第5回京都府まちづくりワークショップ
『今後の景観まちづくりを考える』
-良い景観の保全から、より良い景観への改善まで-
今回のワークショップ
平成17年10月7日(金曜日)、京都文化博物館別館ホールで、京の景観形成推進プラン検討委員の石本幸良氏をコーディネーターに迎え、府民、各種住民団体、行政職員等約50名が参加してワークショップを開催しました。
今回は、府内全域を対象として、身近な良い景観を保全し、あるいはより良い景観へと改善するための意見や提案を発表いただいた後、グループ毎にコーディネーターの助言を得ながら景観まちづくりの課題等について意見交換を行いました。
(主催)京都府、京都府都市計画協会
1.意見・提案等発表
(1)意見・提案等募集
- 募集内容:「身近な良い景観を保全し、あるいはより良い景観へ改善するための提案や、景観資源のまちづくりへの活かし方等、景観に関する幅広い意見」
- 募集対象:京都府全域
- 募集期間:平成17年8月5日から平成17年9月20日
(2)意見・提案等発表
地元のまちづくり団体や大学生等から10件の意見・提案が寄せられ、当日は9件について提案者からそれぞれ発表していただきました。(意見・提案等の内容一覧) (PDFファイル、707KB)
- 歴史・文化 ちりめん街道の景観について
上田 東(ちりめん街道を守り育てる会)、発表 - 久美浜一区の町並みの景観について
中西 和義(京丹後市在住)、発表 - 一休寺門前まちなみの景観について
櫻田 正博(会社員)、発表 - 中宇治(平等院の背景地周辺)の景観の保全と創生
金森 清正(宇治市都市計画マスタープランWS参加有志の会)、発表 - 祇園新橋西側の景観について
守山 基樹(京都大学大学院)、発表 - 堀川通一条戻橋付近の景観について
末川 協(建築家)、発表 - 京阪奈学研都市の景観について
山下由起子(京都大学大学院、学研都市景観WG委員)、発表 - 嵐山の景観について
岡本 賢吾(京都大学大学院)、発表 - 和束町茶畑の景観について
和賀 聡(地方公務員) - 景観に関する保全、形成、整備、規制策等の提案
岡田 信幸(摂南大学工学部非常勤講師)、発表
2.京の景観形成推進プラン中間案紹介
京都府から京の景観形成推進プラン中間案を紹介しました。
3.意見交換
(1)テーマ設定等
各提案者からの発表等を踏まえ、あらかじめ設定したテーマに沿って、グループ毎に意見交換を行い、その結果を発表していただきました。
Aグループ 「眺望景観保全の課題と今後の展望について」
Bグループ 「歴史的町並み保全の課題と今後の展望について」
Cグループ 「市街地景観形成の課題と今後の展望について」
(2)意見交換(ワークショップ)風景
Aグループ眺望景観保全
Bグループ歴史的町並み保全
Cグループ市街地景観形成
(3)グループ別のまとめの発表
Aグループ 「眺望景観保全の課題と今後の展望について」
- そもそも眺望景観は見る視点や見る人の立場によって見え方が変わる
- 景観は歴史的資産だけでなく、そこに住んでいる生活も含めての景観でなければ
- 景観保全には住民のコンセンサスを得ることが必要だが、景観を阻害する要件がでてきた時に初めて気づくのが現状では
- 開発者利益と眺望権や環境権など、生活者・地域住民との価値観のすりあわせが必要
- 住民が「自分たちがどんなまちに住んでいるのか」という意識を持つことが大切でそれが全体のコンセンサスに繋がるのでは など
Bグループ 「歴史的町並み保全の課題と今後の展望について」
- 行政は法律等の情報を積極的に住民に提供するなど、住民と行政のコミュニケーションが大切
- 空き家が増えており、その改修と利用方法が課題
- 地域の良さを住民や行政が気づいていない
- 景観保全にあたっては、安全性や利便性を考慮しながら、技術的経済的支援も含めた検討が必要
- 住民が中心になって、どんなまちにしたいのかということを真剣に考え、それをサポートしていく
- 行政の体制が重要・観光等でこられた来訪者を「もてなす心」が景観を保全する意味では重要 など
Cグループ 「市街地景観形成の課題と今後の展望について」
- 個々の建築と市街地景観全体との関係を考えることが重要
- 広告物によって景観が阻害されている
- 行政の規制が景観破壊の抑制になるには、住民とのパートナーシップや住民の積極的な行動が必要では
- 規制だけでなく誘導するための税制面での優遇が有効ではないか
- 人の営みというものがまちに対してきちんと出てくることが重要では など
4.まちづくりワークショップのまとめ
コーディネーター 石本 幸良氏
(1)グループ別発表のまとめ
