トップページ > 暮らし・環境・人権 > 第3回条例検討専門委員会概要

ここから本文です。

第3回条例検討専門委員会概要

1 日時

平成17年4月27日(水曜)午後1時30分~午後3時30分

2 場所

京都府西別館401会議室

3 内容

(1) 開会

(2) 議題検討

委員長 議事進行

事務局による資料説明

  • 参考資料に基づき、条例制定に向けた基礎情報を説明
  • 資料に基づき、事業者対策部分の条例検討項目を説明

【委員からの主な意見】(「⇒」は委員長発言、「→」は事務局回答等)
資料の事業者対策部分及び参考資料について各委員から意見をいただいた。

・地球温暖化対策としての、買い物客などの自由交通における自動車利用の抑制については、交通需要マネジメント(TDM)として3つのアプローチがある。一つ目は、利用者である一般府民の努力による抑制。二つ目は、大型駐車場を持つ大規模小売店の努力による抑制。三つ目は自治体の土地利用規制による自動車に頼らない交通体系の構築である。
・二つ目の大規模小売店の努力による抑制については、先般大規模小売店立地法の運用指針が改訂され、自治体の街づくり条例や府の公共交通優先に関する施策があれば、整備するべき駐車場台数の規制を緩和できることとなっており、京都市内では高島屋などの大規模小売店において駐車場数を削減する方向にある。
・府の条例に温暖化対策としての自由交通における自動車利用の抑制という項目を盛り込んでおけば、市町村がまちづくりに当たり大規模小売店に対して公共交通優先の配慮を求める指導要綱等をつくることの法的根拠になる。

⇒ 温暖化対策としての大規模建築物の報告・公表制度については、新築・増築と既築を同じ規定にするのか、それとも新築・増築に的を絞ったものにするのか、ガイドライン的なものを出す必要がある。

・エネルギーの使用の合理化に関する法律(以下「省エネ法」)で新築・増築で2,000平方メートルを超える建築物については、届出が必要になっているが、京都は中小建築物が多いことから、条例で対象とする建築物については、法の2,000平方メートルという基準の引き下げも視野に入れた検討が必要かもしれない。
・資料では、事業者対策として特定事業者の削減計画の策定と公表を項目にあげているが、排出量の報告公表制度はあげられていない。国においては、京都議定書の発効を受けて、地球温暖化対策推進法を改正し、一定規模以上の事業所に対する排出量報告制度を創設する見通しであるが、個々の排出量報告については、事業所が所管大臣に提出するに当たり、営業上の秘密を理由とする非公開を求めることができるようになっている。条例には、事業者に対する排出量の報告制度を盛り込まないといけない。その際には、温室効果ガスの排出量だけではなく、電気、ガスなどの元データについても報告を求めるものが必要である。
・既に報告公表制度を導入している埼玉県などでは、事業者の排出量報告について、営業上の秘密による非公開といった問題は提起されていない。
・省エネラベル制度について、東京都は5台以上店頭展示をしている量販店を対象に限定しているが、府の条例ではどのような制度を考えているのか。

→ どれくらいの規模の業者を対象とするかについては未検討であるが、東京よりも基準を下げることが妥当であると考えている。

⇒ 条例には、項目を総花的に羅列するのではなく、義務的な制度の創設を含め、計画の内容を実行に移すフレームワークが必要。事業者対策では、企業が削減数値目標をたてて、これを外部がチェックできる仕組みが必要であり、企業が外部に数値を公表しなければならない環境マネジメントシステム(以下「EMS」)の活用をフレームワークに取り入れるのが望ましい。

・京都でEMSといえばKESがある。KESのグレードアップを図り、認証取得企業の排出量削減をサポートできるようにすることが望ましい。

・京都府は具体的な温室効果ガスの削減目標を定めた計画を持っているか。

→ 「京と地球の共生計画(以下「共生計画」)」では、2010年までに1990年度比で温室効果ガスを8%、CO2を12%削減する数値目標をたてている。

・京都府内の排出量の把握がこれからという状況では、条例の数値目標について共生計画と同じ1990年度比マイナス○○%という設定は府民にわかりにくいのではないか。条例制定をスタートラインとして、これからの削減目標を数値設定するのがわかりやすい。

