教科書を参考にしない、ということではありません。 国内のどの参考書、どの図鑑、どの事典にもその栽培のノウハウが載っていない植物の種子を目の前にして、さて、花を咲かすには?と考えた瞬間から戦いがはじまります。 我々が教科書を作り上げていくしかありません。
「エキウム・ウィルドプレッティー」、別名を「宝石の塔=Tower ofJewels」。
種子を播種して3年目で開花に至る、カナリア諸島原産のいわば3年草。 正確を期すと、2年草。でも我々は長年の試行錯誤の積み上げから、もっともうまく咲かせるためには3年目、ということを知りました。 1980年、国内初導入した種子は1982年に国内初開花に成功し、その後、種子の保存から、播種、鉢上げ、鉢替え、植え込み、開花に至るまでの奥の深い栽培技術は連綿と現在の技術陣に受け継がれています。 担当の職員は数代にわたっているでしょうか。 日常の植物の栽培管理の中から、技術が絶えることなく受け継がれてきたと確信しています。 この技術が伝承されなければ、すばらしい「宝石の塔」を日本で見ることは出来ません。 過去、いくつかの関連植物園に種子を譲与しましたが、継続してここまでの規模の開花を成功させている例はほとんど聞きません。 開花に至るまでは、技術陣の試行錯誤・右往左往の物語でもあります。
1.物語
・国内初導入ですから栽培のノウハウが全く無いところからの、感動のドラマ。 ・カナリア諸島はアフリカ大陸北西部の西海上約100kmのスペイン自治州で、これは温室で栽培するべき植物だろう、と思いますが、なんと、・露地で開花させることに成功しました。もちろん、 ・国内初の快挙。・技術職員の我慢を重ねた、持続した積み重ねの努力の大きな成果です。 ・試行錯誤の結果、栽培のノウハウを作り上げました。(完成ではありませんが)
2.種子を播種する時期
取り播きすれば、生育不良。翌年の1月から2月の播種はうまくいった。
3.鉢上げ、鉢替えの時期・回数
鉢上げの年にさらに鉢替えするが、繊細な根故に作業は細心の注意を払う。
4.夏場の水やりの方法
乾燥気味の管理が必要で、水やりは出来るだけ我慢する。
株の状態を毎日観察し、顔色を伺う。 芯に水を掛けると腐るので、一鉢ずつ株元に丁寧に水をやる。 自動散水はもってのほか!
5.植え込み場所を今の場所に選定したこと
播種後、2年目の秋に植え込むが、冬の吹きすさぶ寒風を避けるため、常緑のクスノキ並木の南側で樹齢100年ほどのヒマラヤスギの近く(この大木の根があることで、土は乾燥気味になる)を選んだ。
6.植物園の現場を知り尽くした技術職員だからこその、なせるワザです。・驚きと感動の世界にいざないます。 ・けれど、100%の開花はやはり難しい。 ホンマモンの生きた植物ですので、人間の思うようにはなりません。 今年、61株中、20株は開花に至りませんでした。 花は勝手に咲くのではなく、咲かせています。 カナリア諸島に思いを馳せつつ、エピソードを思っていただき見てくださると、 「宝石の塔」もきっと、喜ぶことと思います。 (園長筆)

身ぐるみ剥がされました(平成19年5月10日)

植物園には珍名奇名の植物がたくさんありますが、バクチノキ(Prunus zippeliana バラ科)という異名をもつ樹木があります。バクチとは「博徒」のことで、下の写真のように樹皮の剥がれ具合が、博打で負けた人が身ぐるみ剥がされて赤裸になるのにたとえています。樹木の年輪は中心にいくほど古く、樹皮は外側に行くほど古いものになっていますが、樹木の成長は幹の外側(樹皮と材の間)で行われているからです。成長が大きいこの時期に、新陳代謝をしているのでしょう。故意に剥がされたのではありませんので、念のため。

