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丹後の海の恵みを生かすアクションプラン(改定)

1 プラン策定の趣旨

 京都の漁業は、冬場のズワイガニなど、丹後の観光と結びつきながら重要な産業になっています。しかし、漁獲量の減少や担い手の高齢化など、今後漁業の活力低下が懸念されるような状況にあります。
これまでから、京都府では環境に配慮しながら資源管理型漁業やつくり育てる漁業などの取組を積極的に進めてきました。また、遊漁などの海業の振興も図られてきましたが、多様化する消費者ニーズや環境面への一層の配慮にも積極的に対応しながら、漁業全体の振興に向けた新しい取組が求められています。
このため、つくり育てる漁業で培った新たな養殖等の技術を活用するとともに、体験型の海業等を最大限に生かし、観光分野、教育分野、保健衛生分野等、他分野との連携も図りながら、漁業、漁村の活性化を目指していくため「丹後の海の恵みを生かすアクションプラン」を策定(平成17年12月)しました。


○ 現在、このプランに基づき、トリガイ、アワビの生産体制の拡大や新規就業者への支援等に努めていますが、単独の漁業種類だけで、漁業者が安定した収入を確保するには限界があり、新規就業者が参入しやすい環境づくりや担い手の育成のためには、安定した収益性の高い漁業を育成し、複数の漁業種類を組み合わせたモデルとなる経営形態の確立が必要となっています。

 
○ また、丹後地域では、地域の振興や知名度向上を図る上で、水産物が大きな役割を果たしており、ズワイガニに続く観光客の集客力のある丹後水産物の育成が必要となっています。

 

○ そこで、今回、本プランの重点施策「ブランド化と流通販売対策の強化」の部分を改定し、当面は、計画的な生産と品質確保が期待できるトリガイ、イワガキ、アワビを中心にブランド化と生産体制の強化を推進し、丹後水産物全体のイメージアップと付加価値の向上、安定した収益の見込める漁業の育成を図るとともに、ブランド品について、丹後地域での販売先を拡大し、観光産業と連携を図りながら、地元での消費拡大を進めていくこととします。

 

○ これらの取組を通じて、安定した収益の見込める漁業の育成により、漁業者の所得向上や新規就業者の参入しやすい環境づくりを目指すとともに、丹後地域の振興と知名度向上を図ります。


○改定ポイント

5つの重点施策のうち、「消費拡大とブランド品づくり ブランド化と流通販売対策の強化」部分を改定

 

2 現状と課題

【漁業について】

○ここ数年、漁獲金額は横這いで推移しているが、漁獲量は減少傾向を続けている。

  
○また、漁業経営体数及び就業者数についても減少しており、高齢化が急速に進んでいる。


○資源管理型漁業の取り組みで、一部ズワイガニで資源の回復がみられるが、基幹漁業の定置網や底びき網漁業の経営は厳しさを増している。

○また、沿岸域においては、ウニ類や海藻類などの豊かな磯根資源が十分に利用されていない。


○一方、つくり育てる漁業では、アワビの栽培漁業やトリガイ養殖は着実に成果をあげてきた。また、新たにイワガキ、ホンダワラなどを対象とした養殖も取り組まれており、今後の規模拡大が期待される。


○魚価の低迷により漁業者の所得が減少しているため、今後、水産物の付加価値の向上による安定した収益性の高い漁業の育成を図っていくとともに、丹後 水産物の知名度向上と丹後地域における消費拡大を図る必要がある。

※平成15年の漁獲量:16,535トン、漁獲金額:50億600万円

※平成15年の漁業就業者:1,470人(うち60歳以上の男性が53%)【農林水産統計】

【海業について】

○遊漁についてはやや頭打ちの状態であるが、観光ニーズが変化する中で、定置網や地びき網の体験をはじめとして、水産加工やサザエ採捕の体験など、新しい海業の展開が進んでいる。しかしながら、観光業界との十分な連携が図られていない。


○ 府北部へは、年間500万人を上回る観光客が訪れており、ズワイガニは冬の味覚として多くの人々を魅了している。しかし、 その他の季節では、漁業と観光業界との連携はかならずしも十分とは言えない。

