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京都府総合計画詳細版【山城地域振興計画】(音声読み上げ2)について

施策の基本方向(基本的な視点、4年間の対応方向)

基本的な視点

山城地域における施策推進に当たっては、新名神の全線開通をはじめ、JR奈良線の高速化・複線化、北陸新幹線の新駅設置に向けた動きなどのインフラ整備や、大型商業施設や次世代型の物流拠点の整備など、飛躍的に高まる山城地域のハード面におけるポテンシャルと、「お茶の京都」、「竹の里・乙訓」による地域づくりなどソフト対策を生かしながら、その効果を山城地域の更なる発展につなげていくことをめざし、施策を推進します。

地域の将来像に向けて取り組む施策については、引き続き、「お茶の京都」による持続的な地域づくりを推進するとともに、全ての分野・地域において、人や絆づくり、それを支えるモビリティづくり、そのクオリティを高める山城や京都ブランドの活用を念頭に、京都府のみならず市町村、府民、企業、大学、教育機関、地域などが組織の枠組を超え、連携と協働の精神の下、横断的に実効ある取組を推進します。

また、施策の推進に当たっては、京都市や近隣府県との連携を図りながら、より広域的な視点で施策立案に努めます。

4年間の対応方向

「お茶の京都」による持続的な地域づくりの推進

  • 茶の文化的価値や魅力の発信
  • 地域資源を生かした交流拡大

人づくり・絆づくり

  • これからの地域づくり、地域産業等を担う人材の育成
  • 人材不足を踏まえた雇用対策等の推進
  • 児童、生徒、学生、若者の地域社会への参加促進、地域愛を高める仕掛けづくり
  • 外国人との共生の環境整備
  • しなやかで持続可能なコミュニティの創造

モビリティ構築

  • 生活を支える交通の維持・充実、輸送力の有効活用
  • 生活道路の整備・安全確保
  • 既存インフラ資源の活用

山城ブランド・京都ブランドの活用

  • 山城ならではの「宇治茶」「京野菜」の更なる展開
  • 世界水準を誇る京都・学研の研究機関や企業との連携・交流によるイノベーション創出
  • 全国ブランドの観光資源、特産物、食を生かした周遊・滞在型観光の展開

枠組を超えた協働・横断的推進

  • 連携・協働による「自助、共助、公助」の防災対策
  • 組織の垣根を取り払ったプロジェクト推進体制や地域資源をシェアする仕組みの構築
  • 防災と福祉、防災と農業等の異分野を融合した施策の展開

1.新名神の全線開通を見据え、それぞれのエリア特性に応じた地域づくりの推進

現状分析・課題

山城地域では、全国トップクラスの人口増加エリア、成熟しつつある都市エリア、地域整備が遅れてきたエリア、そして、深刻な過疎・高齢化が進行するエリアが混在しています。

このような山城地域においては、令和4年度(2022年度)にJR奈良線高速化・複線化第二期事業が完成し、沿線地域の利便性が向上するほか、さらに、令和5年度(2023年度)には新名神高速道路が全線開通、国道24号城陽井手木津川バイパス整備の進捗が見込まれるなど、木津川右岸地域が新たな国土軸と直結、全国につながることとなり、これを見据え、広域的な波及効果が期待できる新市街地や施設整備のプロジェクトが始動しています。

こうした複数の大型社会資本整備が進められる好機を生かし、これまで開発の遅れてきた木津川右岸エリアの整備の推進調整や、こうした開発整備とけいはんな学研都市の一層の発展が、いわば車の両輪となって山城地域の発展を牽引する「京都イノベーションベルト」の形成につなげていく必要があります。

また、過疎・高齢化が進み人口減少が懸念される相楽東部地域では、恵まれた自然環境等と都市圏に比較的近い立地を生かし、新たに整備される宇治木屋線(犬打峠)などの交流ネットワークをばねにした交流や地域振興の拠点となる整備をしていくことが必要です。

一方、乙訓地域や宇治市、八幡市、久御山町等、交通の利便性が高く、成熟しつつある市街地を有するエリアでは、都市基盤整備や駅周辺整備等市町のまちづくりとの連携により、都市機能の充実につなげていくことが求められています。

これらを踏まえて、山城地域の4つの地域特性に応じ、それぞれの地域づくりを推進するとともに、各施策の成果を山城の4つの地域にも波及するよう相互連携を図ることによって山城地域全体の発展につなげていきます。

具体的施策

ア.木津川右岸地域整備の計画的推進(城陽市、井手町、宇治田原町)

今後めざすべき将来像

木津川右岸エリアでは、新名神高速道路の全線開通を生かして、人流(じんりゅう)・物流・産業の拠点づくりを進め、国際空港や港湾等とも連携した活気あふれる経済圏を形成するとともに、国道24号城陽井手木津川バイパスやJR奈良線など交通インフラ整備を背景として移住・定住に適した良好な住環境を備えた生活圏の形成をめざします。

城陽市東部丘陵地での新市街地整備等促進

  • 山城地域全体の発展を牽引するシンボリックな土地利用の推進と企業の誘致の推進に向けて、「城陽市東部丘陵地整備推進協議会」において、城陽市、地元商工関係者、地権者、関係事業者等と情報共有・意見交換を図りながら、新市街地整備等を支援・促進します。
  • 城陽市東部丘陵地長池先行整備地区において立地が決定した大型アウトレットモールについて、地域と共存するとともに波及効果をもたらすよう整備を促進します。さらに、青谷先行整備地区では人手不足時代を克服する最先端のICTを活用した次世代型物流拠点の整備をめざします。また、広大な中間エリアの土地利用についても、先行整備地区の整備に引き続き、具体的な検討を進めます。
  • 城陽スマートIC(インターチェンジ)(仮称)につながる都市計画道路東部丘陵線、国道24号城陽井手木津川バイパス等の東部丘陵地内外の新たなネットワークの整備を支援・促進するとともに、山城総合運動公園城陽線(城陽橋)や国道307号の整備推進など、周辺地域と相まって、より効果的に市街地整備を支援していきます。
  • 木津川運動公園北側区域について、周辺土地利用計画の具体化や道路整備の進展など、環境や時代のニーズに柔軟に対応できるよう、総合的な視点でこれまでの施設計画を見直し、地元の要望等も含め幅広く意見を聞きながら新たな整備計画を策定し、早期整備に向けて取組を進めます。

まちづくりと整合のとれた道路整備の推進(国道24号城陽井手木津川バイパス、新名神高速道路宇治田原IC(インターチェンジ)(仮称)周辺等の開発、都市計画道路宇治田原山手線等の新市街地整備等)

  • 高速道路IC(インターチェンジ)アクセスとして新たに整備を進める道路については、既存道路の渋滞解消、災害時の安心・安全を確保するバイパスとしての役割や、企業立地・住宅等の沿道開発の可能性を飛躍的に高め地域産業の振興を担うものでもあるため、新たな市街地整備など計画的な土地利用を行うに際し、関係機関と連携して市町のまちづくり計画との整合を図るとともに、市町のまちづくりに対して必要な支援を行います。

JR奈良線の全線複線化等、日常の暮らしを支える鉄道ネットワークの充実・強化

  • JR奈良線の高速化・複線化第二期事業について、令和4年度(2022年度)開業に向けて推進するとともに、全線複線化の実現をめざし、駅前広場の整備等、鉄道利用者の増加につながる取組を進めます。

関連公共インフラ整備の推進

  • 新名神高速道路の整備効果を山城管内に広め、地域の生活、企業活動、観光を支える道路整備を促進・推進します。(城陽スマートIC(インターチェンジ)(仮称)、都市計画道路東部丘陵線、国道24号城陽井手木津川バイパス、都市計画道路東中央線、山城総合運動公園城陽線(城陽橋)、国道307号、都市計画道路宇治田原山手線、宇治木屋線(犬打峠)、国道163号、和束井手線、枚方山城線等)
  • 新たなまちづくりの進展に伴う汚水量に対応するため、木津川流域下水道洛南浄化センターにおいて、新たな水処理施設を増設します。
  • JR奈良線高速化・複線化に合わせ、関連する道路の整備を推進します。(上狛城陽線(都市計画道路玉水駅西交通広場)、山城青谷駅へのアクセス)

イ.けいはんな学研都市と木津川右岸整備が車の両輪となった京都イノベーションベルトの形成(京田辺市、木津川市、精華町)

