ここから本文です。

株式会社ヤマコー(京都企業紹介)

知恵の経営元気印経営革新チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。

京都企業紹介(業種別) 京都企業紹介(五十音順) 京都府プロフェッショナル人材戦略拠点 京都府の産業支援情報

経済産業省「攻めのIT経営中小企業百選」に選定!

(掲載日:平成29年6月8日、ものづくり振興課)

2017年5月31日(水曜日)開催の「攻めのIT経営中小企業百選(外部リンク)」選定企業発表会にて、選定されました!

(昨年受賞の関西IT百選の楯とともに)

プラダンのヤマコー

(掲載日:平成28年12月22日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

 

 (公財)京都産業21小企業事業継続・創生センターの「プロフェッショナル人材戦略拠点事業」をご利用いただきました、株式会社ヤマコー(宇治田原町)の山崎社長様、松永品質保証部長様、千葉総務部課長様にお話をおうかがいしました。

軽くて頑丈な「プラダン」の小ロット・一貫生産

まず、事業の概要を教えてください。

山崎) 従業員60名強でプラダン、すなわち、プラスチックダンボールの製造販売をしています。1974年に梱包資材の販売会社として起業し、現在も一部、紙ダンボールも取り扱っていますが、売上の9割がプラダンでして、専用の設計部門から緩衝材の加工、印刷部門も有しており、材料等仕入以外は社内で一貫対応を行っています。大手の紙ダンボールメーカーが兼業で作っているケースを除いて、専業メーカーでいえば国内で5指に入りますね。

―プラダンって何ですか?

山崎) 一般の紙ダンボールと同じような形状をしたポリプロピレン製のボードのことです。紙ダンボールと違って「頑丈」なので何度も使えて長持ちします。また、成形品のコンテナと比べると「軽さ」が大きな違いです。そして、紙ダンボールや金型が必要な成形品は大量生産が基本であるのに対して、小ロットの需要がメインであり、当社でもおよそ半分以上は1点や数点の小ロット対応です。

 

―どういう分野の顧客がどういう価値を求めてどういう利用の仕方をされているのですか?

千葉) まず、プラダンを最も多く利用されているのは自動車業界です。経済的なメリットと環境負荷の軽減ということです。自動車メーカーとその傘下にあるたくさんの下請企業との間で行われている部品等の運送に使われています。軽くて頑丈なので輸送に適しているということはもちろん、様々なサイズの部品に対応して、大きさ、間仕切りを作るなどの工夫その他、オーダーメードで対応できるということ、そして何より、紙ダンボールに比べて価格は高いですが、長期間繰り返し利用できますのでトータルコストでは安いということでしょう。

 

帯電防止・防塵、カラーでかっこいい― 用途が広がるプラダン

―なるほど。

千葉) あるいは、電子部品や精密部品などの工場内での工程間の部品搬送にもよく使われます。スタンダードなプラダンに導電素材をコーティングしたり、カーボンブラックを練りこんで導電シートにしたりするなどの工夫で、静電気を帯電しにくくでき、それにより埃が付きにくくなる利点があるからです。これにより、医療機器製造工場や食品製造工場などからの依頼も増えています。

 

―素晴らしい。

千葉) 最近増えてきている他の例では、看板などの広報関係、ディスプレイ業界、建築業界、店舗などの商業施設やスポーツ施設、イベント関係の看板やパネルなどの印刷も含めた依頼ですね。普通の紙に比べてプラダンは分厚いので、それを送るローラー機も含めて、社内にUV印刷機等を有しています。1点ものの依頼も多いですし、データがあれば即対応も可能です。また、軽くて頑丈で、様々な大きさや形を実現でき、しかもカラーでおしゃれということで、営業マンが商品箱としてもよくお使いです。

業界最大級の工場で大型対応

―プラダンの同業他社に比べての御社の特長についてはいかがでしょうか?

山崎) まず1つは、何メーターという大型コンテナも作ることができるということです。そのために1500坪の業界最大級の大きな工場を有しています。今年度中に敷地内にさらに1000坪の第2工場を増設予定です。

―すごいですね。機械も多種多様ですね。

千葉) そうですね。カットマシンも5台(最大2500mm×5000mm)有して同時にたくさんの受注に対応できるようにしています。また、カットと曲げを1台で両方対応できるマシンもあります。小ロット多品種の対応が多いですが、大量受注の場合にも抜き型でカットするプレス機ももちろん備えています。

  

―「曲げ」はどうするのですか?

