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第4回条例検討専門委員会概要

1 日時

平成17年5月17日(火曜)午後2時~午後4時

2 場所

京都府庁2号館第2会議室

3 内容

(1) 開会

(2) 議題検討

委員長 議事進行

事務局による資料説明

  • 資料の検討項目(前回までに検討した民生、事業者対策部分除く)に基づき「森林整備の推進」以降の検討項目を説明。
  • 参考資料1~4に基づき、条例制定に向けた基礎情報を説明

【委員からの主な意見】(「⇒」は委員長発言、「→」は事務局回答等)
資料の検討項目(前回までに検討した項目も含む)及び参考資料1~4について各委員から意見をいただいた。

・前回までの専門委員会で委員から提案のあった項目について、資料に反映されていないものがあるが、意図的に資料から落としたのであれば説明が必要であると考える。前回までの議論で、住宅の省エネ性能表示に関するマイスター制度の検討や、大規模事業者に対する報告制度だけでなく、中小事業者へその対象を広げるべきではないかという議論があったが、資料に盛り込まれていないのは何故か。

→ いただいた提案については、その必要性は認識し、検討を進めている。しかし、制度の実現可能性については、感触として難しそうな状況であり、資料に盛り込むかどうかについての説明については、もう少し時間が欲しい。

⇒ (前回までの委員会でも指摘があったことだが)温暖化対策を推進するためのインセンティブとなる項目が、予算が厳しいことを反映してか少ない気がする。金銭的なインセンティブ以外のものも含めて、委員の皆様から何か提案はないか。例えば、建築物について規制緩和の一環として総合設計制度というものがあるが、この制度を活用して環境に配慮した建築物のインセンティブができないだろうか。

・総合設計制度(一定の規模以上の大きな敷地を対象に、公共的なオープンスペース(公開空地)を設けるなど良好な街づくりに貢献する建築プロジェクトに対して、容積率や高さの制限を緩和する制度。建築基準法第59条2に基づいて、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可する。地方自治体の都市計画マスタープランを実現するための誘導手法として活用されるケースが増えている。市街地住宅型、再開発方針等適合型など複数のタイプがある。)は、京都では京都ホテル問題などの苦い経験があるが、京都市内の建築物密集地等においてマンションなどが建設される場合に公園などの公開空地ができるなど、温暖化対策に一定実効性あるものと考えれられる。
・しかし、総合設計制度を温暖化対策条例の中に取り入れるに当たっては、まず京都府の建築条例を変更する必要があるものと思われる。一旦、建築条例の公開空地を公開緑地制度のような温暖化対策に効果のある新しいものに修正した上で、温暖化対策条例の中で網掛けをしていく必要があるのではないか。
・もう一つのやり方としては、中心市街地のコンパクト化により、住人が車を利用せずに歩いて生活がまかなえる都市づくりがある。中心市街地のコンパクト化を促進する誘導的な政策も建築物における温暖化対策に資するインセンティブになるのではないか。

・京都では、総合設計制度による建築物の高さを上げるという手法は難しいし、温暖化対策として良いかどうかもわからない。
・資料3の財政上、金融上、税制上の措置があがっているが、中身がまだない。
・資料3に列記されている府の施策については、それらを条例に盛り込むとすればどのようなものになるのか、という部分を明示するべきではないか。

⇒ 産業廃棄物税の税収額と、利用の目算はどうなっているのか。

→ 産業廃棄物税の活用方法は現在検討中である。7月上旬に4半期結果が出るので、その状況を見てからということになる。

⇒ あとは、府民からの寄附を募って、温暖化対策のための基金(ファンド)の設立ということが考えられるが、その可能性や動きみたいなものはあるのか。

・基金を設立する場合、従来のような企業を回って寄附をお願いするという手法には限界がある。市民からどのように集めるかが問題となっている。
・基金への寄附を促進するため、税理士のアドバイスなどで、納税分を寄附に回すことを選択できるような仕組みが必要ではないか。

・所得税の減免については、財務省の権限となっているので、府条例では手の出せない部分ではないか。

・産業廃棄物税は法定外目的税ということで、産業廃棄物排出量の抑制を目的とした税であり、これをそのまま温暖化対策に使うのは、目的の趣旨から難しいのではないか。
・民間ファンドの設立については、何の目的で、寄附者にどのような効果があるのかがわからないと寄附は集まらないと思われる。法人については、税金も払って、ファンドへの寄附も行うというのはなかなか理解は得られず、寄附を損金換算できるようなメリットが必要ではないか。

