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女性鵜匠澤木万理子さん(宇治市)

澤木万理子さん

全国で3人目の女性鵜匠。社団法人宇治市観光協会の職員。滋賀県在住。

なぜ鵜匠になろうと思われたのですか?

単純に「鳥が好きだから」というところから入っていったんですけど、鳥に関わりのある仕事って限られていて、その中で鵜匠というのは、自分も見ていておもしろそうだったので、一回聞いてみようと問い合わせてみたんです。たぶん「あんまり続かへんやろう」と思われたと思うんですけれど受け入れてくださったので。

やってみられていかがでしたか?

見ているのと実際やってみるのとでは、差は大きかったです。でも、それがまたおもしろかったので、やっていたらどんどんのめり込んでいきました。

どこが違うと思われましたか?

体力的にハード。あと、鵜飼いというのは、鳥で魚を捕る漁なんですけれども、宇治川の鵜飼いに限らずどこもそうなんでしょうけれども、「観光」をメインとしたところが大きいので、そういう面でお客さんに「見せる」という点が、私が思っていたより「ショウ」的要素が大きかったです。

体力的にハードというのは、どんなふうにですか?

鵜飼いの期間中は、川が増水とかしない限りは、ほぼ毎日というのが体力的にかなりきついときがあります。あと、鵜飼いは夏場しかしていませんけれど、シーズンオフの間も鵜の世話がありますし、世話でいうと夏場よりどちらかというと冬場のほうがきついですね。
寒いですし、水を使いますし、まして宇治川のまん中の塔の島に鵜小屋がありますし、結構吹きさらしの所なので、この年になってもしもやけができるんです。 

鵜匠衣装の澤木さん

水を使うというのはどんなふうにですか? 

鵜小屋にプールがあって、水がずっとオーバーフローしている形なんで、世話をするときはカッパを着て、長靴を履くんですが、コンクリートなので冷えるんです。鵜の糞って、結構こびりついてとれないんですよ。それをゴシゴシ洗うんですけれども、デッキブラシとか長いものを鵜がこわがるので、タワシでとるんです。

鵜飼いをされているときに、縄が絡まったりとかしなんですか?

そうですね、絡まらないように手元で手綱をさばくのが、鵜匠の技術なんです。でも、絡まることもあって、綱が手元で絡まってる分はほどきながらできるんですけれども、鵜に絡まってしまうと大変なんです。そうなると、川から引き上げてほどいてやらないといけないんです。

鵜飼い風景

ショウの途中でそういうトラブルって他にもあるんですか?

ありますよ。釣り人が放置された釣り糸が鵜に絡まったり、釣り針が鵜に刺さったりすることがあるんです。鵜だけでなく、宇治川に住む生きもののためにも、みんなで気をつけていけたらなと思います。
他には、極まれになんですが、鵜が逃げたりとか・・・。ひもがついたままですぐなら船頭さんがひきあげてくださったりということがあるんですけれども、途中で切れてしまって逃げると、なかなか捕まらないですね。
ショウが終わってから、ある程度は探すんですけれど、水に潜ってしまってたりするとわからないので、次の日の早朝から、川沿いを双眼鏡持って・・・あやしい人みたいなんですけど。

鵜飼いをやっておられて、喜びや楽しみはどんなことですか?

鵜飼は6月中旬から始まるんですが、それに向けて世話をしているので、今年はどういう風にしようかなとわくわくします。やはり、たくさんのお客さんが見に来てくださっている中で、鵜が魚を捕ってきてそれをはかせて、それに対して拍手をしてくださるのがうれしいですね。
また、日々の世話で、一日一回鵜を見に行く時間が楽しみの時間でもあり、気分転換の時間にもなっています。
鵜は、気性が荒く、かなり神経質な鳥で、なかなか人に馴れないんです。
ですから、言うことをきいてくれたりとか、ちょっと何か通じたかなって思える瞬間があるとうれしいです。

鵜は人には懐かないとのことですが、鵜にも性格があるんですか?

