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第2回文教部会の開催結果

日時

平成30年10月29日(月曜日)午前10時00分から午後0時10分まで

場所

京都府職員福利厚生センター第3会議室

出席者

委員

郡嶌部会長、淺井委員、池坊委員、稲垣委員、奥野委員、布部委員、原委員

事務局

松本企画理事、稲垣政策企画部副部長

前川教育監、大路総務企画課長

植村文化スポーツ総務課長、中地文教課長、澤田大学政策課長

河島総合就業支援室長

配布資料

議事内容

委員からの主な意見

<歴史と伝統に培われた新しい京都の教育>
  • いじめなどの重大案件になりがちなのは、教員が抱え込んでしまうことであり、教員同士や学校の中の風通しが良いこと、また、その教員が自分のせいだと思ったり様々なことを抱え込んだりしないような学校の空気づくりが重要だと思います。それはいじめに関する問題だけではなくて、教員が採点や毎日の宿題を抱え込まずに全部対応できているかなども同じで、そのようなことも含めて学年主任や教務主任との連携がどれだけとれているかというのが、学校の風通しの良さにつながっていると思います。また、いじめについてはアンケートで非常に良い形で声を拾えている状況だと思うのですが、小学生とか中学生だとまだ素直に言えたとしても、高校生ぐらいになると学校に対してどれだけ本音が言えているのかというのが、少し怪しくなってくるのではないでしょうか。SNSはいじめにも使われますが、それを逆に使って解決する方策も考えられるのでは。
  • 社会人になると今度はいじめがパワハラと名前を変え、大人になっても同じようなことが続くことがあります。席替えやクラス替え、社会人で言いますと配置転換や人事異動、勤務地の変更等がありますが、そういったことで未然に防げるのでしたら、比較的学校の中で解決していくのも一つの方法だと思いました。
  • いじめに関する様々な事例をよく研究して、そういった情報が共有されることが望ましいと思います。
  • 子ども食堂やフードバンクについては、食品ロスの問題と関連しておそらく環境分野でも出てくると思いますが、この文教部会だけではなく、他の部会でも議論していかなければならない問題だと思います。
  • クラスの人間関係が固定化することによって様々な問題が発生してしまうということなので、クラス替え、あるいは特定のグループだけではなくて、クラスの中の色んな人と触れ合うような場が設けられないかと思います。今は一人で子育てをしている方も多いですが、そうなるとどうしても発想的にも行動的にも限界がある。親の負担が大きくなることで、どうしても親子が過剰に癒着してしまったりとか、あるいはなかなか多角的な視点で子育てができないという問題が発生したりしていると思います。そういう中で、例えば子どもがいじめを受けてそれがトラウマになり、医療機関にかかる方も多いと思うのですが、その医療機関でも明確な答えが出ない、改善しきれないということになれば、ますます保護者もどうしたら良いか分からない。もちろんそれぞれ守秘義務もあると思うのですが、問題を共有して、登校を支援するような道筋がつくれないでしょうか。また、クラスよりももう少し狭い範囲の親しい友人関係の中であれば、例えば不登校の生徒が登校する時に助けてあげたい、自分にできることがないだろうかという気持ちを持つ生徒や保護者もいると思います。ただ、関わった方が良いのか、あるいは距離を置いて見ている方が良いのか、また、関わる場合に具体的にどのように関われば良いのかといった迷いもあると思います。もし、クラスの中に不登校の方がいて、何かしてあげたいという気持ちがある場合に、それを上手く行動に結び付けられるような手立ても求められているのではないかと感じます。
  • 地域で地蔵盆をやっているのですが、子どもたちが毎年楽しみに待っていて、違う学校に通う子どもたち、私学も公立も含めて30人ぐらいが集まります。そして、夕食会では地域のおじいちゃん、おばあちゃんも参加して100人規模になります。お互い顔見知りですから、何かあればお互い子どもを叱り飛ばせます。子ども食堂がそういったオープンな場になって、食事だけなく、土日や夏休みの交流の場になったり、また、近隣の保護者が交代で子どもたちを見守ったりできれば非常に良いと思います。また、そこで非常に良いと思うのは、小学校6年生の子が小学校1年生を、中学生が小学生をなど、年齢が上の子どもが下の子どもの面倒をしっかり見ていることです。昔は集団登校や集団下校があったと思うのですが、上下の学年の交流ができると、上の子は下の子を見てあげようという意識が働きますので、中学校と小学校の交流、小学校6年生と小学校2年生の交流の場などを増やすのも一つの方法だと思います。
