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正月飾りなどに使うマツはサクラとともに知名度の高い樹木です。
常緑針葉樹の代表的な木であり、世界には100を超える種類があるといわれています。
マツの葉は、冬の霜や雪の激しさに色も変えず、一年中青々と葉を茂らせ、また、樹齢も長いことから特別な力を持つ木と考えられてきました。
中国では仙人の絵にはマツの木がよく描かれています。
また、凛としたその風貌から君子の気風をもつ木と考えられています。
その姿に敬意を表して十八公(松の字を分解したもの)の名前で呼ばれることもあったようです。
私たち日本人もマツに対して特別な想いを持っています。
マツは祀(まつ)るに通じ、神と関わりを持つ長寿でめでたい木とされ、正月には新しく神を迎えるために門松として玄関に立てられます。
さて、私たちがよく目にするマツには、アカマツとクロマツがあります。
アカマツは、樹皮が赤っぽく、内陸の山間部でよく見られます。
クロマツは、樹皮が黒っぽく、海岸沿いなどに多く、海岸の白砂青松の風景を作り出しているだけでなく、海から集落に吹き付ける砂を防ぐ防砂林として重要な役割を果たしています。
マツは、雌雄同株ですが、クロマツは樹形が男性的なことから雄松(おまつ)、それに対してアカマツは、雌松(めまつ)といわれます。
日本三景のうち天橋立、松島はその景色にマツが重要な役割を持っています。
また、万葉集にも70余首が登場しますが、「待つ」に通じるとして、恋しい想いで人を待つ恋歌にも詠まれています。
ちなみにマツは英語で「pine」ですが、同じ綴りの動詞で恋い慕うという意味があるのは少し不思議な気もします。
このように日本人の心と深い結びつきを持ってきたマツですが、最近はマツクイムシの被害などにより無惨な姿をさらしているのをよく見かけます。
22世紀にもマツの美しい緑をしっかりと残していきたいものです。
(写真:TJ 文:YY)
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