・温暖化対策は行政だけが行うものではなく、センターや工業会、商工会議所といった業界団体や府民がパートナーシップの下に取り組むものであり、資料の中でも推進体制の項目に京都府地球温暖化防止活動推進センター(以下「センター」)を中心とした推進体制ということを明記されている。
・行政の温暖化対策は当然税金を財源として実施されるが、行政とセンターがそれぞれ違う役割をもっているとすると、センターは、一部税金の投入はあるとしても基本的には税金とは別の財源をあてないといけないと思われる。しかし、現実にはセンターには十分な活動資金がない状況であり、その財源として、センターの活動に対する寄附金を募ったファンドを創設することが望ましいのではないか。

・条例で所得税などの国税をさわるのは無理として、地方税でインセンティブを設定するならば何があるか。

・不動産取得税が良い。エコ住宅を購入した者に不動産取得税を減免するというインセンティブの設定が考えられる。

・以前の専門委員会でも発言したことであるが、条例には事業者・府民に対する税などの北風政策ばかりでなく、太陽政策も必要。もう少し具体策があるか。

→ いただいた意見についてはよく検討する。排出量削減に取り組んだ企業に削減量を登録してもらい、これを顕彰する制度等が考えられる。
また、屋上緑化制度についても基金などを作って支援することを模索している。

・屋上緑化は新聞にも出ていたが、温暖化対策として普及促進をしていくには課題もある。
・資料3にあげられているものが条例に書き込む府の施策とすると、家庭対策における家電機器等の項目ではグリーン購入の促進しか府の施策がないこととなる。他の施策についても条例の中に書き込む必要があるのではないか。

・公共交通の利用促進を図る上で、行政が果たす役割は大きいことからすると、条例における運輸・交通部門での府の施策についても、TDMの普及等、もう少し具体的に整理して書き込むべきではないか。
・京都府は交通網はかなり発達しているが、便利だとは府民にまだ思われていないと思われる。まだまだ様々な施策を工夫していくという行政の役割があって、はじめて公共交通の促進が図れるのではないか。

⇒ 地方自治体との協力体制を構築するということは具体的に盛り込めないか。

→ 資料3には、「国、都道府県、市町村、環境保全活動団体等との連携」という抽象的な表現ではあるが、府の施策として掲げさせていただいている。

⇒ 何か市町村との具体的な連携を盛り込むアイデアはないか。

・条例で市町村の責務を規定することはできないのか。

→ 昔は、条例に市町村の責務という規定もあったが、現在は都道府県と市町村は対等でありできない。

・伝統産業条例では、京都市と同じ条文の条例を同日に施行するという形で府市連携を図る予定である。京都市を除く各市町村に、府の温暖化対策条例の制定を契機に、同様の条例の制定を呼び掛けるのはどうか。

→ 市町村の自治権を侵害するおそれがあり難しいと思われる。

⇒ 市町村を事業者と捉えて考えることはできないだろうか。

→ 事業者として捉えれば可能であるが、行政主体としての市町村として明記する場合、責務という文言は難しい。

⇒ 市町村に自主裁量があるというのであれば、府の条例と市町村の条例が矛盾した場合、市民はどちらに従えばよいのかという問題がでるのではないか。

→ 資料の3の部分に府の施策として「国、市町村との連携」をあげているとおり、同じ項目で府と市町村の条例に矛盾がでないよう、十分調整をさせていただきたい。

・(別添の環境技術の資料について、京都の環境技術を持つ企業について紹介。)

・環境産業の支援とは、どのような支援を想定しているのか。

→ 現在、支援を全くしていない産業分野は少ない。既存の支援施策の重点化を主な支援として想定している。

・環境産業の支援施策とは、環境ベンチャーの育成なのか、大企業の環境技術開発の支援なのか。財源が少ない中で何ができるかが問題になる。
・例えば、先ほどの排出量削減目標を達成した企業に対する顕彰もあるが、インセンティブが顕彰だけで、環境産業の振興となるような効果があるのか。