バクチノキの樹皮の剥がれている写真 落ちた樹皮の写真

 古い樹皮が剥がれかかっています。剥がれた時期により褐色の色が微妙に違います(植物生態園:写真左)。まるで脱皮したヘビの皮のように落ちている樹皮(写真右)。この木は樹皮だけでなく、秋に咲く常緑のサクラということでも異色の存在です。

園長のつぶやき(平成19年5月9日)

 京都府立植物園は、世の中の社会情勢、経済事情、政治世界などがいかように変わろうとも、凛とした存在であり続けなければならない、そのような公共施設であると思っています。
 数字では表すことの出来ないとてつもなく大きな社会的貢献を果たしています。
 緑空間であり憩いの場・癒しの場であることは当然のことですが、その根本理念として、ホンマモンの生きた植物の宝庫でなければなりません。
 その植物も質の問題が重要となります。言葉に語弊があるかもしれませんが、誰でもが簡単に育成・栽培できる植物ばかりを植栽・展示していたのでは、全国どこへ行っても皆同じですのでそれは真の植物園とは言えません。
 では、珍しい貴重な植物ばかりを集めて展示すればよいのか?との話になりますが、そういうことではなく、アカデミックさを基本としてバランスよく総合的にコーディネイトしないといけないのです。
 植物相手の仕事は実に息の長いかつ地味な仕事です。注ぎ込んだ情熱や労力はすぐに報われることは少なく、何年も持続した我慢の積み重ね、数知れないほどの試行錯誤の中から、キラッと輝く光が見えることがあります。それは正に現場の技術力の勝利ですし、とても大事なことです。技術力が報われる瞬間と同時にそれは植物園の技術水準の高さにも比例します。
  この持続した我慢の積み重ねの集積が現在の植物園の根幹を形成していることは間違いなく、その結果が年間コンスタントに60数万人以上の御来園という評価につながっていると思います。
 植物園の根幹は、植物園の現場を知り尽くした技術職員が作り上げています。
 植え付ける場所はどこでも良いということにはなりません。
 世界の植物を相手に勝負していますので、当然ですが、こちらの思い通りにはまず育ってくれません。技術職員の、植物に合わせた適正な栽培管理が求められます。
 適地適木。適地適草。
 どこかで作った花の苗を大量に購入して第三者が植え付けているのではありません。
 栽培の第一歩は我々が種子を手に入れるところから始まります。世界の植物園と種子交換を行っていますから、日本の他の施設では見られない植物もみなさんに見ていただくことが出来るわけですが、気候などの環境条件が、京都とは全く異なった地域の植物も扱いますので、担当の技術職員の苦労、努力は大変なものです。
 技術職員は、種子を一粒一粒播種し、鉢上げ、鉢替えを行い、愛着を一杯注いで現地に植え付けますが、前述しましたようにどこに植えてもいいものではありません。その植物の特性をよく知り、その植物をいろいろな意味で最大に活かせる場所がわかっていなければ簡単に植え付けることはできません。そんなことは一朝一夕にできる訳はなく、長年かかった経験の積み重ねが必要となるのです。
 植物園の現場を知り尽くした技術職員の存在が現場を守り、技術水準を高めています。
 先輩から連綿と引き継いだ技術、今作りつつある新たな技術、絶やすことなく高い水準を保ち続けることが真の植物園に求められている喫緊の重要課題です。

アマドコロ?それともナルコユリ?(平成19年5月6日)

アマドコロの写真 ナルコユリの写真 

お客様からよく「アマドコロとナルコユリはどう違うのか」というご質問を頂きます。どちらもユリ科アマドコロ属の植物です。アマドコロ(写真左)は、黄色の根茎が強壮剤として利用され、この根茎が、オニドコロ(ヤマノイモ科)に似た形で、甘い味がするために、「甘いトコロ」・・・転じて「アマドコロ」という名称がついています。一方、ナルコユリ(写真右)という名称は、花が並んでぶら下がる様子を、鳥おどしの「鳴子」に見立ててついたものです。両者の見分け方ですが、まず「茎」です。アマドコロの茎断面は六角形で、触ると角張っているのがわかります。ナルコユリでは茎は丸くなめらかです。つぎに「葉」に違いがあります。アマドコロの葉は長楕円形で、ナルコユリの被針形の細葉に比べて、明らかにアマドコロの方が広葉です。そして最後に「開花時期」です。両者を近くの場所で栽培すると、概ねアマドコロの方が先に開花します(気象条件にも依ります)。

