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京都府総合計画詳細版【将来構想】(音声読み上げ)について

府民と共に「京都夢実現プラン」京都府総合計画

ごあいさつ

京都府では、2019年10月、新しい行政運営の指針となる「京都府総合計画(京都夢実現プラン)」を策定しました。

私たちを取り巻く社会の情勢を見てみますと、少子高齢化・本格的な人口減少の進展により、経済活動や地域コミュニティの維持など様々な面において、大きな影響を及ぼすことが懸念されています。また、近年、AI・IoTなどの技術革新による社会のスマート化が急速に進展し、産業分野や私たちの暮らしへの活用が期待されています。一方、想定を超える規模の自然災害が頻発し、安心・安全に対する大きな脅威となるなど、京都府の未来を築き上げていくには、多くの課題が立ちはだかっています。

しかし、ここ京都には、長い歴史をかけて先人が守り紡いできた文化や伝統産業、そして、人と人との絆があります。私は、こうした「京都力(きょうとりょく)」とも言うべき力を結集し、府民の皆様とともに、京都府の未来に向けた歩みを進めていきたいと考えています。

この計画では、20年後の2040年に実現したい京都府の姿として、「一人ひとりの夢や希望が全ての地域で実現できる京都府をめざして」を掲げました。人を大切にしたい、環境も含めた地域を大切にしたい。京都府の未来を創り上げるには、人と地域という視点を大切にしたいとの思いを込めたものであります。

具体的には、20年後に実現したい将来像を示した「将来構想」、概ね4年間で取り組む実行計画とも言うべき「基本計画」、広域振興局ごとの「地域振興計画」を策定しました。特に、「基本計画」では、「府民協働で取り組むきょうとチャレンジ」として、「子育て環境日本一」「府民躍動」「文化創造」「新産業創造・成長」「災害・犯罪等からの安心・安全」の5つのテーマを選定し、府民や地域、企業等の皆様と連携し、横断的な取組を進めることとしており、皆様の幅広い御協力をお願い申し上げます。

本計画がめざす京都府の実現に向けて、府民の皆様と総力を結集し、府内全ての地域が活力にあふれ誇りの持てる、新しい時代の京都府を築き上げてまいります。

 

令和元年(2019年)12月 京都府知事 西脇 隆俊

「総合計画」の構成

「総合計画」とは、平成23年(2011年)に制定した「京都府行政運営の基本理念・原則となる条例」第4条の規定により、京都府のめざす方向性を将来構想、基本計画等の形で明らかにするものです。京都府総合計画は、「将来構想」と「基本計画」、「地域振興計画」によって構成しています。

将来構想

  1. 20年後に実現したい京都府の将来像
  2. 数値から見る時代の潮流

基本計画

  1. 府民協働で取り組むきょうとチャレンジ
  2. エリア構想
  3. 分野別基本施策
  4. 基本計画の数値目標について
  5. 基本計画の推進について

地域振興計画

  1. 山城地域振興計画
  2. 南丹地域振興計画
  3. 中丹地域振興計画
  4. 丹後地域振興計画

用語解説

将来構想

「将来構想」は、京都府がめざす方向性について、概ね20年後の令和22年(2040年)を展望し、実現したい将来像を理念的に示しています。

将来構想の構成

20年後に実現したい京都府の将来像
  1. 人とコミュニティを大切にする共生の京都府
  2. 文化の力で新たな価値を創造する京都府
  3. 豊かな産業を守り創造する京都府
  4. 環境にやさしく安心・安全な京都府
数値から見る時代の潮流
  1. 人口減少と少子高齢社会の本格化
  2. グローバル化の進展
  3. スマート社会の進展
  4. 進行する地球の温暖化
  5. 成長を支える交流基盤の進展

20年後に実現したい京都府の将来像

京都府の未来・2040
~一人ひとりの夢や希望が全ての地域で実現できる京都府をめざして~

 

「20年後の京都府社会はどうあるべきか」この命題に答えることは容易ではありません。

着実に進む少子高齢化と人口減少や、IoTなどの技術革新による社会のスマート化は、府民の暮らしをはじめ社会保障や経済活動などに対し、私たちの想像を超える速さで変化をもたらすでしょう。

