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2-1 健康診断実施のポイント

 健康管理の中心となるのは健康診断です。「職場における健康診断」は、単に疾病を早期に発見するだけでなく、現在の健康状態を把握し、その結果に基づいた適正配置、健康管理、作業環境管理等の事後措置を実施し、働く人が健全な職業生活を送るために実施されるものです。
 しかし、京都府内事業所の「職場における健康診断」の実施状況を見ますと、事業所全体の法定定期健康診断の実施率は約9割、小規模事業所では7割程度に止まっており、大企業に比べ低調な状況になっています。

1. 健康診断は1年に1回必ず実施しましょう!

(労働安全衛生法66条1項、労働安全衛生規則44条)

・事業者は、労働者に対し、1年に1回、定期に健康診断を実施しなければなりません。また、労働者側も、健康診断を受診しなければなりません。これを「一般定期健康診断」といいます。たとえ、従業員が1人でも実施しなければなりません。「一般定期健康診断」は、従業員が健康で働くことができるように実施するものです。健康診断の目的は、隠れている病気の発見だけではありません。年齢とともに変わる体の機能を調べ、健康を維持させるというねらいもあります。

「一般定期健康診断」の項目

  1. 既往歴及び業務歴の調査
  2. 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
  3. 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
  4. 胸部X線検査及び喀痰検査
  5. 血圧の測定
  6. 貧血検査(赤血球数、血色素量)
  7. 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
  8. 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド)
  9. 血糖検査
  10. 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
  11. 心電図検査(安静時心電図検査)

職場における健康診断一覧

名称
対象者
実施時期
関連規定
一般健康診断 全ての労働者 年1回以上 規則44条
深夜業等特定業務従事者
(規則13条1項2号に掲げる業務)
6月に1回以上(胸部X線検査を除く) 規則45条
雇入れ時健康診断 新たに雇入れた労働者 雇入れ時 規則43条
※検査項目は、一般健康診断と同じ(但し、喀痰検査は不要。)ですが、検査項目の省略は認められません。なお、雇入れ時の色覚検査は平成13年10月1日に廃止されました。
結核健康診断 結核発病のおそれがあると診断された労働者 結核発病のおそれがあると診断された健康診断の6月後 規則46条
歯科健康診断 塩酸・硝酸等歯に有害なガス・蒸気または粉じんを発散する場所における業務に従事する労働者 当該業務への配置換え(雇入れ)の際及び6月に1回 規則48条
海外派遣労働者の健康診断 海外勤務する又は海外勤務をして帰国した労働者 6月以上海外に派遣するとき、又は6月以上海外勤務し帰国したとき 規則45条の2
有機溶剤健康診断 有機溶剤業務に従事する労働者 当該業務への配置換え(雇入れ)の際及び6月に1回 有機溶剤中毒予防規則29条
特定化学物質健康診断 特定化学物質を取り扱う労働者 当該業務への配置換え(雇入れ)の際及び6月に1回 特定化学物質等障害予防規則39条
石綿健康診断 石綿物質を取り扱う労働者 当該業務への配置換え(雇入れ)の際及び6月に1回 石綿障害予防規則40条
鉛健康診断 鉛業務に従事する労働者 当該業務への配置換え(雇入れ)の際及び6月に1回 鉛中毒予防規則53条
電離放射線健康診断 放射線業務に従事する労働者 当該業務への配置換え(雇入れ)の際及び6月に1回 電離放射線障害防止規則56条

 低額で生活習慣病予防健診が受診できます!

 政府管掌健康保険に加入している被保険者(35歳以上)及び配偶者(40歳以上)は、労働安全衛生法で規定されている 一般定期健康診断を上回る内容の健診を低額で受診できる制度があります。事業所の定期健康診断として利用することも可能です。
 詳しくは、「政府管掌健康保険の生活習慣病予防検診」をご覧ください。

パートタイム労働者等短時間労働者は…

  1. 1年以上雇用見込み又は雇用されている者
  2. 1週間の所定労働時間が30時間以上又は同種の業務に従事する通常の労働者(正社員等)の3/4以上

の1及び2の要件を満たす者には、一般定期健康診断を実施しなければなりません。

 なお、2の要件をみたさない者であっても、1の要件を満たし、1週間の所定労働時間が通常の労働者(正社員等)の1/2以上である者に対しても、一般定期健康診断を実施することが望ましいとされています。(「短時間の雇用管理の改善等に関する法律の施行について」平成5年12月1日基発第633号「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針(パートタイム労働指針)」平成15年11月28日厚生労働省告示第370号)

パートタイム助成金を活用しましょう!

 パートタイム労働者への健康診断の実施など、正社員との均衡処遇に向けた取組を行った事業者に、助成金が支給されます。 →財団法人21世紀職業財団京都事務所

派遣労働者は…(労働者派遣法45条3項)

 派遣労働者の一般定期健康診断の実施については、派遣会社(派遣元)に義務づけられています。ただし、有害業務に派遣社員をつかせている場合は、派遣社員の派遣を受けている会社(派遣先)の事業者に対して、特殊健康診断(次の3.有害業務従事者は…の項)の実施が義務づけられています。

2. 深夜業等従事者には半年に1回の健康診断を!

