ホーム > 地域振興 > 広域振興局 > 京都府中丹広域振興局 > 中丹・田舎暮らし通信vol.11(平成19年08月10日発行)

ここから本文です。

中丹広域振興局

中丹・田舎暮らし通信vol.11(平成19年08月10日発行)

農業改良普及センターでは、中丹管内(舞鶴市、綾部市、福知山市)の田舎暮らしに関わる情報を発信しています。今回は綾部市睦寄町古屋地区の状況について、自治会長の細見弘さんにお話を伺いましたので、紹介します。

1.水源の里、古屋(こや)とはどんなところ?

綾部市街地から東方へ車で45分。福井県との境、奥上林地区中心地よりさらに山奥へと向かう細い道5キロメートルの途中民家はなく、うっそうとした杉林をくねくねと進み、つきあたりの集落、そこが綾部市睦寄町古屋です。山道の峠をはさんで向かい側は南丹市美山町となります。
集落は谷間にあり、狭小な土地に、数戸の民家と少しばかりの農地が広がっています。

古屋の地図

古屋の風景

滝

古屋には5戸7名が暮らしています。うち2戸は集落中心地より2キロメートル手前の川沿いにあり(大岩地区という)、高齢の世帯ばかりとなっています。
平家の落人集落と言われていますが、証拠はないそうです。
江戸時代は日本海側から京都へ抜ける通り道であり、集落に入る道の途中に「殿さんの休み」という地名があります。
大岩地区には滝があり、道路からよく見えます。

2.農林業のようす

農地は少なく、わずか3アールの水田と少しばかりの家庭菜園があるのみです。もともと農地は少ない上に効率が悪く、作り手がいなくなったことから早い時期から(農地に)植林してしまいました。たくさん耕作したい人は、ふもとの集落に作りにいっていました。
家

畑

農業よりも、林業で栄えていました。燃料不足の時代は、炭焼きで儲かっており、わさびとトチの実が特産品でした。トチの実拾いは女性が主役。トチの実は栗のような形をしています。トチの木は山の中にあり、かなり大きくなります。生り年とならない年で実の付き方が違い、女性達は1本1本それぞれの特徴をつかみ、効率よくトチの実を拾っています。トチは自生しているので、山菜取りと一緒です。
しかし、近年山の食糧不足とシカ頭数の増加により、トチの実はシカに食べられてしまい、なかなか収穫できません。トチの実にはアクがあり、サルやイノシシはアクを嫌ってトチの実を食べないが、シカだけは食べてしまいます。今年から、シカよけネットをトチの群生している周りに張り巡らせ、トチの実を確保する予定です。初めての試みなのでうまくいくかどうか心配しています。
シカは、トチの実が熟して落ちる頃になると、昼も夜もトチの下にずっといます。フジ、フキ、ヨモギもシカに食べられてしまいます。

3.貴重な食糧源、栃の実(とちのみ)

米を作りにくい土地柄、その昔、米の代わりに藤の根を供出していました(でんぷん源として)。
また、トチ餅を各家庭で作る際は、昔はもち米3合にトチの実1升の割合でつくっていました(現在はもち米1升にトチの実3合くらい)。
橋をかける
写真:8月には山中に、栃の実を取りに行くための橋をかけました

4、5年ほど前までは、あく抜き済みのトチの実を知り合いに販売していました。加工場も設置し、保健所に申請をして、トチ餅をつくって販売したりもしていましたが、トチの実とアク抜き用の灰の確保が難しくなり、やめてしまいました。
トチの実のアク抜きには、広葉樹、とくにカシノキ、ナラの灰が最適です。灰は五右衛門風呂や炭焼きの時に出る灰を利用していました。いまはお風呂も五右衛門風呂にしているところはなく、炭焼きもしないので、灰が確保できなくなりました。ただ燃やすだけでは、灰が飛んでいってしまうし、アルカリ薬品であく抜きすると、アクは取れるが、色が白く、風味が損なわれてしまいます。
また、トチの実のアク抜きには、時間と技術も必要とされています。
トチ餅は独特の風味があり、ファンは少なからずいるので、なんとかトチの実を特産品として復活したいと考えています。トチ餅、トチ羊羹、トチ大福。トチは薬になるそうです。

4.古屋での暮らし

集落に上水道はなく、水は井戸を掘って、電気でくみ上げるか、山水を引いています。電気は30年ほど前から使えるようになりました。現在、電気は関西電力、ガスはプロパンガス、便所はくみとり式です。
府道は昭和30年代ごろ、拡幅されました。それまでは自動車が通れる道ではありませんでした。
冬は積雪があります。山奥なため、道路の除雪車は朝10時くらいにならないと来てもらえません。それでも近年の暖冬と、除雪車のおかげで、昔ほど苦労しなくなりました。昔は道が細く、道路の雪を踏み固めて通行していました。春になって、カンカンになった雪をシャベルで掘り起こし、雪を取り除いたものでした。
古屋の道1

古屋の道2

生活は昔に比べて便利になりました。高齢者福祉サービスも充実し、たとえ車が運転できなくても、送迎サービスがあります。週に2、3回は、送迎付きの老人憩い施設もあります。
古屋には移動販売車が来ないので、生活必需品などは市街地に買い物に出かけて調達します。
消防車、救急車など緊急時はどうしても到達時間が遅くなってしまいます。
現在集落に住んでいる女性達はほとんど、近隣から嫁いできた人達であり、皆一様に「ここはよいところだ」と言っています。
住民の子孫は近隣の市街地に住み、盆・正月に帰ってくる程度です。古屋にUターンする予定はないそうです。

5.最近の移住者

田舎暮らしを希望して、集落に住んだ人もありましたが、皆出ていってしまいました。気候が厳しくて出ていったのではなく、高齢化、病気のため自立生活ができなくなったとか、生活費が稼げなくなったから、という理由で出ていくようです。
まず、生活費の確保が第一で、その上で健康でなければ、こういったところには暮らしにくいようです。
空き家については、高齢のため、自宅外で生活しているのが1戸。たまに帰ってくる家が1戸。あと2、3戸あるが、いずれも転売され、持ち主は外部の人になってしまいました。

6.取材後記(古屋を訪れた感想)

すぐそこの山から、シカやイノシシが出てきそうな集落で、過疎地域を知っているつもりの私でしたが、初めて行ったときは「こんなところに集落があるなんて・・・」と驚きました。
人里離れた閑静な地、きれいな水、清流、トチの実、山菜、シカ、炭焼き、植林、、、これらの資源を生かして商売するのも良し、これらの資源を楽しみつつ生活費はお勤め等で稼ぐのも良し、いろんな可能性が眠っていると思いました。

お問い合わせ

中丹広域振興局農林商工部 中丹東農業改良普及センター

綾部市川糸町丁畠10-2

ファックス:0773-42-0191

chushin-no-higashi-nokai@pref.kyoto.lg.jp

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?