京都府立医科大学 大学院医学研究科
救急・災害医療システム学
救急医療学教室 教授
京都の医師コラム

― 専門分野と仕事についてお聞かせください。
私の専門は救急医療です。
日本で救急医療を専門とするお医者さんは多くおられますが、その先生の中には外傷の手術をされる先生や集中治療室で重症の患者さんの診療される先生がおられます。私は9年前から救急外来だけで仕事をする医師として救急の仕事をしてきました。
アメリカのテレビドラマのERで働いているお医者さんのような仕事です。
自分の見れる範囲には限られてしまいますが、専門分野を問わずに怪我や病気の小さい子供さんからお年寄りまでを診療しています。
2010年4月から現在の病院に赴任しましたので、学生と共にこれからの救急医療を考えています。
― 魅力とは?
軽傷・重症、昼間・夜中など問わず、たくさんの患者さんの最初の窓口になっていることですね。
ただ、24時間365日仕事を続けるのは不可能ですので、仲間の医師と交代しながら、患者さんにとっての最初の窓口になっています。
困ったときに駆け込む場所があることで救われる患者さんもいることが実感できていて、それがやりがいになっています。
― 苦労することはありますか?
知らないことがたくさんありますし、良かれと思ったことが最善でなかったということもありますので、反省することは尽きません。
色々な患者さんとコミュニケーションを取れる魅力とその難しさ。やりがいと苦労が表裏になっていることはあります。
― 医師になった理由は?
医師になろうと決めたのは、高校二年生の終わりでした。自分の仕事を考えるときに、初めてお医者さんがどのような仕事かなと頭に浮かびました。困った人の窓口になれることは、やりがいがあるんじゃないかと思ったことが決めたきっかけです。
その後、不幸がなければお医者さんはいらないのにと考える時期もありましたが、後ろ向きにならずに、人の役に立つように仕事ををしていこうと思うようになりました。
― 医師としてのモットーとは?
「必要な医師になること、それが我々の使命だ」と医師になりたてのころ先輩から教えてもらいました。患者さんに必要とされることが私たちの目標ではなくて、医師免許を持った瞬間から、一人の医者として患者さんに必要とされる医者でなければならない。常に必要とされる使命があると思っています。
また、中学校の担任の教師が言っていた言葉に、「当たり前のことを当たり前にやる」があります。仕事をやるに連れ、この言葉の大切さを思うようになりました。医者が患者さんを大切に思って仕事をするのは、当たり前のことであると仕事をする上で大切にしています。
また、救急外来で仕事をするなかでは、「謙虚かつタフに」を意識していますね。
― 京都Uターンの理由をお聞かせください。
京都府立医大に来る前は、一般の病院で救急の医者をしていました。
母校が新しく救急の教室を立ち上げることになり、応募して幸運にも声をかけていただきました。
当初は大学で自分が役に立つのだろうかと思っていました。一般病院でしか融通が利かないこともあります。また、既にできあがった救急をやる体制・文化もあります。
もし、大学病院に勤務して、肩書きをいただける立場になったとしても、何もできないんじゃないかと躊躇する気持ちもありました。
しかし、考えていくに連れ、大学病院でしかできないこともあるという思いがどんどん強くなりました。それは、医学生との接触です。
日本の医療は現時点でも素晴らしいですが、多くの医療従事者の犠牲的な精神に支えれている部分はあります。いつそれが崩れてしまってもおかしくありません。やはり、次の時代に繋げるためには、何かしら多くの医療従事者の価値観が変わる必要があると、湘南鎌倉総合病院に勤めていたときに思っていました。
大学病院で若い人達と話をし、考えを伝え、自分の仕事を見てもらうことで、よりよい日本の救急医療に繋がると夢見て、教室を預かる立場に応募しました。
― 京都府で働く魅力とは?
私は千葉県で生まれて、京都で大学時代を過ごしました。府立医科大学を卒業した後には、大学病院と赤十字病院の救命救急センターを往復し、卒後21年間京都にいました。そして、鎌倉で8年間過ごしました。
鎌倉に移ってからも、時々京都に帰ると、京都は独特の風情がある町に見えました。それは、古い時代からたくさんの人が生活をして、文化を育んできた場所です。その地で、土地を愛しながら働くことが、魅力であると感じています。
― 私生活にどんな感じですか?
仕事を離れてからの時間も大切にしています。ある程度は仕事を離れ、気分転換する時間を作ることは、いい仕事をにもなると思います。
最近は走ることがひとつの楽しみになっていて、去年は初めてマラソンを走りました。その後もフルマラソンにも、ハーフマラソンにも参加しています。
― 試験に向けてアドバイスをお願いします。
私がしていたのは、まずは身になるなと思える教材を選ぶことです。
そして、一度に問題を全部できると思わずに、何回も何回も繰り返しやって、最終的に全部できたとなるまでやりました。最初はわからなくて全部答えを見てもいいと思います。半分までできるようになったら、できなかった所に印をつけて、できなかった所をまたもう一回やる。それを繰り返していくうちに、全部できるようになりました。
また、月曜日から土曜日までを勉強する日にして、無理をかけない範囲で計画を立てていました。全部できたら日曜日は遊ぶ日、できなかったら日曜日に挽回です。日曜日は自分へのご褒美になるように、頑張っていました。