  • それぞれの地域の文化の継承にもつながりますし、地域の中で子どもが育っている、地域で子育てをするというためにも、是非とも地域のお祭りなどを学校の行事の一つに位置づけできないでしょうか。
  • 海外では部活動は学外で行っているところが非常に多く、日本でも、部活動を外部委託していこうと、文部科学省やスポーツ庁が働きかけを始めています。長い目で見た時に、Jリーグの百年構想や地域型のスポーツクラブなどを視野に入れた取組は、本当に重要なことではないでしょうか。現在、部活動が盛んで活性化している学校ももちろんあるので、それをつぶす必要はないと思うのですが、種目や競技によって、例えば亀岡市であれば今度スタジアムができますので、京都サンガを中心として、その地域のスポーツクラブが地域の人とともに発展していくというモデルを新しく創り出していくというのは重要だと思います。実は昨日、プライベートで、35歳以上の方が参加される「2018国際ゴールドマスターズ奈良大会」に行きまして、そこでは85歳の方が4×100メートルのリレーで7秒更新して世界記録を出されました。地域の方やおじいちゃん、おばあちゃんが頑張っている姿を若い人が見てすごいと感じ、また、お年寄りから子どもまでが一緒のグラウンドで運動する、スポーツをすることで地域の交流も生まれ、子どもたちの中でいじめが発生したらそれを未然に食いとめるようなシステムも働くと思います。もちろん学校での取組も大切ですが、地域でのスポーツを通した一つの人づくりの形、地域づくりの形というのがあればと思います。非常に時間がかかる構想ですが、そういう形で少しずつ動いていけば学校の役割も少し楽になるのではないでしょうか。
  • 京都の学校が落ち着いている一つ大きな理由として、私学の担っている役割が大きいと思います。公立では難しいタイプの子どもたちが、例えば私学で丁寧な修学支援をしてもらっているようなケースや、また、公立では難しい進路保障を私学が担っている部分もあり、京都は、今、このバランスが非常に良いと思っています。
  • 私学に対する「あんしん修学支援制度」は継続されていますが、今後のビジョンの中に盛り込む必要があるのではないでしょうか。この修学支援がなくなると私学が大変になっていきますので、そのような状況は子どもたちにとっても安心・安全ではないですし、研修も含めて公立と私学の教員が上手く交流できるような機会をさらに増やすと、京都の教育の良さが際立ってくるのではないかという気がします。
  • 不登校の子どもたちがSNSに寄り掛かっているという実態を逆手にとって、SNSを使っていじめの対応や不登校支援をするというようなことも必要で、昨年から大津市も取り組んでいますし、長野県も高校生に向けての先駆的な事例を随分積み重ねて報告していますので、これから研究、発展させていくことが必要だと思います。居場所は子どもたちにとって多ければ多いほど良いので、その空間を我々大人は、リアルな人間関係以外にも作っていく必要があると思います。不登校の研究では、学校規模による違いがかなり明確に出始めている、つまり小さな小学校の出身者が大きな中学校などに入った時に、初期段階で非常に居づらさを感じたり、馴染めない子たちがいたりするということです。京都府の中にある地域バランスや、在校生数の不均衡さのようなものに一度焦点を当て、小さな学校の出身者の居づらさのようなものに我々は目を配っておく必要があるという気がします。また、とても不登校傾向の強かった子どもたちが高校に行くことで成功しているケースが報告されていますので、そのような空間を大事にする対策をこれからさらに続けていくことは、いじめや不登校の問題においては重要なポイントではないかと思います。
<大学のまち京都>
  • 大学のエクステンションセンターを活用して、働きながら学び直そうとした場合、東京や大阪に比べると京都はかなり不利になっています。教養的なものではなく本当の意味でのリカレントとして学ぼうとすれば、それだけの人が集められるようなエクステンションセンターができるかどうかが問題だと思います。
  • 大学が市民に開放されているのは一部の講座に限られており、大学の姿勢にも関わることですが、行政として上手くコーディネートできればと思います。
  • 地域貢献活動の担い手として大学生が活躍していることは非常にうれしく、ありがたいことだと思います。少子・高齢化で地域の活動も高齢の方が多く、事業をつないでくれる人がいない場合や、その行事自体が実施できないということがあります。例えば大学のゼミなど、一時的ではなくて継続してやっていただけるような推進体制をお願いしたいと思っています。また、府内企業への就職については、京都は8割ぐらいが中小企業で、その企業だけでは十分な情報発信ができないけれども、京都ならではの非常に独創性の高い技術を持った良い仕事をしている企業がたくさんありますので、そのような中小企業へのマッチングも行政にお願いできればと思います。例えば、伝統工芸なども職人を育成するというだけではなくて、その職人たちを支える、例えば営業活動など様々な役割があると思いますので、そういうところのマッチングによって、将来的に京都の底支えにもなっていくということが考えられますので、検討していただけたらと思います。