今後めざすべき将来像

学研都市エリアでは、けいはんな学研都市のストックや研究成果を最大限に生かした「オール京都」による産学公連携により、MaaS(Mobility as a Service(マース(モビリティ・アズ・ア・サービス))、出発地から目的地まで、利用者にとっての最適経路を提示するとともに、複数の交通手段やその他のサービスを含め、一括して提供するサービス)の「レベル4」などスマートシティの実証を進め、木津川右岸エリアをはじめ相楽東部エリアまで拡大された次世代型スマートシティの実現をめざすとともに、我が国を代表する大学や研究機関、企業等が多数集積し、京都市域から連なる「京都イノベーションベルト」の形成をめざします。

けいはんな発の「スマートシティづくり」の推進

  • けいはんな学研都市においては、今後とも、我が国を代表する国際研究開発拠点として、これまでの知的集積・産業集積等のポテンシャルを発揮しながら、KICK(けいはんなオープンイノベーションセンター)を拠点としたオープンイノベーションの推進や産学公の連携による研究開発や新産業創出、人材育成に向けた取組を更に推進するとともに、持続可能なまちづくりのモデルとなる「スマートシティづくり」を進めます。

けいはんな学研都市の新たな発展に向けた整備促進・機能強化

  • けいはんな学研都市においては、世界をリードする研究機関や研究開発型企業が多数進出する一方で、新たな事業用地が不足していることから、今後、「南田辺・狛田地区」(うち、府所有の「南田辺西地区」)や「木津東地区」の整備促進を図るとともに、民有地を含めた新たな事業用地の創出に努め、未来を切り拓く世界のイノベーション拠点として、更なる機能強化・集積促進を図ります。
  • 関西国際空港からの交通アクセスや京奈和自動車道や新名神開通などの交通ネットワークの向上や地理的優位性を生かして、新たな事業用地の創出により、企業立地の促進、物流拠点の誘致・整備や新しい市街地の整備を推進します。また、北陸新幹線の延伸を見据え、木津川右岸エリアから新駅への東西交通の研究を行います。

関連公共インフラ整備の推進

  • 学研都市クラスター間や木津川左岸・右岸地域間など、地域間交流・地域内循環を促す基盤づくりを推進します。(都市計画道路山手幹線、枚方山城線、生駒精華線、天理加茂木津線等)
  • 学研都市新規クラスターの開発に向けたインフラ整備の検討を行います。
  • 学研都市の開発に伴う雨水の流出量増加に対応するため、河川の整備を進めます。(煤谷川、大井手川)
  • 学研都市の開発に伴う汚水量に対応するため、木津川流域下水道洛南浄化センターにおいて、新たな水処理施設を増設します。
  • JR奈良線の複線化を促進するとともに、JR片町線の高速化・複線化、関西本線の利便性向上等、けいはんな学研都市を中心とした南部地域の鉄道ネットワークの充実強化に向けた取組を推進します。

ウ.相楽東部の未来づくりの推進(笠置町、和束町、南山城村)

今後めざすべき将来像

相楽東部エリアでは、新名神高速道路へのアクセス道路の整備を促進し、人口減少と高齢化に歯止めをかけて、誰もが安心して暮らし続けられる地域をめざすとともに、豊かな自然や地域資源を生かした都市・農村交流により交流・関係人口が拡大され、移住を希望する方に魅力的と思われる地域をめざします。

豊かな自然環境を生かした「きづ川アクティビティパーク」の構築による交流推進等

  • 木津川や高山ダム湖等において豊かな自然を活用した新たな体験観光を掘り起こし、「京都きづ川アクティビティフェスタ(平成31年(2019年)3月初回実施)」の開催等により都市部から多くの交流人口を呼び込むとともに、持続可能な収益事業へ展開するため、地域団体に軸足をおいたアクティビティ事業の担い手育成を支援します。
  • 国土交通省の「かわまちづくり事業」等による木津川の活用を広域的に支援し、市町村域を越えた賑わいづくりや、昔、栄えた舟運を想定した収益事業の創出を図ります。

新たなネットワークによる時間距離短縮効果を生かした魅力ある交流・地域振興拠点の整備や企業立地促進

  • 地域の魅力を発信し、企業、工場、ホテルなど宿泊施設等の立地・整備を促進し、地域の雇用の創出を図ります。
  • スマートワーク・イン・レジデンス事業等により、けいはんな学研都市や周辺の都市部に近い利点を生かした多様な働き方を提案し、整備を進めているサテライトオフィスやコワーキングスペース等へ、魅力ある自然環境を生かした誘致ツアーや体験ができる社員研修の場の実施を通じて、ひと・企業の誘致の促進を図ります。

農家民宿や民泊の活用による体験交流の促進や魅力ある特産品開発や食の周遊促進

  • 体験交流ができるイベント体験民泊や地域のメリットを生かした様々な「泊」のスタイルの拡充に取り組みます。
  • 歴史に育まれたお茶の文化や地域の豊かな自然環境を生かした教育体験等のプログラムの充実を図るとともに、修学体験旅行等の宿泊交流体験をワンストップで受け入れる「京都やましろ体験交流協議会」をサポートし、全国の多くの若者の関係人口拡大を促進します。
  • 地域の特色ある農林産物の生産と加工品開発による土産物として商品化を進めます。
  • 相楽東部産ジビエや地域の農林産物を用いた「食」のマッチング等を進め、地域独自の食文化・伝統と観光が融合したガストロノミーツーリズムを促進します。

地域で住み続けるための暮らし・事業活動・子育ての支援

  • タクシー配車アプリや「相乗り型タクシー」の解禁などの新しい動きも踏まえながら、地域住民の移動手段のみならず荷物の運送や買い物代行などの生活支援サービスも一体的に提供する地域限定の輸送サービスである「マルチ交通」等、地域の生活を支えるモビリティの構築を支援します。
  • JR関西本線(加茂以東)沿線地域公共交通網形成計画に基づき、JR加茂駅からJR月ヶ瀬口駅を結ぶ相楽東部広域バスの運行や、スクールバス等による通学・通勤、買い物・通院など移動の利便性向上に向けた取組を支援します。
  • 貨客混載等の輸送力の有効活用に向けた取組や住民主体の福祉有償運送の構築、運営への支援を行います。
  • 相楽東部地域において、地域コミュニティ子育て支援広域化事業など地域交流会や子育て研修会等の実施を通じて、子育てしやすい環境づくりを支援します。

空家の有効活用など、移住・定住のための環境づくりを支援

  • 空家調査、空家利用の提案など、移住者に提供する空家の発掘を支援します。
  • 「京都移住コンシェルジュ」及び「移住呼びかけ人」と連携した移住情報の発信、移住セミナー等を開催します。
  • 地域イベントを活用しながら「空家バンク制度」をPRします。

持続可能な医療・介護・福祉と行政サービス提供に向けた幅広い連携強化

  • 高齢化が急速に進行する相楽東部エリアにおいて、医療・介護・福祉と行政が機能的に連携する住民主体の地域包括ケアの実現に向けたネットワークづくりを推進します。
  • 医療、介護、福祉系の学生や大学・学校に地域実習施設の提供等を行い、町村の魅力をPRして将来の就職先につなげる仕組みを作ります。
  • 平成29年(2017年)に発足した「相楽東部未来づくりセンター」のエリアマネジメント機能を強化するとともに、府と各町村においてしっかりと役割分担と連携を図りながら、産業振興、雇用促進、交流人口の拡大や移住・定住の促進を進め、住み慣れたまちで暮らし続けることのできる地域づくりを推進します。

関連公共インフラ整備の推進

  • 新名神高速道路全線開通の効果を波及させるネットワークづくりを進めるとともに、相楽東部地域に係る道路の異常気象時における安全性の向上や、交差点改良及び歩道整備による安全確保を進めます。(宇治木屋線(犬打峠)、国道163号(笠置町有市、南山城村今山等)、木津信楽線等)
  • JR関西本線の利便性向上等、鉄道ネットワークの充実強化に向けた取組を推進します。

エ.成熟しつつある都市エリアの都市機能等の充実

【京都市近郊の都市エリア(宇治市、八幡市、久御山町)】

今後めざすべき将来像

京都市に隣接した京都市近郊の都市エリアでは、都市近郊型農業の振興とともに、新市街地整備や産業集積を進め、多様な産業と住環境との調和のとれたまちづくりをめざします。

市町のまちづくりと連携した土地利用の推進

  • 新たな産業の創出等をめざす宇治市産業戦略、八幡京田辺JCT・IC(インターチェンジ)周辺などへの商業、産業、流通施設等の都市機能の集積、地域活性化と定住促進に向けた久御山町における新市街地整備構想、市町が取り組む新たなまちづくりのために策定する土地利用構想等について、京都市のまちづくりとも連携しながら、その推進を支援していきます。