・条例で事業者に対する各種規制の議論があったが、規制を「ムチ」とすると「アメ」になる制度の検討も必要ではないか。例えば、排出量削減に取り組む事業者に対する各種減税等の検討はどうするのか。

→ 税制を含めて事業者が排出量削減に取り組むインセンティブについては、何らかの形で設ける必要があると考えているが、具体的な方法については未検討である。

・大規模建築物の規制を省エネ法の2,000平方メートルから引き下げるというふうにムチをきつくするならば、バランスとしてそれに見合うアメも必要ではないか。

・事業者に対する規制については、事業者に過大な事務処理を強いることのないように、国、京都市の制度との整合性を図る必要がある。

・排出量報告制度については、省エネ法で提出するものと同じものを提出してもらうだけで良く、事業者に過大な事務処理を強いるものにはならない。

・省エネ法のように大規模事業者を対象にすると、(認証取得企業の大半が中小事業者である)KESによるサポートという形にはあまりならないのではないか。
・事業者の排出量報告のとりまとめについて、府の事務作業が大変だというなら、とりあえずは報告を受けた書類を縦覧し、一般の人々が見られるようにし、とりまとめについては、予算がついてから後でする方法がある。

⇒ 制度を誰が推進していくのかという各主体の役割について検討する必要がある。アメリカのPRTR制度では、企業毎に個別に情報公開をさせ、それを各種NGOがとりまとめ、本にして販売している。排出量報告についても、行政は出てきたデータをそのまま公開し、NPOが公開されたデータの集計を行うといった役割分担を検討する必要があるかも知れない。

・行政の役割の範囲、NPOとの役割分担は非常に根本的な問題といえる。従来の公害問題は、原因と影響が地域の問題にとどまっていたため、行政の役割の範囲がはっきりしていたが、温暖化問題は原因と影響が地球規模に拡大し、因果関係が特定できないため、行政だけの取組では完結できない。行政は報告を受けた排出量に関する情報を公開し、公開された情報を元にNPOや市民が世論を形成し、企業に排出量削減に向けた取組を促すという社会全体の問題と捉えるべきである。

・参考資料5の屋上緑化試験を実施した施設の屋根は断熱構造のものか。

→ 断熱処理の施されていない普通の屋根である。

・最近の施設の多くは断熱処理が施されていることから、この実験結果だけでは、屋上緑化が建築物の室内温度を下げる効果があるかどうか判断できないのではないか。
・資料では、新築大規模建築への屋上緑化の義務化があるが、京都は大規模建築物の新築はそれほど多くなく、既存建築物を対象にしないとあまり意味がない。また、単純に温暖化対策をするならば、ランニングコストのかかる屋上緑化ではなく、性能の良い断熱材を乗せた方が良いのではないか。
・参考資料5の緑化事例は薄層土壌での屋上緑化であり、散水が必要になるが、水にかかるエネルギーを考慮しないと温暖化対策に反することとなる。雨水利用などによる水道使用量の削減を図るか、保水力のあるしっかりとした土壌による緑化でなければ、屋上緑化が温暖化対策に有効とはいえないが、雨水貯留タンクや保水力のある土壌は重く、建築物の積載荷重の面から既存建築物でこれらを施工するのは難しい。

・(人が出入りできる)平屋根の屋上緑化は、緑による快適な空間の創造というインセンティブがあるのではないか。

・一般の方がイメージする芝生の屋上緑化は、夏場は暑く冬は寒くてあまり利用されないケースが多い。利用したくなる快適な屋上緑化にするには、日差しを遮るパーゴラや高木の植栽が必要であるが、積載荷重の問題などから重量物を屋根にのせることができるかどうかわからないことが多い。義務化を図るならば、どのような屋上緑化ができるのか、府で屋上緑化のガイドラインなどを作る必要があるのではないか。
・温暖化対策ということでは、屋上緑化だけでなく、建物緑化、ビル緑化という形で、コンクリート躯体へ熱を蓄積させないことが重要である。

