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令和4年度職業訓練生募集案内

令和4年度京都府立陶工高等技術専門校募集要項の概要

募集要項・入校願書は、例年7月上旬頃から、当校、京都府内各高等技術専門校にて配布いたします。

郵送希望の方は返信用封筒(A4)に住所・氏名を記載し、210円切手を貼って当校まで郵送いただきます様お願い致します。

 

必要な

資格等

入校時18歳以上で高卒程度の技術習得能力

京焼・清水焼の製陶技術者として就職する意思

長期の訓練に耐え得る意欲と能力

選考試験

学科試験:国語・数学(試験時間100分程度)

実技試験:デッサン(試験時間50分程度)

面接試験:個人面接(試験当日に説明)

合格発表 受験者全員に合否を通知(校HP等にも掲載 電話照会不可)
応募手続き

提出書類等

  • 願書(6ヶ月以内に撮影した証明写真及び京都府収入証紙2,200円分を貼付け)
  • 返信用封筒1通(あて先明記 84円切手を貼付)

注※高校在学中の方のみ、「調査書」を添付(既卒の方:卒業証明書等は不要)

提出方法

  • 当校へ持参又は簡易書留で郵送

注意事項

  • 新規学卒者以外は必ず入校願書提出前に住所地を管轄する公共職業安定所で、訓練受講の相談及び所定の手続きが必要です。

合格後の

必要経費

入校料(手数料)…5,650円

授業料…118,800円(年間)

実費負担金(教材費、研修旅行費)…85,000円~100,000円

募集人員

一次募集…成形科応用コース/絵付デザイン科 各5名程度

成形科基礎コース 15名程度

二次募集…成形科応用コース/絵付デザイン科 各5名程度

成形科基礎コース 5名程度

募集期間

一次募集…令和3年10月1日(金曜日)~令和3年10月18日(月曜日)

二次募集…令和4年1月5日(水曜日)~令和4年1月18日(火曜日)

選考試験

一次募集…令和3年10月27日(水曜日)

二次募集…令和4年1月27日(木曜日)

合格発表

一次募集…令和3年11月5日(金曜日)

二次募集…令和4年2月4日(金曜日)

専願と併願 第1志望から第3志望まで併願可。専願も併願も同じ条件で選考
施設見学・相談等 随時受付(事前連絡をお願いします)

 

入校状況・就職状況

令和元年度入校生~令和3年度入校生 入校・就職状況

年度 令和3年度 令和2年度 令和元年度
応用 基礎 絵付 総合 成形 図案 総合 成形 図案
応募者数 22 22 18 19 18 21 27 23 14
合格者数 10 20 10 11 22 16 10 24 15
応募倍率 2.2 1.1 1.8

1.9

0.9 1.1 2.7 1.0 1.0
就職率 ー% ー% ー% 100% 93% 77% 100%

82%

78%

注:令和3年度より訓練科が変更になります。
注:合格者数は、第2、第3志望による合格者を含みます。

よくある質問・回答 陶工高等技術専門校

Q1 陶磁器製造に必要な技術のうち、何が学べるのですか?

Q2 訓練時間の内訳はどうなっていますか?

Q3 やきもの成形科基礎コースでは、どのような訓練をするのですか?

Q4 やきもの成形科応用コース(二年制)では、どのような訓練をするのですか?

Q5 絵付デザイン科(二年制)では、どのような訓練をするのですか?

Q6 芸術系大学の陶芸コースと、どこが違いますか?

Q7 類似の陶芸教育施設と比較して、どのような特徴がありますか?

Q8 応募資格は、どのようになっていますか?

Q9 入校に際して、年齢の制限はありますか?

Q10 入校選考は、どのような方法で行われますか?

Q11 入校に際し、陶磁器を作る技術力や予備知識は必要ですか?

Q12 「成形科」を修了後、「絵付デザイン科」へ入校できますか?また、その逆はできますか?

Q13 競争率は、どのくらいですか?

Q14 二次募集は、ありますか?

Q15 入校生の男女比率などは、どうなっていますか?

Q16 授業料などの費用は、どうなっていますか?

Q17 職業訓練を受けている期間中は、雇用保険の受給が延長されるのですか?

Q18 訓練中のアルバイトは、可能ですか?

