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第14回木津川・桂川・宇治川圏域河川整備計画検討委員会

第14回木津川・桂川・宇治川圏域河川整備計画検討委員会の開催結果

開催日時

平成26年2月24日(月曜日)午前10時から正午まで

場所

御所西 京都平安ホテル 「平安の間」

出席者

【委員】9名
井上 和也(京都大学名誉教授)
上原 真人(京都大学大学院文学研究科教授)
川島 茂人(京都大学大学院農学研究科教授)
出口 晶子(甲南大学文学部歴史文学科教授)
中村 久美(京都ノートルダム女子大学生活福祉文化学部教授)
羽倉 睦人(公募委員)
林  博之(京都府立嵯峨野高校教諭)
本郷 弥香(公募委員)
吉村 真由美(森林総合研究所主任研究員) 
(敬称略、五十音順)

【一般傍聴】 3名 
【行政関係者】 12名 
【報道関係】 1名

議事

  • 桂川上流圏域の治水の現状と課題について
  • 古川の段階的な河川整備の実施について(宇治川圏域)

結果

 桂川上流圏域の治水に関する現状と課題及び宇治川圏域の古川に関する段階的な河川整備の実施について説明し、概ね了解された。

主な発言内容

桂川上流圏域の治水の現状と課題について

【委員】
 桂川については、アユモドキの生息環境に配慮した改修計画を検討されていると思うが、上・下流地域のバランスを考えた段階的な河川整備の進め方においても、各段階でアユモドキの保護に配慮した計画としていただきたい。

【事務局】
 桂川の旧保津橋周辺の河川整備の実施に際しては、アユモドキに関するアドバイザー会議を設置し専門家による技術的助言を聴きながら事業を進めている。例えば、地下水を遮断しないよう鋼矢板に穴を空けるなど、護岸の工法や工事の進め方、モニタリング調査などについてアドバイスをいただき、アユモドキの生息環境に一度に大きなダメージを与えないよう進めている。

【委員】
 亀岡で計画されているサッカースタジアム建設との関係はいかが。

【事務局】
 前述のアドバイザー会議では、河川工事によるアユモドキへの影響についてどう対策するかを議論している。亀岡のサッカースタジアムは、これとは別に環境専門の委員会が設置され、アユモドキの保全について専門家の意見を聴きながら計画検討が進められている。

【委員】
 嵐山および保津峡は景観や観光資源としての価値を有するという観点から、治水対策をどう進めていくのかが大きな課題であることがよくわかった。事務局の説明では、河川整備以外の方法として流域全体での流出抑制についても検討していくことの必要性を示されている。これは、日吉ダムの建設によって保津川の川下り等が定常的に運行できるようになったことに加え、洪水が大きく緩和されたという経緯を考えれば、例えば、具体的に、中小河川のダムについても考えられているということか。それとも、もう少し別の方法を検討されているのか。

【事務局】
 嵐山を中心とした下流の河川整備には時間がかかるものと考えられ、洪水を下流へ流すという上流圏域の河川整備は下流の整備状況に合わせ少しずつ段階的に進めていくことになる。このため、流域の安全度を高めていくためにはできるだけ河川に水を集めない、流出を遅らせる手法を考えていく必要がある。その手法として、大規模な施設では、ダム、遊水地、放水路などがある。また、地域連携のもとで生活の中で取り組めるような手法として雨水貯留施設を進めたり、あるいは、農地などが有する遊水機能を向上させる手法などがある。いろいろな手法を次回以降にお示しし、その中で、この地域で実施可能な手法や当面の取り組みなどについて御議論いただきたいと考えている。

【委員】
 今回は、保津峡から日吉ダムまでの区間の課題がメインとなっていたが、日吉ダムより上流の治水安全度については問題ないということか。

【事務局】
 資料中、「桂川本川」というのは保津峡から日吉ダム下流までの区間を指しており、日吉ダムより上流は桂川(上)区間として、支川と同等の扱いで課題の整理をしている。昨年の台風18号で桂川(上)区間でも被害が発生しているが、掘込河道であることも考慮して整備計画の優先度を検討したい。