道路、河川等の都市基盤整備や駅周辺整備等のまちづくりと連携した都市機能充実

  • JR奈良線高速化・複線化に合わせ、関連する道路の整備、河川の改修を推進します。(向島宇治線(宇治街道踏切)、戦川・新田川(JR橋りょう))
  • 令和5年度(2023年度)の新名神高速道路全線開通に合わせて、八幡京田辺IC(インターチェンジ)へのアクセス道路の整備を推進します。(都市計画道路内里高野道線、八幡京田辺インター線)

共生型地域づくりや活力を生み出すまちづくりを市町や地元企業と連携して推進

  • 地域経済の活性化を図るため、既存立地企業の成長・発展の促進を支援するとともに、企業の研究施設等の誘致を市町とともに進めます。
  • 住宅地域や商業地域の高齢化に伴う、空家・空き店舗対策や企業のオフィス等の誘致を市町とともに進めます。
  • 宇治橋周辺の「お茶と宇治のまち歴史公園(仮称)」をはじめ、リニューアルした宇治公園や天ヶ瀬ダムなどの観光周遊につながる「天ヶ瀬ダムかわまちづくり計画」を支援します。

関連公共インフラ整備の推進

  • 市町が進めるまちづくりと連携し、生活道路の整備や渋滞対策を推進します。(宇治淀線、都市計画道路八幡田辺線等)
  • 新たなまちづくりの進展に伴う汚水量に対応するため、木津川流域下水道洛南浄化センターにおいて、新たな水処理施設を増設します。

【乙訓地域の都市エリア(向日市、長岡京市、大山崎町)】

今後めざすべき将来像

乙訓地域の都市エリアでは、駅周辺整備や京都市内観光との連携を強化し、京都市をはじめ、お茶の京都エリア、近隣府県とも連携した周遊観光を促進するとともに、幹線道路整備や鉄道の立体交差化など都市機能が充実した地域をめざします。

市町のまちづくりと連携した土地利用の推進

  • JR向日町駅前開発などの鉄道駅周辺整備等、市町が取り組む新たなまちづくりのために策定する土地利用構想等について、その推進を支援していきます。

道路、河川等の都市基盤整備や駅周辺整備等のまちづくりと連携した都市機能充実

  • 乙訓地域2市1町を結ぶ西京高槻線をはじめ、地域内や隣接地域を結ぶ幹線道路の整備や道路と鉄道の立体交差化等により交通の円滑化や安全性向上を推進し、まちづくりを支援するとともに、観光客の誘致など地域の活力向上をめざします。また、歩道の整備やユニバーサルデザイン化を進め、歩行者の安全を確保します。(都市計画道路御陵山崎線、西京高槻線等)
  • 鉄道駅周辺整備や高速道路インターチェンジ周辺整備など、都市機能を大きく高める大規模プロジェクトを推進・支援します。(JR向日町駅、阪急洛西口駅、阪急長岡天神駅等)
  • 近年多発する豪雨災害の対策として、いろは呑龍トンネルの整備や河川の老朽化対策等を推進します。(いろは呑龍トンネル南幹線等、小畑川、小泉川)

共生型地域づくりや活力を生み出すまちづくりを市町や地元企業と連携して推進

  • 地域経済の活性化を図るため、既存立地企業の成長・発展の促進を支援するとともに、企業の研究施設等の誘致を市町とともに進めます。
  • 住宅地域や商業地域の高齢化に伴う、空家・空き店舗対策や企業のオフィス等の誘致を市町とともに進めます。
  • JR向日町駅周辺、阪急洛西口駅周辺、阪急長岡天神駅周辺、阪急西山天王山駅周辺の整備に加え、高速バスターミナルの更なる活用など、関係企業、市町と一体となって、活力を生み出すまちづくりを進めます。
  • 府立向日が丘支援学校の整備に合わせて、多様な機能の連携を充実させ、地域住民がお互いを尊重して生き生きと暮らすことのできる共生型地域づくり構想の実現に向けた取組を市町と連携して進めます。

関連公共インフラ整備の推進

  • 市町が進めるまちづくりと連携し、生活道路の整備や渋滞対策、通学路整備を推進します。(長法寺向日線、伏見柳谷高槻線等)

2.暮らしを支え、災害に強い持続可能な安心・安全の基盤づくり

ア.防災・減災対策の強化

現状分析・課題

平成24年(2012年)の京都府南部豪雨により甚大な浸水被害が生じたことから、これまでから重点的に天井川対策や都市部の床上浸水対策等の整備を進めてきたところです。

また、令和5年度(2023年度)に全線開通する新名神高速道路や関連するアクセス道路等の整備により、災害時のリダンダンシー(災害発生に備えた道路ネットワーク等の多重化)確保が大いに期待されるところです。

こうした中で、平成30年(2018年)には、大阪北部地震、7月豪雨等が相次ぎ、建物をはじめパイプハウスや農作物にも大きな被害が発生するなど、改めて自然災害への脅威が強まっています。公的な防災対策(公助)だけでは地域を守り切れないこともあり、地域で一人ひとりが備え(自助)、共に力を合わせること(共助)が、いざというときに力を発揮することから、天井川の安全対策、災害対応力を高める道路整備などのハード対策とともに、地域防災力を高めるソフト対策も必要性が増しています。

具体的施策

災害に強いまちづくりの推進(ハード)

  • 平成24年(2012年)の京都府南部豪雨関連河川の改修、背後地の利用状況やまちづくり計画の進展等を考慮した河川の改修を推進します。
  • 山城地域には天井川が多く、護岸や堤体が損傷すれば大きな被害を及ぼすため、切下げや補強、補修を順次進めます。
  • 大谷川、小川等において、国や市等の関係機関と連携を図り、効果・経済性を考慮のうえ、役割分担を行いながら適切に総合的な治水対策を進めます。
  • 土砂災害の危険性が高い箇所について、計画的に対策を進めます。
  • 災害等緊急時における道路交通機能を確保するため、緊急輸送道路の改良やバイパス整備、冠水対策、落石対策等を進めます。
  • 道路法面危険箇所の崩壊防止など防災対策を進めます。
  • 地域の安心・安全の向上やインフラ長寿命化のため、地域に身近な改善箇所を住民自らが提案し、地元調整をしながら工事を進めていく「府民協働型インフラ保全事業」を進めます。
  • 鉄道の下を通る地下道が豪雨時でも水没しないように、排水ポンプの更新等を進めます。
  • 桂川右岸における都市部の浸水被害を軽減するため、いろは呑龍トンネルの整備を着実に推進します。
  • 都市化に伴う排水量の変化に応じた排水機場の更新や老朽ため池の改修、治山事業等、災害に強い地域づくり・森づくりを進めます。

【事業推進箇所】

[災害関連等の河川の改修]

古川・井川、戦川・新田川(JR橋りょう)、弥陀次郎川、堂の川、大谷川、赤田川、煤谷川、大井手川等

[天井川対策]

天津神川、馬坂川、長谷川、青谷川、玉川、渋川、天神川、不動川、鳴子川、新川等

[土砂災害対策]

坂川、北川、炭山谷川、中ノ谷川、門前川等の砂防、早稲田等の急傾斜対策、切山、東畑の地すべり対策等

[道路交通機能の確保]

国道307号、国道163号(笠置町有市等)、木津信楽線等

[道路防災対策]

大津南郷宇治線、宇治木屋線、国道163号、木津信楽線等

[都市部浸水対策]

いろは呑龍トンネル

災害に強いまちづくりの推進(ソフト)

  • 災害に強い地域づくりを進めるため、防災重点ため池のハザードマップ作成や利用されなくなったため池の統廃合など、ハードだけでなくソフト対策も推進します。
  • 安心・安全な森・山づくりを進めるため、地域住民との協働により災害を回避できる取組を普及します。
  • 耐震性が不足する住宅について、建築関係団体等の協力を得て実施する耐震改修に関する技術的支援により、市町村と連携して耐震化を支援します。
  • 近年、局所的・突発的な豪雨が増え、記録的な雨量も繰り返し観測されているため、想定し得る最大規模の降雨による浸水想定区域図の公表を行うとともに、市町村と調整を行い危機管理型水位計の設置を進めます。
  • 内水被害軽減のため、国とも連携した排水ポンプ車の機動的運用を進めます。
  • 災害発生時に、市町村とのホットラインの活用や、帰宅困難者等に向けてホームページ、SNS等を活用した情報発信を行うなど、ソフト対策を進めるとともに、管内病院、企業集積地区におけるBCP(災害時に、被害を最小限に食い止め、事業継続を可能とする危機管理計画)策定の促進などに取り組みます。
  • 大規模災害時において、保健・医療・福祉に係る情報及びニーズを二次医療圏単位で収集・調整するための体制づくりを進めるとともに、その運用訓練を継続的に実施します。
  • 要配慮者への支援の充実を図るため、市町村が行う社会福祉施設「福祉避難所」の設置・運営訓練やマニュアル作成を促進します。
  • 人工呼吸器を装着する医療依存度の高い在宅療養児(者)は、短時間の停電でも生命の危機にひんする場合があることから、医療機関など関係機関と連携し、市町村の個別計画策定を支援するとともに、地域住民向けに啓発を行います。