一方、世界では人口増加が進み、更なるグローバル化の進展に加え、食糧問題、地球環境問題などの深刻化が予想される中、国連においては令和12年(2030年)を目標とする「持続可能な開発目標(SDGs(エス・ディー・ジーズ))」の取組が進められています。この取組は「誰一人取り残さない」という「包摂性」や、あらゆるステークホルダーが役割を担うという「参画型」などを主要原則としており、京都府の未来を築く上においても重要な目標です。

こうした「日本国内の変化」と「世界の変化」を、複眼的な視点でどのように捉え、変化にいかに対応すべきか、私たちに課せられた課題には困難なものがあります。

しかし、ここ京都には、長い歴史の中で紡ぎ受け継がれてきた豊かな文化をはじめ、多彩な観光資源や大学・研究機関の知恵、多様な企業の集積など、京都ならではの「力(ポテンシャル)」があります。

府民の皆様と手を携え総力を結集し、経済の量的拡大だけを追い求めるのではなく、「豊かさ」の価値を再創造し、高い理想と夢を掲げた「京都モデル」で日本、世界をリードする、そして、府内全ての地域が、活力にあふれ誇りの持てる、新しい時代の京都を、築き上げたいと考えています。

ここに、概ね20年後の2040年、私たちが実現したい京都府社会の姿として「一人ひとりの夢や希望が全ての地域で実現できる京都府をめざして」を掲げた上で、

  1. 人とコミュニティを大切にする共生の京都府
  2. 文化の力で新たな価値を創造する京都府
  3. 豊かな産業を守り創造する京都府
  4. 環境にやさしく安心・安全な京都府

の4つの姿を提示します。

1.人とコミュニティを大切にする共生の京都府

核家族化や産業構造の変化に伴う職住分離の進展は、結果として地域コミュニティの弱体化をもたらしました。

また、過疎・高齢化の進展に加え、単身世帯の増加や自治会加入率の低下等により、従来、家族や地域が果たしてきた支え合いの機能は、弱まりつつあります。

加えて、晩婚化や50歳時未婚率の上昇は、少子化をもたらし、人口減少社会という私たちが経験したことのない社会へと進みつつあります。

子どもたちの元気で明るい声は、全ての人を元気づける大きな力を持っています。子育てに夢のある地域は、全ての人にとっても、夢を感じられる地域です。そして、夢には社会を変革する力があります。

今から約150年前の明治維新、東京奠都により、京都の人口は大幅に減少しましたが、京都の人と地域の力で、大いなる復活を遂げました。

こうした先人の歩みに学び、府民、地域、企業などあらゆる主体の総力を結集し、「子育て」の視点から変革を進める社会を、ここ京都から築き上げたいと思います。そして、このことが、人生100年時代を迎える中での高齢者や、今後増加が見込まれる外国人も含め、全ての人々にとって、優しい社会になるものと確信しています。

今こそ私たちは挑戦します。

子育てに優しい社会は、全ての世代にとっても暮らしやすい社会です。一人ひとりの尊厳と人権が尊重され、男性も女性も、子どもも高齢者も障害者も、外国人も、全ての人が地域で「守られている」「包み込まれている」と感じ、誰もが持つ能力を発揮し、参画することのできる社会づくりを。

そして、2040年の京都府社会の姿として、誰もが生き生きと暮らし、幸せを実感できる、「人とコミュニティを大切にする共生の京都府」を実現します。

2.文化の力で新たな価値を創造する京都府

文化は、人々の暮らしの中に深く根ざし、長い歴史をかけて積み重ねられ、伝えられてきた英知の結晶です。

京都では、丹後から山城までの各地域において、豊かな自然環境や各地域が受け継いできた個性豊かな文化が築かれ、相互に影響し合い、高め合いながら、国内外との交流を通じた人の営みによって洗練され、深められてきました。

地域の祭りや伝統芸能、地蔵盆等の行催事をはじめ、地域の特性を生かした食文化など多彩な文化は、今も私たちの生活と地域の中に息づいています。

また、こうした文化は、世界中の多くの人々を魅了しているだけでなく、伝統産業や食産業をはじめ、先端技術の開発やそれを生かした産業、更にはコンテンツ産業等を生み出す源ともなっています。

