「高校生と考える薬物乱用防止シンポジウム」を開催しました
当府警察における平成30年中の薬物乱用少年の検挙人員は18人と、高止まりの状況にあり、中高生を取り巻く違法薬物の現状は依然として厳しい状況にあります。
このような情勢を踏まえて、高校生が違法薬物に対する正しい知識を理解し、違法薬物の誘いを断るセルフコントロール力を学ぶことを目的に、高校生と考える薬物乱用防止シンポジウムを開催(京都府等と共催)しました。
開催日
令和元年10月26日(土曜日)
開催場所
京都外国語大学 森田記念講堂
参加者
府内高校生、薬物乱用防止指導員、保護者、教職員など約500名
プログラム

- 基調講演「ヒトはなぜ、ドラッグを使うのか」
国立精神・神経医療研究センター 嶋根 卓也 室長
- 違法薬物に係る高校生アンケート結果説明
京都府警察本部少年課
少年サポートセンター所長 出嶌 克臣
- パネルディスカッション
パネリスト
嶋根室長・府健康福祉部長・府内高校生・大学生
概要
基調講演
基調講演では、
- 政策的に大麻が合法化されている国もあるが、若いほど依存症が重症となるため、世界中どこの国でも未成年者は禁止されている。
- 人が薬物に手を出すきっかけは、好奇心や仲間の影響が大きい 。仲間から薬物を誘われ、断ってしまうと、自分の居場所がなくなることを恐れ、薬物に手を出してしまう。また、薬物を使い続けてしまう人は、一部だが今の環境に生きづらさを感じている人が多い。
- 薬物依存者の特徴には、
・とにかく自信がない
・他人の目が気になる
・ノーと言えない
があり、この特徴をよく理解する。
- 「REAL」の原則で薬物乱用から身を守る。
R:Refuse(断る)
E:Explain(伝える)
A:Avoid(避ける)
L:Leave(立ち去る)
Explain(伝える)では、I(アイ)メッセージといい、自分を主語にして相手に気持ちを伝える。「私は薬物を使いたくない」、「私は薬物に興味がない」など、相手を批判することなく自分のありのまま気持ちを伝えることが有効。
などと説明していただきました。
違法薬物に係る高校生アンケート結果説明

府内の高校生を対象に実施したアンケート結果説明では、
- 「タバコと大麻を比べ、脳の成長に害があるのは?」という質問に、正しい答えである「大麻」と回答したのは75.3%で、高校生の4人に1人が大麻の有害性を正しく認識できていない。
大麻は、脳の正常な成長を妨げ、タバコよりも依存性が高く有害で、合法化されている国もあるが政策的なものであり、害がないから容認しているわけではない。
- 「違法薬物の使用を誘われたことがあるか?」との質問には、49人の高校生が誘われたことがあると回答しており、友人、先輩や後輩から誘われたとの回答が多い。
どれだけ親しい人からの誘いであっても、絶対に断る。一度でも使用すると体が傷つくだけでなく、やめたくてもやめられず、心まで傷ついてしまう。
などと説明した後、高校生に対し
- 違法薬物に汚染されないためには、自分は絶対大丈夫と思わないこと、違法薬物に対する正しい知識を持つこと、薬物の誘いを断る勇気と実際に断ることができる実践力を身につけることが大切であり、困ったことがあれば決して1人で悩まず家族や先生等に相談する。
と呼び掛けました。
パネルディスカッション
パネルディスカッションでは、冒頭に、本年8月に薬物事犯の模擬裁判を体験することでより深く薬物乱用防止について学習することを目的として実施した「体験型薬物乱用防止学習」のダイジェスト映像を流し、模擬裁判に参加したパネリストが
- 模擬裁判の中で被告人が「やりたいと思わなかった日はありませんでした。」と言っていたように、治療を重ねても直らないくらい違法薬物は怖いものとだと思った。
などと感想を述べました。また、司会者の「私たちが薬物に手を出さないためには、どんなことができるか?」との質問に
- 薬物に手を出すことを断れない理由として、居場所がなくなることへの恐れがある。複数のコミュニティを持つことで、防ぐことができる。
- 断り方のロールプレイなどを体験し、誘われても断ることが大切。
などの意見が出ました。