地域における災害対応力の向上

  • 消防団の組織強化に向けて市町村を支援するとともに、加入促進に向けて、女性、学生を対象にした啓発、広報に取り組みます。また、災害時に昼夜を問わず駆けつけ、地域の安心・安全の中核を担う消防団員とその家族の労をねぎらい、消防団を地域で支えるため、「消防団応援の店制度」の導入・普及を進めます。
  • 地域の災害リスクの把握やタイムラインの作成を通じて、災害時には共助による住民の避難行動を促進するため、地域防災の担い手となる「災害時声掛け隊」の育成に取り組みます。
  • 自主防災組織等に対する地域防災力向上講座の実施やマルチハザード情報提供システムの提供を促進します。

イ.暮らしの安心・安全の確保

現状分析・課題

感染症や環境汚染等の様々なリスクは、暮らしの安心・安全を脅かす不安材料となっています。複雑・多様化するこうしたリスクに対して、日頃からしっかりと発生防止対策を講じておくとともに、万が一の事態に備えて、万全の対処ができる体制を確立しておくことが求められています。

また、山城地域の優れた歴史的風土や豊かな自然環境を、大切に次世代へと引き継いでいくことが重要です。

具体的施策

感染症や食中毒等からの安心・安全

  • 高齢者施設、医療機関、教育・保育施設等を対象とした結核研修や感染症対応研修の実施などにより、結核や新型インフルエンザなどの各種感染症の発生・拡大予防を図ります。
  • 食中毒発生防止のため、食品衛生協会等と連携した自主衛生管理の向上に係る普及・啓発、飲食店のほか、保育所、学校、社会福祉施設、医療機関等に対する予防・啓発を実施します。

未来につなぐ環境の保全

  • 温室効果ガスの排出量削減を図るため、地域住民等を対象とした「省エネ教室」の開催や、効果的な「グリーンカーテン」をはじめとする地球温暖化防止の様々な取組を紹介し、府民意識の醸成を図ります。
  • 環境に関して先進的な取組を図ろうとする事業所に対し、各種団体が開催するセミナーやアドバイザー派遣等の事業を紹介するなど、企業の省エネ・廃棄物対策等の自主的な取組を応援します。
  • 再生可能エネルギーの導入促進のため、再エネ施設の必要性、設置に係る補助事業や融資などの情報提供により、再エネ施設の普及を促進します。
  • 河川の水生生物の生息状況、河川の水質を判定する「身近な川の生物調査」の取組を推進し、府民の関心を高め、主体的な取組を広げるため、水生生物調査の器具の貸出や調査への助言等を行います。
  • マイクロプラスチックに代表される、海洋ごみの原因となる陸上から河川を経由して流入する廃棄物を削減するため、廃棄物適正処理の指導や啓発を実施します。
  • 優れた歴史的風土を形成している京都府歴史的自然環境保全地域(男山地域、当尾地域、鷲峰山地域、禅定寺地域)を府民の財産として次代に継承するため、地元と連携して厳正に保全するとともに、府民の環境意識の向上に活用します。

3.子育てや長寿の安心を確保し、人権が尊重され、誰もが生き生きと暮らせる共生社会の実現

ア.安心して子育てできる環境づくり

現状分析・課題

山城地域の出生の状況については、乙訓地域や学研都市地域で当面の間、出生数の増加が見込まれる一方で、宇城久地域や木津川右岸地域では出生率の低下から急激な人口減少が始まるなど、地域ごとに状況が大きく異なることから、地域の実情に応じた課題へのきめ細やかな対応が必要となります。

また、今後整備される広域交通網の進展も踏まえ、広域的視点での子育て支援や地域間交流による子どもの育成・支援が必要です。

さらに、地域の将来を支える子どもたちの育成のために、基本的な生活習慣や学習習慣の確立、コミュニケーション力の向上等が求められており、社会総がかりで子どもを育てる環境づくりを進めるとともに、豊かな心、健やかな身体、質の高い学力をバランスよく育むための教育を進めていくことが重要です。

具体的施策

子育て環境日本一の実現に向けた取組

  • 核家族化や地域のつながりが希薄となっている中、様々な不安を抱えがちである妊産婦に対し、妊娠から出産・育児まで切れ目のない支援により、安心して子育てができる地域環境を市町村とともに整えます。
  • 中高生が乳幼児やその保護者とふれあう機会をつくり、子どもと関わることや育児に対する興味・関心を高める市町村の取組を促進します。
  • 高校生や大学生等に対し、進学、仕事、キャリアアップだけでなく、結婚や妊娠・出産、育児を含めた将来設計が自身で選択できるよう、「ライフデザイン講座」などの取組を進めます。
  • 小児特有の事故・疾患やその対応等にかかる正確な医療情報を提供することにより、医療機関への適切な受診を促進するため、消防機関等の関係機関と連携した普及啓発を実施します。
  • 児童虐待を防止するため、市町村の要保護児童対策地域協議会を中心にした関係機関との連携強化を促進します。また、オレンジリボンキャンペーンや児童虐待防止月間等の一般向けの啓発活動を実施します。
  • 待機児童解消のため、市町村による保育所・認定こども園の整備や、小規模保育・家庭的保育等の取組を促進します。
  • 「年中児スクリーニング(5歳児検診)」の実施及びその後の事後支援や、専門職チームによる支援など、保育士等の子育て支援者への支援や親支援の取組について、市町村と協働して充実を図ります。

次代を担う子どもたちの健やかな育成

  • 地域の子育てに関わる各関係機関、団体等のネットワークを活用した協議会等の活動を充実させて、社会総がかりの子育てを推進します。
  • 学力向上に向けた校種間連携の充実や、大学生等ボランティアによる児童生徒に応じたきめ細かな学習支援を推進します。
  • 基本的生活習慣の確立、学習習慣の定着、コミュニケーション力の向上等に向けて、地域の子育てに関わる各関係機関、団体等との協力・連携により、学校教育や家庭教育への支援を推進します。
  • 産業団体やものづくり企業、KICK(けいはんなオープンイノベーションセンター)などのけいはんな学研都市の研究施設等と連携して、子どもたちに最先端の科学技術や本物のものづくりなどを体感する機会を提供するなど、科学とものづくりに対する興味・関心を深め、科学好き・ものづくり好きの子どもの育成を図ります。
  • 学校における読書活動の推進に加え、家族ぐるみで読書に取り組む「ファミリー読書」等による家庭における読書活動や、地域の図書館や地域の方々による読書活動の取組等の交流の場を設けるなど、様々な取組を支援します。
  • 地域から学び、地域に誇りを持つ子どもを育成するため、けいはんな学研都市をはじめとした研究施設や山城郷土資料館等を活用しながら、各学校において伝統文化や地域産業を生かした地域学習を推進します。
  • 「乙訓ふるさとふれあい駅伝」や「やましろ未来っ子小学校EKIDEN」の開催等を通して、地域の団体や企業と連携して、子どもたちの体力向上と交流を促進します。

イ.高齢者が安心して暮らせる地域づくり

現状分析・課題

高齢者が安心して暮らせる地域づくりに向け、管内全15市町村で「認知症カフェ」を設置しているほか、管内に府内初となる「認知症総合センター」や「認知症ケアセンター」が整備されました。

しかしながら、病院数・医師数等の医療保健関連のインフラに恵まれた地域がある一方で、人的資源等確保が難しい地域もあり、地域差を踏まえた対応を進めることが求められます。

こうした状況の下、住民一人ひとりに健康への意識を高めていただき、健康寿命を延ばすことが全国的にも課題となっていますが、特定健診受診率、特定保健指導実施率を見ても、市町村格差があるものの高い状況ではないため、山城地域では健康づくりへの関心が高いとはいえない状況であり、より一層の取組が必要です。

