ここから本文です。

Bioworks株式会社(京都企業紹介)

知恵の経営元気印経営革新チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。

京都企業紹介(業種別) 京都企業紹介(五十音順) スタートアップ title_naiture 京都府の産業支援情報

世界最高峰の国際テキスタイル見本市「Première Vision Paris」に出展されます!

(令和6年1月24日、ものづくり振興課)

同社「環境配慮素材 PlaX™」の最新コレクションが、フランス・パリで開催される世界最高峰の国際テキスタイル⾒本市 “Première Vision Paris(プルミエール・ヴィジョン・パリ)で展示されます!2023年夏に続き2度目の出展となります。

欧州ではアパレル産業のサステナビリティに関する法規制が進み、循環経済を支える持続可能な素材が求められる中で、Bioworks株式会社はファッション業界の環境負荷を減らすために「PlaX™」の世界的な普及に 注⼒されています。

 

プレスリリースはこちら(外部リンク)

地球と共に生きる、植物由来・ポリ乳酸素材の開発

(令和3年10月18日、ものづくり振興課:足利)

糸

Bioworks株式会社(外部リンク)(けいはんなベンチャーセンター)の滝越執行役員様、高屋様にお話をおうかがいしました。

植物由来・生分解性・カーボンニュートラルな「ポリ乳酸」

--まずは、御社の概要を教えてください。

滝越)2015年に設立、改質ポリ乳酸コンパウンド「PlaX」及び繊維製品の開発から製造・販売までを行っています。

--ポリ乳酸?乳酸って、激しい運動をした際に蓄積するもの、乳酸菌が作り出すもの、というイメージがありますね。

滝越)筋肉を収縮させるエネルギーを得るために、筋肉に蓄えられた糖が乳酸に分解されるわけですね。また、乳酸菌によって乳酸が作られると、腸内が酸性に保たれ、悪玉菌の増殖を抑えてくれるわけですね。

--そうそう、清酒づくりでも用いられますものね。

滝越)そうですね。そして、ポリ乳酸の「ポリ」とは「複数の」といった意味の接頭語ですので、ポリ乳酸と言うのは、乳酸を結合させた高分子ということです。工業用トウモロコシやサトウキビなどの植物からでんぷん(糖)を抽出し、微生物による発酵(分解)によって得られた乳酸を結合させて作られます。

植物由来

--なるほど。

滝越)ですので、「100%植物由来」で「生分解が可能」で、仮に焼却処分したとしても光合成でCO2を吸収してきた植物由来ですので「カーボンニュートラル」な素材なのです。

生分解

ファッション産業を取り巻く環境問題を解決

--ふむ。

滝越)ファッション産業は世界2位の環境汚染産業とみなされています。例えば、動物性素材の利用、合成繊維等の製造に伴う石油資源の消費のほか、大量生産・大量廃棄による地球温暖化への悪影響、染色工程で大量に水資源を消費し、洗濯等を通じてマイクロプラスチック海洋汚染にも繋がるなど、残念ながら大きな環境問題を抱えています。

--そうですね。

滝越)環境省のHPにも記載がありますが、日本国内で一人当たり年間平均での衣服の購入枚数については、18枚と言われています。一方で、消費に関しては12枚を手放すとともに、着用されない服は25枚もあります。しかも、手放された衣服の3分の2は焼却又は埋め立てされている状況です。

--そうなのですか?!

滝越)はい。今まで当たり前のように使われているファッションアイテムの素材を変えることで、ファッション業界の環境問題を根本から解決する、というのが私たちのミッションです。

植物由来の添加物で、「弱酸性・速乾性・抗菌消臭」+「高耐熱耐久性」+++=「PlaX

--なるほど!

滝越)実は、ポリ乳酸は随分以前から、大手素材メーカーを中心に研究開発されてきたものなのですが、染色性や耐熱性などの品質に課題があり、なかなか普及してこなかったのです。当社では、当社の前身のバイオベース株式会社時代から研究を続け、ついに植物由来の添加剤を開発することに成功しました。

耐久性、染色性

--おお!