京都が京都であり続けるためにも、人々の絆で守り伝えられてきた、こうした地域の文化をはじめとする文化の力を、しっかりと次代に継承していくことは、私たちに課せられた大きな使命です。

今こそ私たちは挑戦します。

地域の文化を継承・発展させ、京都府に住む人、学び働く人、訪れる人など全ての人を惹きつけ、さらには、文化が、観光、食、伝統産業から先端産業まであらゆる分野と融合し、京都流の新たな価値を創造し、発信し続ける社会づくりを。

そして、2040年の京都府社会の姿として、暮らしの中に多様な文化が息づき、文化の力が、京都力(きょうとりょく)の源泉となり、「文化の力で新たな価値を創造する京都府」を実現します。

3.豊かな産業を守り創造する京都府

京都府には、長い歴史と文化の中で育まれてきた「老舗」と称される多くの企業があります。そして、こうした「老舗」の持つ伝統技術と先端産業が融合することで新しい産業を生み出してきたように、産業の分野においても、多様な価値の共存が求められます。

今や、インターネットや携帯電話は、私たちの生活に欠かせないものとして定着し、時代はAI、IoT、VR、ARの活用へと進み、中小企業や農林水産業の成長、更に匠の技の継承や観光など、様々な分野での実用化が期待され、時代は、人間とAIやロボット等が共存していく社会へと進んでいます。

一方、北部地域に目を向けると、丹後ちりめんに代表される織物産業や、機械金属産業が発展し、また、長田野、綾部の工業団地における企業集積も進むほか、京都舞鶴港を中心とした人流(じんりゅう)・物流も活発な動きを見せています。

また、中部地域では、豊かな森や川の自然環境を生かした観光のほか、米や京野菜の生産、畜産や林業も盛んで、黒大豆、大納言小豆、栗等は、「京都丹波ブランド」として食の宝庫となっています。

さらに、南部地域では、ものづくり産業が集積し、また、宇治茶の主産地となっているほか、関西文化学術研究都市では、AIやIoTを活用した、キャッシュレス化や自動運転、遠隔医療などスマートシティへの取組が進められており、今まで以上に大学や企業・研究機関との連携を強化するとともに、取組成果の府内への波及に当たっても、こうした連携を生かして進めていく必要があります。

今後、新名神高速道路の開通など進展が見込まれる高速道路ネットワークや京都舞鶴港などの交流基盤に加え、京都経済センターを核に、経済界・大学・行政等が一体となった「オール京都」による強い連携の下で、グローバルな企業展開を含め、産業の力を更に伸ばしていく必要があります。

今こそ私たちは挑戦します。

大学や多様な企業、研究機関の集積を生かし、高度人材の確保、あらゆる産業分野の融合、ビッグデータの活用、さらには、AI、IoT分野の新たな技術開発やその活用で、イノベーションを起こし、キラリと光り輝く企業が府内のあらゆる地域に立地している社会づくりを。

そして、2040年の京都府社会の姿として、伝統と先端の融合により、「豊かな産業を守り創造する京都府」を実現します。

4.環境にやさしく安心・安全な京都府

地球温暖化の進行は、異常気象をもたらしているといわれるだけでなく、農林水産業や自然生態系への影響等、私たちの生活に様々な影響をもたらしています。こうした気候変動に適応し、「脱炭素」で地球環境と調和した持続可能な社会を築き上げるには、温室効果ガスの排出抑制、再生可能エネルギーの導入拡大等に加え、産業廃棄物やプラスチックごみの減量化や、豊かな森林を守り育てることなど、環境にやさしいライフスタイルや社会の仕組みを構築する必要があります。

また、近年、猛暑日の日数やゲリラ豪雨と呼ばれる大雨の発生回数が増加傾向にあるなど、気候変動の影響とみられる自然災害が全国各地で発生しており、こうした自然災害による被害の頻発は、定住や事業継続の意欲にも大きな打撃を与えています。

さらに、地震も含めた自然災害だけでなく、犯罪や交通事故から府民の安心・安全を守ることも極めて重要です。

こうした安心・安全の基盤づくりをベースとしつつ、北部地域など人口減少が更に進むと見込まれる地域をはじめ、府内どの地域においてもそれぞれに活力があり、誇りの持てる地域づくりを進める必要があります。