具体的施策

住み慣れた地域で、健康で安心して生活できる地域包括ケアの推進

  • 高齢者をはじめ様々な人が住み慣れた地域で「最期まで自分らしく生きる」という一人ひとりの思いを支えるため、地域の医療機関、介護・福祉施設、在宅サービス提供機関、市町村とともに地域包括ケアの充実を図ります。
  • 一人ひとりの状態に応じた必要なサービスをワンストップで提供する京都認知症総合センターや認知症ケアセンターの有する機能については、山城地域にモデルとして拡大しながら、認知症疾患医療センター、地元医師会、地域包括支援センター、認知症の人と家族の会など幅広い関係機関や団体が活用することにより、認知症の人とその家族の暮らしを支えるツールを増やし、市町村の地域包括支援体制整備に係る取組を支援します。

健康で人生を全うする健康寿命延伸のための介護予防と健康づくりの推進

  • 健康長寿に係るデータ等の活用により、市町村の保健・国保・介護事業が実施する健康づくり事業、介護予防事業を促進し、健康寿命の延伸を図ります。
  • 高齢者の加齢に伴って生じる筋力等の低下(フレイルやサルコペニア)について、運動習慣及び食生活等にかかる予防対策等の普及に取り組みます。

生活習慣病予防のための取組強化

  • 人工透析移行者の抑制等、糖尿病重症化予防を推進するために、病病連携、病診連携の促進や、未受診者、治療中断者対策等の推進など、地域ごとのネットワークの構築を推進します。
  • スーパー、飲食店と協働した減塩メニューの活用・普及等、生活習慣病予防の取組を進めます。
  • がん検診の受診勧奨に加えて、学校への命のがん教育の推進、商工会、商工会議所、企業への検診受診促進の働きかけ、禁煙対策及び受動喫煙対策を実施します。

ウ.人権の尊重

現状分析・課題

部落差別をはじめとする様々な人権問題が依然として存在し、時代の変化に伴って更に複雑・多様化しています。

こうした中、人権三法(いわゆる障害者差別解消法、ヘイトスピーチ解消法及び部落差別解消推進法)等も踏まえながら、相談体制の整備・充実や、人権教育・啓発についても、その進め方を工夫しながらしっかりと取り組んでいく必要があります。

具体的施策

一人ひとりの尊厳と人権が尊重される社会の実現

  • 一人ひとりの尊厳と人権の尊重をあらゆる施策の基盤として推進します。
  • 部落差別をはじめ、女性、子ども、高齢者、障害のある人、外国人、LGBT等性的少数者等に対する様々な人権問題に対し、市町村など関係機関と連携し、人権問題法律相談など相談体制の充実、人権教育、啓発等の施策を推進するとともに、差別落書きのほかインターネット上での人権侵害、街頭等で公然と行われる差別的な言動など新たな課題に対応した取組を進めます。
  • 高齢者や障害のある人も安心して生活できるユニバーサルデザインの地域づくりを推進します。

エ.障害のある人もない人も生き生きと暮らせる共生社会の実現

現状分析・課題

山城地域においても核家族化が進み、地域における人間関係が希薄化しており、様々な事情を抱える人々が互いに支え合いの絆を再生する仕組みづくりが課題となっています。

また、「人生100年時代」を迎え、健康で充実した人生を送るには、年齢、性別等にかかわらず、社会の幅広い分野での活動に参画することが大切です。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、スポーツや、歴史・文化に親しみ、参加することで地域に活力を生み出し、誰もが生き生きと暮らせる環境を整えることが重要です。

具体的施策

誰もが互いに支え合う社会の実現

  • 医療的ケア児や重症心身障害児が身近な地域で児童発達支援や放課後等デイサービス等の支援が受けられるよう、関係機関の顔の見える関係づくりを進め、連携を深めます。
  • 難病患者の安定した療養生活の確保と難病患者とその家族の生活の質の向上を図るため、総合的な相談・支援や地域における受入病院の確保と在宅療養上の適切な支援を実施します。
  • 児童思春期、薬物依存症、重症うつ病等の新たな機能整備を進める洛南病院を拠点として、関係機関と連携し、様々な精神疾患に罹患された方の相談対応や、精神障害者とその家族の地域生活を支援します。
  • 障害のある人の親亡き後問題に対応するため、市町村における地域生活支援拠点の整備や精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの整備を促進します。
  • 府立向日が丘支援学校の整備に合わせて、多様な機能の連携を充実させ、地域住民がお互いを尊重して生き生きと暮らすことのできる共生型地域づくり構想の実現に向けた取組を市町と連携して進めます。(再掲)
  • 京都府自殺ストップセンター及び市町村、関係機関と連携した相談支援を推進するとともに、市町村の自殺対策計画に基づく事業等の支援、若年層への精神疾患予防教育の実施により、自殺予防対策を行います。

ひとり親や生活困窮世帯等への支援の充実

  • 生活保護受給者や長期離職者等の生活困窮者を対象に一人ひとりに寄り添った相談支援を実施し、自立を図ります。
  • 経済的に厳しい環境にあるひとり親家庭に対し、母子家庭奨学金や母子父子寡婦福祉資金貸付等による経済的支援に加え、京都府ひとり親家庭自立支援センターと連携した就労支援や相談事業を実施します。
  • 貧困の連鎖を断ち切るため、生活困窮世帯やひとり親家庭の子どもに対し学習支援や生活支援を実施する居場所の確保・充実を図るとともに、母子会・父子会活動を通じた子育てを支援します。

男女共同参画の推進

  • 地域における女性活動支援体制である「輝く女性応援京都会議(地域会議)」を中心に、多様な団体のネットワークによる情報、人材の共有や連携した取組等により、女性の活躍の場を創出する取組を推進します。
  • 「子育て環境日本一に向けた職場づくり行動宣言」など、企業等における女性の活躍と、働きがいがあり、誰にとっても働きやすい職場環境づくりを推進します。さらに、働き方改革により男女ともにワーク・ライフ・バランスのとれた生活を推進し、男性も家事、育児、介護、地域活動等に積極的に参加できる男女共同参画の取組を支援します。

文化を生かした地域づくり

  • 地域アートマネージャーの活動を通じて、市町村や関係団体、さらには文化庁とも連携して、「お茶の文化」など山城地域の魅力ある文化を発信します。
  • 山城地域の有する豊富な歴史・文化資源を活用し、住民が文化の価値への理解を深め、親しみながら世代間の交流ができる取組を推進し、次世代への文化の維持・継承につなげます。
  • 暮らしの中にうるおいや生きがいをもたらす音楽、芸能、美術をはじめ、地域の暮らしを支えながらコミュニティの維持にもつながる生活文化や、国際文化交流など住民主体の芸術文化活動を支援します。

スポーツ交流の促進

  • 地域の中で、誰もがいつでも気軽にスポーツに親しみ、楽しむことのできる取組を支援するとともに、山城総合運動公園に整備されるアイススケート場なども活用しながら、住民の健康づくりや地域の絆づくりにつながる取組を進めます。
  • ゴールデンスポーツイヤーズを契機に、市町村や関係団体と連携し、新たにスポーツを始めるきっかけとなる取組を支援し、スポーツの実施率向上につなげます。特に、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けては、ホストタウンとなる市町村での取組を支援し、スポーツ・文化の交流や地域の活性化につなげるとともに、ワールドマスターズゲームズ2021関西では、管内市町が開催地となる種目について、開催後も住民主体での取組が継続するなどの支援をします。
  • パラ・パワーリフティング競技のナショナルトレーニングセンター「サン・アビリティーズ城陽」等で実施されるスポーツイベント等の機会を捉えて国内のトップ選手に触れる機会を創出し、誰もがスポーツに親しむことができるようスポーツの裾野拡大や地域の活性化を支援します。

地域のつながりや支えあいの活動支援

  • 行政と地域コミュニティが協働することによって、より柔軟で効果的な施策が期待される子育て、介護、ひきこもりなどの福祉分野や教育、観光等の分野について、地域の課題解決に向けた住民主体の活動を支援します。
  • NPOパートナーシップセンターを中心に、NPO等地域活動団体の情報発信や活動基盤の充実等の支援を行います。
  • 大学と市町村、地域住民、企業、商店街等が連携・協働して取り組む地域づくり等への支援を行います。
  • 法改正に伴う外国人労働者の受入れ拡大が進む中、安心・安全で生き生きと暮らせるよう、生活面での支援や日本語教育等について、支援団体の取組等を支援します。