※H15年の府北部の遊漁船利用者:約12万人(うち約10万人が釣船を利用)

※H15年の遊漁船業者数:333人(99%が漁業者の兼業)【第11次漁業センサス】

※H15年の観光客数:舞鶴市115万人、宮津市269万人、京丹後市139万人、伊根町26万人         【各市町調べ】

 

【流通、消費の動向について】

○魚を食べる機会が減少している。また、魚を調理できる人も減少している。

 
○最近、地元産を明示して販売しているところも出てきたが、一般的に、丹後地域も含めて府内産の魚は入手しにくい実態がある。

※魚消費の阻害要因:「消費者価格が高い」、「品質が安定していない」、「鮮度に対する不安が大きい」、「調理が面倒」等【平成12~13年水産物消費利用動向調査】

 

3 施策の基本方向

【今後の展開方向】

 資源管理を一層推進して、定置網や底びき網をはじめとするさまざまな漁業を全体として発展、振興していく必要があるが、資源量や漁業経営体数の減少等により漁獲量の大幅な増加は見込めない。

そこで、漁業をはじめとして、豊かな自然や伝統文化等の漁村の資源を活用し、観光分野等の他分野との連携を図りながら、藻場の造成と未利用資源の活用、新たなつくり育てる漁業の展開、付加価値の向上、さらには海業の取組などを重点的に進めることにより、漁業経営の安定化と担い手の確保・育成を図る。  

 

○ 藻場造成による基盤整備

アワビ、サザエ、ウニ、海藻類等、磯根資源の生育場の拡大と、チッソ・リン及び二酸化炭素の固定機能により環境保全に貢献する藻場の造成を推進する。

○ 磯根資源を活用したつくり育てる漁業の振興と地域特産品の育成

従来の水視漁法では、十分に漁獲されていなかった磯根資源をより効率的に漁獲するため、資源管理に配慮した潜水漁法を導入し、アワビのつくり育てる漁業の振興とウニ等未利用資源の利用促進により磯根資源の生産量の増大を図るとともに、トリガイやイワガキなどの地域特産品の生産体制を整備する。

 

○ ブランド化と流通販売対策の強化

丹後産の水産物について、統一的なブランド認証制度を創設し、当面は、計画的な生産と品質確保が期待できるトリガイ、イワガキ、アワビを中心にブランド化と生産体制の強化を推進し、丹後水産物全体のイメージアップと付加価値の向上、安定した収益の見込める漁業の育成を図る。

ブランド品について、丹後地域の観光施設を中心に販売先を拡大し、地元での消費拡大のための流通販売体制を強化する。

○ 海業の新たな展開

観光産業や教育機関との連携強化を図り、体験漁業等を活用した商品開発や遊漁の新メニューづくりなど、海業の新たな展開を図るとともに、山、里とも連携しつつ、ブルーツーリズムを推進する。

○ 担い手の確保・育成

京都府漁業の将来を担う意欲ある若い担い手の確保育成を図るため、就業相談や、受け入れ、研修等の支援体制づくりを進める。

4 重点施策

基盤づくり 藻場造成による基盤整備

 水産生物の生産の場であり、チッソ・リン、二酸化炭素の固定機能などの環境保全機能を有する藻場(海の森:海藻が群生する場)を造成し、磯根資源の生産増を目指すとともに、海の環境保全に貢献します。

○ 藻場(海の森)造成の推進

■沿岸漁場整備開発事業(大規模な海の森づくり事業)等により京都府沿岸海域で毎年約1ヘクタールの藻場(海の森)を造成し、アワビ、サザエ、ウニ、海藻類などの磯根資源の増産を目指します。

■藻場が持つ幼稚魚保育機能、チッソ・リン、二酸化炭素の固定機能などにより府沿岸域における環境保全に貢献します。

                 
■府民が藻場づくりに参加し、藻場の多様な機能を知っていただくための「海の森づくり教室」を開催します。

○ 有用海藻の増養殖の促進

■造成した藻場等の効率的な利用を目指し、有用海藻を安定的に生産するための増養殖技術開発を推進します。

(例)有用海藻:イシモズク、クロモ等

■漁業者等による有用海藻の増養殖事業に対して支援します。


【目 標】
藻場の造成面積
平成17~22年度までに10ヘクタール造成

 