Q19 修了後の進路は、どうなっていますか?

Q20 さらに別の機関で訓練や研修を重ねるほうがよいのでしょうか?

Q21 求人や就職斡旋の状況は、どうなっていますか?

Q22 弟子入りについて教えてください。

Q23 陶芸で食べていけるようになるには、どれくらいの修業期間が必要ですか?

Q24 絵付デザイン科(現 図案科)を出た人が自営している例は、ありますか?

Q25 ロクロと絵付の両方を目指すことは、できませんか?

Q26 就業の実態に、男女差はありますか?

Q27 陶磁器業界の賃金の実態は、どうですか?

Q28 寮はありますか?

Q29 奨学金制度はありますか?

Q30 入校料や授業料の減免措置はありますか?

 

Q1 陶磁器製造に必要な技術のうち、何が学べるのですか?

  1. 陶磁器製造に関する技術分野としては、原料・成形・釉薬・焼成・絵付があります。成形には、ロクロ成形法とその他の成形法(手びねり・タタラ・石膏型・鋳込み・機械成形など)があります。
    ロクロ成形法には、陶土を使用する「土もの」と磁土を使用する「石もの」があります。これらの諸技法の組み合わせは無数にあり、そこに陶磁器製作の難しさ、奥深さがあります。裏を返せば、新作を創り出す無限の可能性が潜んでいます。
  2. やきもの成形科基礎コースでは、最も基本的技能である陶土を使ったロクロ成形法を学ぶことができます。
    技術というものは、一度に多くのことを習得することはできません。一つ一つステップを踏んで着実に向上させていくことが必要です。一年間訓練を受けても、まだロクロ技術のごく基礎的段階なのです。体験したからできるということではありません。しかし、全くの未経験者の方でも基礎からしっかりと技術指導を行います。
  3. 絵付デザイン科では、絵付に特化して訓練を行います。この分野には下絵付と上絵付があり、片方の技能をマスターするだけでも相当の時間を要します。
    特に京都の陶磁器業界では、この分野の人材育成が必要とされています。そのため、基礎的段階ではありますが、両方の技能が身に付くよう技術指導して、修了後の求人ニーズに応えています。
  4. 原料の選択や調合、複雑な装飾法、釉薬の組成分析や調合、各種の焼成法などは、就業後が本格的な勉強であり、一生涯かけて究める分野です。
    したがって、本校を出たから何でもできると思い込むことや、直ちに自立できると考えないでください。陶芸の世界で身を立てていく手がかりを掴んだ段階と心得てください。

Q2 訓練時間の内訳はどうなっていますか?

  • 科によって若干異なりますが、大まかな時間配分は以下のとおりです。
    学科(製陶法、図案法、美術工芸史など) 約50時間
    陶磁器製造実習 約1,130時間
    デザイン実習 約160時間
    見学研修、体育その他校内行事 約60時間

    計約1,400時間

Q3 やきもの成形科基礎コースでは、どのような訓練をするのですか?

  • 基礎コースは、陶器のロクロ成形の技術を中心に訓練します。訓練時間の8割以上が実習で、確実に製品を作ることができる技術を身に付けます。
    基本技能を徹底的にマスターするため、各課題ごとに数的目標を設定し、反復練習によりサイズと形態を揃え、さらに速さと完成度を追求していきます。
  • 最初は、土もみ・土取りから始まり、年度の前半~中盤においては、基本課題の小煎茶碗・丸底湯呑・角底湯呑・額皿・一輪生・筒花生を、年度の後半には、応用課題として各自のデザインに基づいて、花器・皿・鉢物・番茶器・煎茶器・コーヒーセット・茶道具類などを製作します。
    年度の終盤では、訓練生の進路に応じた訓練を行います。特に就職先が内定している人については、就職先の製品と同様のものを製作し、即戦力となるよう備えます。
  • ロクロ成形に必要な道具づくり、釉薬作業や焼成作業の基本も併せて訓練します。
  • 手びねり・石膏型・タタラ成形などの成形法や下絵付と上絵付などの装飾法についても必修課題として訓練します。
  • 学科としては、製陶法・図案法・美術工芸史・釉薬講義などがあり、併せて、陶磁器産地の見学旅行などもあります。

Q4 やきもの成形科応用コース(二年制)はどのような訓練をするのですか?