今こそ私たちは挑戦します。

頻発する自然災害の要因ともいわれる気候変動に適応し、「脱炭素」で環境にやさしい社会を実現するとともに、ハード・ソフトの両面から、災害・犯罪等からの安心・安全、そして全ての地域が地域資源を生かした豊かさを実感できる地域づくりを。

そして、2040年の京都府社会の姿として、地球環境と調和した、しなやかで強靭な「環境にやさしく安心・安全な京都府」を実現します。

数値から見る時代の潮流

ここでは、人口動態をはじめ令和22年(2040年)の京都府の姿について、以下に掲げる5つの面から、統計指標を中心に推移を分析しています。

  1. 人口減少と少子高齢社会の本格化
  2. グローバル化の進展
  3. スマート社会の進展
  4. 進行する地球の温暖化
  5. 成長を支える交流基盤の進展

1.人口減少と少子高齢社会の本格化

京都府の人口推計

平成30年(2018年)3月に、平成27年(2015年)の国勢調査結果に基づき発表された国立社会保障・人口問題研究所の推計(出生・死亡とも中位推計値)によると、京都府の総人口は、平成17年(2005年)からの減少が今後も続き、令和22年(2040年)には約224万人となり、その後もその減少に歯止めがかからないとされました。

地域別の人口推計

将来人口推計を京都市域と広域振興局単位の地域別に見ると、全ての地域で人口が減少する見込みとなっています。また、平成27年(2015年)から令和22年(2040年)にかけての減少率については、丹後地域の減少率が高く、近年の合計特殊出生率が府内でも高いとされる中丹地域でさえ2割を超える減少が見込まれます。

さらに、市町村別に見ると、人口の増加が見込まれる市町村もあり、令和22年(2040年)の人口推計として平成27年(2015年)比で、京田辺市は5%、木津川市は1.5%の人口増が見込まれています。その一方、笠置町、和束町、南山城村、伊根町においては人口減少率が50%を超えると見込まれ、近接する市町村の間でも状況が大きく異なる結果となっています。また、市町村内においても、人口が増える新興住宅地や再開発地域と、いわゆる高度経済成長期に建設され、高齢化や小世帯化が進む住宅団地や旧集落といった、それぞれに人口動態や生活上の課題が異なる地域を内包しています。

人口減少が令和22年(2040年)以降も続くと推計される中、今後、特に集落の維持が困難になることが予想され、持続可能な地域づくりに向けて、府民生活やコミュニティを維持していくための対策が求められています。

高齢化の状況

既に超高齢社会に突入しているといわれますが、京都府の将来人口推計における高齢化の予測を見ると、75歳以上の後期高齢者数は平成27年(2015年)の約33.7万人が、令和12年(2030年)に48.8万人とピークを迎え、令和22年(2040年)には約46.0万人となり約12.3万人増加すると見込まれています。また、後期高齢者数の占める割合を見ると、平成27年(2015年)の12.9%が、令和12年(2030年)に20.1%に、令和22年(2040年)には20.6%と上昇を続け、5人に1人が後期高齢者となる見込みです。

地域別の状況を見ると、中丹地域や丹後地域における後期高齢者数は、現在とほぼ同数と見込まれますが、総人口そのものが減少するため後期高齢者の占める割合は上昇していきます。その一方で、京都市域では7.7万人、約40%の増、山城地域では3.9万人、約49%の増と人数・構成比ともに上昇が見込まれます。

また、高齢化の進展は、介護を要する方の増加を伴います。

65歳以上の高齢者で要介護認定を受けている方の人数と認定率を見ると、平成27年(2015年)の約14.0万人の19.5%が、令和22年(2040年)には約22.6万人の28.0%と、約8.6万人増加すると見込まれています。さらに、認知症高齢者数についても、平成27年(2015年)の約10.5万人が、令和22年(2040年)には約19.9万人と、概ね2倍になると見込まれています。

こうした超高齢社会に対応していくためには、医療・介護体制の充実に加え、今まで以上に「予防」という観点に注力することが重要です。

少子化の状況

一人の女性が、15歳から49歳までに産む子どもの数の平均を示す「合計特殊出生率」の推移を見ると、全国・京都府ともに1970年代から右肩下がりとなっていたものが、平成17年(2005年)を境に若干の回復の兆しを見せましたが近年は横ばい状態にあります。また、京都府は全国水準を常に下回っていますが、これは、未婚化・晩婚化の進行が一因と考えられています。

