「信頼」と「絆」による新たな京都の「創造」を進め、「人・間(にんげん)中心」の京都をひらく
21世紀の幕開けとともに、「むすびあい、ともにひらく新世紀・京都」を基本理念に掲げた新京都府総合計画がスタートして5年目を迎えました。 この間、計画に沿った府域の整備は順調に進んだ反面、地球環境問題の深刻化とともに、台風等大規模災害など自然面、街頭犯罪や若年者犯罪の増加など社会面、 経済の停滞や雇用不安等経済面など、各方面の不安が増大しています。
さらに少子高齢化が進む中、家庭、地域、そして社会全体において、これまでの右肩上がりとは異なる時代にあって、身の回りの安全はもとより子育てや老後など、 多くの人々が将来に不安を感じて生きているのが現実だと思います。
私たちは、20世紀に「ものの豊かな社会」を追い求めてきました。しかし今、自殺者の増加や児童虐待、さらには不登校問題、ひきこもりなど多くの新たな問題に直面しており、 いつの間にか豊かさの陰で、家庭や地域において人と人とのつながりが希薄化し、人々が孤立した社会へ向かっている危惧を覚えます。
今こそ、新京都府総合計画のめざした「むすびあい、ともにひらく」という原点に戻り、忘れかけていた人の「心」の大切さをもう一度見直し、 人と人とがしっかりと結ばれた心豊かな社会を構築することが求められています。そして、それによる家庭、地域、社会の再生が、交流を活発にさせ、地域のさらなる活性化を達成し、 ひいては住民本位の分権型社会や自立した地域の実現につながっていくものと考えます。
幸い、ここ京都の地は、北から南まで、豊かな自然との共生の精神を大切にし、世界に誇る文化が花開き、独創的な人材や優れたものづくりの企業を生み出してきた歴史・風土を持っています。 また、京都は古くから交流の舞台でもあり、国内外の地域との交流により多くの人々が集い、様々な新しいものや考え方を受け入れることにより、常に時代を先取りしてきた地域でもあります。
私たちは、京都が持つ人と知恵、個性と資源を活かして、21世紀に人々が希望を持って未来を切り拓いていけるよう全力をあげてまいりたいと思います。
こうした思いから、このビジョンでは、新京都府総合計画の実現に向けて、人の心や人と人とのつながりを大切にし、交流を盛んにし、さらに交流を支える基盤に投資する「人・間(にんげん)中心」 (「人」と「人」との間にあるものをもう一度見つめ直したいと考え、あえて人間の間に「・」を加えました。)を基本視点に据え、次世代を担う子どもの人間性あふれる成長をなによりも願う京都、 高齢社会にあって誰もが健やかに充実した生活を送れる京都、人の交流の中から新しい活力が生まれる京都、豊かな環境や文化を活かし個性と魅力を創り出す京都、 そしてそのためにも府民が安心して日々の生活を送れる京都、そういう京都をめざして、5つの京都づくりを提案します。
人と人とのつながりが戻り、府民や企業、大学、行政の様々なネットワークの輪が拡がり、多くの人が集い、京都発の心豊かなライフスタイルや文化が次々創造される京都を築きましょう。 「信頼」と「絆」による新たな京都の「創造」を進め、生きる喜びが実感できる「人・間(にんげん)中心」の京都を、府民の皆さんと力を合わせてひらいていきたいと思います。
2005年(平成17年3月)
京都府知事 山田 啓二