千葉) 分厚さ、曲げる方向等に応じて、罫線で曲げる方法と、熱加工で曲げる方法があります。熱加工は温めた型を使うのですが、曲げ、端面封止、シートの接続(溶着)等を行う工程です。また、印刷工程は防塵除去、インキの温度管理なども行っており、フルカラー対応しておりますので写真もOKです。

  

ネット販売を駆使して業績向上

―いろいろあるのですね。

山崎) もう1つの当社の特長は、強力な販路を有しているということ、すなわち、インターネット販売(PLADAN.COM)により多くのお客様とダイレクトに繋がっているということです。おかげさまで、毎日30~50件以上の新規の見積もり依頼が来ており、業績も伸びています。

PLADAN.COM

―素晴らしいですね。

山崎) 最初から狙っていったというよりは、八方塞がりで辿り着いたというのが正直なところです(笑)。創業後20年間は紙ダンボールを中心に扱ってきましたが、大手もひしめくレッドオーシャンの価格競争に終始しておりました。大量生産の世界です。そこで20年前、新たにプラダンのというニッチな世界に入ってきたわけです。紙ダンボールは、いわば地域密着型の商売ですが、プラダンはそうではありません。そうした中でネットビジネスに辿り着いたわけです。紙ダンボールの20年間の礎があったことが活かされており、そのノウハウがプラダンの加工技術などに繋がっています。

「プロフェッショナル人材戦略拠点事業」を活用して品質管理人材スカウト

―さて、松永部長様は、このたび(公財)京都産業21小企業事業継続・創生センターの「プロフェッショナル人材戦略拠点事業」により確保された人材でらっしゃいます。どういう目的でスカウトされたのですか?

山崎) インターネットで製造直販するメーカーである限り、何よりも品質が会社の命です。ですので、松永部長のメインミッションは、肩書どおり品質管理なのです。日頃、お客様からのクレームはほとんどありません。しかし、それは、ネットビジネスで前払だからいちいちクレームをおっしゃらないのかもしれませんし、お客様からクレームがない、少ないということに満足していてはいけないと思ってきました。自社で品質管理を高めていこうと考えていたところに、「プロフェッショナル人材戦略拠点事業」のことを知って、活用させていただきました。

―松永部長様はいかがですか?有名家電メーカーご出身ですね。

松永) はい。製造部門の工程改善等を長年行ってきました。現在、例えば研修を月2回ペースで取り組んでいます。これまでの経験、ノウハウを「さらけ出せる」のですごくやりがいがあります。「全て出すから、それを生かすも殺すも皆さん次第だ」とはっぱをかけているくらいです(笑)。

―それは良かったです。

山崎) 実は松永部長が「試される」事案が発生しました。ある食品の得意先様からクレームが発生したのです。もちろん私も謝罪いたしましたが、これに対する得意先様への対応、社内の工程管理、品質管理の再構築などを見事に行ってくれました。松永部長がいなかったら、ここまでしっかりとした対応はできなかったでしょうし、普通ではこうした専門人材を見つけることが難しいことです。この人材確保事業には大変感謝しています。

―ありがとうございます。

松永) 現在、品質ISO、環境ISOの取得に向けて取り組むほか、安全衛生員会の活性化も図っています。また、本来総務部がやることですが、こうした企業理念や行動指針をまとめた名刺大のシートも作りました。

―素晴らしい。では、最後に今後の展望について教えてください。

山崎) 紙ダンボールで20年、プラダンで20年やってきましたし、あと10年後の創業50年をクリアしたいです。そうすれば100年企業にもなっていけると思っています。そのためにも、新工場を活用して、プラダンを応用した新たな商品づくりの研究開発に取り組んでいきたいと考えています。

(左から、千葉課長、山﨑社長、松永部長)

 

今後の新しい展開が大変楽しみですね。

お問い合わせ

商工労働観光部ものづくり振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4842

monozukuri@pref.kyoto.lg.jp