【委員】
 昔は、周山地域がよく浸水し町役場か何かに浸水した高さの記録が残っている。現在は、弓削川との合流点が改修されて流れがよくなったと地元の方がおっしゃっていたので、改修済みという整理がされたのか気になった。

【委員】
 資料の流下能力図が不等流計算によるものとすると、計算出発地点の水位は保津峡入口の請田地点におけるH-Q式(洪水流量観測による水位-流量曲線)から決めているのか。

【事務局】
 請田地点で流量観測は実施しているが、手元に資料がないので、次回に説明したい。

【委員】
 この流下能力図で、10分の1規模流量の毎秒1,500トンであれば、これまでの改修効果によりほとんど浸水は生じないが、毎秒2,100トンの洪水に対しては、部分的に流下能力が不足しているということでよいか。

【事務局】
 「霞堤」区間の堤防高が、10分の1規模の洪水が流下するときの水位で設定されているため、それ以上の洪水で溢れ出すという計画である。

【委員】
 過去の浸水状況を比較した図を見ると、日吉ダムの建設後に浸水範囲が減少していることがよく分かるが、人家被害として床上浸水の戸数や浸水深の記録はあるか。

【事務局】
 浸水戸数は昭和28年と昭和35年の洪水で1,000戸を超えていたものが、平成16年と平成25年ではそれぞれ大幅に減少した。浸水深は不明である。

【委員】
 やはり、降った雨をどんどん下流へ流すということには限界があるため、いかに河川に流出さないかということが重要になると思う。その場合の、市街地や住宅地において雨水を浸透させる努力については、主体となる部局が違うということであまり触れられていないのか。

【事務局】
 流域内での取り組みを含めたいわゆる総合的な治水対策は必要と考えている。河川管理者、市町村、地域住民、農林部局等が具体的にそれぞれ役割を果たすためには調整が必要であるが、基本的な考え方を次回に向けて整理したい。

【委員】
 道路の浸透舗装や住宅地での浸透面積の拡大、水田の保水機能の活用など、流域での取り組みはまだ普及しておらず、いつも今後の検討課題で終わっている。田や畑など農地は存在するだけで雨水流出が安定するという見方もある。それを積極的に活用するため、稲の花が咲く時期は別として刈取りが終わった時期であれば水を溜めるなど、府として少しでも具体的な対策に取り組むべきではないかと思っている。

【事務局】
 府の施策として流域で取り組んだという事例は少ないが、各地域で取り組まれている手法などをいろいろと幅広くお示しして、その中で、この地域ではどういった手法をとり得るのかを検討していきたい。また、何か良いアイデアがあれば紹介もいただきたい。

【委員】
 いろいろな施策を実施するには、河川の流量の低減にどのくらい貢献するのか定量的に把握するなど、研究が必要である。
 田に水を貯めれば流出量が減るのではないかということはよく言われるが、ただ、それが河川流量の減少にどれくらい貢献したか、なかなか定量的に把握できていないのが現実。

【委員】
 いかに洪水を流下させるかこということは昔からずっと研究されているが、いかに河川へ雨水を流出させないようにするかは研究として遅れている。そこは、研究者だけではなく、地方行政や国とも連携して研究を進めるべきだと思う。

古川の段階的な河川整備の実施について

【委員】
 用地買収が未着手の区間を確認したい。

【事務局】
 概ね国道24号から上流の区間である。

【委員】
 国道24号から上流は、全区間を同じ断面で整備するのか。

【事務局】
 今池川の合流点から下流はもう少し河川幅が広くなる。基本的な断面構成は資料の代表横断図と同じで、幅員のみが広がる。

【委員】
 河川整備計画では、自然環境への配慮として澪筋や水際の形成などを促すこととされているが、洪水時に大量の水が流れると、水際も澪筋もかなり状況が変化すると思われる。このような場合、これら水際等の環境が自然に回復するのか、それとも、再度の環境整備が必要か。再整備する場合は誰がどういう責任のもとに実施するのか。