  • 応用コースは、やきもの成形科二年制の総合コースを令和3年度から更に見直したコースです。一年目は、基礎コースと同様の陶土を中心とした基礎技術と知識を習得、二年目は、オリジナルデザイン商品の企画・研究・開発も含め、陶磁器製作のためのトータルな技術を学びます。
  • 訓練はまず、磁土を使ったロクロ成形から始まり、汲み出し碗、フリーカップ、皿、鉢、花器、茶碗や茶器を製作し、次第に大きな物やセット物に取り組んでいきます。また、必修課題として、手びねり・タタラ・石膏型鋳込み成形・下絵付・上絵付など、幅広い分野の製品作りを訓練します。さらに、釉薬の調合やガス炉などの焼成についても、専門的な部分の訓練を行います。
  • 学科としては、製陶法、図案法、商品開発、美術工芸史、茶道具講義、釉薬特別講義、ゼーゲル式による釉薬開発など、より高度な講義があり、併せて、陶磁器産地の見学旅行などもあります。

Q5 絵付デザイン科(二年制)では、どのような訓練をするのですか?

  • 絵付デザイン科は、令和3年度から設置される二年制のコースです。陶磁器に毛筆で絵柄を描く技術を中心に訓練します。訓練時間の8割以上が実習で、確実に製品に絵を描く技術を身に付けます。
    基本技能を徹底的にマスターするため、課題ごとに数的目標を設定し、反復練習により同じものが多数描けることと同時に、速さと完成度を追求していきます。
  • 絵付には、素焼の素地に絵を描く「下絵付」と、釉薬をかけ本焼した素地に絵を描く「上絵付」があります。
  • 最初は紙の上に墨で模様を描く訓練から始まり、下絵付、上絵付それぞれの応用課題では、絵の具や筆の扱い方を覚えます。
    1年次の前半においては素焼きの小煎茶碗や湯呑・小鉢に下絵を描く訓練を、1年次の後半は、多色の上絵絵具の使い方を覚え、本焼した茶碗、湯呑、抹茶盌の上に絵を描く訓練に取り組みます。
    基礎課題後、各自のデザインによって、茶碗や鉢類、皿、花器、酒器、茶道具などに絵を描きます。
    2年次の終盤では、訓練生の進路に応じた訓練を行い、特に就職先が内定している人については、就職先の製品と同様のものを製作し、即戦力となるよう備えます。
  • 学科としては、製陶法、美術工芸史、商品開発、コンセプトデザイン実習、釉薬特別講義、茶道具講義などがあり、併せて、陶磁器産地の見学旅行などもあります。

Q6 芸術系大学の陶芸コースと、どこが違いますか?

  • 多くの大学では、教育・教養的視点から、陶芸の概論的知識と実技の初歩を幅広く学びます。芸術性の追求が重視されることから、作品はオブジェ的なものもあり、各人の個性が尊重されます。
  • 本校では、実際に製品を作る技術・技能を養成することに主眼を置いています。実習主体のカリキュラムを設定し、濃密な個別指導体制の下、就業できる技能を身に付けるため、基本技術の反復訓練を行います。
  • 大学で陶芸を学んだ人(芸大卒業者)が、就職を目指して本校に入校することは決して珍しくありません。ただし、芸大卒業者が入校に有利とはいえません。選考は平等に行います。また、芸大卒業者が必ずしも訓練が速く進むということもありません。それだけ大学の教育と本校の訓練は別物だと考えてください。

Q7 類似の陶芸教育施設と比較して、どのような特徴がありますか?

