○京都府子育て支援条例

平成19年7月10日

京都府条例第39号

京都府子育て支援条例をここに公布する。

京都府子育て支援条例

目次

前文

第1章 総則(第1条―第9条)

第2章 子育て支援に関する施策

第1節 子育て家庭を支援する環境づくりのための施策(第10条―第13条)

第2節 子育て支援に取り組む地域づくりのための施策(第14条―第17条)

第3節 子育て支援に関する意識づくりのための施策(第18条―第20条)

第3章 京都府子育て支援審議会(第21条)

第4章 雑則(第22条)

附則

次代の社会を担う子どもが、権利を尊重され、夢と希望を持ち、心身ともに健やかに育つことは、すべての人々の願いであり、そのため、子どもの権利が定められた児童の権利に関する条約や、現行法制の下で、子どもの福祉や教育等に関する様々な取組が行われている。

しかし、近年、核家族化や少子高齢化の進行などにより、人と人とのつながりが希薄化し、地域社会においては子どもを温かく見守る力が次第に弱まり、家庭においても養育や教育をする力の低下が見られ、児童虐待が増加するなど、子どもが心身ともに健やかに育つ環境が失われつつある。このことが、更なる少子化の進行とそれに伴う経済の停滞や地域社会の活力の低下など、将来に様々な影響を及ぼすことが懸念されている。それは、この京都においても同様である。

こうした状況において、子育て家庭の期待にこたえ、未来の京都を担う子どもの権利が尊重されるとともに、その最善の利益が考慮され、子どもが心身ともに健やかに育ち、自立することができるよう、子育て支援に取り組む主体が連携し、及び協働して、子育てを社会全体で支えることが必要である。そのために、生命の尊厳はもとより、子育ての意義や子育てにおいて家庭が果たす役割及び家族のきずなの重要性について、すべての府民が認識を深め、地域社会における人と人とのきずなを再生して、子育て家庭の孤立化を防ぎ、子育てに伴う喜びを実感できる社会が実現されるよう子育て支援を推進していかなければならない。

このような認識の下に、子育て支援の推進に関する基本理念を定め、子育て支援に取り組む主体の責務及び役割を明らかにするとともに、それらの主体の一体となった取組により、子育て支援を総合的かつ計画的に推進するため、この条例を制定する。

第1章 総則

(基本理念)

第1条 子育て支援は、家庭が子どもの育つ基盤であり、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するとの認識の下に、子どもが心身ともに健やかに育ち、自立することができるよう、子育て支援に取り組む主体の連携及び協働により、次に掲げる事項を基本として推進されなければならない。

(1) 子どもを安心して生み、育てることのできる環境を整備し、子育て家庭を支援すること。

(2) 地域社会の様々な場において、自主的かつ自立的な子育て支援の取組が促進されること。

(3) 社会全体で子育て支援に取り組む意識の向上が図られること。

(府の責務)

第2条 府は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、子育て支援に関する総合的かつ計画的な施策を策定し、これを実施するものとする。

 府は、前項の規定による施策の策定及び実施に当たっては、府民、学校等(学校、幼稚園、保育所その他の子どもの教育、保育、養護等を行うものをいう。以下同じ。)、子育て支援団体(子育て支援の取組を行う団体をいう。以下同じ。)及び事業者(以下「府民等」という。)並びに市町村その他の関係機関等(以下「市町村等」という。)と連携し、及び協働して取り組むものとする。

(保護者の責務)

第3条 父母その他の保護者は、基本理念にのっとり、自らが子育てについての第一義的責任を有することを認識し、子どもを心身ともに健やかに育てなければならない。

(府民の役割)

第4条 府民は、基本理念にのっとり、子育て支援に関する関心と理解を深めるよう努めるとともに、子育て支援の取組を積極的に行うよう努めるものとする。

 府民は、府が実施する子育て支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(学校等の役割)

第5条 学校等は、基本理念にのっとり、子どもが集団での様々な活動を通じて、豊かな人間性とたくましく生きる力を備え成長することができるよう、子育て支援の積極的な取組に努めるとともに、府民、子育て支援団体及び事業者による子育て支援の取組に協力するよう努めるものとする。

 学校等は、府が実施する子育て支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(子育て支援団体の役割)

第6条 子育て支援団体は、基本理念にのっとり、子育て支援の取組を積極的に行うよう努めるとともに、その活動を通じて、府民及び事業者の子育て支援に関する関心と理解を深めるよう努めるものとする。

 子育て支援団体は、府が実施する子育て支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第7条 事業者は、基本理念にのっとり、その雇用する従業員の職業生活と家庭生活の両立が図られるよう必要な雇用環境の整備に努めるとともに、地域社会の一員として、子育て支援の取組を積極的に行うよう努めるものとする。

 事業者は、府が実施する子育て支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(子育て支援基本計画)

第8条 知事は、子育て支援に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画(以下「子育て支援基本計画」という。)を定めるものとする。

 子育て支援基本計画は、子育て支援に関する施策の目標及び内容について定めるものとする。

 知事は、子育て支援基本計画を定めるに当たっては、京都府子育て支援審議会の意見を聴くとともに、府民の意見を反映させるために必要な措置を講じるものとする。

 知事は、子育て支援基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

 前2項の規定は、子育て支援基本計画の変更について準用する。

 知事は、毎年、子育て支援基本計画に基づく子育て支援に関する施策の実施状況を取りまとめ、公表するものとする。

(平25条例27・一部改正)

