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「京都の出版社に聞く」開催報告(第9回)

京都府立京都学・歴彩館では、今年度、京都の出版社の方に、自社のことや刊行している出版物のこと、ご自身の日々の仕事内容等についてご講演いただく、「京都の出版社に聞く」を開催しています。第9回目として、便利堂の方をお招きして開催しましたので、下記のとおり報告します。

  • 日時
    令和元年10月25日(金曜)18時30分~20時00分
  • 場所
    京都府立京都学・歴彩館1階 小ホール
  • 参加者数
    33名
  • 内容
    (1)講演 便利堂 営業本部営業課長 藤岡篤弘氏
    創業の中村家は代々御所出入りの錫屋で、次男弥二郎が明治20(1887)年に15歳で貸本業を興したのが便利堂の始まりで、初代から四代までは中村家の兄弟が経営しました。その後、書店業に加え、広告・デザインなど幅広い事業を行いました。
    二代目の弥左衛門は、日露戦争前後の絵葉書ブームの中で、コロタイプ工房を設立します。京都の社寺の風景や古美術等を撮影し、コロタイプ印刷で写真集や絵葉書を作成しました。
    三代目の伝三郎の時代には、原色版印刷部が開設され、モノクロ印刷のコロタイプとカラーの原色版とによる美術印刷の便利堂としての基礎が確立しました。
    四代目の竹四郎は北大路魯山人と星岡茶寮を共同経営するなど幅広い事業を手掛け、便利堂の事業についても大きく発展させた人物です。
    昭和10(1935)年には、法隆寺金堂壁画の原寸大撮影が行われました。また、竹四郎長男の五代目桃太郎の時代には高松塚古墳壁画の撮影が行われており、これらは文化財を写真に記録しておくという大変意義のある仕事となりました。
    近年の取組としては、写真のコロタイプ印刷を行うという原点回帰ともいえる、国際コロタイプ写真コンペティションを行っています。
    また、今年は『国宝事典』第4版が約40年ぶりに改訂刊行されました。今回は作品の多くをカラー図版で掲載し、執筆は初版から変わらず文化庁の技官がされています。
    便利堂の社是として「学問・芸術・宗教に貢献する」があります。ほとんどが記録に残らないような仕事を先輩方が丁寧に積み重ねてきてくれたように、今後も皆様に便利堂があってよかったと思ってもらえるような仕事を日々やっていきたいと語られました。
  • 当日の様子
    講演の中で取り上げられた話題を中心とした図書資料に加え、大正から昭和期にかけて便利堂内に置かれた貴重図書影本刊行会の資料や黒川翠山撮影の絵葉書などを展示し、参加者は熱心に閲覧されていました。 
講演の様子
出版社に聞く9回1 出版社に聞く9回2
展示資料閲覧の様子
出版社に聞く9回3

 

お問い合わせ

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京都市左京区下鴨半木町1-29

ファックス:075-791-9466

rekisaikan-kikaku@pref.kyoto.lg.jp