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けいはんな学研都市立地企業、スマートシティ関連企業、けいはんな学研都市付近で開催されるイベント・史跡等を紹介するページです。
(2024年6月12日、文化学術研究都市推進課 足利)
「大阪・関西万博」RITEネガティブエミッション実証プラント全体イメージ図
中央に並んでいる3機がCO2回収装置
公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)(外部リンク)化学研究グループの木下朋大さんにお話をおうかがいしました。
--ご研究されている内容について、簡単にお教えいただけませんか。
木下)様々な排出源からCO2を分離回収するための材料開発を行っています。特に力を入れているのはアミンという物質です。アミンは選択的にCO2と反応し、加熱や減圧によってCO2を脱離する性質を有しています。例えば石炭火力発電所の排ガス中には13%程度のCO2が含まれていますが、アミンを用いてこのCO2を除去することができます。CO2を吸収したアミンは加熱すると吸収したCO2を放出して、再びCO2を吸収できる状態に戻ります。このとき、放出されるCO2は元の排ガス中のCO2よりも濃縮され、純度99%以上のガスとして回収することが可能です。回収したCO2は地中に貯留するのが望ましいですが、そのままドライアイスや溶接に使ったり、あるいは水素と反応させて燃料を作ったりすることもできます。実際にRITEが開発したアミン水溶液(化学吸収液)を用いたCO2回収設備が日本製鉄室蘭製鉄所と住友共同電力新新居浜西火力発電所内で稼働しており、それぞれの排ガスから毎日120トンと143トンのCO2を回収し続けています。
--そうなのですね。
木下)近年ではアミンを水溶液として使うのではなく、多孔質担体(目に見えない小さな穴がたくさん空いた材料)にコーティングして使う固体吸収材の開発に力を入れており、大阪・関西万博ではこの固体吸収材を使って夢洲の空気(CO2濃度0.04%)から高純度のCO2を回収して、それを使ってメタンを作ることを計画しています。いわば空気から燃料を作るわけです。
「けいはんな万博キックオフイベント」にもご登壇(外部リンク)
--研究者を志された動機、経過などについて教えてください。
木下)大学では液体の吸着現象を専門としていました。吸着というのはおおざっぱに言うと、不必要な物質を除去するために使われています。私の研究していた液相吸着は水処理などに使われており、工業的には非常に重要な分野ではありますが、成熟しきっている分野でもあります。
--そうなのですね。
木下)そこで、吸着現象を使って何を除外すれば世の中に貢献できるだろうか?と考えてたどり着いたのがCO2で、その分離回収を専門的に行っているRITEでした。
--このRITEのある「けいはんな学研都市」はいかがですか?
木下)景観整備が行き届いたとても美しい地域だと思います。同じ学研都市の「つくば」と異なり、民間が主体となっている点も面白いです。私も近所の民間企業の研究所にお邪魔したことがありますが、分野は違えど研究者の熱意は変わらず、とても良い刺激を受けました。他分野の(特に民間の)研究所と気軽に交流が持てるのはけいはんな学研都市ならではですね。
--最後に、今後の展望はいかがでしょう。
木下)CO2の排出を抑制しなくてはいけない(つまり回収しなくてはいけない)ということをニュース等でご存知の方は多いと思いますが、実際にCO2を回収する装置を見たことがある方はほとんどいないと思います。
--たしかに。
木下)「大阪・関西万博」にご来場の方々にはCO2を空気中から回収する様子を間近でご覧いただけます。この機会に是非我々の技術をご覧いただき、CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage(回収・利用・貯蔵))に興味を持っていただければ幸いです。
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