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株式会社ソフトディバイス(京都企業紹介)

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未来の製品やサービスのあり方を考え「共創」するデザインコンサルティングファーム

(令和4年3月3日、ものづくり振興課)

 

株式会社ソフトディバイス(外部リンク)(京都市)のUIデザイナー小林様、デザイナー金原様にお話をうかがいました。

 

-会社概要を教えてください。

小林)弊社は、先行開発と呼ばれるとても曖昧な分野から、ラインのお仕事といわれる製品を作る分野まで、UIデザインを中心にUXやサービスなども含めて関わらせていただくことが多いです。私は、北山のラボというプロトタイプをするための空間として作られた場所で勤務しております。

ラボでは、実際に考えたアイデアを、空中戦にならないようにしっかりとモノに落とし込んでそれを触って体感して、ブラッシュアップしていくという活動を主にしています。

金原)ラボで形を作ってそこにインターフェースがどういう形で入っているか、でそれがどういう体系になっているかをプロトタイプする仕事がメインの業務です。

 

-プロトタイプの過程を教えてください。

小林)プロトタイプの一環として、アイデアを体感することをスピードアップするために、バーチャルでやるならVRを使いますし、他にも例えばこの空間にこういうものがあったなとかMRのヘッドセットをかけて試作することもあります。また、もっとプリミティブな方法として、プロジェクターで情報を打てる状態にして、情報をオーバーレイさせて原始的VR・MRのような形でプロトタイプを進めていくやり方もよくやります。

金原)コンテンツとしてARとかVRを作っているというよりは、あくまでプロトタイピングの過程の中で、ツールとして使っています。

 

-XR技術の活用事例、XR技術を活用するきっかけを教えてください。

小林)例えば、異形なディスプレイが欲しいです、と言われた時にそれをわざわざ購入するのって大変なので、アクリル板で代用してそこに投影なり、リアプロジェクションなりしたら、もうそこでディスプレイが作れてしまいます。そういった、既存のツールでプロトタイプができない商品開発にXRをツールとして使うようになりました。

他にも、例えば車のインタラクションを考えるといった際に、まだ車がないけれども、見た目やドアがどう動くか等がとても重要になるようなケースがあったのですが、その時は実際に3Dでクルマ自体を起こして作りました。すごく小さなもの・大きなものなど、現実に存在しないものを作る場合にもXR技術を活用しています。

金原)僕らはUI・UXの会社で、UX部分の体験の部分っていうのは、体験をプロトタイプするために、「実際に作る」ことだけに時間をかけるのではなく、「想像してもらうものを作る」ことも大切です。それは例えば、ディスプレイだけがあって、プロジェクションすればそれで想像できますし、そこにいる人もそれらを体験しながら他のアイデアを出して考えていくことをドライブするためにXRを活用しています。

小林)アイデアの共有のために使うこともありますし、一緒に作り上げていく共創していくツールとして、使っています。一番わかりやすい事例ですと、ボリュームモックにホワイトボードシートを貼って、そこに手書きで書いていくということもやっています。ここにこんなボタンがあったらどうだろうとか、ファンクションがここにあったらどうだろうみたいな、アイデアを書くだけなので、顧客もその場で改良を加えられるわけです。それって、プロトタイプでどんどん回していくことができるので、プロジェクションのようなデジタルを活用する場合は、イメージ画像を貰ったらそれをすぐ投影できるツールを作ったりします。極力お客さんも作り手の方に回ってもらえるような、場作りみたいなものをツールにも使っています。

金原)手書きでやるのか、プロジェクションするのか、それともディスプレイに映すのかっていう、プロトタイピングを表現するに当たっての「解像度」みたいなものがどのくらい必要かっていうのを検討しながらツールを決めています。

 

-XRが普及するためには、どんなものがあればよいと思いますか。

小林)これももしかしたらまだまだ一般に落ちてないレベルの話なのかもしれないですけど、IoT家電が普及していく過程で、家電自体を買い換える普及もありましたが、家電をハックするための簡単ツールも商品化されて出ていったと感じています。ボタンを押すだけかもしれないし、電源のオンオフだけかもしれないんですが、そういうみんながぱっと「ああこれ便利だな」って感じられるようなツールに変化させてXRが存在してくると、普及が進むのではないかと思っています。

XRをコンテンツとしてエンタメなどに落としていくだけでは、それ以上はあまりないし、何か違うもうちょっと身近に感じられるもの、消費するものではなく使うものとして、存在するべきかなと思います。

 

-XRについて課題に感じていることを教えてください。

金原)HMDをかけて見るVRなど被り物系のものは、その場で一人でやってる感が強いと思うのです。体験している人以外も、その場にキャストすることはできるのですが、体験としては、ただVRをしている人が何を見てるか分かるぐらいのものですよね。

VRを体験していない人も体験している人の楽しさが分かるようになったらいいのにな、と感じます。例えばVRゲームでも、HMDを被っている人は大きな的を倒すキャラで、コントローラーを持って2Dで参加している人は小さい兵隊で、その大きな敵を一緒に倒すみたいな、VRをしている人と、従来の方法で遊んでいる人との組み合わせがうまくできるように、考えていけたらいいと思います。

 

-XRの市場が広がり、多くの消費者へXRが普及するためにはどうしたらよいと感じますか?

小林)視覚情報だけじゃなくて聴覚でも今、もうすでにクロスリアリティになっているなと僕は感じています。例えば、ノイズキャンセルのヘッドホンを僕は普段ずっと使っているのですが、それもかなりオーグメンテッドリアリティの一つだと思っています。その瞬間に僕は自分で音楽だけを楽しむ空間になったり、ポッドキャストを聴くための空間になるので、何か視覚以外でもどんどんそういうツールが増えていくのかなって思っています。ハプティックとかも何かあり得そうだなって思いますし、自分の感覚を一個増やすために視覚をインプットとして、別のものを感じ取るとか、温度であったりとか、目が見えない人のために視覚を補助するなど、オーグメンテッドリアリティを追求することが重要かなと思います。

金原)ツールの使いやすさ、浸透しやすさなんか大事だと思います。例えばそのノイズキャンセルのヘッドホンはアップルの設計がすごくいいから、装着するだけでその世界に入れるじゃないですか。でも例えば今のVRは、HMDを被って、起動して、よしやるぞ!っていう動作が必要です。そういったインタラクションのところにアプローチする距離感みたいなものもちゃんと設計してあげないといけないと思います。エンタメであれば、よしやるぞ!という工程があっても良いのですが、ちょっとした情報を見たいだけなのに、エンタメを体験するケースと同じインタラクションが必要であれば、アプローチアビリティが遠くなっていくと感じます。そういう、UI設計から考えていかなきゃいけないとは思います。

 

-ありがとうございました!今後とも応援しております。

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