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太陽機械工業株式会社(京都企業紹介)

知恵の経営元気印経営革新チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。

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「歯車」と「ものづくり文化」を創り出す

(掲載日:平成30年4月16日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

平成24年度、29年度元気印企業、太陽機械工業株式会社(亀岡市、南丹市等)の水主代表取締役社長様、岡本営業部長様にお話をおうかがいしました。

原点は歯車

水主) 1943年創業、現在従業員約200名で、自動車分野を中心に航空機やロボット分野まで広がってきておりますが、歯車(ギヤ)と、オイルポンプや減速機など歯車を組みこんだ各種ユニット製品等を製造しています。

  

―歯車は、だいたいどのくらいの種類をお作りなのですか?

岡本) そうですねえ、製品名でカウントすれば数百ですし、細かなラインナップで言えば数千ですね。

―すごいですねえ。

岡本) ロボット分野は、メーカーごとに違うというよりは日本工業規格に合う形で統一されていたりするのですが、自動車分野はメーカーごとに様々な特殊な歯車をお求めですね。例えば熱処理に関しても、ロボットの場合は、モーター駆動であり、高いトルクの負荷が急激にかかる、24時間稼働など長時間負荷がかかり続けることもある、といった具合であるため、熱処理への要求水準が高いですが、自動車の場合は、その歯車の用途によって、熱処理を施すものもあれば不要なものもあったり、様々です。

ワンストップ一貫対応だから実現できる高度な品質管理

―その熱処理工程も自社内でお持ちですよね。自動車業界では、御社クラスの規模になると、皆さん自社内でお持ちであるものなのですか?

水主) いや、珍しいと思います。以前は外注していたのですが、軽量化をはじめ自動車分野からの様々な要求に応えていくために、熱処理(焼入れ)を内製化したのです。これらにより、材料調達から、加工、熱処理、組み立てまでの一貫対応をしているというのが、当社の強みの1つですね。

―具体的な工程を少しご紹介ください。

岡本) まず、材料調達では、炭素の含有量、素材(SC材、SCM材等)、設計図通りの完成形等、様々な要素を考慮して選定することが重要です。材料選定後は調質(焼準)を行い、歯車素材に適当な硬さを加えていきます。

―なるほど。

岡本) 次に、熱処理前の加工では様々な機械を駆使し、旋盤加工、ギヤシェーパー加工、ホブ盤加工、シェービング加工、ヘリカルブローチ加工、MC(マシニング)加工などを行っていきます。

―いいですね。

岡本) この段階で一旦精度検査を行い、加工フェーズへフィードバックし、次に熱処理(焼入れ)です。検査は、製品の検査という面に加えて、カッターなど機械の状態も把握できます。

―なるほど。

岡本) そして熱処理後の加工としまして、円筒研削、端面研削、内径研削、内径ホーニング、超研削、ギヤハードホーニング等の研磨等を行い、測定・検査を行います。歯車でしたら三次元測定機、真円度測定器、歯車測定機などを用いますし、オイルポンプでしたら、万能性能試験機、ヒートサイクル装置などを用います。京都府(京都産業21)の補助金を活用して、最新の歯車研削盤(9軸NC制御、創成研削・成形研削で多種多様な歯車研削が可能)も導入しました。

―そうなのですね。

岡本) そして、マニュアルトランスミッションアッセンブリをはじめ、キャリアアッセンブリ、オイルポンプアッセンブリ、電子ビーム溶接などの組立工程を経て出荷です。最終チェック、防錆処理剤の塗布、緩衝材により傷が付かないような梱包を行います。

―こうした一貫対応により、どんな良いことがありますか?対応力、コストパフォーマンスなどはもちろんでしょうけれど。

水主) そうですね。その他には、やはり品質管理ですね。熱処理前にどんなに素晴らしい精度の歯車をつくり上げても熱処理で精度を崩しては何もなりません。そのため熱処理前に熱処理による歪み量を考慮して加工することが重要ですが、歪み量は、季節や環境の影響で毎回一定というわけではありませんので、イレギュラーな変化を想定した様々な変化パターンの判定基準を徹底的に明確化し、「歯車精度管理」と「熱処理歪み管理」を連動させていることがポイントです。

 

―すばらしい。

水主) さらにその前段として、歯切り工具の仕様決定時点において熱処理歪みを考慮した工具の仕様を決める必要があります。熱処理歪みを把握するため歪み量調査をテスト的に行い、工具の仕様に反映させています。その上で、工具毎に工具診断シートを作成、工具の使用状況と製品精度を監視して工具の健康状態を掌握する自己診断管理を継続的に行っています。こうした「工具管理」から、「歯車精度管理」、「熱処理歪み管理」に至るまで独自の品質管理を行っています。

量産も試作も― 「ものづくり」という文化を創ります

―いいですね。その他の特長はどういったことでしょうか?

水主) そうですね、自動車分野とロボット分野の両方に対応していることで、それぞれの分野に新しい提案をご提供しやすいということもありますね。歯車のQRコード管理など自動車分野で培ってきたノウハウが、ロボット分野では目新しいとか、逆もあります。

―なるほど。

水主) また、当社は大量生産だけを行っているのではありません。延べ人数194名の技能士が在籍し、試作開発からお客様のご相談を受けています。試作開発専用のラボを有しており、機密を気にされるお客様も安心して当社に任されます。

 

―いい人材がたくさんいらっしゃるのですね。人材の確保についてはいかがでしょう。大変な人手不足時代ですが。

水主) この4月も新規採用の社員が入ってきてくれていますが、たしかに困難な時代になりましたね。技術者も徐々に高齢化が進んでまいりますから、人手不足時代に対応できるよう、生産工程のロボット化等も検討は常に行っていますが、省力化はできても省人化までできそうだという解決策まではなかなか難しいのも現状です。

―確保されたい人材は、技術経験者や資格が必要なのでしょうか。

岡本) いえいえ、そういったことは特には問いません。ただ、「車が好き」「鉄が好き」という子の方が、馴染みやすいでしょうし、伸びやすいでしょうねえ。例えば、機械が止まっちゃった時などに、モーターがあって主軸があって刃があって、といった簡単なイメージを持っているのといないのとでは、全然対応が違ってきます。そういうイメージを持てるかどうかということが、結構重要なのです。

―人材の育成はどのようになさっているのですか。

水主) 松下幸之助さんもおっしゃってたかと思いますが「人づくりあってのものづくり」だと思います。小集団活動も月2回行っており、年1回発表会を開催しています。工具の改善提案があって、実際に不良率削減や時間短縮につながっていたり、工場のレイアウト変更なども、そうした提案から実現したりしているのですよ。

 

大変活気がある同社。今後の展開が楽しみですね!

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