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「京都の出版社に聞く」開催報告(第8回)

京都府立京都学・歴彩館では、今年度、京都の出版社の方に、自社のことや刊行している出版物のこと、ご自身の日々の仕事内容等についてご講演いただく、「京都の出版社に聞く」を開催しています。第8回目として、法藏館の方をお招きして開催しましたので、下記のとおり報告します。

  • 日時
    平成31年3月22日(金曜)18時30分~20時00分
  • 場所
    京都府立京都学・歴彩館1階 小ホール
  • 参加者数
    34名
  • 内容
    (1)講演 法藏館 統括(編集長兼務)戸城三千代氏
    法藏館は、本家西村九郎右衛門(丁子屋)の創業から数えて400年になり、真宗などの仏教書を中心に、主に学術専門書を出版しています。嘉永3年(1850)に10代九郎右衛門の三男西村七兵衛が独立し、明治18年頃に法藏館という名前になりました。
    法藏館には現在も板木蔵(ぐら)があり、1万点ほどが保管されています。江戸時代は、板木=版権で、道具でもあり権利でもありました。明治時代になると板木=版権のシステムが消滅していき、京都の版元の大半が廃業し、残った出版社は専門書に特化して出版するようになりました。
    法藏館の出版の特徴は、売り上げの約7割がお寺や門徒、研究者などへの直販で、お客様の顔が見える出版をしていることです。編集、営業の出版業務に加え、小売りの法蔵館書店もあり、12,000点の仏教書を取り揃えています。法蔵館書店では、法藏館以外の出版図書に加え、一般には流通していない、お寺の発行した本なども置いています。
    現在、本の出版は、博士論文の発表など研究者本人や先生の紹介も多いですが、編集者が年間30~40ほどの学会等に行き、編集者から声をかけることもあります。研究という形のないものを形にしていくのが編集者の仕事です。また、10年単位で編集出版しているシリーズも多くあります。
    学術書は専門性の高さこそが売りであり、学会が活気づくなど、文化を支えるものです。学知を社会に還元する媒体が出版社であると考えています。
  • 当日の様子
    『近世出版の板木研究』『仏教書出版三六〇年』『仏教学辞典 新版』などの当館所蔵資料のほか、法藏館様が持参された、今年1~3月に発行された本を展示しました。
    また、板木や関連する和綴じ本も持参してくださり、参加者が興味深く閲覧されていました。
     
講演の様子
出版社に聞く第8回1  出版社に聞く第8回2
 展示資料閲覧の様子
出版社に聞く第8回3

 

お問い合わせ

文化生活部文化政策室 京都学・歴彩館

京都市左京区下鴨半木町1-29

ファックス:075-791-9466

rekisaikan-kikaku@pref.kyoto.lg.jp