さらに、京都府の出生数の推移を見ると、今から約50年前の昭和45年(1970年)は4万人を超えていましたが、その後右肩下がりとなり、平成26年(2014年)に初めて2万人を下回りました。その後も横ばい・微減状態が続いており、これは、20歳代から30歳代の子育て世代の流出も影響していると考えられます。

人口減少の経済への影響

人口減少は経済成長の面にも大きな影響を及ぼします。京都府の15歳から64歳の生産年齢人口を見ると、ピーク時の平成7年(1995年)の約184万人が令和22年(2040年)には約120万人となり、約64万人の減少、率にして3割以上の減少が見込まれています。

一方で有効求人倍率は、平成21年(2009年)を境に景気浮揚とも相まって右肩上がりの傾向にある中、中小企業を中心に人材確保が課題となっており、特に、物流や建設、介護や福祉・医療の業種において人材難が叫ばれています。

府内総生産の推移を見ると、平成21年(2009年)以降、9.5兆円前後で横ばい状態にありましたが、平成26年(2014年)に増加に転じ、平成27年(2015年)は10.4兆円となっています。府内総生産の維持・向上に向けては、こうした人口減少を踏まえ、多様な人材を確保していくこと、働き方改革を進めること、AIの導入など効率化を進めることなど、戦略的な経営が求められています。

2.グローバル化の進展

拡大する世界市場

国連の世界人口予測によれば、毎年7千万人の人口増により、現在約76億人の世界人口は、令和12年(2030年)に約86億人、令和22年(2040年)に約92億人に達するとされ、引き続き、主としてアジア、アフリカの新興国を中心に、世界人口は増加し続けると予測されています。

京都府内の外国人居住者の状況を見ると、この4年間で8,584人の増加、また留学生の状況を見ても同様に2,330人の増加となっており、特にアジア圏からの居住者や留学生が増えています。京都府内の外国人宿泊者数についても、平成27年(2015年)に約322万人と前年に比べて約135万人の大幅な増加を見せ、その後も増加を続け、平成30年(2018年)に約460万人となり、平成25年(2013年)の約4倍となっています。ここでも、中国や台湾を中心にアジア圏からの宿泊者が大きく増加しています。

平成28年(2016年)に国が策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」によれば、外国人観光客数は令和2年(2020年)に4,000万人(平成27年(2015年)の1,974万人の約2倍)、令和12年(2030年)に6,000万人(平成27年(2015年)の約3倍)という目標が掲げられており、京都を訪れる訪日外国人観光客についても、引き続き、増加すると予想されます。

貿易面では、近畿2府4県の輸出入額の推移を見ると、平成7年(1995年)から20年間で約2倍となっているほか、平成29年(2017年)の京都舞鶴港のコンテナ取扱量は過去最高を記録するなど、世界人口の増加や新興国の経済成長による海外需要が、経済の成長につながっています。引き続き、世界経済の動向とグローバル化の進展が、京都経済に大きく影響を及ぼすものと予想されます。

3.スマート社会の進展

ICTの急速な進展と幅広い層への普及によって、人々のコミュニケーション手段の主流は、電話からメール・SNSへと移り変わってきました。平成29年(2017年)には、スマートフォンを保有している世帯の割合が、固定電話・パソコンを保有している世帯の割合を初めて上回るなど、モバイル端末の普及が爆発的に進んでいます。

SNSの普及によって、人々が広く社会へ情報発信する手段を手にしたことで、これまでにない交流が生まれていますが、その反面、犯罪に使われてしまうケースもあるなど、様々な課題も生じています。

年齢別にインターネットの利用者の割合を見ると、60歳代で4人に3人が、70歳代では約半数がインターネットを利用する時代となりました。今後、この割合は高まると考えられますが、60歳代では4人に1人が利用していないという現実にも目を向ける必要があります。

また、電子マネーによる決済の推移を見ると、電子マネーの決済額は年々増加し、その結果、ATM等による現金の支払額は徐々に減少しています。日本は現金を持ち歩いても比較的安全であることや、現金主義が根強いなどの理由はあるものの、クレジットカードが社会に深く浸透したアメリカや、電子マネーが急速に普及する中国などの新興国、政府主導で電子マネーに転換したスウェーデンなどと比べると、キャッシュレスへの移行が遅いという指摘もあります。

