経済交流と貿易の振興プラン(中間案)
1 策定の趣旨
京都府においては、平成15年度に『京都産業活性化プラン』において「舞鶴港貿易の振興プラン」を策定し、関西経済圏の日本海への門戸港である京都舞鶴港での貿易の活性化に努めてきたところです。
国際ビジネスを考えた場合、この間、アジア諸国における急速な経済発展と東アジア圏での経済統合の動き、EU(欧州連合)の拡大やNFTA(北米自由貿易協定)の始動など、国の壁を取り払い貿易を大きく自由化する流れが顕著になっています。
このグローバル化する経済では、海外との地域間競争が激化するとともに、モノのみならず、財、サービス、技術、ヒトの往来が急進展し、経済交流がますます多様化しています。
これらは、大企業のみならず中小企業に対しても大きな影響をもたらすものであり、国際競争に打ち勝つ強い体力と、変化に対応できる経営体質が重要です。また、より付加価値の高い産業を育て、国際的に魅力ある地域とすることが不可欠です。
そこで、中小企業の国際ビジネスの展開や外国企業との共同研究に対する支援、及び外国企業の誘致等により、国際的な双方向の経済交流と貿易の振興を一層推進するため、このたび従来のプランを拡充し「経済交流と貿易の振興プラン」を策定します。
2 現状と課題
現状
(1)国際経済交流のダイナミックで多様な展開
企業活動においては、従来の輸出入貿易や大企業の海外進出に加え、中小企業の東アジア諸国への進出、外国資金によるM&Aや企業提携、外国人経営者の活躍など、国際的な経済交流が進みつつあります。
さらに、企業のみならず、大学等の教育機関やNPO等多様な主体が経済・産業分野で国際交流事業を展開し、交流のすそ野は広がりを見せています。
(2)東アジア諸国の経済発展と経済交流の活発化
アジア諸国の経済成長と工業化は著しく、日本経済や企業活動に大きな影響を与えはじめています。
特に、東アジア圏内を中心にFTA交渉が進められ、間口の広い経済交流が生まれつつあることから、従来コスト対策を中心に進められてきた企業の海外展開戦略も見直す時期にあります。
(3)国境を越えたヒトの大移動の進展
台頭する東アジア圏を中心に、観光のみならず、ビジネスにおいても国境を越えた人の移動が拡大しています。
世界規模の競争の中で、先端的な研究開発や魅力的な産業の振興を通じて、欧米諸国も含め世界の優れた人材を引き付けることが、地域経済を振興する上で極めて重要となっています。
課題
(1)中小企業の国際ビジネス展開における課題
中小企業では、従来、大手企業や商社を通して海外と接触してきたため、貿易実務をはじめ国際ビジネスに関するノウハウが蓄積されていません。
また、優れた人材を国内外に分散させる余力がなく、社内で必要な人材を育成することも困難です。
国際ビジネスが多様化する中、適切なビジネスパートナーを持つことが重要となっていますが、海外のビジネス情報を直接入手する人脈を持たず、適切な情報を得る機会が少ない状況です。
(2)国際ビジネス・共同研究開発等の推進における課題
極端な東京一極集中により、世界の中で、京都の魅力、特に国際的にハイテク産業やベンチャー企業を輩出する地域としての知名度はまだまだ低く、国際ビジネスや共同開発研究推進の契機となるべき京都の魅力が発信されるに至っていません。
京都の文化、観光、学術、技術の力を目に見える形で総合的に発信することがきておらず、京都の潜在力が顕在化されていません。
京都には多数の留学生が滞在し、卒業後は国内外で活躍する外国人が多いわけですが、十分に活用できていません。
(3)京都の特色を活かした貿易振興及び京都舞鶴港の貿易振興における課題
これまで、対岸諸国との間で中期的展望に立った継続的で持続的な経済交流を行っていませんでした。特に、新規貨物の開拓・企画調査を進める際に不可欠となる現地の貿易団体や経済団体等とのネットワークが不足しています。
対岸諸国は、今後、農産物等の供給地としても重要性を増すと考えられますが、これを好機として捉えるためには、日本国内でこの分野に新規参入する企業と連携するなど国内外で幅広いネットワークを築く必要があります。
後背地での戦略的な産業施策(貿易振興に繋がる企業立地推進方策)が具体化されておらず、阪神港などと差別化した特徴のある港湾づくりが不十分です。
3 今後の施策展開の方向
国際的な経済交流を着実に進展させるに当っては、
- 海外の人々や文化の多様性を受け入れ、新たなアイデア・豊かな発想をビジネスに活かす環境を醸成すること
- 京都の蓄積された力(文化、観光、学術、技術等)を国内外に明確に打ち出し、特色ある経済産業拠点「京都」をアピールすること
