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天橋立周辺景観まちづくり

 平成17年度に設置した「天橋立周辺景観まちづくり検討会」の取組の一環として、地域の景観まちづくりの取り組みの促進と今後の検討会での議論に活かすため、宮津高等学校建築科の生徒と天橋立周辺の景観形成及びまちづくりについて検討するため出前講座とワークショップを実施しました。


それでは、「景観法についてとそれに関わる京都府の施策及び現在、検討しています天橋立周辺景観まちづくり検討会について簡単に説明をしたいと思います。

 
まず、「景観」とはどういうことかです。
「景」は景色や風景を表し、「観」は見るという字です。
景観は、それを見る人により、景観の評価が変わる、というところが景観のおもしろいところであり、難しいところ。
その時の人の気分でも心象が違い、季節や時間帯によっても随分、見え方が違う。
「景観」は地域の生活や文化を映し出す鏡、といわれます。 
どうやって、景観が形成されるか。それは、これまでの私たちの先祖の生活があり、そこに私たちの生活や文化が合わさり、私たちの目の前に現れていると思います。
景観が荒れている、のは、近代化によって大きく生活スタイルが変わったということも大きいですが、意識が低下していることもおおきいのではないのでしょうか?
昨年、景観法が出来ました。一般的にはあまり知られていないと思います。
国の法律では初めての景観に関する法律で、「景観は国民共通の資産」とされました。
家の外観や商店の看板も、地域の財産である景観の一部だ、という意識をもつ必要があります。
長野県小布施では、「外はみんなのもの」「内は自分のもの」をコンセプトにまちづくりを進められており、住む人にとっても、訪れる人にとっても、心地よい空間ができていると思います。
景観施策の第1の目的は、先人から引き継いだ景観を保全・修復して、次の世代に引き継いでいく、ということですが、景観を考えることを通じて、地域の良さを再発見し、個性を生かしたまちづくりが進んでいく手がかりになるのでは、と考えています。

 
ちりめん街道はかつて絹織産地として栄え、280年余前ちりめん技術が入り、以来江戸初期から明治・大正・昭和の初期にかけて、ちりめん産業と物流拠点として繁栄を続けた名残が今でも感じられる地区です。「旧加悦町役場」「旧尾藤家住宅」等歴史的文化的価値が高い建物が今でも多くのこされています。
当地区は平成17年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。

 
京丹後市久美浜町では、商店街の一角に残る稲葉家建物の復元及び活用計画をきっかけに、江戸末期から明治初期における久美浜繁栄の歴史と文化を地域の資源として
その頃の町並みの景観をつくることにより、まちを盛り上げようと住宅修景事業に取り組んでいいます。
 地域住民の方が中心となって、協議会を組織して、歴史学習会やイベント等を地域全体
で楽しむ取り組みを実施しています。
 修景事業の例を見ていただきたいと思います。 



さて、施行された景観に関する基本法といわれる、景観法。
法律制定前にも、全国的には500近い市町村や47都道府県のうち約半数の府県が、景観条例を制定し、景観の規制などの取組を行ってきました。
 しかし、新聞でもいろいろな景観の訴訟が提起されているのを目にされることもあるかと思いますが、都市計画法や建築基準法など、法律以上の規制は条例でできないことから、条例では弱い規制となってしまい実効性という面で限界があったところ。
 これを、国が法律でバックアップしようというのが背景。

 
法律の景観形成の基本的考え方、は基本理念として示されています。
先程ももうしましたが、良い景観は、国民共通の資産景観形成は、地域の個性を伸ばすように観光や地域の活性化に大きな役割を担う。住民、行政等の協働により推進保全だけではなく、あらたに作り出すことも含みます。

 
次に、景観法における、景観をコントロールする手法について。
景観法の活用主体は、景観行政団体といいます。
京都府、政令市の京都市は自動的に景観行政団体、それ以外の市町村は知事との協議により景観行政団体になれる。
 現時点では、宇治市と旧美山町を有する南丹市が景観行政団体になっています。
具体的な規制は、景観行政団体が景観計画区域を定めて行います。
景観計画区域は、府内どこでも指定が可能です。
景観計画に、届出の基準を定め、これに基づいて建築行為の際は指導を行っていきます。 

 
京都府は現在景観に関する条例の策定を目指しています。
先ほどいいましたとおり、景観法は条例では危うかった景観のコントロールの手法が用意されました。
しかしながら、法律の景観法の建築物の規制誘導等の仕組みだけで、地域の景観への取り組みが進むわけではなく、良くなるわけではありません。
法の活用をするまでに、地域の方が、この景観に関する法律についてよく知るとともに、自分たちの地域の景観をどうするか、自分たちのまちの誇りを
どうつくっていくかを考える場及びしくみが必要であると考えます。 こういったことから、法律の仕組みを活用しつつ、条例では法を補完する施策を用意しようとするものです。