(推進体制の整備)

第9条 府は、府民等及び市町村等と連携し、及び協働して子育て支援を推進するための体制を整備するものとする。

第2章 子育て支援に関する施策

第1節 子育て家庭を支援する環境づくりのための施策

(相談体制の充実及び拠点の整備)

第10条 府は、市町村等と連携して子育てに関する相談に対応するため、相談体制の充実その他の必要な施策を実施するものとする。

 府は、子育てにおいて家庭の果たす役割の重要性にかんがみ、家庭の問題に関し、総合的な支援を行うための拠点を整備するものとする。

(母子保健医療体制の充実等)

第11条 府は、安心して子どもを生み、育てることができる母子保健医療を推進する体制を整備するため、母子保健サービスの提供に係る体制並びに妊産婦及び乳幼児に対し良質かつ適切な医療等が提供される体制の充実その他の必要な施策を実施するものとする。

 府は、不妊治療を望む者に対し良質かつ適切な保健医療サービスが提供されるよう、不妊治療に係る情報提供、相談その他の必要な施策を実施するものとする。

(児童虐待の防止等の推進)

第12条 府は、児童虐待の防止等に関する対策を推進するため、相談体制の充実、市町村等との連携の促進その他の必要な施策を実施するものとする。

(経済的負担の軽減)

第13条 府は、子育てに伴う経済的負担の軽減を図るため、子どもの医療、教育、保育等に係る費用の負担の軽減その他の必要な施策を実施するものとする。

第2節 子育て支援に取り組む地域づくりのための施策

(子育て支援のための仕組みの整備の推進)

第14条 府は、府民等による子育て支援の取組が自主的かつ自立的に行われる仕組みの整備を推進するため、子育て支援の取組を行う府民等の相互の交流及び連携の促進、子育て支援の取組を担う人材の育成、子育て支援団体の活動への支援その他の必要な施策を実施するものとする。

(安心・安全の確保)

第15条 府は、子どもが安心・安全に生活することができるよう、子どもを犯罪、交通事故その他の危害から守るための府民等の活動への支援その他の必要な施策を実施するものとする。

(子育て支援の場の充実)

第16条 府は、子育て支援の場を充実させるため、多様な需要に応じた保育サービスの提供に対する支援、子育て家庭が相互に交流する機会の提供、子どもと他の世代が交流する機会の提供その他の必要な施策を実施するものとする。

(子どもの健やかな成長の促進)

第17条 府は、子どもの健やかな成長を促進するための活動が府民等により活発に実施されるよう、食育の推進、自然や文化芸術に親しむことができる機会の確保、スポーツの振興その他の必要な施策を実施するものとする。

第3節 子育て支援に関する意識づくりのための施策

(教育及び啓発)

第18条 府は、生命の尊厳、子育ての意義並びに子育てにおいて家庭が果たす役割及び家族のきずなの重要性について府民の認識を深めるよう、必要な教育及び啓発を行うものとする。

 府は、子育て支援に関する府民の関心と理解を深めるよう、必要な教育及び啓発を行うものとする。

(子育て支援に関する気運の醸成)

第19条 府は、子育て支援に関する気運を醸成するため、子育て支援に積極的に取り組む府民等の表彰制度の実施、情報提供その他の必要な施策を実施するものとする。

(事業者による雇用環境の整備の促進)

第20条 府は、事業者による子育て支援のための雇用環境の整備が促進されるよう、子育て支援に積極的に取り組む事業者の認証制度の実施、情報提供その他の必要な施策を実施するものとする。

第3章 京都府子育て支援審議会

(平25条例27・追加)

(京都府子育て支援審議会)

第21条 知事の諮問に応じ、次に掲げる事務を処理させるため、京都府子育て支援審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(1) 第8条第3項(同条第5項において準用する場合を含む。)に規定する事項を処理すること。

(2) 子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)第72条第4項第1号に規定する事項を処理すること。

(3) 前2号に掲げるもののほか、子ども・子育て支援法第72条第4項第2号に規定する事項及び実施状況その他の子育て支援に関する重要事項を調査審議すること。

 審議会は、前項の規定によるもののほか、同項第3号に規定する重要事項について、知事に建議することができる。

 審議会は、委員25人以内で組織する。

 審議会に、専門の事項を調査させるため必要があるときは、前項の規定にかかわらず、専門委員を置くことができる。

 委員及び専門委員は、学識経験を有する者その他適当と思われる者のうちから、知事が任命する。

 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(平25条例27・追加、令5条例10・一部改正)

第4章 雑則

(平25条例27・旧第3章繰下)

(財政上の措置)

第22条 府は、子育て支援に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講じるものとする。

(平25条例27・旧第21条繰下)

この条例は、公布の日から施行する。

(平成25年条例第27号)

この条例は、公布の日から施行する。

(令和5年条例第10号)

この条例は、令和5年4月1日から施行する。

京都府子育て支援条例

平成19年7月10日 条例第39号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
第4編 生/第4章 児童福祉
沿革情報
平成19年7月10日 条例第39号
平成25年7月5日 条例第27号
令和5年3月17日 条例第10号
令和5年12月22日 条例第31号