性格はありますよ。リーダー的なのやいじめられるのやら・・・。かわいそうなんですけどね。それに、人に馴れている鵜、馴れない鵜がいるんです。けれども、馴れすぎると今度は魚を捕ってこないんです。やはり、ある程度野性味を残しておくのがいいのかなと。この鵜は、かわいがっている鵜の一羽なんですけれども、まだ魚は捕れないんで広報宣伝担当ということで。

澤木さんと鵜

取材をしておいて何なんですが、全国で3人目の女性鵜匠ということで、注目を浴びられて「ほっといてほしい」とか思われたことはないのですか?

あります。最初は、「えらいことしてしもた」「いや、こんなつもりではなかった」って感じだったんです。でも、鵜匠は、全国で100人もおられないと思うんですね。12カ所あって、例えば一カ所に4人から5人おられたとして、まあ、50人として、50分の3。そんなに珍しいことではないのではないかなと。
女性がいろいろな職業に進出されている中で、そんなに珍しいものではないのかなとは思うんですけれど、注目してくださっているということが、鵜飼いを見に来てくださる方が増えていくということに繋がるのであれば、それが一番いいんじゃないかなということで。
今は、逆に注目してくださるということは有り難い事かなというふうに、なかば開き直り。でも、それだけちゃんとやらんとあかんなという励みになります。

やめようと思われたことはないのですか?

そうですね、今のところは「やめよう」というのはないですね。逆に周りに「これだけ言われたらやめれへんで」と言われて「やるもん」とか。
「もう、ええ」って言われるまでやってやる。

「何かやりたいけれど、やれるかどうかわからないし」という女性たちに「一歩」踏み出す勇気をいただけませんか?

そうですね、小さい頃から「これがしたい」と思って、それを一貫して貫いて本当にそうなれる人って、本当にすごいと思うんですよ。でも、みんながみんなそうじゃありませんし、やっぱりその時その時で、やりたいことも変わってくると思うんですけれど、でも、その中でとりあえず動いてみる。悪く言うと「後先考えずに」となっちゃうんですけれど、でも、それが「一歩踏み出している」。まあ、失敗することの方が多いかもしれませんけれども、でも、失敗しても何かしら自分のためになると思うし、別に失敗したからといって、その人の人生が全くだめになるのではないでしょうし、何かしら自分が心を動かされたことに対して、少しでも行動を起こしてみてくださいってことかな。
  頭の中で「これがしたい」「あれがしたい」と思っていて、思っていることが周囲の常識だと「無理」だったり、周りの状況とかでも迷ってしまうかもしれないんですけれど、そういうのを考えずに、まず体で動いてみるっていうのも一つの手かなと。
私の場合、「ああ、またやってしもた」って思うことが多いんですけれどもね。

鵜飼舟上の澤木さん

後にお薦めスポットを紹介してください。

お薦めは、鵜飼いも併せての「観光遊覧」です。
距離的に短いと思うんですけれど、舟でゆっくり回っていただいたら、結構感じいいですよ。

澤木さんは、鵜の話をされているとき、目を輝かせてお話しされ、「多分子どもと接するような気持ちで(鵜と)接していると思います」とおっしゃってました。また、鵜飼いについても、「こんなことをしたら、お客さんにもっと楽しんでいただけるのではないか」といろいろチャレンジされてるそうです。御自分のやりたい仕事に就かれているという充実感がこちらにも伝わって、本当に「素敵だなあ」と思いました。
お薦めは、「観光遊覧」ということですが、舟に乗ってゆったりと時間に身をまかすのは、時間に追われる私たちにとって、何よりのビタミン剤かもしれませんね。山城地域は、川があって山があって本当に自然に恵まれた地域ですから、案外、あなたのすぐ近くに緑の「癒し空間」があるのかもしれませんよ。

鵜飼いの問い合わせ先

社団法人宇治市観光協会
TEL0774-23-3334(代表)

澤木さんと鵜