 
京都府では景観条例の策定によりいろいろな景観まちづくりをすすめるメニュー及び仕組みを考えています。
まず、景観形成の土台づくり、人づくりを進めることとしています。 京都府の総合的な取組として、景観形成基本計画を策定し、景観の取り組みを進める方針や具体的な取組を表していきます。
また、道路や河川などの公共事業を実施する場合に、どのように景観に配慮すべきかのマニュアルを作り、それに基づいた工事を進めることと考えています。

 
土台づくり、人づくりとして、あと2つの項目を挙げています。
景観を意識し、考える人材を育て、増やすこと、つまり、理解者を増やしていくことも重要です。
小学生を対象とした景観教育、あるいは、府民、まちづくり団体や行政職員等を対象とした景観まちづくり塾といった勉強会する組織
さらに、良い景観づくりの取り組み実施した方や団体への表彰する制度。
最後に下側、景観に関する情報の一つとして、景観に特化したHPの設置や、その中での電子会議室なども設置できればいいと考えています。

 
次が、景観計画策定に繋がる仕組みづくりです。
地域の景観の核となっているもの、あるいは、景観上の価値が見いだされないまま埋もれている景観の資源を「景観資産」として、登録、情報発信していくことにより、価値観や情報の共有を図ろうとするもの。
今回の条例の一つの目玉。
登録対象は、町屋や古民家、歴史的な土木遺産などの単体の建築・構造物、あるいは、棚田、街道筋などの面的な空間などを対象とします。
登録後は、アドバイザーなど専門家の派遣や、NPOや建築士会などの職能団体との連携により、保存活用について、支援を行っていきたいと考えています。
次が、景観府民協定制度。
景観協定という似た制度が景観法でも用意されていますが、景観計画を定めた区域のみが対象となるため、その他の地域でも活用可能な制度を作ろう、とするもの。
協定締結前の、勉強会などの支援、締結後の活動支援などを行っていきたいと考えており、地域での景観のとりくみの小さな芽を育てていきたいと思う。

 
次に、景観法などの法律や、事業制度を活用した取組方針の明示です。
各主体の役割で整理しましたとおり、当面のモデル地区として、このあと説明しますが天橋立周辺地区や学研地区などにおいて、景観計画の策定の検討をモデル事業として進めます。
一方、府は景観まちづくりの主体は身近な行政である市町村である、と考えておりますので、市町村の取り組みが進むよう、京都府は市町村間の共通課題や、山、川など市町村をまたがる景観資源について、取組のコーディネータ役を担っていくこととしています。

 
次が、法律を活用した取組として、文化的景観の選定推進としています。
文化的景観とは、新しいカテゴリーとしてもうけられ、文化財保護で、『人々の生活や生業、その土地の風土により形成された文化的な景観』をいいます。
国の選定とともに、府の独自基準を策定し、府の選定を進め、保全のための支援をしていく事として、現在、文化財部局を中心に、検討委員会を設置して、検討が進めております。
また、特に、府域の大部分を占める、農山漁村の景観については、農林施策を活用した景観形成を推進していくことを規定します。 

 
それでは施策のところで先ほど説明しました、モデル事業の天橋立周辺景観まちづくり検討会の取り組みについて説明します。
みなさんもよく知っておられます美しい天橋立の景観。
今のすばらしい景色を守るためには、景観法を活用して規制をかけることにより景色を阻害するような建物が建たないようにすることができます。
そういった規制や今後のまちづくりを検討する場として、昨年9月に検討会を設置して、今までに計5回の検討会を実施しています。

 
検討会では、学識経験者や地元団体、例えば美しさ探検隊や観光協会、天橋立を守る会等の方を委員としてみんなで真剣に議論をしています。検討会としてまずは天橋立周辺の景観の悪いところを出すところからはじめまして、委員のみなさんからいろんな意見をいただきした。

 
この写真は地元の方や学生等参加者を募集して、ワークショップを開催して景観まちづくりや天橋立内の検討を行いました。 

 
検討区域としては、天橋立を中心とした周辺景観は周囲の山の稜線によって区切られた区域を設定しています。図の赤い線の区域内が検討対象区域です。

 
昨年に景観についてアンケートを実施しました。対象者としては地元住民(宮津市・与謝野町)の方を1000名抽出して実施。また、天橋立に来られる方を対象にアンケートを併せて実施しました。

 
アンケートを実施しました結果で、大切にしたいと思う眺望・景観の視点場は笠松公園・ビューランドが観光客と地元住民のアンケートで上位になりました。 
天橋立の景観の問題点として、観光客及び地元住民のアンケートで上位になっているのは、文珠・府中の町並み景観が整っていないことやそれ以外の地域にも周囲の景観と調和していない建物があるというのが上がっています。

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