  • この前、京都商工会議所青年部とジョブパークが一緒に中小企業を対象とした就活のイベントをしていて、学生の意見が聞きたいということで呼ばれたのですが、その時に中小企業の方が、ホームページもない、リクナビやマイナビなどに情報を掲載することもできないとおっしゃっていました。職人としてずっとやってきた方が社長になって、そこで本当にプライドを持って働いている方がたくさんいらっしゃるという事実が、学生のところに届いていないと感じています。今の学生はどうしてもSNSやホームページで企業を検索したりランキングで見たりして、こういうところで働きたいとイメージするので、そういうところで中小企業と学生との間で情報の差が生まれてきていると思います。実際にその企業の様子が発信できるようなサイトなど、学生が情報をキャッチしやすい広報というのを企業に伝えることも必要だと思っています。また、大企業は分かりやすいですが、中小企業がどういうものなのかわからない学生が多い。中小企業にしかない魅力もあると思いますので、学生が、大企業と中小企業の違いを分かった上で、大企業にするのか中小企業にするのか、府内にするのか府外にするのかという判断ができる状況をつくっていただければと思います。
  • 採用のために行政主催の合同企業説明会やマイナビを活用しています。近年、就職活動のスタート時期が毎年変わっているので非常に難しいと思いますが、行政主催の合同企業説明会については設定の時期が悪いことが多く、少し使い勝手が悪いので再考いただければと思います。採用の場においては、情報発信ができれば京都の企業は特に不利ではなく、むしろ京都に残りたいという志望動機がほとんどで、大学で京都に来たので京都の企業に就職したいという方が非常に多い。中小企業であっても学生にきちんと情報が届けば、採用できると思います。
  • 地域貢献のために行うボランティア活動は、ゼミ単位や、そういう問題に関心を持っている学生だけが集まってきている状況であり、大学生のボランティア活動を推進するセンターに登録して情報を得るような仕組みが必要だと思います。昔に比べると、社会に対して積極的に貢献しようとしている学生は多いにもかかわらず、そういうことに対して個々の教員ではなく、大学として全く感度を持ってない。そこを大学がやるのか、それとも京都府が何らかの形で主導するのかわかりませんが、強制ではなく学生が自主的に選択できるように、ボランティアを単位として認定する、授業出席日数としてカウントするなどの仕組みがないと進まないのではないでしょうか。
  • 奨学金で大学に通っている学生が5割を超え、特に京都は府外から来ている学生が多く生活費も必要であり、地域貢献も大切だけれども、自分の生活が第一という学生も多い状況です。ボランティアは最初は強制力を持たせないと難しいのですが、例えばゼミの活動の一環で地域の方と仲良くなって、また来年も行きますねというような交流が増えれば、自主的に行くようになると思います。単位として認定するのは難しいかもしれませんが、就職活動に有利になるなどの付加価値を付けること、京都の中小企業であれば、京都府がボランティアに行った証明書を発行して、履歴書にそれを書くと評価が上がるというような仕組みがあってもいいと思います。
  • 地域貢献の中で商店街などにかなり積極的な提案をしに行っても、どうせ卒業したらもうこれにかかわらないんだろう、継続性がないので一緒にやりたくない、というところもある。そのような壁みたいなものを取り払う必要があると思います。
  • せっかく京都は大学が多いにもかかわらず、機能的な連携が上手くいっていないように思います。その教員、その学生がいなくなったら終わりではなくて、組織と組織が連携しなくてはならないのに、京都府と包括連携協定を結んでいる大学は、45大学の中で7大学しかないという状況です。
  • 大規模な大学は行政とも連携しやすいですが、小さな大学や短期大学は手を挙げる方法も分からない。学生も金銭的に苦しいということなので、ボランティアであっても若干でも何か支援や金銭的なサポートがあれば、入り口は突破しやすいのではないでしょうか。
  • 地域の方々も参加して、「NPO法人きゅうたなべ倶楽部」という形で活動にすることによって、いまだにいろいろな取組が続いている例はありますが、大学でゼミを越えて活動するというのは非常に難しい。かといって包括連携協定を結んでも、これは行政と大学全体のものなので、民間と一緒にやりながらボランティア活動まで広げるというのはやはり非常に難しい状況です。