(労働安全衛生法66条1項、労働安全衛生規則45条)

 深夜業は身体の調子を崩しやすく、より手厚い健康管理が必要です。事業者は、深夜業(午後10時から午前5時までの間に働くこと)従事者、著しく暑熱・寒冷・振動・強烈な騒音・重量物取り扱い・坑内・有害ガス・蒸気・粉じんなどの環境で働く労働者については、半年に1回、健康診断を受診させなければなりません。

自発的健康診断受診支援助成金制度とは…

深夜業従事者が年2回の法定健康診断に加えて自発的に健康診断を受診する場合に費用の一部が助成されます。

3. 有害業務従事者には特殊健康診断を!

(労働安全衛生法66条2項、有機溶剤中毒予防規則29条ほか)

 有害物は、中毒などの職業病を引き起こすおそれが高いため、特殊な健康診断により、健康管理を行う必要があります。
 事業者は、石綿・シンナー・鉛・クロム酸などの有害物を取り扱う従業員については、特殊健康診断を実施しなければなりません。
 有害物の種類によって、健康診断の内容が異なります。

*問い合わせ先→京都産業保健推進センター又は地域産業保健センター

健康管理手帳の交付を受けましょう・・・

 がんその他の重度の健康障害を発生させるおそれのある業務に従事し、一定の要件をみたした方は、離職時又は離職後に健康管理手帳が交付され、健康診断を無料で受けることができます。 →京都労働局安全衛生課

4. 雇入れ時に健康診断を実施しましょう!

(労働安全衛生法66条1項、労働安全衛生規則43条)

 事業者は、新しく雇った従業員に健康診断を実施しなければなりません。雇入れ時に従業員の健康状態を把握して、雇入れ後の健康管理に役立てるためのもので、この結果により、採用・不採用を決めるものではありません。
 検査項目は、一般健康診断と同じ(ただし、喀痰検査は不要。)ですが、検査項目の省略は認められません。なお、雇入れ時の色覚検査は平成13年10月1日に廃止されました。

5. 健康診断の結果を従業員に通知しましょう!

(労働安全衛生法66条の6、労働安全衛生規則51条の4)

 事業者は、健康診断を受診した従業員に対して、遅滞なくその結果を通知しなければなりません。

6. 健康診断の結果は記録して保存を!

(労働安全衛生法66条の3、労働安全衛生規則51条)

 健康診断の目的は健康診断そのものにあるのではなく、把握した個人の健康状態を基に、個人及び集団としての情報を医療指導、保健指導、作業方法、作業環境の改善等の措置を行うことにあります。
 このため、健康診断の結果は、経年変化がわかるように、個人毎に整理され、同時に集団として目的に応じて活用しやすいように統計学的に整理されることが大切です。一般に健康診断結果は、5年間、特定化学物質の一部については30年(石綿は40年)保存しなければなりません。
 また、法定健康診断を実施したときは、その結果を所管の労働基準監督署長に遅滞なく届けなければなりません。(労働安全衛生規則52条)

7. 健康診断の結果について、医師から意見を聴きましょう!

(労働安全衛生法66条の4、労働安全衛生規則51条の2)

 事業者は、健康診断の結果、異常の所見があった従業員の健康保持のために必要な措置(就業上の配慮事項など)について医師から意見を聴かければなりません。 意見を聴く医師は産業医が望ましい。 意見の内容については、次の区分(例)によることが望ましい。

 

 

就業区分 就業上の措置の内容
通常勤務(通常の勤務でよいもの)  
就業制限(勤務に制限を加える必要があるもの) 勤務による負荷を制限するため、労働時間の短縮、出張の制限、時間外労働の制限、労働負荷の制限、作業の転換、就業場所の変更、深夜業の回数の減少、昼間勤務への転換等の措置を講じる。
要休業(勤務を休む必要のあるもの) 療養のため、休暇、休職等により一定期間勤務させない措置を講じる。

 

 事業者は、医師の診断結果に基づき、必要な労働者に対して、早期に二次健康診断の受診を奨めましょう 

       

二次健康診断等給付制度があります!

 法定定期健康診断の結果、脳・心臓疾患に関連する一定の項目について、異常の所見があると診断された労働者に対し、労働者の請求に基づき、二次健康診断等給付が行われます。

8. 医師からの意見に基づく改善措置を実施しましょう!

(労働安全衛生法66条の5)

 事業者は、健康診断で異常の所見があった従業員について、医師からの意見を勘案して就業上の措置や作業環境の改善を実施しなければなりません。

就業上の措置

 事業者は、異常の所見のあった従業員の健康を保持するため、医師の意見に基づき、就業上の措置(就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業回数の減少など)を決定する場合には当該従業員の意見を聴き、了解が得られるようにしましょう。
 なお、就業上の措置は、労働者の健康保持を目的とするものであって、当該労働者の健康の保持に必要な措置を超えた措置を講ずべきでなく、医師等の意見を理由に、安易に解雇等をすることは避けましょう。

作業環境の改善

  事業者は、異常の所見のあった従業員の健康を保持するため、作業環境測定の実施、施設又は設備の設置又は整備、 作業方法の改善その他の適切な措置を決定する場合には、 衛生委員会又は安全衛生委員会を開催して調査審議しましょう。 
 衛生委員会等の設置義務のない事業場では、京都産業保健推進センターや労働衛生コンサルタントに相談しましょう。

9. プライバシー保護に留意を!

個々の労働者の健康に関する情報は、個人のプライバシーに属するものですから、 その保護に留意し、事業者は、特に就業上の措置の実施に当たって、関係者へ提供する情報の範囲は必要最小限としなければなりません。

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