3つのグループで、前もってテーマを設定させて頂きましたけれども、それにとらわれずにお話頂いたと感じております。Bグループでは最後の提案が特におもろいなと思いました。住んでいる人が中心となって真剣に景観を考える、それを行政がサポートしてアドバイスをする、また景観を考える際「もてなしの心」が大切なのではないかというご指摘で、私自身印象に残りました。また、住民と行政という立場での議論が出ていましたので、行政の方も、こういったことによく耳をかたむけて頂ければと感じる次第です。
それからCグループは、目に見えるものとソフトを分けて整理をしていただきました。特に街並みについては、住み手の方の参加や、市街地全体の調和を考えましょうということが強調されました。それから広告物が問題だということについても多くの意見が出ました。さらにソフト面で(ここもBグループと同じですが)、パートナーシップが重要だという指摘がありました。それから生活感がない、コミュニティが低下しているということについては、もっと人の営みが滲みだす景観というものが重要なのではないか、それから最後に若い人にも訴えるような意識改革が必要だという整理を頂きました。
最後のAグループですが、眺望を、どこから誰がどんなふうに見るかという整理が必要だということで、自然との一体感を考えるべきだろう、それから四季の移ろいなども取り入れて、やはり住んでいる人の生活が滲み出す景観が大事であるというご意見でした。それからコンセンサスを得るのはなかなか難しいという問題が指摘されました。結果的には住んでいる人は普段意識してなくて、なくなってはじめて気づくものだということです。眺望に関しては、開発者の方が、ある意味一つの場所を占拠してしまう可能性があるので、開発者に対して住民のみなさんがアピールする力をつける必要がある。そのためには自分がどんな街に住んでいるのかということを確認する必要があるのではないかというご意見を頂いたと思います。
(2)全体のまとめ
最後に、まとめをしますと、先ほどのアクションプランの中間報告で、3つの視点について報告させて頂きましたけれど、あの視点は今日のお話を聞いていまして、正解だったのではないかと感じました。
京の景観形成推進プラン(中間案)-「景観形成に当たっての3つの基本視点」
1)先人の営みを育て将来に引き継ぐ視点
2)総合的空間として景観を捉える視点
3)生活・生業・交流に景観を活かし維持・創造する視点
景観というのは、先人から継承したものを、各世代の価値を付加して、次世代に引き継いで行くというものです。そこにある人の生活、生業、歴史、文化を総合的にとらえ、そこにある人々の活動が元気に維持・創造されて、またそれらが循環することによって、そこに景観ができるのだろうと思います。
先ほど山下さんが「いる人、来る人、まだ来ぬ人に」という言葉をおっしゃっていただきました。実はこういったキャッチフレーズはとても大切でして、非常にいい言葉だなと思いました。私も景観を考える際、「愛される」とか、「美しい」という言葉を使いたいのだけれども、「美しい」という言葉をなかなか定義できなくて困っています。そこで私は「心地よい」という言葉をよく使わせて頂いています。従いまして、山下さんの言葉をお借りするならば「いる人、来る人、まだこぬ人に心地よい場づくり」が、景観づくりではないかと私は思っております。
全体的にまとめさせて頂きますと、「景観づくりというのは、住み心地がよくて、働き心地がよくて、おとずれてよしの、心地よい場を、いろんな立場の人が協力して、育み育て継承することだろう」と思っております。
今日の3グループのお話を聞いておりまして、「生活が滲み出る」ということ、「日々みんなが考えましょう」という言葉が共通していた言葉だろうと思っております。「景観というのは、住む人にとっても、訪れる人にとっても、働く人にとっても非常に心地よいものであることが大事だということを今日のまとめ」とさせて頂きます。
(3)今後の展開に向けて
今日は非常に短時間の中でご協力頂きましてありがとうございます。
私も京都府内の皆さんのお話をまとまってお聞きするのは初めてで、府内のいろいろな、幅広い取組に非常に感心しております。できましたら京都府では、こういう情報をもっとホームページ等いろんな場で公開していただき、たえず情報のやりとりができるようにして頂きたい。
それから今回の取組のように、ワークショップ形式による景観に対するみなさんのお考えを話し合える場を北から順番に毎年一カ所ずつぐらい継続していただきたいと思います。それがおそらく行政の方と住民の方がいつもパートナーシップを意識する、いいきっかけになると思います。そういう意味では、今回このような企画をつくって頂いた京都府の方に感謝し、これからも継続していただきたいということでまとめにしたいと思います。ありがとうございます。