シャクヤクは草、ボタンは木(平成19年5月6日)

シャクヤクの写真 ボタンの写真

お客様からよく、「シャクヤクとボタンはどう違うのか」というご質問を頂きます。簡潔な説明として「シャクヤク(写真左)は草、ボタン(写真右)は木」というのがあります。ともにボタン科ボタン属の植物ではありますが、ボタンは低木(木本植物)、シャクヤクは草(草本植物)になります。ボタンは「木」の姿で越冬し、シャクヤクは冬には地上部は枯れ根が生きているだけです。樹木一般に行われる「剪定」という作業もボタン栽培ではありますが、シャクヤクではありません。つぎに、葉の違いです。ボタンの小葉は、シャクヤクに比べて比較的「広い」葉になっています。 植物園で、比べてみてください。

お家騒動でも(平成19年4月25日)

「世代を無事に譲る」ということで、おめでたい木とされるユズリハ(Daphniphyllum  macropodum ユズリハ科)ですが、今年は様子が少し変です。昨年は夏以降も高温の日が多かったため、秋にも葉が出てしまい、昨春に出た葉との2階建ての状態が続いていました。どのように葉が交代するのかが注目でしたが、ここ数日間で、黄色の昨春の葉はすでに引退しましたが、秋の葉はまだ現役でがんばっています。今年はどうも世代交代に手間がかかっているようです。

ユズリハ世代交代の写真

 一番上の葉が今年の新葉。下の黄色くなった葉が昨年の春に出た葉(現在はすでに落下している)。あいだの濃い緑の葉が昨秋に出た葉。茶色は雄花。(植物園会館前、写真提供 河内静子氏)

一人でもやります(平成19月4月18日)

今年も開園時間の延長にあわせてはじまった「たそがれ・桜・そぞろ歩き」(4月22日(日曜)まで)。今日は午後からあいにくの雨と真冬並の寒さ。参加者はわずか一人でしたが、その分、普段では説明しきれない些細なことも話せます。毎週土曜日の「土曜ミニミニガイド」なども一人以上の参加があれば 実施していますので、ご遠慮なくご参加してください。

たそがれそぞろ歩きの写真 桜の説明の写真

本日の担当は松谷園長でした。ケヤキ下のチューリップの前にて(写真左) 梅護寺数珠掛桜(ばいごじじゅずかけざくら)「この花は二段咲きするんですよ・・・」と会話が弾みます。桜見本園にて(写真右)

仲良しこよしの木(平成19年4月3日)

「コブシの木にハクモクレンが咲いてるよ。」とお客さんからの連絡。早速、現場に行くと確かにコブシの中にひとまわり大きな花がひとつ咲いていました。ハクモクレンとコブシが同居している!心を落ち着け根元を見ると一本の木から2本の幹が出ている。「ああそうか。台木のコブシが成長して、主役になるはずのハクモクレンを追い越したんだ。」と妙に納得。このような異種同株の木を植物園としては、どちらかの種に決めるべきかもしれませんが、当分はこの状態で展示したいと思います。

コブシとハクモクレンが同じ木に咲いている写真 根元の写真

コブシとハクモクレンが同じ木に咲いている(はなしょうぶ園北側:写真左)、根元を見ると台木のコブシ(奥の太い方)とハクモクレン(手前)が同じところから出ている(写真右)

耳をすませば(平成19年4月2日)

 コンコンコン・・・どこからか心地よい音が響きわたります。コゲラというスズメぐらいの大きさのキツツキが枯れた幹(オオバアサガラ Pterostyrax hispidaエゴノキ科) に穴を開けていました。つがいで来ていたので、営巣しているようです。ここは植物園のほぼ中心部にある日本の森「植物生態園」で、できるだけ自然の森林に近い形で植物の展示を行っているエリアです。枯れた木、うろ(幹が腐った穴)や落ち葉なども、野鳥や昆虫などの生き物にとっては、貴重な住みかになっていることがあります。

