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特集1 Special Talk 本庶佑特別教授×西脇隆俊知事

本庶佑特別教授×西脇隆俊知事

本庶佑プロフィール

ほんじょ・たすく
1942年京都市生まれ(77歳)。 京都大学医学部卒業。米国カーネギー研究所や米国立衛生研究所での研究を経て、大阪大学医学部教授、京都大学医学部教授などを歴任。2018年、ノーベル生理学・医学賞を受賞。

座右の銘「有志竟成」
座右の銘「有志竟成(ゆうしきょうせい)※」。ノーベル博物館にこの言葉を書いた色紙を寄贈している
※「有志竟成」とは「志がしっかりしていれば、いつかは実現できる」という意味。『十八史略』東漢篇に由来。

ノーベル賞決定の瞬間は論文の推敲(すいこう)をしていた

知事 改めましてノーベル賞受賞おめでとうございます。先生の受賞は府民にとっても夢と希望、そして勇気を与えていただく明るいニュースでした。受賞の一報を聞かれた時はどう思われましたか。

本庶 実を言うと、受賞があれば、連絡の可能性は16時ごろからあると大学から聞いていたのですが、何もなくて。当時、スタッフと論文の推敲をしていたのですが、17時ごろ、秘書が引きつった顔でやってきて、「電話取ってください」と。電話を受けると「あぁ、そういうこと(受賞)かな」と分かりました。その時、どう感じたかはよく覚えていないけれど、「喜んでお受けします」ということを言って。

知事 先生、その時の言語は?

本庶 英語です。向こうから「あなたはこれがフェイクニュースかもしれないと思うだろうから、メールをもらいたいか」と言ってきた。それで僕は、「オフコース!」と答えました(笑)。

知事 受賞と聞いて驚かれましたか?

本庶 まあ、それほど。想定外というほどではなかったかな(笑)。

知事 授賞式と晩餐(ばんさん)会の様子は、いかがでしたか。

本庶 セレモニーでは、紹介がスウェーデン語なんです。僕の時はオペラ『カルメン』の楽曲で演出してくれて、最初の方はピアニッシモで、研究の功績に合わせて力強いメロディーが流れて、非常に面白かったですね。その後の晩餐会は大変でした。4時間トイレにも行けないし、料理は3皿だけ。だからおしゃべりしないといけない。

知事 受賞前後で、変化はありましたか。

本庶 自分としてはあまり変わっていないつもりですが、周りは変わりますね。世界中から講演の依頼が入り、物理的に断らざるを得ないのですが、それが大変。しかし、いいこともあったんです。ゴルフのハワイアンオープンに招待してもらったのはうれしかったですね(笑)。

ノーベル賞授賞式にて
ノーベル賞授賞式にて
(代表撮影)提供:時事通信社

本庶特別教授に授与されたノーベル賞のメダル
本庶特別教授に授与されたノーベル賞のメダル
The Nobel Prize Medal is a registered trademark of the Nobel Foundation (C)(R)The Nobel Foundation
写真提供:本庶教授室

京都で研究する人は変わった人が多い

知事 京都にゆかりのあるノーベル賞受賞者は14人おられますが、研究者として京都はどう映りますか。

本庶 京都は東京に比べてのんびりしているから、じっくり考えられる。それから変わった人が多いね(笑)。逆に言うと、変わっていないといけない。

知事 京都大学の受賞者も多いですね。

本庶 私は大学時代に先生から「研究は国際的に評価されるべきもので、国際的な土俵でものを考えなくてはいけない」と学び、時には目上の人が相手でも批判する大切さも教えていただきました。

知事 京都でお気に入りの場所はありますか。

本庶 よく行くところといえばやはりゴルフ場ですが、授賞式から帰ってきた時にはさすがに少しゆっくりしたくて、亀岡の湯の花温泉に行きました。とてもいいところでした。

知事 今度、亀岡にスタジアムができますが、実験的に湯の花温泉との間にシャトルバスを運行する提案もあるんですよ。他によく行かれるところはありますか。

本庶 気晴らしに美術館や音楽会場に行くことも多いですね。京都国立博物館には、よく行きます。あそこは企画力が素晴らしいですね。

知事 府外や海外からお客さんが来られる時に案内される定番スポットなどはありますか。

本庶 どこというより、その人の好みや状況を考えて案内しています。それに京都は食べ物もおいしいですからね。

知事 私も企業集積や学術研究の際に、食や文化がベースにあるのが大きなメリットだとよく申し上げています。

京都大学在学時の本庶特別教授(左)
京都大学在学時の本庶特別教授(左)

天体望遠鏡から見た土星が、科学の魅力を教えてくれた

知事 ところで、先生の子ども時代のお話をお聞かせいただきたいのですが。

本庶 優等生ではなかったです。先生からすれば問題児で、いたずらをして、よく叱られていた記憶があります。家では時計や電化製品をよく分解して、戻そうとしても元に戻らなくなっちゃう(笑)。

知事 学者や研究者になるイメージはいつごろから持たれましたか。

本庶 最初にサイエンスが不思議だなと思ったのは小学生の時。校庭で先生が天体望遠鏡で土星の輪を見せてくれたんです。わけの分からないくらい遠くに、なんであんなものがあるのか。この時、宇宙の不思議にいたく感動して、天文学者になりたいと思いました。中学校の終わりごろからは、野口英世の伝記を読んで、医者ってすごいな、特に研究者はすごいと思ったんです。

知事 今のお子さんや教育に対してはどんなことを思われますか。

本庶 親が構い過ぎだと思いますね。もっと野放しに自由にさせないと。親が常にウオッチするのはよくないと僕は思います。例えば、子どもは、同級生ばかりではなく、近所のお兄ちゃんやお姉ちゃんと遊ぶとかでいいと思います。

知事 学校も家庭も大事ですが、地域全体で子育てを支えていくことが理想ですね。近所のおじさんにも叱られたり、年下の子をいたわったり、いろんな人との触れ合いが大事ですね。

1歳の頃
1歳の頃

中学生の頃
中学生の頃

できないことは証明できない。「何を知りたいか」が大切だ

知事 学者や研究者を目指す若者に望まれることはどういったことでしょう。

本庶 研究を志す人は非常に減っています。「好きなことができる」、これが研究者にとっての最大のメリットですね。会社に入ると上司の顔色を伺わなきゃいけないし…。もし、研究の道へ入ろうと決めた人がいるなら、「何がやれるか」ではなくて、「何がやりたいか」、「自分は何を知りたいか」をしっかり考えてほしい。

知事 多くの仕事の場合、「すでに存在するもの」の質をいかに高めるかが求められますが、研究という仕事では何もないところから何かを生み出すことが求められるわけですからね。

本庶 研究の場合は、できないということは誰にも証明できない。初めからできないと決めて、できることだけやっても大したことは起こらないんです。

知事 先生にはこれからも研究を続けていただき、私も京都の活性化のために努力いたしますので、今後ともよろしくお願いいたします。

本庶佑京都大学特別教授 京都府特別栄誉賞を受賞

府は2月18日、京都府公館(上京区)にて、府の名誉を高め、府民に夢と希望、力と勇気、感動を与えたとして、本庶佑京都大学特別教授に京都府特別栄誉賞を授与。併せて、京都大学に感謝状を贈呈しました。

本庶佑京都大学特別教授 京都府特別栄誉賞を受賞
副賞には、本庶佑氏がよく訪れるという府内ゴルフ場の写真(本庶佑氏提供)を元にデザインした西陣織額などを贈りました

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