  • 次のような点が本校の特徴です。

  1. 京都府という行政機関が設置・運営を行っていること。
  2. 授業料が低額であること。
  3. 職業能力開発促進法に基づく施設であり、条件が整えば、ハローワークからの支援が受けられること。
  4. 昭和21年の設立以来、歴史を重ねて蓄積された訓練ノウハウを持ち、短期間で効率的な技能・技術付与が可能であること。
  5. 訓練生10名に対し1名の割合で正規職員の指導員を配置し、個別指導を基本とした濃密な訓練を実施していること。
  6. 標準以上の技術力を有する人には、さらにその力を伸ばす指導を、技術力不足を感じる人に対しては、底上げ指導を実施。訓練生全員の習得レベルの差を極力少なくし、粒をそろえた高い育成水準を確保していること。
  7. 京都をはじめ陶磁器業界の従事者に多くの本校修了生がおり、業界との結び付きが強く、求人等の斡旋にも協力的であること。
  8. 同目的、同年代の人が切磋琢磨しながら訓練する中で、作品が完成したときの喜びや技術力がなかなか向上しない苦しみなどを互いに分かち合いながら、訓練生同士の信頼関係が築けること。 

Q8 応募資格は、どのようになっていますか?

  • 応募資格は高卒程度となっていますが、18歳以上であれば中学卒業者でも受験可能です。
    本校は、京焼・清水焼の後継者養成施設として、京都府が設置した公的な職業能力開発施設です。したがって、陶磁器業界に就業することを目的とし、原則として、それが現実に可能な方を対象としています。趣味や教養のための手習い施設ではありません。

Q9 入校に際して、年齢の制限はありますか?

  • 18歳以上のほかに入校に際して、年齢制限は設けていません。
  • 陶磁器製造は、技能・技術を身に付ける訓練が必要ですので、一般的に年齢が増すほど難しくなります。その点は他の伝統工芸やスポーツの世界とよく似ています。
  • 製陶事業所への就職も、高齢になるほど困難になるのが現実です。さらに一人前になるには、本校修了後5~10年間の実務経験(就業期間)が必要で、それまでの間は十分な賃金は期待できません。
  • これらのことを考えると、陶磁器業界への就業を前提とした職業訓練は、若いうちに始めることが望ましいと言えるでしょう。具体的には20代前半までがもっとも相応しく、年齢が高くなるに従い身体的にも就職という点でも厳しくなります。

Q10 入校選考は、どのような方法で行われますか?

  • 入校選考は、学科(国語・数学)・デッサン実技・面接によって行います。職業訓練を受ける必要性、訓練に耐える力、仕事に就ける可能性、どこまで能力を伸ばせるかという将来性を総合的に判定します。
  • 学科は、中学で習う高校受験程度の国語と数学です。試験問題の傾向については資料を作成していますので、参考にしてください。(学校説明会の際にお渡しするほか、願書の資料請求(郵便)をされた方には同封しています)
  • デッサン実技は、1時間程の時間で簡単な物の形を描きます。これは、視覚を通して物を正確に表現できる力を判断するためのものです。事前にしっかりと練習しておくことをお勧めします。
  • 面接は、本校を志望した動機や将来についての考えなどをお聞きする個人面接です。

Q11 入校に際し、陶磁器を作る技術力や予備知識は必要ですか?

  • 特に必要ありません。初心者でも興味や情熱があれば、自信を持って応募してください。
    入校選考では、その時点での保有知識や技術より、将来、陶磁器製造従事者としてどこまで技術力を伸ばせるかという潜在的可能性を評価します。
  • 訓練は、個別指導も含め、基礎からステップを追って着実に学べるシステムになっています。陶磁器を作る技術力や予備知識があれば、より効率的に訓練が進みますが、我流の技術は矯正されます。

Q12 「成形科」を修了後、「絵付デザイン科」へ入校できますか?
 また、その逆はできますか?

  • ロクロと絵付の技術は、そのいずれもが、一生をかけてプロレベルを目指さなければならないほど、技術習得に時間を要する奥の深いものです。京都の陶磁器業界では、基本的にそれぞれが分業体制をとって仕事をしています。
  • 以上のような実態を踏まえ、訓練生が成形科修了後、直ちに絵付デザイン科へ入校することは原則認めていません。その逆も同じです。
  • しかし、就業後何年かした後、その職種への適性がないと判断される場合や、その職種で失業した場合、その他まれには仕事の事情で両方の技術を習得する必要に迫られることも考えられます。
    そのようなときは、異なる科への入校を認めることがありますので、必ず事前に相談してください。ただし、入校するためには希望する科を受験して合格する必要があります。

Q13 競争率は、どのくらいですか?

  • 令和2年までの数年は、成形科総合コースは定員の2~3倍程度です。成形コースは総合コースに比べると下回っています。旧図案科は下降傾向にありました。

Q14 二次募集は、ありますか?

