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第5回条例検討専門委員会概要

1 日時

平成17年5月30日(月曜)午後3時30分~午後5時30分

2 場所

京都府立総合社会福祉会館 4階 第4会議室

3 内容

(1) 開会

(2) 議題検討

委員長代理 議事進行

栗栖委員によるキャンパスエコロジー調査の説明

資料3に基づき、大学に対するアンケート調査書類を説明。内容について各委員了承。

府民意見募集状況の報告及び専門委員会における府民意見聴取

  • 参考資料に基づき、事務局から府民意見募集状況を報告(5月30日現在で2件)。2件のうち1件の府民意見の中で、専門委員会において府民が発言する機会を求める意見があったため、専門委員会における意見提出者の発言の可否を検討。
  • 傍聴要領の中では傍聴者に発言の機会を付与する条項がないため、環境審議会条例第8条の規定により外部有識者として意見を聴くことが適当であるかどうかを検討。
  • 検討の結果、出席委員全員が当該意見提出者の意見を聴くことに賛成。意見提出者が来場されていたことから、その場で意見を聴取した。

【意見提出者の発言要旨】
条例の検討に当たっては、京都府内の温室効果ガスの排出量を把握してからの議論が重要であり、京都府環境審議会の答申が出る前に少なくとも2、3回専門委員会で集中的に議論する必要があると考える。スケジュールでは、6月22日にとりまとめの予定で、それまでに1回しか専門委員会が開催されないとのことであるが、そのような拙速な議論で結論を出すことには反対であり、再考をお願いしたい。

事務局による資料説明

資料1及び2に基づき、これまでの専門委員会での検討内容を踏まえ整理した論点を説明。

【委員からの主な意見】(「⇒」は委員長代理発言、「→」は事務局回答等)
資料1に基づいて、各論点について各委員から意見をいただいた。

条例の制定の背景と目的について

⇒ 前文を盛り込むということなのか。

→ そうである。

・市町村の自治権など難しい問題があるとは思うが、温暖化対策における市町村の位置づけを条例前文に書き込む必要があるのではないか。資料1の14頁の「(3)各主体の責務・役割の明記」の中で「行政」になっているが、この表現では市町村のイメージが出てこない。

⇒ 「市町村とともに…」等、文言を工夫して「市町村」という表現を入れるべき。

・前文には、長期的視野に立つという意味の文言を入れるべきである。2010年の目標は温暖化対策の一歩に過ぎないという認識を持っていただくことが大切ではないか。

→ 「脱温暖化社会」「持続可能な社会」という文言に中長期的な展望を込める書き込みも考えられる。

⇒ 資料の3つ目の点に、「地球温暖化防止は人類共通の課題であり…」とある。少し屁理屈になるが、地球温暖化の防止は緊急の課題ではあるが、実際に防止はできない。中長期的な温暖化対策としては、「脱温暖化社会の構築」や「持続可能な社会の実現」という言葉になるだろう。「脱温暖化」という言葉は少し前までは一般市民の感覚では違和感を覚えたが、最近はなじんできたように思われる。

⇒ 上から6つ目の点は、主語は京都府なのかそれとも府民なのかよくわからない。

⇒ 主語は府民である。

・前文は資料1にあるように一つのまとまった文章にするのか。府民にわかりやすいキャッチフレーズにまとめる方がわかりやすいのではないか。

→ 条例的には、その趣旨を前文にまとめる形になるため、文章で書くスタイルになる。

⇒ 府民向けのキャッチフレーズについては、条例の翻訳版のようなものを出せば良い。

条例の目標及び達成手段

→ あくまで参考速報であるが、2002年度の京都府内の温室効果ガス排出量の1990年度に対する増減としては、産業部門が二桁の減少、民生部門業務系が増加、民生部門家庭系が横這いからやや増加、運輸部門が増加というトレンドであった。全体としては京都市とほぼ同じ傾向と認識している。

⇒ 京都府も京都市と同じ排出量の傾向であるならば、共生計画の8%という数値目標については、達成が困難ということで緩和する必要ない。後は、森林吸収源と部門別の目標をどうするか。

→ 数値目標の考え方としては、全体の温室効果ガス排出量の中で排出量削減を○○、森林吸収量を○○という重ね餅的な目標の設定と、排出量削減と森林吸収源を別々に設定するという方法が考えられる。部門別目標については、現在進めている排出量調査で各部門の増減は出せるが、その要因の分析までは難しいことから、条例の中では部門別の目標を計画で定めるということにとどめ、計画の中で議論することとできればと考えている。

⇒ 部門別の目標をどうするかについては、今後議論をするとして、森林吸収量の数値目標については排出量削減の外枠で設定してはどうか。

⇒ 京都議定書の森林吸収源がややこしいのは「植林」「再植林」のように確実に二酸化炭素が吸収されるものと、森林経営のように既存森林に対する人為的管理による二酸化炭素の吸収量がどれくらいになるかあやふやなものを一緒に認めているところにある。府の条例における森林吸収量の取扱を排出量削減の外枠とするならば、京都議定書上の吸収量の考え方から切り離して、二酸化炭素の蓄積総量で把握する方がよいのではないか。