・顕彰もインセンティブにならないことはない。精神論ではあるが、会社の名誉や従業員の環境意識の高揚といったことにはつながる。

・環境産業の振興とは、環境技術をリードする有望な企業の集積を図るということまで想定しているのか。

→ 条例の中には、環境産業の振興として、地球環境技術の振興を打ち出す。

・環境技術の振興を打ち出すのであれば、どの当たりまで施策を積み上げていくのかが問題となる。最近は改善されてきたが、企業誘致について京都府は滋賀県等に比べてインセンティブが弱かった。しかし、環境技術の振興ということであれば、長い伝統と文化を持ち、多くの大学を持つ「京都」の地の利を活かして、環境技術産業を集めて、温暖化対策につなげることができるのではないか。
・そのような視点からすると、資料にある環境分野における国際協力は、環境先進地京都というイメージを高めるような国際貢献をするなど、環境技術産業を集めることといえる。

→ 条例の中の国際環境協力については、そのような視点で整理、展開をしていきたい。

・施策の一例として国際的に著名な温暖化に関する発明等をした企業を京都で徹底的に顕彰するような制度も考えられる。

・企業が目標の達成を図るための手段に関する仕組みづくりについてはどうするのか。先ほどの企業の自主削減計画に対するインセンティブを付与するという仕組みであるが、誉めるだけでなくて達成できなかった場合はどうするのかという検討はされているのか。

→まだ具体化していないが、イメージとしては環境省の自主参加型排出量取引制度を参考とし、これをアレンジしたものになるのではないかと考えている。京都府におけるインセンティブの仕組みについては、削減目標達成分を誉めるのではなく、目標以上に削減できた部分を誉めることができるような制度ができればと考えている。
対象としては大企業を想定した環境省の制度と異なり、中小企業に絞ることも京都の独自性を出した制度として考えられる。

・中小企業向けの制度とすると、排出量報告義務の対象とならない一定規模以下の中小企業の申請内容の信憑性をどのように確認するのか。

→ 制度にISO、KESなどの環境マネジメントシステムをビルトインし、企業の報告内容の信憑性を担保するとともに、環境マネジメントシステム導入済みの企業に対しては、申請手続きを簡素化するなどのインセンティブを付与できればと考えている。

・報告制度の対象は(省エネルギー法の報告対象と同じとすると)京都全体で200~300くらいであることからすると、制度に中小企業を取り込むことは重要であるが、中小企業支援であれば、ISOやKESなどの環境マネジメントシステムを導入している企業には申請手続きを簡素化する等の工夫は大切。
・資料3にある条例進行管理の専門委員会とは、環境審議会とは別に今回の条例をPDCAするための専門の組織ということなのか。それとも、条例の見直しも同じ専門委員会で行うこととなるのか。

・数値目標があった上での、PDCAのための評価機関というとらえ方ではないのか。

→ 環境審議会は、温暖化対策に特化した機関ではないことから、これとは別の新たな組織で進行管理や見直しをしていければと考えている。

・推進体制の連携について、センターと基礎自治体の連携を謳う規定が必要ではないか。

・市町村の責務という規定が無理であるとしても、推進体制にかかわる部分には、くどいくらい市町村との連携を規定するのも良いかもしれない。
・京都の場合、府民や事業者の他に、条例の中でNGO・NPOという主体を書き込むべきではないか。

・どの主体がどのような温暖化対策を推進するのかについて、現在の検討資料ではわかりにくい。条例の中には、府民の地域での活動計画や、温暖化対策の推進デーなど、意識の高い府民が活動しやすくする具体的な仕組みを入れるべきではないか。

・府民は、同時に市町村民であり、市町村の中にいるという意識が強い。市町村と連携できなければ、直接府が府民を巻き込んで温暖化対策の推進体制を構築することは難しい。

→ 推進体制の構築については、条例でセンターを地域における温暖化防止活動の中核と位置づけることで、図っていきたい。法律上、センターは、都道府県に一つ指定できるとしか規定されていないことから、これを条例の中で明記することには意義があると考えている。

・地域の推進体制の構築に当たっては、市町村との連携と併せて、各振興局の役割についても条例の中で明記することが望ましい。

・連携というものは、自主的なものかもしれないが、連携させるのではなく、逆に各主体に連携を働きかけるということを府の責務として規定する方法がある。
・市町村の環境担当者は、一人で多くの分野の仕事を抱えており、市町村から連携を図っていくのは難しい。

事務局による資料説明

参考資料5~8に基づき、条例に盛り込む数値目標の考え方について説明

・数値目標の検討に当たっては、達成手段の検討が大切と思われる。達成手段のひとつである事業所の排出量報告制度、削減計画報告制度の対象を事業所単位の対策とするのか、企業単位での対策とするのかという基本的な部分をどのように整理するのか検討をした上で、京都独自の制度ができるのかどうか模索するべきではないか。