  • 例年、年二回に分けて募集します。前期が10月頃、後期が1月頃です。日程は、募集要項やホームページなどで確認してください。
  • 定員に達しなかった場合は、追加募集をする可能性があります。詳細は本校にお問い合わせください。

Q15 入校生の男女比率などは、どうなっていますか?

  • 性別は、女性が多い傾向にあります。年度により変動しますが、半数以上が女性という状況が続いています。
  • 年齢は、20代が大半で、次いで30代、10代となり、40歳以上の入校実績は少なくなります。平均年齢は25~30歳の間です。
  • 学歴は、短大卒以上が約6割を占め、残りのほとんどは高卒です。
  • 出身地は、年度により異なります。約半数は、府内の出身者です。

Q16 授業料などの費用は、どうなっていますか?

  • 入校選考料は2,200円です。
  • 入校料が5,650円、授業料は年間118,800円となっています。(2020.11現在)
    ほかに、訓練に要する教科書、教材及び個人が専属的に使用する用具代、並びに研修旅行経費などに、約8~10万円程度が必要となります。ただし、科・コースによって、金額は多少異なります。

Q17 職業訓練を受けている期間中は、雇用保険の受給が延長されるのですか?

  • 雇用保険の受給資格がある人や受給中の人は、職業訓練を受けている期間、雇用保険の受給が延長される制度があります。ただし、この制度が適用されるのは、ハローワークが「就職するためにはその訓練が必要である。」と認めた人に限ります。
  • 受給延長を希望する人は、当校に入校願書を出す前に、住所地最寄りのハローワークに相談してください。その相談後、ハローワークで所定の手続きを経たのち、本校に願書を提出します。その後、入校選考に合格・入校した場合に、当該制度が適用となります。
    なお、ハローワークに無断で入校選考を受け、合格した後で相談に行っても、制度が適用されないことがありますので注意してください。

Q18 訓練中のアルバイトは、可能ですか?

  • アルバイトは可能です。
    ただし、毎日の訓練は肉体的にも精神的にも厳しいものがあります。生活上どうしても必要なアルバイト以外はお勧めできません。できれば、親等の支援、一定の蓄え、雇用保険やその他の給付金を活用して、訓練を受けてください。

Q19 修了後の進路は、どうなっていますか?

  • 様々な進路があるので、主なものについて説明します。

(1) 製陶事業所への就職

一般的には、京焼・清水焼の製陶事業所に就職します。本校への求人・斡旋でほぼ就職することができますが、予断を許さない状況です。本校としては、業界組合等とも連携しながら就職情報の提供など、支援は行いますが、希望どおりの求人がなければ、自己開拓努力が求められます。

(2) 陶芸家への弟子入り

師事したい陶芸作家に弟子入りする人もいます。作家を目指す人が多く選択する道ですが、報酬等の就業条件は厳しいのが一般的です。また、陶芸作家は自ら求人することがないので、弟子入りを希望する人は、自己開拓や縁故を通じて、自力で道を開く必要があります。

(3) 家業に従事

実家が製陶業を営んでいる場合は、ほとんどが家業に従事します。

(4) 京都市産業技術研究所での研修

京都市産業技術研究所の伝統産業技術後継者育成研修「陶磁器コース」を受講希望する人もいます。そこでは釉薬の専門的分野の研修を主にして、陶磁器製造技術と知識を幅広く習得できます。週3回の研修ですが、「陶磁器応用コース」に進み、働きながらさらに1年延長することもできます。
詳細は、同研究所に直接問い合わせてください。
京都市下京区中堂寺南町17 京都リサーチパーク内
電話:075-311-3171

Q20 さらに別の機関で訓練や研修を重ねるほうがよいのでしょうか?

  • 訓練や研修を重ねる道はありますが、就職の必須条件ではありません。就業に必要な基礎知識と技能は、本校の1年の訓練で身に付きます。
  • 成形を主とする事業所は、概ね土もの(陶器)と石もの(磁器)に分かれて、陶磁器を製造しています。土ものの事業所に就職するなら、本校の訓練で十分です。
    そもそも技能・技術は、実際に仕事をしながらのほうがよく身に付くものです。幅広い訓練や研修を繰り返し、したいことを絞り込んでいくのも一つの選択肢ですが、要は、各人の将来設計との兼ね合いで決めることです。

Q21 求人や就職斡旋の状況は、どうなっていますか?