地域内外にファンを広げ、学生、若者など幅広く地域づくりに参加する仕組みづくり

  • 山城各地のご当地キャラが力を合わせて京都・山城を盛り上げる「京都応援きゃらくたぁず(京きゃら)」の活動により、山城地域の様々な魅力を発信し、京都・山城ファンの拡大を図ります。
  • 大学生や若者が地域の住民とともに課題解決に取り組む活動を支援し、その成果を広く情報発信します。

4.やましろ産業を地域の未来を支える柱へとパワーアップ

ア.やましろ産業のイノベーション

現状分析・課題

けいはんな学研都市においては、我が国を代表する研究機関や研究開発型企業の集積が進展しているほか、山城地域は、高度なものづくり技術を有する中小企業が多数立地しており、その中には、独自の技術力やオンリーワンのものづくりにより、ニッチトップ企業として、積極的に海外進出する企業がある一方、下請け構造にある小規模・零細企業も数多く集積しています。

また、八幡市や久御山町では、新市街地整備に向けた新しい動きもある一方で、相楽東部地域では、産業集積そのものがほとんどないなど、山城地域においては、それぞれの地域特性や課題に応じたきめ細やかな産業振興施策の推進が求められています。

また、新名神高速道路等の整備が進展する中、人材や事業用地の不足が深刻化しています。

このため、木津川左岸地域では、既存立地企業の高度化や事業拡大に必要となる優秀な人材の確保・育成や事業用地の創出など、持続可能な事業活動を支援するための環境づくりとともに、経営革新や新事業創出のためAIやIoT、ロボット等の先端技術の活用や企業間や産学間・産農間の連携を促進していくことが課題です。

とりわけ、けいはんな学研都市では、世界レベルの研究機関等の集積メリットや研究成果を生かし、地元企業との交流・連携を通じて、イノベーションの創出につなげることが重要です。

新名神高速道路等の整備が進む木津川右岸地域では、飛躍的に向上する地理的優位性を生かし、企業立地の促進や物流拠点の誘致・整備を推進するとともに、けいはんな学研都市におけるイノベーションが両輪となって山城地域全体の発展に波及させていくことが課題です。

過疎・高齢化や人口減少が深刻な相楽東部地域では、豊かな自然環境やサテライトオフィスやコワーキングスペースを活用し、ICT関連等の起業家、スタートアップ企業の誘致や企業研修の受入れなど、関係人口の拡大と併せて、新たな産業を創出していくことが課題です。

具体的施策

やましろ企業の経営革新・高度化支援

「京都市近郊の都市エリア・木津川左岸地域」(宇治市、八幡市、京田辺市、久御山町)<既存立地企業高度化エリア>

  • 商工会や商工会議所等と連携し、ものづくり企業や商店・商店街等へのハンズオン支援、「知恵の経営」や「元気印」等の各種認定制度、「京都エコノミック・ガーデニング支援強化事業」等の各種補助制度を活用し、経営革新や高度化、事業承継等の取組支援、AI、IoT、ロボット等の先端技術を活用した生産性向上等のための設備投資等の取組を支援します。
  • 産学公交流ネットワーク組織「京都やましろ企業オンリーワン倶楽部」を中心とした人材育成手法等の研究・実践のためのプラットフォーム構築を支援します。
  • 木津川左岸地域における新市街地整備構想等と連動した新たな産業用地の創出について、まちづくり計画と整合を図りながら促進します。
  • ものづくり企業の技術力や製品開発力を生かし、農林業現場の生産性向上等の課題解決やスマート農業分野への新規事業化につなげるための相互交流・共同研究を促進します。

次世代技術の産業化に向けたオープンイノベーションの推進

「学研都市地域」(京田辺市、木津川市、精華町)<国際イノベーション拠点エリア>

  • 学研都市立地研究機関等とやましろ企業との交流・連携や共同研究等を促進するためのプラットフォームの構築を支援します。
  • 新規開発クラスター「南田辺・狛田地区」、「木津東地区」の整備促進等による研究開発型企業等の集積を促進します。
  • KICK(けいはんなオープンイノベーションセンター)を拠点としたオープンイノベーション(「けいはんなロボット技術センター」等)の取組を推進します。
  • 特区制度(「国際戦略総合特区」、「国家戦略特区」等)を活用したAI、IoT、ロボット等の先端技術の実証実験の実施(「けいはんな公道走行実証実験プラットフォーム」等)や実用化を支援します。
  • けいはんな学研都市の研究機関やものづくり企業の見学など、企業向け産業観光の取組を通じた交流・連携を図ります。
  • けいはんな学研都市において、連節バス、カーシェアリングなど様々な移動手段を提供し、シームレスな移動を実現するMaaS(マース)や、運転手不足への対応として自動運転による新たな移動ツールの導入を支援します。

新名神等新たな交通ネットワークの整備を契機にした新産業育成

「木津川右岸地域」(城陽市、井手町、宇治田原町)<企業誘致エリア>

  • 地域産品や資源の活用、地域企業への技術移転や受発注機会の拡大、事業連携(アライアンス)、雇用機会の創出など、経済波及効果の高い企業の誘致を促進します。
  • 現下の雇用環境を克服する最先端のICTを活用した次世代型物流拠点の立地・整備促進やそれを生かした地域企業の物流効率化の取組を促進します。
  • 立地予定のアウトレットモールや大型商業施設など、新たな施設等の立地・集客効果を山城地域全体の経済活性化につなげる取組を支援します。

豊かな自然環境・地域資源や都市部との近接性を活用した新産業の育成

「相楽東部地域」(笠置町、和束町、南山城村)<「人」の誘致エリア>

  • 情報インフラが整備されたサテライトオフィスやコワーキングスペース等の活用によるICT関連等の起業家やスタートアップ企業の誘致・育成に取り組みます。
  • 6次産業化や農商工連携の促進による地域資源(農林産物等)を生かした特産品、土産物の開発等やJA直売所、道の駅・お茶の京都みなみやましろ村等の直売施設、宿泊施設、農家民宿等への供給・流通・販売のサプライチェーンの構築を支援します。
  • けいはんな学研都市をはじめ、研究機関や企業等の人材研修・フィールドワークなどの受入れを支援します。

やましろ企業のイノベーションを支える雇用対策の推進

<全体>

  • 京都ジョブパーク等との連携による集団面接会や企業説明会の開催、山城地域はもとより、周辺地域の大学や高校と連携し、地元企業の魅力を伝えるセミナーや高校進路指導教員と地元企業との交流会等を通じた就労マッチング機会を創出し、人材確保を支援します。
  • 若者にとって将来に夢と希望が持てるやましろ企業の魅力づくりの取組を支援します。(経営力の向上、快適な就労環境の整備、働き方改革の促進等)
  • AI、IoT、ロボット等の先端技術を活用した生産性向上、省力化等の取組を支援します。
  • 産学公交流ネットワーク組織「京都やましろ企業オンリーワン倶楽部」を中心とした人材育成手法等の研究・実践のためのプラットフォーム構築を支援します。(再掲)

イ.宇治茶・京やましろ新鮮野菜の生産振興・消費拡大による魅力ある農林業の確立

現状分析・課題

山城地域は、日本遺産第1号「日本茶800年の歴史散歩」に認定されるなど、長い歴史の中で、高級茶である玉露や抹茶の原料となるてん茶など、日本緑茶のトップブランドである宇治茶の産地を形成するとともに、お茶を基盤に新たな文化や産業、観光を創造・発信してきました。

さらには、「京都府宇治茶普及促進条例」が制定されたことを踏まえ、府民、茶業者等、市町村と協働して、宇治茶の普及促進・茶業の振興を図る取組が求められています。

また、山城地域は、都市近郊の立地条件を生かし、ナスやトマト、軟弱野菜など、園芸作物を中心とした産地を形成しており、それらを支える若い担い手が比較的多いものの、農業の担い手の後継者難や人手不足解消が大きな課題となっています。

特に、相楽東部地域等の中山間地域では、人口の急速な減少や担い手の高齢化、後継者不足により、耕作放棄地や放置森林が増加するなど山城地域産原木の生産振興や利用促進が課題です。

山城地域においては、それぞれの地域特性や課題に応じて、主力産業である宇治茶や京野菜等の「お茶の京都+α」による生産振興、消費拡大による魅力ある農林業の確立に向けた取組が求められています。

このため、高品質な宇治茶の生産に必要な茶畑の基盤整備や被覆棚等の施設整備をはじめ、農業を支える次代の担い手となる人材の確保・育成や健康志向の高まりを生かしたお茶の持つ機能性成分の訴求による新たな需要開拓、急須で淹れる喫茶文化の継承・普及、さらに、AI、IoT、ロボット等の先端技術の活用によるスマート農業の実装化や宇治茶の文化的景観の世界文化遺産の登録に向けた運動等により、宇治茶ブランドを一層向上させることが必要です。