滝越)具体的には、添加剤も乳酸から作っています。通常のポリ乳酸の分子は直線状に並んでいますが、分子の設計を工夫して添加剤を開発し、特性を変えたもの、例えば分子運動性の高いものにしています。こうした添加剤をポリ乳酸に混ぜると、ポリ乳酸分子にも同様の効果が起きます。

添加剤

--なるほど。

滝越)こうして、乳酸故に「肌にやさしい弱酸性」をはじめ「速乾性」「抗菌消臭」など、ポリ乳酸の本来の特長に加え、当社独自の添加剤によって「高耐熱・耐久性」など特長を兼ね備えた「PlaX」を生み出すことができました。

PLaxの機能

--ほう。

滝越)更に糸にして繊維にしたのが「PlaX Fiber(プラックスファイバー)」です。同業社のなかには、この添加剤を石油由来のものを混ぜ、耐久性をアップさせているメーカーもありますが、我々の知る限り添加剤まで植物由来のものを使って、ほぼ100%植物由来を実現し、耐久性や染色性をアップさせたメーカーは弊社だけです。

ファイバー

--いいですね。

滝越)更に吸水性もとても良いですよ。現在、肌へのやさしさを追求したBio Towelを販売しているのですが、こちらは上質なコットンとポリ乳酸を独自の配合で撚り合わせた糸を使うことで、高い吸水性を実現しました。第三者機関による吸水指数を検査する試験では、一般的なコットンタオルを大きく上回る数字をたたき出しています。

タオル タオル吸水性

--素晴らしい。

滝越)PlaX Fiberについては、今後、原料製造から製品製造へ、受注方式から自社D2Cへと、展開していきたいと思っています。

プラスチック成形と同じ現場で同等の生産性・加工可能性を実現できる

--なるほど。

高屋)実際には用途に応じて、安全性や信頼性を考慮し、既存物質も併用しながら改質します。添加剤による改質の目的の1つに結晶化促進による耐熱性向上があります。例えば、射出成形において、従来の改質ポリ乳酸では、ほとんど結晶化できず冷却速度を遅くする(冷却時間を長くする)しかありませんでした。一方、当社の添加剤を加えたPlaXは全く新しい結晶化促進機構により、結晶化速度を大幅に向上させることに成功しました。それにより、金型から取り出せる硬さに結晶化し固化するまでの速度を100倍以上向上させ、汎用樹脂と同様の成形サイクルでの加工が可能です。また、水温調節可能な100℃以下の金型での成形が出来るため、製造現場を選びません。私たちは現状に安住することなく、連々たる努力とノウハウを積み重ね、持続可能な社会を創造する手助けとなる開発を進めていきます。

冷却速度 成形時間

--ほう!

高屋)また、化粧品瓶などデザイン性の求められる小型瓶等の成形に適しているインジェクションブロー成形ですが、バイオプラスチックには変形や破裂などの課題が多くありました。そこで、当社が開発した添加剤を5%程度加えることにより、従来PET金型をそのままに、ポリ乳酸でボトルを作ることができます。今後は大手飲料メーカーや化粧品メーカーなどと協力し、地球環境へ少しでも貢献できる容器の拡販を進めていきます。

成形できる

--なるほど!

高屋)さらに、シャンプー容器やポリタンク等の成形に使われるダイレクトブロー成形。従来のポリ乳酸では、チューブ状に押出した樹脂が伸びて棒状になってしまうため、ダイレクトブロー成形は技術的に非常に難しいものとされていました。しかし、当社が開発した添加剤を加えたPlaXは、十分に増粘させることで、PE等の従来樹脂金型を用いても成形することに成功しました。押し出した樹脂を、ドローダウンなく、中空状態にすることが可能になります。市販のポリ乳酸を基に改質すれば、成形が可能です。今後は、自動車用途のエアダクトなど、サイズの大きい製品の成形にも挑戦し、事業化を進めていきます。

成形できるその2

--ふむふむ!

高屋)また、技術的には難しいと言われていますが、ポリ乳酸の透明性を維持したまま耐熱性を上げることにも挑戦しています。ポリ乳酸をやみくもに結晶化させると白濁します。白濁している場合、結晶の大きさは、およそ数十~数百マイクロメートルです。一方、私たちの添加剤を使用して制御した場合、結晶の大きさを数千から数万分の一に小さくし、強度を高めることに成功しています。

ESGを協力企業と一緒に

--植物由来・生分解性・カーボンニュートラルで、ファッション業界の問題を解決し、製品力もある・・・、まさにESGじゃないですか!

滝越)そうですね、ありがとうございます。実際、成形品だけでなく、繊維やフィルム・シートなど、用途は多様です。

スプーン ボトル 糸

--いいですね。

滝越)もちろん、物性の安定性、生産性の更なる向上、そのための研究開発人材の確保、原料製造・紡績等の協力工場の確保など、取り組むべきことがたくさんあります。ぜひ、様々な企業の皆様と協力できればと考えています!

 

今後の展開が楽しみですね!

 

お問い合わせ

商工労働観光部ものづくり振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4842

monozukuri@pref.kyoto.lg.jp