・森林吸収源についてはそのメカニズムが良くわからないところが多いことから、とりあえずは国の3.9%という数値目標のうち、京都府分はこれだけという係数をかけて目標を設定してもよいのではないか。その上で、京都府独自の制度や取組で上乗せが見込めるものであれば、別途検討すればよいと考える。
・目標で大切なのは、資料1の中でも書かれているとおり排出量削減の部分である。京都府の1990年度から2002年度の全般的な推移は全国の推移に比べて低いものに抑えられているが、これが京都府が特別に頑張った結果なのか、全国と同じ取組であったがその他の要因でたまたま低く抑えられただけなのかによって目標の考え方も変わってくるものと思われる。
・国は2002年度で約8%増えており、これから14%削減するための対策を立てているが、もし京都府がこれまで全国と同じ取組しかしてこなかったにもかかわらず、たまたま全国よりも低く抑えることができたというのであれば、国がこれから実施する14%削減に相当する部分を京都府も削減できるという考え方が成り立つのではないか。

・部門別削減目標については、事務局の説明では増減の要因分析が難しいということであったが、国の目標達成計画における各部門の対策効果について京都府分を算出し、設定することはできるのではないか。

⇒ 京都府、京都市の取組の効果かどうかはわからないが、COP3以降、京都では「京都議定書」「地球温暖化」という言葉が京都新聞を中心に、全国のどの地域よりも多くマスメディアで取り上げられ、地球温暖化対策に対する府民、事業者の認知度が高いことが考えられるのではないか。しかし、実際の排出削減効果はあまり大きな影響ではないものと思われる。

→ 昨年度実施した京都府内の省エネルギー法対象の事業者(管理工場)への排出量に関するアンケートから、事業者が使用燃料を重油から天然ガスへの転換を進めている傾向があることがわかっており、これが産業部門における排出量の減少の一因になっているとも思われる。また、日産車体の撤退など、工場流出の影響もあるものと思われる。

⇒ 企業にも京都議定書のPRが他地域よりも行き届いているということか。日産車体以外で京都企業の府外流出という現象は見られるのか。

・正確なデータに基づく調査はしていないが、主として精密部品などの製造業の中国シフトによる工場移転の傾向が認められる。
・京都府の共生計画が8%の削減目標で、京都市は条例・推進計画ともに10%という削減目標を設定しているが、その数値の差は問題にならないのか。市域である京都市と広大な森林を抱える京都府域との地域特性を考慮すれば、森林吸収分を京都市の目標との隙間をなくすために組み込むことを検討するのも一つの方法ではないか。

⇒ 森林吸収源による目標設定を国は3.9%としているが、実際は森林整備費用が足りなくて達成できない見込みになっている。

→ 国の森林・林業基本計画の進捗率は約7割であり、3.9%の目標は約2.6%~2.9%となる。京都府についても、国と同じ進捗率とすると4%弱となる。

⇒ 京都市は10%の中に森林吸収分をいれておらず、国の目標達成もあやふやな状況であることを考慮すれば、森林吸収分は排出量削減目標の外枠として扱うのが良いのではないか。

⇒ 達成手段については、進捗状況の評価手法をどのようにするのか明記しておいた方が良い。

地球温暖化対策推進計画の策定等

⇒ 資料1からは、一体何を計画するものかわからない。

→ 条例のガイドライン的なものを想定している。

⇒ 計画に白地委任するのではなく、条例の中で方向性だけでも示しておく必要があるのでは。

地球温暖化対策(分野別)

●事業活動に伴う地球温暖化対策

⇒ 報告制度は、エネルギー使用に係るCO2のみか。京都の企業で代替フロンを使用している企業はないのか。

→ 省エネルギー法の管理工場を対象としたアンケートでは、ほとんど代替フロンを使用している企業はなく、一部の企業が機器等の洗浄に少量使用している程度である。

⇒ 報告制度は、事業所ベースでないと、排出量増減推移の検証ができないのではないか。

→ 京都市と同じく、チェーンストアを含めた事業者を対象に考えている。

⇒ 報告制度については、業種に応じて事業者と事業所を使い分けて報告させる工夫が必要ではないか。

⇒ 自主参加型排出量取引制度は、国と同じであれば実質的に補助金となる。補助金とするならば、財政措置は確保できるのか。

→ 財政上の措置の検討はこれからである。環境省の排出量取引制度は総額30億円の予算で、34企業が参加しているが、その中には製パン業者で省エネ設備投資が数百万円単位という小規模のものもあるとのことであった。京都府でも中小企業に対象を絞った制度とすることで独自性を出せればと考えている。