・KES取得工場の多くは第一種、第二種エネルギー指定管理工場の対象外である。
・事務局の参考資料は少し古いデータであり、平成17年3月の時点では、KES認証取得企業は、ステップ1が382社、ステップ2が201社である。
・KESなどのEMSの良いところは、きちっとした記録が残る点である。エビデンスとなる記録があることで、数値目標の達成度のチェックが可能となる。
・屋上緑化やアイドリングストップなどの制度の普及についても、企業のEMS構築が進み、その中の環境目標として位置づけられるようになれば、広がっていくと考えられる。
・KESの認証取得によって、電気の使用量や水道の使用量などが確実に減少することで、経営品質の向上にもつながっている。

・KESの普及拡大を図るため、経費節減効果などの経済的なメリットをもっとPRするのが良いのではないか。

・企業にKESのメリットをいかに知っていただくか、そのPRの方法が課題となっている。

・KESの普及拡大を図るに当たっては、当面は10,000社を目標にするのがよいのではないか。

⇒ ISOと同じようにKESでも認証取得に当たって、コンサルタント的な業務があるのか。

・認証取得の審査という形でコンサルタント的なことをおこなうが、企業と一緒に議論しながら、より良いEMS構築を考えるということが多い。

・KESの認証取得コストはどれくらいか。

・KES認証取得コストは、ステップ2で約20万円かかり、毎年更新料として10万円かかる。

・KES認証取得による経費節減効果がこれ以上の企業にとっては、取得のインセンティブは十分ある。

・現在、工業会ではKESの普及と企業の認証取得を支援するため、セミナーの開催やテキストの作成をしている。
・KESを含むEMS共通の特徴として、第三者の審査による遵法性が確保できるということがある。このことから、第三者の審査の保障されたEMS取得企業について、府や市への公害届出を一部免除するなどの支援があると、EMSの普及促進が図れるのではないか。

⇒ 神奈川県ではそのような支援の取組がなされている。条例が大きな規制のフレームワークを作って、その中でガイドラインをつくり、企業が自主的に誘導するような形で施策を作っていくということができれば、実効性のある条例の姿が見えてくるのではないか。

・条例には、観光などで京都に流入する自動車の量を抑制するため、パークアンドライドの推進を盛り込むべきである。

・嵐山や東山では既に観光客を対象としたパークアンドライドを実施しており、利用者の好評を得ている。ドライバーに周知する方法が難しい。
・パークアンドライドの推進そのものは、条例に書き込むのは難しいのではないか。

→ 条例には、基本的な考え方を盛り込み、パークアンドライドなどの具体的な施策は、アクションプランで検討できればと考えている。いただいたアイデア全てを条例には盛り込めなくても、盛り込めなかったものをアクションプランの中で検討し、取り入れていきたい。

・久御山町の大型小売店舗の駐車場を活用したパークアンドライドがある。
・亀岡市などでは、キスアンドライドといわれる、車で駅やバス停まで送迎し、公共交通の利用を促進させる取組もなされている。
・公共交通優先を条例の中に盛り込んでいく必要があるが、基礎的自治体である市町村の関与をどのように位置づけるかが問題となる。

・条例の推進を図るに当たり、基礎的自治体である市町村の役割がとても重要になる。

・アイドリングストップについて、どこまで義務化することを考えているのか。

→ 信号待や救急車両などの例外の設定もあることから、府都道府県の例を参考にしながら、検討を進めていきたい。

・エコドライブについて、前回委員から出た免許更新時の講習制度の意見が反映されていないのは何故か。

→ 前回いただいた免許更新時の講習にエコドライブを取り入れる意見については、警察に相談をかけて、実現の可能性があることの確認ができた段階であるが、具体的な方法等についてはもう少し勉強させて欲しい。

⇒ グリーン購入において、納入業者のグリーン配送を求めることも考えられる。また、低公害車の駐車場優遇として、アメリカのウォルマートでは電気自動車について駐車場の優遇を図るとともに、電気のチャージをサービスしたことで電気自動車を普及させた事例がある。