【事務局】
 実際、台風18号のように大きな洪水が起きると、河川では想定を超える洗掘を受け、護岸が削られたり、河床が下がったり、あるいは大量に土砂がたまったりする。こうした場合、流下能力を確保し自然の再生を図るためには、河川管理者において護岸の修復や土砂の撤去などを実施し一旦元の姿に戻す必要がある。
 一般的に、自然環境に配慮した河川整備では年に2回から3回程度起きるような洪水を想定し、水の流れができるだけ自由に動くようにしておき、その中で生じた堆積や洗掘により瀬や淵として再生していくため、ある程度の川床幅を確保している。
 今回報告する古川の下流工区では緩い傾斜の河岸により植生の回復を図り、環境の大きな改変が生じないよう配慮している。

【委員】
 説明資料では、古川の河川整備は「河道拡幅」と「河床掘削」を行うこととし、段階的に、まずは「河床掘削」を実施することとされている。つまり、まずは「河床掘削」を実施し、完成した数年後に「河道拡幅」を行うという理解でよいか。

【事務局】
 記載方法等から誤解が生じたようであるが、流下能力が不足する区間では断面の拡幅も実施する。

【委員】
 古川は、旧巨椋池の地域でも最も低い地域を流下する大きな河川である。河川整備計画では最下流で毎秒275トンの流下断面を確保することとなっているが、洪水時に宇治川の水位が上昇し樋門が閉鎖されると、国が管理する排水機場のポンプによって大量の水が宇治川へ排出されることになる。また、先ほどの説明では、桂川も改修により流量が増加するということであるが、淀川水系でも上下流地域の安全度のバランスを十分考慮した整備が重要と考える。昨年の台風18号では、宇治川の観月橋地点で計画高水位を上回り堤防高まであと10cmまで迫った。一方、下流の枚方地点では計画高水位まで余裕があるなど、三川合流地点から下流の淀川が十分に機能していないのではないかと感じた。この辺り、府としてどのように考えているか、また、このような状況を受けて国交省に淀川改修の要望をする必要があるのではないかと思うがどうか。

【事務局】
 台風18号では、特に京都府と滋賀県で大きな降雨となり、宇治川と桂川においてそれぞれ計画高水位を超過する水位を記録し、流下能力を超える規模の洪水が発生した。淀川の3つの支川のうち、2つの河川で大きな洪水が発生したため、支川の水位は非常に高くなった一方で枚方地点ではあまり高くならなかったことから、下流だけ余裕があったのではないかと思われたかも知れないが、もし、大雨の範囲がもう少し広く木津川の水位まで上昇したとすると枚方でも大変なことになっていた可能性がある。このため、支川ではダム等に河川の水をためて洪水を調節し、下流で溢れさせないよう上下流で一定のバランスをとりながら整備を進めてもらっているところである。ただ、下流を改修しない限りは上流地域の洪水を安全に流下させることができないということも事実であり、府としても河川整備計画に位置付けられた淀川下流域の改修を促進されるよう、国に要望をしている。

【委員】
 淀川は桂川・宇治川・木津川の三川が合流しており、それぞれの河川の状態が相互に影響するため、合理的な計画を作ることも実際にコントロールすることもなかなか難しい河川だと思う。その上に琵琶湖があって、台風18号では全閉操作が話題になったが、琵琶湖がどう影響するかということも考えなければならない。近畿にとっては非常に重要な河川であり、その治水を図るということは非常に大事なことであるので、努力をお願いしたい。

【委員】
 古川については、早く何とかしてほしいという地元の方々の思いは強いだろうと思われるので、用地買収など難しい課題もあるが、ぜひ進めていただきたい。

お問い合わせ

建設交通部河川課

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