今後、こうした民間サービスの普及に加え、新しい時代のコミュニケーション手段をはじめとする最新のICTを行政サービスに積極的に取り入れることで、利便性の向上を図ることが求められます。

4.進行する地球の温暖化

京都府では、府地球温暖化対策推進計画(平成23年(2011年)~令和2年(2020年))に基づき、令和2年(2020年)における温室効果ガス排出量を1,107万トン-CO2(平成2年(1990年)と比べて25%削減)とする目標に向けて取組を進めています。さらに、地球温暖化対策条例において、令和12年(2030年)までに40%の削減、令和32年(2050年)までに80%の削減を掲げています。

なお、直近の排出量実績(平成29年度(2017年度))は1,206万トン-CO2であり、目標の25%削減(排出量1,107万トン-CO2)を達成するためには、更に99万トン-CO2の削減が必要です。

目標達成に向けては、府民生活や経済活動において、高い環境意識に基づく省エネルギー行動の徹底、エネルギー効率の高い技術や再生可能エネルギーの最大限の導入、公共交通機関の利用を促進するための基盤整備、地域全体でエネルギーを融通し利用するスマートグリッド等、新たな社会システムづくりが必要です。

一方で、府内の再生可能エネルギーの大宗を占める太陽光発電設備の導入の推移を見ると、平成26年度(2014年度)から平成29年度(2017年度)にかけて増加傾向にあり、また、EV、PHV、FCVなどの次世代自動車の導入状況を見ると、平成29年度末(2017年度末)時点において4,787台(EV2,467台、PHV2,283台、FCV37台)となっており、自動車保有台数当たりの普及率は全国で5位です。

地球温暖化の進展は、異常気象をもたらしているともいわれるなど、私たちの生活にとっても身近で大きな課題となっています。頻発する豪雨災害に強い地域づくりを進める上においても、気候変動への適応や脱炭素社会の実現など、パリ協定に掲げる目標達成に向け、社会・経済の仕組みや暮らしのあり方を大きく変革する必要があります。

5.成長を支える交流基盤の進展

道路網の整備

昭和56年(1981年)10月に国道9号のバイパス道路として事業着工して以来、30有余年の長い歳月を経て、京都の南北を結ぶ背骨となる高速道路網がつながりました。こうした交流基盤の整備は、観光入込客数の増加や企業立地の進展をもたらすなどストック効果が現れています。

しかしながら、府域の均衡ある発展と災害時のリダンダンシー(交通網の多重化)の確保を図る観点から、新名神高速道路や、山陰近畿自動車道の整備促進など、ミッシングリンク(途切れている未整備区間)の解消が必要となっています。

鉄道網の整備

府内の鉄道網について、電化率を見ると、昭和55年(1980年)の6.9%が、平成30年(2018年)には93.3%に、また、複線化率については、昭和55年(1980年)の11.5%が、平成30年(2018年)には32.2%となっています。

現在、奈良線の整備が進められていますが、引き続き電化、高速化・複線化の整備が求められています。また、今後、北陸新幹線の敦賀以西の延伸や、リニア中央新幹線についても整備が進められることとなっています。

京都舞鶴港の整備

関西圏の北の玄関口となる京都舞鶴港については、平成22年(2010年)に舞鶴国際ふ頭が供用し、京都縦貫自動車道の全線開通やこの間のポートセールスが実り、コンテナの取扱量は平成29年(2017年)で約20,000TEUを記録しました。

こうしたコンテナ取扱量の増加に対応した舞鶴国際ふ頭の更なる機能強化や、臨港道路の整備促進、航路の拡充が必要となっています。

クルーズ船の寄港についても近年急増しており、寄港回数は平成29年(2017年)で39回と過去最高を記録しました。また、国際フェリーについては、境港を経由する日韓露の定期航路がありますが、現在は貨物利用が中心となっており、旅客利用の拡大に向けて直航化が必要となっています。

今後、クルーズ船の大型化や国際フェリーの直航化に向けて、第2ふ頭や前島ふ頭の機能強化も必要となってきます。

 

基本計画(音声読み上げ1)に続く

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