・排出量取引は両刃の剣的な施策である。事業活動における排出量取引制度による削減の支援とはどのようなイメージなのか。

→ 国の取引制度の活用を含めて支援を進めていくというイメージである。

・単純にA社からB社への排出量取引であれば、削減の支援にはならないのではないか。

⇒ キャップ・アンド・トレード制度で排出量の上限を設定しなければそうなる。国の取引制度は、石油特別会計における石油関連税の還元策として創設されたものであり、取引制度というよりは省エネ設備投資に対する補助金に近いものである。京都府には国と同じような補助金として還元できる財源はないので、制度を作るのならば一般財源から持ち出さなければならないが、それは無理ではないか。とすると、あとはお金のかからない顕彰制度となるが、前回も議論があったとおり、それが企業を省エネ設備投資に踏み切らせるインセンティブになるかどうかはわからない。

・事業者へのインセンティブであれば、法人住民税の超過課税分の免除が一番ありがたいが、法人だけでなく府民に対してもそのような措置がないと税の公平性を欠くことから、難しい。

・資料1では条例化の内容として環境マネジメントシステムの導入を努力目標としているが、これだけでは当たり前すぎるのではないか。省エネ診断などの支援施策が盛り込まれているが、情報が事業者上手く伝わらないと支援施策の実効性は期待できないことからすると、環境情報の収集が義務づけられるKESなどの環境マネジメントシステム導入企業数の増加は支援施策の実効性と比例するものと考えられる。可能であれば、条例に、「計画の中に環境マネジメントシステム導入企業の数について目標を設定する」という条文を明記するのはどうか。
・KESについては、京都市が循環型社会の計画で導入数の目標をたてているはずなので、その数字を参考に設定することも考えられる。

⇒ 以前の専門委員会の資料で出ていたと思うが、京都府内の省エネルギー法の管理工場となるような大規模事業者数はどれくらいだったか。

→ 約200である。京都市を除くと約100である。

⇒ 京都府内の事業者数はどれくらいあるのか。

・約14万である。

⇒ 大規模事業者の比率は14万分の200で僅かである。排出量シェアは大規模200事業所で大半を占めると思われるが、省エネ診断やKES普及のターゲットとしては数として大多数を占める残りの企業になる。

⇒ 2010年までにどれくらいの企業がKESを取得するのかを目標とするのが良い。

・国の目標達成計画の中に盛り込まれている施策効果の京都府分を割り出して、それを基準に条例で目指すべき数値目標みたいなものを設定できないか。例えば、国は目標達成計画の中で高性能ボイラーの導入促進による排出量削減を図る施策をあげ、中小企業向けに1万1千台の目標を設定しているが、京都府の経済規模を国の50分の1と仮定して、200台強を京都府の責任分と考えて数値目標とすることも可能なのではないか。

・個別の施策に数値目標を設定することも大切だが、それら目標の進捗状況を府民だよりなどで、紹介するような取組をしてみてはどうか。

⇒ 環境白書では、一般の府民の多くは進捗状況がわからない。府民だよりなどの広報媒体で条例の進捗状況を定期的に知らせることが重要である。

●建築物に係る温暖化対策

⇒ 宅建業者の建物の環境情報の提供とあるが、環境情報の内容が何かについて整理をする必要がある。情報の内容によっては義務化も検討するものがあるのではないか。

⇒ 建築物の環境情報の提供の部分に記載されている支援施策は、環境情報の提供に対する支援ではなく、建築物を建てる者に対する支援ではないか。

→ 記述を改める。

⇒ 「優遇制度」の中身は何になるのか。

→ おそらく低利融資制度という形の優遇制度になるものと思われる。

●自動車交通に係る温暖化対策

・資料1-7頁の「大規模事業者」とは、運送事業者やタクシー事業者を指しているものと考えられるが、この定義では自家用車を事業に使用しているいわゆる「白ナンバー事業者」が条例の対象から漏れ落ちることが懸念される。「大規模事業者」という定義ではなく、「一定台数以上の自動車の利用者・使用者」という表現の方が適切ではないか。
・低公害車の定義を条例ではっきりとする必要がある。
・エコドライブの推進を条例の中の自動車交通対策の目玉にするべきである。

⇒ 運送業・輸送業に係る事業者と、それ以外の事業者の自動車交通対策を分けて検討する必要がある。

・運送事業者についてはアウトソーシング(共同運送)の影響などもあり、排出総量は減っている。

⇒ ここ2、3年は貨物運送量は頭打ち状態にある。

・低公害車という表現よりも、低燃費車という燃費を重視した表現のほうが温暖化対策としては良いのではないか。

・低燃費車という言葉はあまり聞き慣れない。

⇒(資料1の検討が途中になったが、時間が来たので「自動車交通に係る地球温暖化対策」以降の項目については次回も引き続き検討する。「電気機器等に係る地球温暖化対策」からの検討となる。)

条例検討スケジュールについて

次回の専門委員会が6月16日(木曜)午後3時30分から午後5時30分であることを確認

(3) 閉会

お問い合わせ

総合政策環境部脱炭素社会推進課

京都市上京区下立売通新町西入藪ノ内町

ファックス:075-414-4705

datsutanso@pref.kyoto.lg.jp