コゲラの写真 冬眠中のトカゲの写真

枯れた幹に穴を開けるコゲラ(写真大、写真提供:河内静子氏)、枯れ葉で冬眠するトカゲ(写真小、2007年3月7日撮影) 

年間来園者70万人達成しました!(平成19年4月1日)

今年3月31日に10年ぶりに年間来園者数が70万人に達しました。 当日は当園正門におきまして、70万人目のご来園の方に、松谷園長から記念品の贈呈が行われました。


記念品贈呈の風景です。記念品は年間入園フリーパスと鉢植えの胡蝶蘭、巨大マツボックリでした。

70万人目になりましたお客様からは、「人が多くても広くてゆったりできる当園でいろいろな花を楽しめることが気に入っています」とのご感想をいただきました。

 
年間ご来園者70万人目のお客様と当園職員で記念撮影

 

当園をご支援ご愛顧いただいております皆様に、当園園長からのお礼のあいさつです。

お礼
ありがとうございました。
2007年3月31日、年間入園者数が70万人を超えました。 「10年振りの快挙」と言えば大げさな、と言われるかも知れませんが、私は大きな声で叫びたい気持ちで一杯です。 入園者数至上主義ではありませんが、70万という数字は大きな目標でしたし、また、壁でもありました。 植物園の職員一同、心から素直に喜びたいと思います。 これは植物園を応援してくださるすべての関係者のおかげであることを忘れてはなりません。 「安心・安全の緑空間・憩いの場」としての評価が数字となって現れた結果であると思っていますが、その根底には、「生きたホンマモンの植物」を皆様方に提供し続けてきたことが間違っていなかったことも要因の一つ、と自負しています。植物の収集・保存・育成栽培・展示といった植物相手の仕事は実に息の長い、かつ地味な仕事ですが、我慢強く持続し先輩から後輩に連綿と継承してきた技術力と、それらの植物財産の存在をメディアを通じて紹介してきた努力などが改めて評価されたと思っています。 今後とも、大きな社会的貢献を果たす府民の財産・国民の財産である施設として、京都府が誇る真の植物園であり続けるために職員一同がんばってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 御入園いただいた皆様、植物園に関係していただいているすべての皆様に感謝・深謝!

2007年4月1日京都府立植物園園長  松谷 茂

今後とも京都府立植物園をご支援ご愛顧いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。 

何に見えますか?(平成19年3月9日)

 ソランドラ・ロンギフロラのつぼみの写真  ソランドラ・ロンギフロラの開花の写真   
この形どこかで見たことが・・・ムンクの「叫び」!とも思いましたが、そうです、園長のきまぐれ園だよりのキャラクター(名称不詳:写真下)です。じつはソランドラ・ロンギフロラ (Solandra longiflora ナス科)の開花1日前のつぼみ(10~15センチ)です。つぼみがくぼんでいるところは、波状の花弁が合わさった部分になります(写真上右)。ジャマイカ地方原産で和名はナガバラッパバナで、花冠が大きくラッパ状になることからつけられています。 観覧温室内を探すとまだありました。こんどは宇宙人?それとも何に見えますか。 どちらもジャングルゾーンで3月いっぱい開花しています。 
 きまぐれ園だよりキャラクター  ボーモンティア・ムルティフロラの写真

 きまぐれ園だよりのキャラクター(写真小)、ボーモンティア・ムルティフロラ(Boaumontia multiflora キョウチクトウ科:写真大)

 

大好評!早春の草花展(平成19年3月7日)

ひとあし早く春を感じてもらおうと企画しました「早春の草花展」が大盛況です。外気では霜に当たると弱り、温室では大きくなりすぎる春の草花を北山門特設会場にて展示しています。暖冬の影響もあり、花いっぱい香りいっぱいの状態です。当園ではこれらの草花を種子から育てていること、200品種のひとつひとつに品種ラベルをつけていることにこだわっています。3月21日(祝日)まで開催しています。