  • ボランティア活動の資金として使えるような基金ができれば、学生たちもそれに応募して積極的に活動してくれると思いますが、大学の経営も大変なので、なかなか難しいと思います。
  • 毎年、無農薬で米を作っているため人手が必要で、若い人たちを連れて行くととても喜ばれるのですが、反面、なぜそこだけなのか、何をしているのかなどと言う地域の方もおられます。地域の方がどれぐらい受け入れたいと思ってらっしゃるのかというところは、外部の人間には分からない。それを知りたいと思いますし、その点でマッチングは重要だと思っています。私たちも若い人にどんどん一緒にやってほしいですし、地域を盛り上げていきたいと実際に活動しています。18歳人口が今後減っていく中で、京都のこれからの担い手として、留学生を今後どのように受け入れて増やしていくのか、その増えた留学生にどう京都の人材として定着してもらうのか。また、京都で学んだ学生たちが果たして京都に定着するのか、定着することが絶対的に良いのかを考えることも必要です。例えば、京都府立大学で学び、海外や他の地方で経験を積んでから、もう一度、京都に帰ってきたいと思う人材をどう大学のうちに育てていくか、それは大学だけではなくて、小中高全てだと思います。長いスパンの話ですが、ただ京都に学生を囲おうというのではなく、国際都市・京都としてのあり方、どうすれば良い人材が京都に帰って来てくれるかということも考えなければならないと思います。
  • 大学において、現場を見るということができなくなっています。大学が大学の中にこもるのではなくて、他との連携をとるということが学生にとっていかに重要なことか、大学の自覚も必要だと思いますし、フィールドワークのような仕組みを大学の方に訴えていかなければならないと思います。
  • 自治体や団体から交流の申し込みが来ても動かない大学教員が多い。学部として取り組もうとか、あるいはそういう仕組みをつくろうとか、そういう話にならないことが多いです。
  • 同志社の経済学部では、選抜された5人程度の学生が、夏休みに海外支社を持つ京都企業にインターンに行っています。特定の大学だけではなく、他の大学からも応募できるようになれば、企業にとっては採用につながり、学生にとっては実際の職場が体験できるということで魅力があるのではないでしょうか。
  • 東京で働くことへの憧れを持つ学生が非常に多い中で、そこで学んだことを京都に持って帰ってこようと思う学生がどれだけ増えるのか。学生生活の中でそう思える経験ができたら、きっと戻ってくる方も多いと思います。私自身はどういう状況になっても必ず恩返ししようと思いますが、大学生活の中でそのような実感を得るのが難しいとも思います。大学生を京都に定着させるということも大切だと思いますが、それと並行して、京都の大学で学んで就職で出て行ったとしても、いつか帰って来てもらう仕組みも必要だと思います。
  • かつてゼミの京都府北部の出身者のうち、大学で学んで北部へ帰りたい人はどういう人なのかという調査をしたことがあるのですが、小中学校で自分自身の成功体験を持っている人は帰りたいと思う傾向があることがわかりました。先ほどのお話とも符合するので、どうやって成功体験をさせるのかを考える必要があると思います。
  • 京都は大学がいっぱいあって教育が非常に充実している、また、子育てしやすい町だから一度京都から出たけれども戻るなど、京都が好きな京都人が多いと思います。そのために子育て施策をもっと充実させるべきだと思いますし、また、教育も京都は全国的には高い位置にいますが、それをさらにどれだけ発展させるかということが重要です。京都の何が良かったかというのは、外に出ないと気づかない場合が多いと思うのですが、京都は良かった、京都に帰ってこようと思えるような成功体験や文化的な体験を子どもの時からいかに蓄積するかということが大切ではないかと思います。
  • 例えば、東京や大阪ではなく、京都で大学生活を送る意味、京都では何が学べるのかということが、はっきり見える形で学生に還元されると、学生もそれを実感できて、また次の就職なり子育てで帰ってくるなどの行動に結び付くのではないかと思います。
  • 本音では、一度京都というところに住んでみたかったという学生が非常に多いにもかかわらず、それが就職など将来の話になると、なかなかそれを引き止められない。それをどのように引き止めるかが問題だと思います。
  • 大学のまち京都であってほしいというのは大方の府民の願いだと思いますが、これまでは進学率の向上で賄ってきたところ、少子化の影響で学生が減っていきます。労働や国際交流などの分野にも関わりますが、留学生については文教部会でも何らかの姿勢を示す必要があると思います。

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