つくり育てる漁業による海の恵みづくり 磯根資源を活用したつくり育てる漁業の振興と地域特産品の育成

潜水漁法を導入したアワビのつくり育てる漁業の振興とウニ類、海藻類などの未利用磯根資源の有効利用を促進するとともに、トリガイやイワガキ等の地域特産品の生産体制を整備します。

○ アワビのつくり育てる漁業の振興

■放流効果が顕著な、丈夫なアワビを使用した持続的なアワビ栽培漁業を振興し、アワビの効率的な漁獲と漁場管理体制を確立するために必要な潜水漁法の導入を促進します。

■種苗購入積立金制度の設立など持続的なアワビ等の栽培漁業に取り組む漁協等を指導、支援します。

(例)潜水漁法と積立金制度を推進する地区における京都府水産振興事業団のアワビを用いた持続的なアワビ栽培漁業の取組への支援。

○ ウニ類や海藻類などの未利用な磯根資源の計画的な利用促進

■漁業者に未利用資源の情報提供と、持続的な利用方法について指導します。

○ 地域特産品の生産体制の整備

■京都ならではの地域特産品(トリガイ、イワガキ、ホンダワラ、イシモズク等)づくりを推進するとともに、一層の京都らしさと競争力の確保のために、優良品種づくりを推進します。

■ トリガイ、イワガキ、ホンダワラ等を対象とした京都府独自の技術を使った新たな養殖業を推進するために支援します。                   

(例)イワガキ養殖試験等の実用化に向けて試験的に取り組む漁業者への支援。

【目 標】
アワビの生産額(平成11~15年度:36百万円)
平成21年度までに1億円
磯根資源の生産額(平成11~15年度:3.7億円)
平成21年度までに5億円

消費拡大とブランド品づくり ブランド化と流通販売対策の強化

丹後産の水産物について、ズワイガニを含めた統一的なブランド認証制度を創設するとともに、地域団体商標制度に基づく商標登録を目指します。

当面は、計画的な生産と品質確保が期待できるトリガイ、イワガキ、アワビを中心にブランド化と生産体制の強化を推進し(将来的には、他の品目へ順次拡大)、丹後水産物全体のイメージアップと付加価値の向上、安定した収益の見込める漁業の育成を図ります。

ブランド品について、丹後地域での観光施設等を中心に販売先の拡大を行うなど、観光産業と連携を図りながら、地元での消費拡大のための流通・販売体制を強化します。また、首都圏や京都市内で、ブランド品の継続的なPRができる拠点づくりを行い、消費者に対するPRを図ります。

○ ブランド化の推進

■丹後水産物ブランド化等推進事業(ブランド認証体制の整備)を実施します。

・ブランド推進協議会の設置・運営
(生産者団体、観光団体、消費者団体等で構成、ブランド品目の選定、ブランド認証基準の策定、販売戦略の検討、品質・衛生管理向上等を行う。)

■「丹後とり貝」育成事業(生産体制の強化)を実施します。

・養殖技術及び漁業経営研修会の開催
・トリガイ養殖の規模拡大支援(トリガイ養殖筏の整備)

■「丹後アワビ」育成事業(生産体制の強化)を実施します。

・造成藻場へのアワビ種苗放流による拠点漁場づくりに向けた調査の実施 
・天然海域を利用した養殖の実用化に向けた調査の実施

■他品目のブランド化に向けた取組を促進します。

・養殖や栽培漁業等の安定供給に向けた生産方法の工夫、鮮度向上等の高品質化を目指した品質管理の強化等

 

(ブランド化の推進体制)

 

 

○ 流通販売体制の強化

■丹後水産物ブランド化等推進事業(丹後水産物利用拡大キャンペーン)を実施します。

・丹後地域の宿泊施設、料理飲食店等でのブランド品の利用促進活動の実施

・観光産業と連携した、京阪神地区等での丹後地域への誘客促進活動の実施

・丹後水産物利用拡大実行委員会の設置(丹後水産物の観光施設での利用拡大、丹後地域への誘客促進活動等の実施・検討)   