また、九条ねぎやナス、えびいもなど「京やましろ新鮮野菜」等の農産物づくりなど、山城地域ならではの新たな「ブランド京野菜」の展開による高収益な産地づくりを進めるとともに、次世代のやましろ農林業の担い手の確保・育成、地産地消の促進をはじめ、首都圏や海外等への市場開拓・販路拡大、6次産業化、農商工連携による高付加価値化や新たな農業ビジネスへ展開していくことが必要です。

具体的施策

宇治茶の生産振興・消費拡大の推進

  • 茶園作業の機械化による生産性向上、省力化を推進するため、傾斜に応じた基盤改良の支援を行うとともに、新植や改植については、茶種構成や被覆棚整備など個々の経営状況に応じ、京都府茶奨励品種の中から選定し、高品質な茶生産を推進します。
  • AIやIoT、ロボット等の先端技術など他産業のイノベーションを茶業に生かすため、茶園環境のデータ収集に努めるとともに、各種茶品評会で入賞常連者の栽培管理と関連付けを行い、経験が短い担い手でも、気象環境に対応した最適な茶園管理作業が実践できるようにします。
  • 宇治茶の機能性の研究を進め、健康面での優位性をアピールすることで、消費拡大を進めます。
  • 宇治茶実践型学舎を設置し、茶業研究所や生産者での研修により、将来の担い手確保・育成を推進します。
  • 普及指導員が、省力化・効率化の課題を解決するために、新しいてん茶製茶機械等の新技術を速やかに現地へ普及・拡大させるための取組を強化します。
  • 海外に向けた宇治茶の魅力発信のため、国内とは異なる各国の農薬残留基準に対応した防除体系の現地実証やグローバルGAP等の認証取得の支援を進め、宇治茶の輸出を促進します。
  • 宇治茶の文化や歴史、おいしさなどの魅力を発信するため、「京都府宇治茶普及促進条例」の趣旨を踏まえ、「宇治茶ムリエ講座」、「キッズ茶ムリエ」等を実施し、お茶の入れ方や宇治茶の歴史等の講習の取組を更に進めるとともに、英語を中心とした外国人観光客向け講座の開催など国内外での喫茶文化の拡大に努めます。
  • 宇治茶の郷づくり協議会を母体として、「宇治茶カフェ」の認定や「八十八夜茶摘みのつどい」、「宇治茶まつり」等を開催し、宇治茶文化を発信するとともに、「宇治茶・山城ごちそうフェスタ」を市町村や関係団体とともに開催し、広く山城地域の食や地域の魅力を発信します。
  • 宇治茶は、日本文化に強く影響を与えた京都が誇る世界の宝であり、抹茶、煎茶、玉露は全て京都府南部地域で生まれ、独自に発展・継承されており、世界文化遺産登録へ向け、市町村や茶業団体と一体となって、この茶畑を中心とした景観と関連資産を保全します。

農業の基盤整備の推進とやましろ農林業の担い手確保・育成

  • 担い手の規模拡大を可能とするほ場整備の実施に向けた取組を進めます。
  • 排水不良の改善による野菜生産を可能とする排水機場の更新を推進します。
  • 農家子弟、新規参入者の模範となる経営改善モデル農家や「半農半X」など多様な担い手の育成を図ります。
  • 担い手の特徴や適性を踏まえ、経営の発展段階に応じた企業的経営者の育成・支援に取り組みます。
  • 担い手不足や高齢化が進む条件不利地域において、定年退職帰農者等が生き生きと働き続けて自己実現できるよう、栽培技術の習得、販路の確保を促進します。
  • 企業的経営者の成長を引き続き支援し、農業法人の経営拡大を促進します。
  • 地域の農地を守り耕作放棄地の発生を防ぐ集落営農組織の設立と集落型法人の育成を図ります。
  • 無形文化遺産に登録され、世界中で和食が注目される一方、食生活の多様化により地域の特産物や調理法など次世代への継承が危ぶまれる中、生産者や各地域の小・中学校で「きょうと食いく先生」による出前授業を進めます。
  • 障害者や高齢者の生きがい、働きがいを所得の向上につなげるとともに、女性のライフワークに配慮した労働環境や就業時間を実現する農林業の仕事や職場づくりを推進します。

九条ねぎの生産エリア拡大、「京やましろ新鮮野菜」の新規ブランド化・生産振興・販路拡大と地域特産野菜の産地強化等

  • 一戸当たりの九条ねぎ栽培可能面積の拡大や耕作放棄地、空きハウスなどの発掘、山城南部地域への拡大等、年間所得の向上を支援します。
  • 育苗や定植、収穫、輸送等の基幹作業を受託する作業受委託システムを構築し、効率的に九条ねぎが栽培できる環境を整備します。また、冷凍貯蔵技術の開発などにより、生産の細る冬期に向けた安定供給を可能にします。
  • 土寄せや収穫等、重労働となっているえびいも栽培を機械改良によって省力化を図り、一戸当たりの栽培面積や新たな栽培者の拡大を推進します。
  • 冬期に長期間の貯蔵ができるよう適正な保存方法の研究・分析を行い、面積拡大に伴う出荷のピークを平準化して、えびいもの有利な販売につなげます。
  • 「京やましろ新鮮野菜」の各品目について、JAと協働し、新規栽培希望者等を対象として栽培管理等が習得できる「塾」を開催し、生産者の拡大を図ります。
  • 新たに開設された豊洲市場への販売促進等、首都圏での販路拡大を推進します。
  • 乙訓地域において、農業改良普及センターや市町との連携により、地域特産野菜の技術的支援による産地強化や地産地消の取組の促進、新規就農者への支援を進めます。

地元食材の発掘と新たな宿泊施設等での流通・販売によるサプライチェーン構築

  • 地域で供給可能な食材のデータベース化を図るとともに、生産者が実需者のオーダーによる新たな農林産物が供給できるよう栽培条件の研修や技術の習得を支援します。
  • 山城地域の優れた農林産物の地産地消を進めるため、各直売所の連携を促進するとともに、学ぶ、食べる、買う機能を備えた「京野菜ランド」の認定を進め、機器整備や安心・安全な農林産物の供給を支援します。
  • 「お茶の京都」など観光客の増加が見込まれるため、地元食材を使った料理を提供する「京やましろ食-京やましろ産食材提供店-」の登録認定やその情報を観光客等へ発信するとともに、飲食店からの食材要望や生産者とのマッチングなど地産地消を進めます。
  • 6次産業化や農商工連携の促進による地域資源(農林産物等)を生かした特産品、土産物の開発等やJA直売所、道の駅・お茶の京都みなみやましろ村等の直売施設、宿泊施設、農家民宿等への供給・流通・販売のサプライチェーンの構築を支援します。(再掲)

AI、IoT等の先端技術や地元企業の高度な技術も生かしたスマート農業の実装化

  • 中山間地域が多く、人手不足や重労働である農林業や畜産(養鶏)業において、茶園やほ場等現場の状況をリアルタイムに把握できるIoT技術やドローン等の活用により、高品質で省力的な生産を推進する実証を進めます。
  • IoTで得られた多岐に渡るデータと「農の匠」や「山の匠」の作業管理をリンクさせ、毎年の気象や植物の生育データからAIを活用して最適な作業手順等を提示できるよう実証を進めます。
  • やましろ企業の技術力により、農林業現場の生産性向上や消費拡大等に向けた課題の解決を図るとともに、企業の新製品開発につなげる相互交流を支援します。

野生鳥獣の保護・管理と家畜防疫への対応

  • 鳥獣保護区の設定や個体数・生息域の調査など鳥獣保護・管理の取組により、野生動物の多様性確保、生活環境の保全や農産物被害の防止を推進します。
  • 防護柵設置と各集落の追払い体制の構築による被害軽減活動の推進とIoTを活用した個体数調整を行います。
  • シカやイノシシなどジビエを地域資源として活用する施設、体制、仕組みの構築を支援します。
  • 高病原性鳥インフルエンザや口蹄疫、豚コレラ等の家畜伝染病を発生させないよう、日常から万全の衛生対策を講じるとともに、発生に備えてスターターチーム員による初動防疫に取り組みます。

