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人権口コミ講座 124

医学部入試における女性差別

公益財団法人
世界人権問題研究センター
プロジェクトチーム4 リーダー/弁護士 吉田 容子

 東京医科大学が入試の際に女性受験者に不利益な得点調整を行っていたことが明らかになった。同大学の内部調査報告書によれば、大学トップの主導の下、少なくとも2006年度以降の入試において、女性受験者に対し、女性であることのみを理由として、2次試験の小論文の得点を不利に調整し、女性の合格者数を抑制していたという。その理由は、「女性は年齢を重ねると医師としての活動量が下がる」ということにあったようだ。しかし、卒業生が就職する系列病院で出産・育児のために多くの女性医師が退職することを問題にするのであれば、人員増員や長時間労働の是正、性別に関わらずライフイベントや家庭に関わる活動との両立支援を充実させ、働きやすい職場環境を整えるべきであって、入試における性差別を正当化することは許されない。
 この問題を受けて、文科省は8月に全国81の医学部医学科に対する緊急全国調査を開始した。10月4日付結果(速報)によれば、過去6年間の入試において63大学で男性の合格率が女性より高く、女性の合格率が低い約30大学の訪問調査により、複数の大学で性別や年齢による差別や特定の受験生の優先的合格を裏付ける客観的な資料を確認したという。10月23日付「中間まとめ」では、「合否判定の際に学力検査での得点が同等でも多浪生や女性は面接試験などでより高い評価を得ないと合格とされない場合があるなど年齢や性別等の属性によって取扱い差異を設けているとみられる事例」などを不適切である可能性の高い事案として挙げた。文科省は東京医大を除く全80大学への訪問調査を実施している。
 女性であることのみを理由とする入試での差別的取扱いは、法の下の平等(憲法14条1項)、能力に応じて等しく教育を受ける権利(憲法26条1項)、ひいては職業選択の自由(憲法22条)を侵害し、日本が締約国である女性差別撤廃条約にも違反する。また、性別による教育上の差別を禁止する教育基本法に違反し、男女共同参画社会の実現を目指す男女共同参画社会基本法の理念にも反する。さらに、実際に入試を受けた女性受験生への人権侵害であると同時に、入学した男性学生への信頼を害し、医学部の入試制度に対する社会全体の信頼をも揺るがす。
 真面目に努力する受験生のためにも、性別や属性を理由とする差別がない公正な入試を実現することが強く求められる。

◎ 平成31年3月発行の「人権口コミ講座20」の内容を加筆・修正し、再掲載しています。

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