「株式会社 杜若園芸」岩見悦明さん
城陽市は、豊富な地下水を利用した湧水花きの特産地であり、古くからハナショウブやカキツバタ等の生産が活発に行われています。
今回は、伝統ある花き生産の跡を継ぎ、湧水花きだけでなく多種多様な水生植物にも目を向け、水生植物を住まいのインテリアなどに利用した新しい空間創りを提案している「株式会社 杜若園芸」の専務取締役、岩見悦明さんを紹介します。
なお、「株式会社 杜若園芸」におかれては、平成17年度第54回全国農業コンクールで名誉賞(農林水産大臣賞)を受賞されるとともに、平成17年度京都府農林水産業功労者表彰も受賞されています。
岩見悦明(昭和38年生まれ)
「株式会社 杜若園芸」:専務取締役
就農のきっかけ
大学卒業後、銀行に就職。しかし、「自分で商売をしたい。父(現、社長)の築いてきたカキツバタ中心の経営から、今までと違う形で湧水花きを販売できないか?」との思いから、26歳の時に銀行を退職し就農。
伝統の湧水花きを引き継いで
- 就農と同時に父(現、社長)から経営の全てを任され、父が培った湧水花き生産技術、販売戦略を引き継ぐ。
- 父の築いた地位をさらに発展させるため、カキツバタの栽培規模を拡大し、全国の小売店や卸売市場への営業活動を行った結果、売上げを倍増させることに成功。しかし、徐々に需要と価格が低迷してきたことや、販路拡大の余地がなくなってきたことなどから、経営発展のためには、カキツバタ以外のものに転換する必要があると感じるようになった。
(父について)
祖父が行っていたハナショウブ中心の生産を元に品目の拡大に努め、カキツバタやカラー・ハナハスを地域に初めて導入し、周辺農家にも積極的に広める。さらに、華道流派家元や小売店に直接売る販売ルートを開拓するなど販売方法も工夫し、価格を自ら決定できるプライスリーダーの地位を確立。
多種多様な水生植物生産へ
- カキツバタの規模拡大を図るかたわら、城陽市と京都府の支援を受け、平成3年より2年間新規就農者として研修を受ける。この中で、法人経営などの大規模経営を見て刺激を受けるとともに、花園大学の教授と出会い、「水辺緑化」の情報等を得たことが多様な水生植物生産への転機となる。
- その後、コウホネやスイレンなど、徐々に色々な水生植物を集めて営業活動を始め、販売した水生植物がテレビコマーシャルに使用されるなどのこともあって、平成6年頃から引き合いが出始める。
- 平成7年に「株式会社 杜若園芸」を設立。
- 売上げを順調に伸ばし、平成9年以降には更なる発展を目指し、経営コンサルタントからマーケティング指導を受けたり、園芸展示会等に積極的に出展し価格設定等の勉強をするなど、一生産メーカーとしての幅を広げる。
- 平成11年にホームページを立ち上げ、平成14年からインターネット販売を開始した結果、主要な流通業者を網羅する販売網を確保。
積極的な事業展開
- 多種多様な水生植物約300種の苗を栽培。また、切り花としてカキツバタ、コウホネ、ハス等も行っている。ホームページでのインターネット販売にも取り組み、国内での水生植物シェアは約50%。
- 平成11年頃から、小さな池や小川を造成し水生植物を植え、メダカや昆虫が生息できる空間をつくり、昔親しんだ自然を再現しようという「水辺の緑化」(「ビオトープ」「ウォーターガーデン」)をプロデュース。
これまでに、京都迎賓館をはじめ政府関係施設の水辺空間の制作も手がけている。
地域社会への貢献
- 京都府内各地で、法人経営に関する研修会や水辺の緑化等に関するセミナーの講師を引き受け、経営手法などを紹介し、生産者のモデルとなっている。
- 平成17年7月から京都府農業法人経営者会議会長に就任し、農家の経営改善に尽力するほか、新規就農希望者の研修を受け入れたり、繁忙期には地域の女性を積極的に雇用するなど、地域社会にも貢献している。
- また、JA京都やましろ城陽花き部会のリーダーとして、地域の湧水花き産地の発展にも寄与し、全国でも有数の産地としての地位を確固たるものとしている。
今後の展望
- ミニビオトープや住まいに取り入れられるインテリアなど、水生植物の魅力を活かした「緑による安らぎと癒し・和み」を、消費者に広く提案していきたい。
- 海外農場で研究を続けている熱帯スイレンの安定栽培・品質向上に取り組んでいきたい。
- 水生植物だけでなく、季節に応じて鉢物の加工業も本格的にやってみたい。
編集後記
「株式会社 杜若園芸」の岩見悦明さんは、Uターンで始めた水生植物生産を、企業的営農法人として果敢に取り組み、IT化などいち早い消費者PRや斬新なマーケティングの開拓を行い、本分野で先進的且つ画期的な活動をされています。
今後も、新たな「水辺の空間」の創造によって、私たちの住まいや施設などに斬新な園芸スタイルを提案されることでしょう。
株式会社 杜若園芸
(住所)〒610-0121
京都府城陽市寺田中大小68
(電話番号)0774-55-7977
(FAX番号)0774-55-2287
(ホームページアクセス)http://www.tojaku.co.jp