山城産木材の利用促進

  • 間伐等森林整備、木材の搬出、製材、木材利用までを体感してもらう森林・林業体感ツアーや木材利用施設等の見学会を開催し、普及啓発活動を行います。
  • 子どもたちを対象にした木工教室など環境教育活動に取り組みます。
  • 公共スペースを活用し、山城産材の備品を設置するポケットパークにおいて、その魅力発信を推進します。
  • 国の森林環境税の導入を見据え、「京都府豊かな森を育てる府民税」の有効活用による森林の多面的機能の維持・増進に取り組みます。
  • 森林ボランティア、モデルフォレスト運動参画企業等との交流会や緑の少年団等とモデルフォレスト運動参画企業、団体との交流会等に取り組みます。

ウ.お茶の京都DMOを核にした周遊・滞在型やましろ観光の新展開

現状分析・課題

山城地域は、平等院や宇治上神社という世界遺産をはじめ、八幡市、京田辺市、木津川市、大山崎町等における数々の国宝などの歴史的文化遺産、また、宇治川・木津川・桂川や丘陵・山地に囲まれた豊かな自然や景観、さらに、宇治茶や筍、京野菜をはじめとする全国ブランドの特産物や食文化など、多くの観光資源に恵まれています。

「お茶の京都」のターゲットイヤーであった平成29年(2017年)は、「お茶の京都博(おちゃのきょうとはく)」イベントの開催や首都圏プロモーションなど全国への情報発信が奏功して、観光入込客数(約1,493万人。前年比108%)や観光消費額(約231億円。前年比115%)は過去最高となりました。

こうした観光資源を活用し、「もうひとつの京都」として、「お茶の京都」や「竹の里・乙訓」をコンセプトに、一般社団法人京都山城地域振興社(お茶の京都DMO)をはじめ、市町村や関係団体等による「オール山城」と「オール乙訓」の総力を結集し、京都市に集中する観光客を山城地域全体に還流させ、周遊・滞在型の「やましろ観光」や「京都・かぐや姫観光」の新展開を図っています。

しかしながら、山城地域における平成29年(2017年)一人当たりの観光消費額(約1,547円。前年比106%)は、京都市の10分の1以下にとどまっているとともに、観光分野における人材不足という課題もあります。

こうした中、観光スタイルが「モノからコトへ」と変化し、さらに、「今だけ・ここだけ体験」が求められていることから、地域特性、資源を生かした多種・多様な宿泊施設の整備、特産品・土産物等の開発・販売促進に取り組むとともに、鉄道駅からの交通アクセスの確保による利便性の向上、お茶の京都DMO等と連携した山城地域ならではの体験型観光の掘り起こしや商品化の取組とそれらを担う人材育成、加えて、広域的にネットワーク化することにより、周遊・滞在型観光を促進し、山城地域を訪れる観光客・消費額の増加へつなげる必要があります。

また、インバウンドなど京都市内を訪れる観光客に、山城地域を周遊してもらうため、大阪、奈良、三重など隣接する府県・市町との広域連携によるルートづくり、木津川や天ヶ瀬ダム等の自然やインフラを活用したアクティビティ(スポーツ観光)の創出やバスツアー等の実施、歴史などの統一テーマによるウォーキングツアーの実施など、地域特性を踏まえた新たな観光誘客対策も必要です。

具体的施策

観光消費額引上げにつなげる多様な宿泊・飲食施設の誘致・開業促進と情報発信

  • ホテル、オーベルジュ、古民家等歴史的資源を活用した宿泊施設や、農家民宿など地域の特性を生かした宿泊施設の立地促進や改修支援を行います。
  • 地域コミュニティの場でもあり、かつ地域の資源を生かし、そこにしかない商品・サービスを温かみのある対面販売で提供する商店街を支援します。
  • 「モノからコトへ」、「今だけ・ここだけ体験」など、地域の特性を生かした「食・体験・観る・泊まる」などの観光コンテンツについてSNS等を活用した情報発信に取り組みます。
  • ガストロノミーエリアとして、地域の料理人が学びあう場(料理LABO)の形成支援や取組状況の発信を進めます。

お茶の京都DMOを核に観光資源の掘り起こし、点から線・面に展開・商品化

  • お茶の京都DMOや市町村、関係団体と連携し、例えば、万葉集の歌碑、国宝「待庵(たいあん)」、日本遺産「日本茶800年の歴史散歩」等、多くの文化財や国宝など観光コンテンツとしての掘り起こしや「今だけ・ここだけ体験」など山城地域の特性を生かした着地型観光商品の造成や販売支援を行います。
  • 宇治茶バスの活用をはじめ、点在する観光資源をつなげる着地型のタクシー周遊プランの造成や、天ヶ瀬ダム・高山ダム特別見学バスツアー等のインフラツーリズム、地域資源を活用したバスツアーの実施に取り組みます。
  • 増加する個人旅行や外国人旅行者のニーズに対応した、多種多様な観光コンテンツの発掘を推進します。
  • 民間と連携し、お茶の京都エリア数駅にカーシェアステーションを設置する等、周遊観光促進に取り組みます。

木津川沿い(右岸・左岸)をサイクリングで周遊できるよう環境整備やPR促進

  • 山城地域内外からサイクリストを呼び込み、背割堤や流れ橋、浜茶、桜づつみなど、木津川沿いに広がる景観を楽しんでもらえるよう、京都八幡木津自転車道線(木津川サイクリングロード)等の整備に取り組みます。
  • 京都八幡木津自転車道線(木津川サイクリングロード)や京都やましろ茶いくるライン等を周遊するためのサイクリングマップの作成や電動アシスト自転車を活用した認定ガイドによる観光サイクリングツアーの実施に取り組みます。
  • 近隣府県と連携した関西一円広域サイクルルートの形成を進めます。
  • 世界最高峰のロードレース「ツアー・オブ・ジャパン京都ステージ(TOJ)」、各種スポーツイベント等でのおもてなしによる地元産品や観光情報等のPRに取り組みます。

インバウンドの域内周遊に対応するための多言語対応や産業観光、ナイトツーリズム等新たな視点の観光

  • 外国人観光客等の多様なニーズに対応できるガイドの育成を推進し、観光ガイドの雇用創出に向けたお茶の京都DMOによる人材確保の仕組み検討や人材育成の取組を支援します。
  • 観光関連事業者でのキャッシュレス・モバイル電子決済環境の導入を支援します。
  • けいはんな学研都市の研究機関やものづくり工場の見学などの産業観光や自転車、カヌー、ボルダリングなどアクティビティツーリズムの充実に取り組みます。
  • 「京都・花灯路(はなとうろ)」など認知度の高いイベントと連携した山城地域での寺院・神社の夜間拝観や「くみやま夢タワー137」をはじめとしたライトアップ事業との連携など、ナイトツーリズムによる周遊・滞在型観光を促進します。

観光客の域内周遊に向け、奈良県や三重県をはじめとする広域連携・協働等

  • 家康伊賀越えウォーキングツアーなど行政単位を越えた観光ルートの案内やバスツアーの実施に取り組みます。
  • 近隣府県と連携した関西一円広域サイクルルートの形成を進めます。(再掲)
  • インバウンドなどの観光客が、山城域内を周遊・滞在できるよう鉄道駅と連携した二次交通の活用等により府外からの誘客を推進します。
  • 淀川三川合流域さくらであい館をはじめ、舟運による地域活性化や観光客の域内周遊の取組を支援します。

乙訓地域における歴史、文化、自然等の地域の魅力発信による観光誘客と、ホテル誘致や特産品開発等

  • 「京都・かぐや姫観光」として、乙訓特産の「竹」や乙訓ゆかりの歴史、文化、自然等の豊かな地域の魅力の発信を市町等と協働・連携して推進します。
  • NHK大河ドラマ『麒麟がくる』の放映も一つの契機として、さらに、京都・かぐや姫観光等、広域的な観光客誘致の取組を進めます。
  • 京都縦貫自動車道の全線開通や新名神高速道路が整備される中、インターチェンジや高速バスの停留所、また、JRと阪急電鉄の多くの駅があるなど、発達した交通網を生かし、京都市域、府内各地域、近隣府県との周遊観光を促進する取組を進めます。
  • 阪急洛西口駅や阪急長岡天神駅近辺等の宿泊施設や賑わい創出施設の誘致支援、特産品の開発や開発された特産品等の販売網の整備など観光入込客数、観光消費額のアップに結び付く取組を市町と連携して充実させます。
  • 放置竹林を整備、活用するなど、「竹の径(たけのみち)」をはじめ、観光資源の魅力アップの取組を進めます。

 

山城地域振興計画(音声読み上げ3)に続く

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