・排出量報告制度の対象のとらえ方については、事業所単位と企業単位の両方とも考えられる。一般的に事業所単位の排出量報告制度は、一定規模以上の各事業所を対象として排出量の削減を求めるもので、これがひいては各事業所間の排出量取引の議論に発展する可能性がある。また、企業単位の排出量報告制度とするならば、複数の事業所を持つ企業のトータル排出量の削減を求めるもので、各企業間の排出量取引ということになる。横断的な政策としては、炭素税という議論もあるが、これはまだまだの状況である。
・京都で排出量報告制度を考える場合、一定規模以上の個々の事業所を対象とする国の排出量報告制度をベースとして排出量の大枠を把握することを前提とした上で、家庭部門、事業者部門、運輸部門といった各部門の排出量把握のための仕組みをどのようにし、府がどのように関与するのかという部分を検討することとなる。
・国が森林吸収源3.9%を京都議定書の削減目標にカウントしていることに対して、京都でも森林吸収源を数値目標にカウントすることは、数値目標の達成可能性を考慮するとやむを得ない。ただし、国の3.9%については達成が危ぶまれている現状からすると、想定された森林吸収分全てをカウントするのは問題がある。
・推進計画の8%という数値については、概ね妥当な数値ではないか。現状から8%という目標を、各部門別に割り振って具体的な削減数値目表に据えるのが望ましい。例えば、産業、民生家庭系、民生業務系、運輸の4部門でそれぞれ2%というような数値を基本として、各部門間の調整を行うのが良いのではないか。

・部門の比率については、国全体では産業と民生家庭系の比率が3対1であるが、京都府の場合は1対1くらいになる。民生家庭系の多い京都ならではの具体的な削減目標とその設定の仕方が必要ではないか。
・京と地球の共生計画はかなりしっかりとした数値目標をたてており、目標の8%も様々な取組ごとに目標を定めてその積み重ねの結果として上がってきたものと記憶している。産業部門、民生部門の比率の明らかに京都府と異なる国と同じ視点で削減目標を定めてもだめなのではないか。

・国の目標達成計画の中でも、部門別の対策とその削減効果が提示されているので、それを一度産業構造や比率などを考慮しながら京都府に当てはめてみて、どれくらいの削減率になるのか検証してみるのはどうか。その上で、足りない部分やまだまだ削減できる部門について対策を講じて目標を設定するのが良いのではないか。
・国の議定書目標達成目標は、数値はきれいだが裏付けに乏しい。

・日本全体の6%という目標に対して、京都府が何%という目標の設定については産業比率も大きく違うことから、あまり意味がないのではないか。国は現在の施策評価をして、2010年までに排出量削減で基準年度比マイナス0.5%までの削減という目標をたて、そのうち民生家庭系の削減目標として基準年度比プラス6%まで削減する計画であるが、同部門の排出量が2002年の現状で28.8%増の状態になっていることを考えると、これから20%ほど削減しなければならないこととなるが、これにつきあって京都も、ということは無理がある。

・しかし、それをやらなければ京都での目標の達成はできないのではないか。

・参考資料7では、京都府における民生家庭系の排出量の伸び率が1990年度から1995年度で35.9%となっており、国の1995年度から2002年度までの伸び率15.5%を超えているが、この間京都が全国と比較して特別に排出量が増加する理由は見あたらない。数字がおかしいのではないか。現在、府内の排出量調査を進めておられるということなので、その数字が出てきてから、具体的な数値目標を検討するということでもよいのではないか。

事務局による資料説明

専門委員会からの府民意見募集について、説明

大学へのアンケート実施について

  • 事務局、栗栖委員から大学へのアンケート実施について説明
  • 下宿に関する調査はどうするのか。
  • 生活状況の調査はどうするのか。

→ 施策レベルの調査になってくると思われるので、とりあえずは大学事業者へのアンケートということでご了解願いたい。

条例検討スケジュールについて

次回の専門委員会が5月30日(月曜)午後3時30分から午後5時30分であることを確認

(3) 閉会

お問い合わせ

総合政策環境部脱炭素社会推進課

京都市上京区下立売通新町西入藪ノ内町

ファックス:075-414-4705

datsutanso@pref.kyoto.lg.jp