早春の草花展の写真 品種名ラベルの写真

早春の草花展の風景(写真大)、品種名のラベル(写真小) 世界二大草花新品種審査会フロロセレクト(略称:F.S.)とオールアメリカセレクションズ(All America Selections、略称:A.A.S.)の金賞受賞品種にはラベルにマークをつけていますので要チェックです。

桜の樹勢回復(平成19年2月7日)

日本人にもっとも愛される花のひとつが桜。中でも「ソメイヨシノ(染井吉野)」といえば知らない人がいないくらい人気のある品種です。当園のソメイヨシノは大正13年(1924年)の開園時に植栽した樹齢80年以上のものと昭和36年(1961年)の再開園後に植栽した樹齢約50年のものが主体です。最近、ソメイヨシノの樹勢の衰えが目立つため、樹勢回復(若返り)作業に取り組んでいます。内容としては踏圧によって固まった地表面の改良、有機質などの投入、病気にかかった根や枝の処理などです。かなり手間のかかる作業ですが、満開の桜を楽しんでいただくためには、この時期には、欠かせない作業です。しかしながら相手は生き物。教科書どおりにはなかなかいきません。当園でも樹木担当の職員がいろいろ意見を出し合い、木と相談しつつ試行錯誤しながら作業をしているのが現状です。かなり弱った木からも出ている不定根(幹から出る根)を見るたびに、ソメイヨシノの生きようとする強い生命力を感じます。弱さと強さの両方を兼ね備えた木であることは間違いありません。

 

根を傷つけないように手作業で根のまわりを掘ります。根が乾燥しないように注意しながら進める(写真大)。理想的な根の生育状況。(写真小)。

高校生がんばる(平成19年2月2日)

1月31日から3日間京都府立洛陽工業高等学校環境科学科2年の生徒5名が植物園にインターンシップの体験にやってきました。当園では毎年、京都府内の中学や高校などの職業体験実習生を受け入れており、植物園のさまざまな仕事をしてもらっています。今回は腐葉土づくり、草花の植え替え、樹木の植栽、枯れ枝集めなど、地味でかつ根気を必要としますが、実は植物園では最も大切な底支えとなる作業を体験。初めての作業で肉体労働も多かったと思いましたが、最後まで礼儀正しく、真剣に取り組んでくれた姿には、こちらも見習うことがたくさんあります。短い期間でしたが、この経験が、未来ある若者の何かのお役に立てれば幸いです。

枯れ枝集め作業の写真 ドウダンツツジの植栽作業の写真

広い園内の枯れ枝を残さず集めてくれました(写真大)。ドウダンツツジの植栽(写真小)。 

ボラさんの冬作業(平成19年1月23日)

われわれ職員は植物園ボランティア(なからぎの会)の方を「ボラさん」という愛称で呼んでいますが、冬の作業のひとつに「種子整理」という作業をしてもらっています。種子整理というのは海外の植物園との種子交換(平成18年4月21日よまやま話参照)や園内で播種する種子の果肉や殻などを除去したりするもので、かなりの集中力と時間を要する忍耐のいる作業です。植物によって種子の大きさ、形状などもさまざまで、中にはツツジ類やアジサイ類のように「ほこり」のような種子もあり、種子整理の仕方にもかなりの経験が必要となります。海外の植物園からも人気がある日本の植物の種子ですが、ほとんどの作業をボラさんにかかわってもらっています。平成17年度種子交換業務実績:種子リスト発送63カ国363園、発送種子57科128種。この種子交換業務、昭和9年(1935年)に当植物園が日本ではじめて取り組んだことは、ほとんど知られていません。

種子整理の風景の写真 シマサルスベリの種子整理の写真 

地味な作業ですが、皆さん和気あいあいにやっておられます(写真大)。シマサルスベリの種子整理作業(写真小) 。

お問い合わせ

文化スポーツ部文化政策室 植物園

京都市左京区下鴨半木町

ファックス:075-701-0142

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