- ジェトロ、関係市・経済団体等と密に連携し、多様な交流機会を活かすことが重要です。それらを踏まえ、
(1)先端的な産業・企業が集積する海外の地域と連携するとともに、人々と交流することにより、京都企業等が技術開発やビジネスを拡大する機会を創出します。
また、中小企業が、経済のグローバル化により生まれるチャンスとリスクを的確に捉えビジネスを拡大するため、サポートを強化します。
(2)京都舞鶴港については、府内全体の貿易振興の伸長を促すことにより、港湾の地理的条件等を踏まえた特徴のある貿易品目の開拓拡充を図ります。また、府内全体の貿易については、京都の特色を活かした振興を図ります。
4 重点施策
1 先端的な産業・企業が集積する海外の地域と連携するとともに、人々と交流することにより、京都企業等が技術開発やビジネスを拡大する機会を創出します。
また、中小企業が、経済のグローバル化により生まれるチャンスとリスクを的確に捉えビジネスを拡大するため、サポートを強化します。
(1)先端的研究・産業集積地との連携を推進します。
- 米国シリコンバレー、中国中関村、韓国テドク、英国ケンブリッジ、仏国ソフィアアンティポリスなどの先端的研究・産業集積の状況を分析の上、焦点を絞った継続性のある交流を進め、共同研究開発や企業誘致に繋げます。
- 商社等で海外駐在経験のあるOB人材をはじめ、国際ビジネスにノウハウを有する人材を組織しネットワークを広げるとともに、京都に留学後、自国の経済産業界で活躍する外国人との接点構築やウェブを通じた能動的なマーケティング等、効果的・効率的な情報受発信を行います。
- ケータイ国際フォーラム開催の成果を踏まえ、コンテンツ産業の振興のための創造的な人材の交流の場を設けます。
(2)国際会議の誘致を進め、これを契機とした経済交流を進めます。
STSフォーラム等の国際会議の誘致を進め、これを契機にした海外の経済界等との人的交流から経済交流や企業誘致のきっかけづくりを進めます。
(3)京都の先進的技術をパッケージ化した国際経済協力を実施します。
京都商工会議所等と連携して京都企業の優れた環境技術等をパッケージ化し、地域提案型ODA(政府開発援助)事業等を活用し、地球的課題の解決に寄与するとともに、京都ブランドをPRし、京都経済の振興につなげます。
(4)京都国際ビジネスサポートセンター(仮称)を設置します。
従来「ジェトロ京都情報デスク」で貿易相談等を実施してきたが、中小企業の国際ビジネスを総合的に支援するとともに、上記の事業化推進のため「国際ビジネスサポートセンター」(仮称)を設置します。
2 京都舞鶴港については、府内全体の貿易振興の伸長を促すことにより、港湾の地理的条件等を踏まえた特徴のある貿易品目の開拓拡充を図ります。
また、府内全体の貿易については、京都の特色を活かした振興を図ります。
(5)京都舞鶴港の特色を活かした貿易振興を推進します。
- 対岸諸国との経済交流の仕掛け作りを推進します。
対岸地域(朝鮮半島、中国東北部、極東ロシア)との貿易を具体化するため、この地域に特徴的といえる鉱工業品や農林水産品等の輸入、環境リサイクル関連プラント・商品の輸出等をターゲットに、荷主、商社、物流企業等に対して提案を行います。
また、現地での調査・集荷活動を展開するとともに、生きた情報を得るためロシアナホトカ等に舞鶴港振興会の情報収集窓口を設置します。
対岸地域(朝鮮半島、中国東北部、極東ロシア)との貿易拡大を睨んだ日本海航路の拡充に向けた新規航路開設の支援措置を検討します。 - コンテナとバラ荷のバランスの取れた貿易振興を推進します。
京都舞鶴港の貿易振興においては、国際物流の拡大とコンテナ化に対応するため、これまでコンテナ貨物の取扱拡大及びそのための環境整備に努めてきました。
今後は、コンテナの集荷努力を継続するとともに、バラ荷を含め、京都舞鶴港の特徴が発揮される貨物の開拓に努めます。 - 後背地における戦略的な産業立地施策を推進します。
京都舞鶴港の貿易振興には、後背地への港湾活用型企業の立地が重要と考えられることから、港湾活用型企業の立地を推進するとともに、臨港地域等への保税工場の立地等、国際物流拠点にふさわしい戦略的な産業立地を進めます。
※ 保税工場とは、輸入原材料を関税保留の状態で生産加工できる工場で、委託加工貿易に利用されています。民間工場も所属税関長の許可を得て指定を受けることができます。
(6)京都のブランド力を活かした貿易を振興します。
- 日本食や日本文化への国際的な関心の高まりを受け、北山丸太や、宇治茶等ブランド力の高い高付加価値型農林水産物の輸出を推進します。
- 京都の伝統工芸やデザイン分野で生まれている海外事業展開の試みを支援し、販路拡大等のサポートを行います。
