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株式会社ビジョナップ(京都企業紹介)

知恵の経営元気印経営革新チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。

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京都品質QOL向上支援新商品サービス提供企業群

動体視力トレーニングメガネ「Visionup ビジョナップ」

(掲載日:平成28年3月10日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

 平成27年度元気印経営革新企業、株式会社ビジョナップ(京都市)の田村社長にお話をおうかがいしました。

プロ野球の球団や海外のサッカー代表チームも導入― 動体視力トレーニングメガネ「Visionup」

―今回、開発された「Visionup」とは、どんなものですか?

田村) 筋力トレーニングをする時、筋肉に負荷をかけますよね。それと同じく、視覚に負荷をかけて、具体的には液晶点滅レンズにより、OFF(透明=見える)とON(半透明=見えない)を繰り返して、その見え難さの程度で動体視力等の視覚機能を鍛えるトレーニング機器で、税抜42,000円です。点滅回数は、1Hzから200Hz(1秒間に200回点滅)の間で1Hz単位の調節が可能で、フレーム内にCPU、バッテリー等が内蔵されています。

―ON/OFFでチカチカして、視力が低下したりしないのですか?(笑)

田村) 大丈夫です。OFFの普通の状態から、ONで光らせているのではなく、遮断しているだけですから。まばたきを高速で行っているのと同じです。

―昨年10月に販売を開始されました。既にプロ野球の球団等でも導入されているとお聞きしました。

田村) はい。月100台程度出荷しています。日本のプロ野球3球団の他、ヨーロッパのサッカーやホッケーの代表チーム、プロ1部リーグのチーム、クレー射撃の金メダリストなどにもご利用いただいています。敢えて見えにくい状態でバッティング練習や守備練習をすることで、集中力、素早い判断力を鍛える意図もあるようです。また、ストロボスコープと同じように見えるので、バッティングの際にボールの軌道がイメージしやすくなったという声も頂戴しています。

図:Visionupの見え方 写真:サッカー選手

軽くて、割れにくく、大きなレンズ! 柔らかくて、頑丈なフレーム!

―短時間ですごいですね。もともと市場があるからですか?類似品があるのでしょうか?

田村) 今はないんです。数年前には、海外の大手スポーツ用品メーカーが類似品を販売しており、一時的に爆発的に売れましたが、点滅回数や暗さの調節の幅も小さくて効果が表れにくく、ガラス液晶で重たく使いにくかったようで、撤退されました。

―Visionupは違うと。

田村) まず、レンズについては、ガラス液晶ではなく、ポリカーボネイトで作った「フィルム液晶」を使用し、軽くて(メガネ総重量30g)割れにくいですし、それ故、レンズを大きくできましたので見やすいです。また、フレームについても柔らかい素材ですが頑丈であり、プロスポーツ選手、スポーツ愛好家仕様となっています。

写真:はかりに乗せたVisionup 写真:レンズを曲げている様子

これまでなかった「目のトレーニング市場」を創造

―そもそも開発の経過は?創業は最近でいらっしゃいますね。

田村) 大学卒業後、京都の大手機械メーカーで海外営業の仕事をしてきた経験を買われ、ある企業から、「ストロボスコープと同じようなメガネがあるので、代理店の一つになって手伝ってほしい」と言われました。ストロボスコープは以前仕事でも取り扱ったことがあり印象に残っていたため、興味が沸いて、2013年に代理店として創業しました。当社のホームページからの販売が好調で、顧客の声もよく拾えるようになり、それを商品企画やホームページに活かすことで、代理店の中でもずば抜けて売れるようになり、総代理店化、遂には事業そのものを引き受け、自社で製造販売するようになりました。そして、フィルム液晶、点滅のスピードアップなどの研究開発を重ね、スポーツビジョンの第一人者、愛知工業大学の石垣尚男教授に監修をいただいて昨年新商品「Visionup」の販売を開始しました。

―生産・販売体制は?

田村) 当社はファブレスで研究開発、商品企画開発・販売を行い、部材生産や組み立ては外注していますし、今後も様々な加工メーカーと連携していきたいです。

―販売も順調に伸びてらっしゃいますが、ご苦労されている点は?

田村) 創業間もなく小さな会社ですし、まだまだ知名度の点でも苦労しています。プロ選手に採用されていますが、彼らもライバルに知られたくないので、使っているということを言ってくれないのです(笑)。普通のサングラスと見た目も変わらないので、見た目でも気づかれにくいですし。卸を経由したら良いのでしょうけれど、中間マージンで当社の利益がなくなってしまうため、そういう流通経路も採りにくいのです。しかし、「目のトレーニング」という市場自体もないものですから難しい面もありますが、そうした市場の創造にチャレンジしていきたいのです。

「目のトレーニング」でスポーツ振興と健康長寿に貢献するというミッションに向けて邁進

―今後の展開はいかがでしょうか?

田村) まず1つは、Visionupのジュニアモデル(小中高生向け)の販売を4月から予定しています。8歳から18歳までの子どもに対して装着性や使用感のテストを繰り返し、操作の簡単なモデルを開発しました。子どもの運動能力が昔に比べて落ちている中で、視覚能力を鍛えることは、運動能力だけでなく、集中力の養成等にも役立つのではないかと考えています。

―ほかには?

田村) もう1つは、シニア向けのメガネ併用モデルの開発です。60歳以上では80%以上が日常的にメガネをかけて生活しているとのデータもありますので、メガネ併用モデルが必要です。こちらは、スポーツと眼の研究の第一人者の一人、吉井泉准教授と共同研究で進めております。吉井先生が地元のご高齢者の方々にVisionupを試着してもらい、4階と5階の間の階段を3往復ほどしてもらったところ、ヨロヨロとふらついて歩いていた方が、スタスタと真っ直ぐに歩けるようになったそうです。そのことをきっかけに、Visionup(当時の商品名はPrimary)を使って高齢者への効果に関する学術的なテストを行ない、正式に学会で報告もされています。

―IoT的なこともあり得ますか?

田村) もちろんです。スマホアプリとつないで、スポーツのトレーニング中、暗さや点滅スピードなどの設定をコーチが変えるなどということがあり得ます。またデータを貯めて、視覚能力とパフォーマンスの相関を見ていくようなことにもなっていくと思います。

 

今後の事業展開もますます楽しみです!!

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