■ブランド品を中心とした丹後水産物のPR活動を展開します。

・消費者を対象とした生産現場の見学会等の実施

・首都圏や京都市内での、ブランド品の継続的なPR拠点となる料理店、旅館、ホテル等の確保

・首都圏等での、他の京都ブランド産品と連携したブランドイメージのPR活動の展開(試食会の開催等)

・首都圏や京都市内でのブランド品取扱店の認証制度づくり

 (流通販売体制)

 

【目 標】ブランド品の生産目標
◆ トリガイの生産額
・養殖トリガイ 平成21年度までに1億円(平成17年 13百万円) (他に 天然トリガイ 毎年2~34百万円)

◆ イワガキの生産額
・養殖イワガキ 平成21年度までに1千万円(平成17年 1.7百万円) (他に 天然イワガキ 毎年40~60百万円)

◆ アワビの生産額
・平成21年度までに1億円(平成17年 75百万円)

 

新たな海の魅力づくり 海業の新たな展開

 

遊漁の安定的な発展と併せて、定置網や地びき網等の漁業体験や加工体験など、体験型の海業の振興を図ります。このような体験型の海業については、観光業界と連携して新しい観光産業として積極的に展開するとともに、山、里とも連携して消費者ニーズにあった新たな民宿経営への展開に活用します。

○ 観光定置網等の海業の質的向上

■体験漁業等の海業の新たな展開のため、観光産業や教育機関との連携強化を図るとともに、新たな商品開発を推進します。 
(例)漁業体験ツアーなどの企画。

(例)商品開発への支援(定置網体験:漁獲体験や見学、荷捌き体験、料理体験と試食、加工体験等とのセット商品等)。

(例)受入れ施設の整備(衛生面に配慮した施設整備、時代のニーズにあった民宿経営の展開等)。

■磯根資源(サザエ)を対象とした遊漁など、遊漁の新メニューづくりやその取組に支援します。

○ 新たな拠点の整備

■漁村や漁港等が有する多面的機能(文化・景観等)を活用し、新たな海業の拠点づくりを進めます。

(例)伊根の舟屋やマリーナ等を活用した海業の展開。

(例)海の駅、海の道の開設支援。

○ 遊漁等の振興

■遊漁やマリンレジャー対策について、資源管理や漁場利用秩序維持の観点から、漁業との共存関係を強化するルールづくりに対して支援します。

【目 標】
観光定置の実施地区数(平成16年度 1地区)
平成21年度までに3地区

 

人づくり 担い手の確保・育成

アワビ等の磯根資源を対象にした栽培漁業の振興と未利用磯根資源の有効利用を潜水漁法の導入により推進するとともに、トリガイやイワガキ等の養殖業を推進することにより、今後の地域漁業を担っていく若い新規就業者の確保育成を目指します。

 

○ 担い手の確保・育成

■基幹漁業である定置網や底びき網漁業への新規就業を支援します。

(例)農林水産業ジョブカフェを通じた新規就業希望者に対する情報提供。

(例)体験研修制度の整備。

(例)インターンシップの導入。

(例)小中学校の児童、生徒が体験できる交流会の推進。

■定置網や底びき網漁業と潜水漁業やトリガイ養殖業との複合的な就業形態のモデル化を提示します。

■アワビなどの磯根資源のつくり育てる漁業に必要な潜水漁業や、トリガイやイワガキ等の地域特産品の養殖業への就業に必要な技術習得に対して支援します。

(例)新規就業者に対する研修(漁船運用技術、漁労作業技術、潜水技術、鮮度保持技術等)。

○ 経営開始資金対策

■潜水漁業や地域特産品の養殖業等の経営開始を行う際の資金貸付。

【目 標】
潜水漁業への新規就業者数
平成21年度までに5人
トリガイ養殖業への新規就業者数
平成21年度までに5人
イワガキ養殖業への新規就業者数
平成21年度までに5人