  • 本校は、職業安定法に基づく無料職業紹介が行える施設として指定されています。実際に、事業所からの求人を受け、就職斡旋をしています。
  • 近年、陶磁器業界の状況により、求人は厳しい状況が続いています。このため、事業所訪問や求人開拓範囲の拡大などを通じて、新たな求人の確保に努めています。府外からの求人や、全国のハローワーク情報なども積極的に取り扱っています。
  • これまでのところ、就職斡旋については、8割以上の実績を上げてきましたが、予断を許さない状況にあります。
  • 京都の陶磁器業界は、事業所規模が小さく、公募による求人が少ないことが特徴です。したがって、自力で就職活動を行うことも必要になってきます。

Q22 弟子入りについて教えてください。

  • かつて技能は、弟子入りという徒弟的修業を通して継承されるのが基本でした。しかし、より効率的に技術を身に付けられるように、職業訓練施設や各種学校などが整備されてきました。
  • 今でも弟子入りが残るのは、特定の陶芸作家の作風に惚れ込み、報酬よりも仕事をしながら教えてもらうことを期待するからです。そこでしか身に付かないことを学びたいと思って弟子入りするわけです。何年かの厳しい修業の後、腕が上がり、師匠の評価を得られれば、世に出してもらうための後押しがあるかもしれません。
    したがって、弟子入りを希望する人は、大部分が陶芸作家又は自営を目指す人です。親が陶芸家でその後を継ぎたい人が、若いうちに一時期、ほかの所で修行させてもらうため、弟子入りすることもあります。
  • 弟子入りは雇用ではなく、修行という位置付けです。給料といえるものはありません。月々の若干の生活費と盆暮れにややまとまった手当をもらえる程度です。それに下働きから何でもやらねばなりません。弟子入りを志す人は、生活のための自己資金又は親等の援助が期待できることが条件です。加えて精神的にも強固な意志が必要です。
    今でも弟子入りを求める人はいます。しかし、陶芸作家も不況の中で仕事の確保に苦労されています。特定の縁故でもあれば別ですが、なかなか了承してもらえないのが現状です。
  • 弟子入りする場合は、最初からハイレベルの陶芸の知識や技能は求められません。師匠に学ぶわけですから、中途半端な癖がかえって邪魔になることもあります。生半可な知識を振りかざすのも禁物です。大事なのは熱意と気働きです。仕事のコツをいち早く掴むことや技を盗む能力も必要です。手取り足取り教えてはもらえません。努力を惜しまず、忍耐強い人しか続かないと心得てください。

Q23 陶芸で食べていけるようになるには、どれくらいの修業期間が必要ですか?

  • 本校の訓練では、実践的で濃密なカリキュラムに基づき、陶磁器業界に就業できる能力を養成しています。それでも奥深い陶芸の世界では、入口に達した段階に過ぎません。5~10年間は実業に携わり、腕を磨かなければなかなか一人前にはなれません。
    そうなって初めて、自立が可能な場合もあります。その時期がいつになるかは、本人の努力次第であり、千差万別です。
  • 陶芸家を目指す場合も、本校修了後、直ちに自立することは困難と思ってください。一度は就職又は弟子入りをし、5~10年間は実力を養い、製造と販売のノウハウを覚えた後に、自立することをお勧めします。
    実務経験を重ね、様々な課題を乗り越える中で実践的技術が磨かれ、仕事の段取りができるようになります。また、商品企画ができ、受注から販売までの流れがわかるようになり、業界での人的なつながりもできてきます。その期間を経ないと自立は困難です。
    自立を目指すには、教育訓練施設の中での訓練や研修を重ねるより、実務経験による技術習得を目指すほうが、近道かもしれません。
  • 自立するためには、消費者のニーズにマッチした製品を生み出せるセンスも必要です。大志を抱くことは大事なことですが、全ての人の夢がかなうわけではない、という現実も承知した上で挑戦してください。

Q24 絵付デザイン科(現 図案科)を出た人が自営している例は、ありますか?