・タクシーの台数が増えている気がする。タクシーの客待ち駐車による渋滞を解消するため、都市規模による台数制限などが必要ではないか。

・四条河原町で調査を実施したデータでは、通過交通の8%が配送車両で、マイカーが20%、残りが全てタクシーであった。このうち3割は京都駅に向かうもので、タクシーを公共交通と位置づけて、その効率化を図ることが大切。
・タクシー配置の効率化を図ることで、実車率を3割~4割に高めることができると考えられる。

・タクシーについても、車両規制地域を設けてパークアンドライドにすることができないか。お年寄りの利用については例外とするなどの工夫が必要。

・1キロメートル以上の利用ではタクシーはマイカーよりもエネルギー効率が悪いといわれており、温暖化対策という視点からすると、タクシーについてはそもそも利用を促進するべき公共交通機関から外すか、公共交通機関とは切り離して別枠で検討するのが良いのではないか。

・都心部の駐車場のキャパシティーの問題を含めて考えると、マイカーで都心に来て駐車場に入るために渋滞するならば、タクシーを利用する方が良いという考え方もある。温暖化対策として、タクシーを公共交通機関に含めるのが難しい部分もあると思われるが、鉄道、バスなどの公共交通を補完する準公共交通機関程度に位置づけて検討することも可能ではないか。

・今までタクシーは他の公共交通機関と違い、(その需要について)コントロールされてこなかった。タクシーが公共交通機関かどうかという議論ではなく、交通需要政策の視点から、現在のタクシー輸送の合理化・効率化を進めるのが現実的ではないか。

・事業者対策として排出量報告制度のガイドラインという議論があったが、条例では、省エネ法の排出量報告の対象から外れる中小事業者にも網掛けをする必要があるのではないか。第二種エネルギー指定管理工場の半分の電気、熱使用量というようなランク付けをガイドラインの中で示し、それに該当する事業者については排出量報告の対象とすることも検討すべきではないか。

⇒ きめ細かい形での事業者対策が必要である。

・省エネ法の報告制度の対象事業者になるかどうかについても、自主申告方式をとっている現状では、各中小事業者を報告制度の対象に含めるのは難しい部分がある。

・KES認証取得企業の75%が40人未満の企業であり、省エネ法の対象外である。
・既にISOの認証を取得しているような大手の企業が、グリーン調達として、取引先企業にEMS取得を求めるようになれば、KESの普及も進むと思われる。

・自動車のエコカーマイスター制度は先進的なもの。何とか形にして欲しい。
・資料では、環境教育の項目が落ちているのではないか。

→ 御指摘いただいた項目については、次回資料に反映させたい。

・地域ぐるみでの取組という考え方をいれることが大切。

・校区を単位にした事業者と地域の協力が大切。工場見学の受入など企業と地域との関係を重視する必要がある。

⇒ 経済産業省がやっている環境コミュニティービジネス事業で、八戸市における工場見学の斡旋の事例がある。

⇒ 排出量報告制度で、企業の自主申告によることから基準の設定が難しいため対象を拡大するのが難しいという議論があったが、逆に一旦全ての事業所を報告の対象として、基準以下の事業所については、報告免除の申告を行うというような制度も考えられるのではないか。

・事業者の対策として、エネルギー供給事業者に関する義務規定の検討及び協力の要請を盛り込むべきである。

・参考資料6の森林吸収源3.9%という数字は、条約上認められたものであるが、根拠に乏しくいいかげんなものである。
・京都で温暖化対策を取り組む場合、国と同様に森林吸収源を考えて良いのかどうかは慎重に検討する必要がある。

・京都府内の大学に温暖化対策に関するアンケートを実施したい。回収率向上のため、専門委員会の名で依頼を出すこととして良いか。

⇒ 前もって調査項目等を各委員に配布し、了解を得た上で実施したい。

条例検討スケジュールについて

→ 次回の専門委員会が5月17日(水曜)午後2時から午後4時であることを確認

(3) 閉会

お問い合わせ

総合政策環境部脱炭素社会推進課

京都市上京区下立売通新町西入藪ノ内町

ファックス:075-414-4705

datsutanso@pref.kyoto.lg.jp