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高木金属株式会社(京都企業紹介)

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神具仏具から最先端IoT機器開発まで小ロット・高品質対応で支える金色テクノロジー

(掲載日:平成29年3月28日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

高木金属株式会社(京都市伏見区)の高木代表取締役様にお話をおうかがいしました。

全国の神具・仏具をサポート― 随一の光沢・風合いの金めっき

―まず、事業の概要を教えてください。

高木) 社員33名で、金、銀、銅、プラチナ、ニッケル、スズなどの電解貴金属めっき、無電解めっきを行っています。

―めっき事業者数が全国的に往時の半分になっているともお聞きしますが、そうした中で、御社の強みはどういったところでしょうか。

高木) めっきには多種多様な種類があり、全てを網羅しているところはありません。どこかに特化しているところが生き残っています。当社の場合、装飾貴金属めっきで培ってきた技を活かして、工業分野において「小ロット・高品質」機能めっきを実現できるところが大きな強みです。

―どういうことですか?まずは、御社の貴金属めっきのことから教えてください。

高木) 創業以来、弊社の中心事業は神具・仏具向けの装飾用めっきです。職人さん、神具屋さん、仏具屋さん、工務店など、この業界では全国的によく知っていただいています。1999年には京都府知事から、2004年には厚生労働大臣から「現代の名工」の受賞をいただきました。特に研磨加工から金めっき加工まで全工程を自社内で行っているところは京都でも数社しかありません。

 

―金めっきは難しいのですか?

高木) やはりその光沢、風合い、色合いをいかにお客様のニーズにお応えできるかというところですね。例えば、他の地域では、下地としてニッケルめっきを施して、仕上げに金めっきをするといったことが一般的です。一方、京都の場合は、銅めっき、銀めっきを施した上で、金めっきを行います。その方が難しいし手間もかかりますが。風合い、色合い、光沢が長持ちするのです。

―なるほど。めっきの手法や工程について簡単に教えてください。

高木) 電気めっきです。おおまかに申しますと、ピンホール対策など前工程も極めて重要ですので、丁寧に脱脂や研磨を行います。そして、電気が通る銅線や治具で対象素材を吊るし、めっき液に浸していくわけですが、その浸し方にしましても、対象素材、めっき液の種類などに応じて様々なノウハウがあります。当社では、工程ごとに職人がおり、周辺工程の習得も含めますと、一人前になるのに15~20年かかるのです。

 

―そうなのですね!その中でも特長的な点についてはいかがでしょうか。

高木) 例えば、1つには、お客様から指定がある場合は別ですが、自社でめっき液の調合から行っていますので、細かな表現と言いましょうか、品質と言いましょうか、様々な要求に応えることができます。2つ目として設備に関しては、そうした品質を支えるため、めっき液の濃度を自動で維持する装置も導入しておりますし、自社で排水処理まで行っています。更に3つ目としては、前処理、あるいは光沢・風合いの表現のためにも非常に重要な研磨工程に関しても、熟練の技で、複雑な形状のものでも対応できますし、つや加減の難しいマットな風合いの対応なども上手く調整できます。

IoT機器の開発に― 同業者からも頼られる小ロット・高品質めっき

―素晴らしい。では、次に工業用めっきについて、教えてください。

高木) 5年ほど前から、工業用機能めっきにも展開を開始しました。一般的に工業用めっきの分野ではめっき工程を自動化されています。自動機をプログラムで操作するわけです。ですので、一定のロットが必要ですし、何より微妙な品質のコントロールが困難で、ヒトの技術面でもそのノウハウをなかなか蓄積されていないわけです。一方で、IoT時代が幕を開け、特にその試作や開発は国内でも盛んになると見込まれます。そこには、細かな精度や品質のコントロールとソリューション能力が必要になってくるわけです。

―なるほど!そこに御社が登場というわけですね。

高木) はい。先述のような、当社が装飾用めっきで培ってきた小ロット・高品質めっきのノウハウが活きてくるのです。実際、同業他社からも依頼が来ていますし、難易度が高くて他で断られたというような表面処理依頼も来ています。

 

―すごいですね!具体的にはどういった分野なのでしょうか?

高木) 一言でいえば、機能性で多くは通電が必要な部分ですので、電機、半導体、電気自動車、電池など様々あります。また、世の中全体として、軽量化の流れで、材料にアルミを利用することが増えており、その導電性を求めためっきニーズも増加しています。

―めっきの手法は?

高木) 電気めっきのほか、めっき厚の均一化に優れた無電解めっきも行っています。あるいは、無電解と電解とを組み合わせて、複雑な形状でもめっき液が通るところならめっき可能ですので、無電解めっきで導電性を確保した上で電気めっきを施すといったこともあります。

―特長については?

高木) 品質に自信あり!です。複雑形状の材料の表面に均一に薄膜を形成したり、数μというレベルで、微小な部品や微細な形状に組成や厚みを制御して任意の金属を析出させることなど、高度なめっきを得意としていますし、品質にこだわりを持ったお客様こそ、私たちのお客様です。マイクロメータ―、X線膜厚分析器でしっかりと検査を行う体制も整えています。

 

―なるほど。

高木) あるいは、機能性・効率を高める目的で部分的に表面処理を行う「部分めっき」を利用するケースも増えています。通常はマスキング溶液が使われるのですが、めっき後にそのマスキング溶液を除去する作業の手間もあり、敬遠されがちですが、当社では、マスキング処理の不具合から処理液がマスキング内部に入り混んで対象素材を浸食するといったトラブルなどを防ぐために、製品の形状にあった治具を開発して精度と効率を両立したマスキング処理を行ない、どのような複雑な形状の製品にも対応できます。

―どうして、それらのことが御社にはできるのですか?

高木) 技術ノウハウを研究開発してきたということに加え、お客様と設計段階から相談する、試作開発対応の体制をとっていることも大きいです。これにより、例えば、板金業のお客様と、設計段階から予め、めっき工程のことも踏まえた、微細なめっきを最適に行える設計のアドバイスを行うといったこともできるわけです。京都試作ネットの企業様とその客様に指導いただきながら、こうした技術ノウハウを高めてくることができ、感謝しています。

―最後に、今後の展望についてはいかがでしょう。

高木) めっきは、例えば、テフロン加工、抗菌作用などに関する様々な技術と組み合わせることもできます。職人を大事に育ててきた会社だと思っていますし、今後も彼らとともに、めっきの様々な可能性を追求し、社会に役立つ事業をどんどん展開していきたいです。

 

めっきと同社の可能性に、大いに期待ですね!

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