  • 就業する中で、絵付技術に熟練して一定のレベルに達し、併せて業界事情に通じた後、自営する人もいます。仕事は、ほかの製陶業者からの絵付請負、又は完成品を作って自分で販売することです。後者の場合、素地は既製品の購入、ロクロ師への注文を通して必要なものを調達します。また、手びねり・タタラ・石膏型成形などの技法を勉強して、ロクロを使わないで自分で素地を作ることも可能です。それに絵付をし、施釉、焼成して完成品を作ります。
  • 絵付の魅力で製品を売る場合は、釉薬と焼成の技術の幅はそう広くありません。まさにデザイン力が物を言います。注文が増えれば、ロクロ職人を雇用し、自分の企画で製品を作る工房を営むことも可能です。京都ではそのような人達が色絵陶芸協同組合を組織し、支え合いながら活動をされています。
  • 自分の主軸の技能をロクロ・釉薬にするか、絵付にするかは、アプローチの仕方が異なるだけです。入口が違うだけで、陶芸の世界には変わりはありません。

Q25 ロクロと絵付の両方ができることを目指すことは、できませんか?

  • ロクロと絵付は、それぞれが一生をかけて習得しなければならないほど、奥の深い技術です。絵付であれば、京焼・清水焼、九谷焼、有田焼のような伝統的文様を駆使した花鳥山水が自在に描けるレベルの技術を求められます。そして、その域に達するには相当の年数を要します。一人の人がロクロと絵付の両方をマスターするのは、可能ではありますが極めて困難です。
  • 高度な絵付ではなく、筆でシンプルに単色の絵を描く程度のことは、ロクロ師(成形師)でもやっている人がいます。釉薬による装飾のほかに、簡単ではあっても絵が描ければ製品の幅が広がります。そのため、一人で製作しようとする人の中には、各種講座を受講して絵付の基本を勉強する人もいます。

Q26 就業の実態に、男女差はありますか?

  • かつて業界では、ロクロは男性の仕事という固定観念がありました。これは、土もみ・ロクロ成形・窯焚きや重量物運搬などに、かなりの力を要求される作業が多いためと思われます。加えて、事業所の規模が零細なため、様々な仕事を一人でこなしてもらう必要があることも考えられました。
    絵付の仕事には男女差はありませんが、実態としては女性の割合が高くなっています。これは、ロクロが男性の仕事とされてきたことの裏返しと思われます。
  • 業界としては、熟練に時間を要するため、長く働き続けられる人を求めています。男女雇用機会均等を現実のものにするためにも、今から仕事に就こうとする人は、「継続は力なり!」を肝に銘じる必要があります。

Q27 陶磁器業界の賃金の実態は、どうですか?

  • 京都の陶磁器業界は、従業員4人以下のところが8割以上を占めています。家族経営も多く、従業員を雇用した場合でも、賃金は低めに設定されています。
  • この業界は、年齢が高くなっても働き続けられ、生涯の仕事として取り組めるのが特徴です。就職時は、まだ技術が伴っていないということもあり、最低賃金程度からスタートします。技能・技術が上がって職場に不可欠の人材になればなるほど、賃金が高くなる傾向はあります。

Q28 寮はありますか?

  • 本校に寮はありません。また、下宿の斡旋も行っていません。
    下宿をされる訓練生の皆さんは、各自で近隣のマンション等を契約されています。

Q29 奨学金制度はありますか?

  • 2020年12月現在、奨学金制度は設けていません。

Q30 入校料や授業料の減免措置はありますか?

  • 入校料及び授業料については減免措置を設けています。しかし、申請をすれば誰でも免除されるわけではありません。条件を満たしている訓練生が対象となります。また条件により世帯全員の納税額等を確認いただいたり、必要書類を揃えて申請をして頂く必要があります。そしてそれらの書類により、書面審査を行い決定します。
  • 条件等詳しくは、募集要項でご確認頂くか、当校へお問い合わせください。合格者の方には入校前に事前に書類を送付します。なお、入校選考料の減免措置はありません。

お問い合わせ

商工労働観光部陶工高等技術専門校

京都市東山区今熊野阿弥陀ヶ峰町17-2

ファックス:075-561-3429

tokgs-k@pref.kyoto.lg.jp