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人権口コミ講座 127

ネット社会と子どもたち

佛教大学副学長  原 清治

 インターネットが子どもたちの間に急速に浸透している。スマートフォンの所持率は年々増加し、内閣府の調査(平成31年3月)によれば、小学生の約35%、中学生の約63%、高校生になると約93%がインターネットに接続できる端末を個人利用しているという。こうした実態は、子どもたちの生活を大きく変え、人間関係の持ち方にまで影響を及ぼしてきている。
 確かにインターネットは、教育上でも重要なツールである。分からないことはすぐに検索できるし、授業の予習復習への活用などさまざまな可能性を秘めている。文部科学省も、従来の教科に加えて子どもたちの情報活用能力を発達させることを目指している。
 一方で、その利便性は危険を伴う。子どもたちを取り巻くネット関連の問題を大きく分類すると次の3つである。一つは、オンライン・ゲームなどに熱中しすぎる「ネット依存」。二つ目は、ネット上にあふれる有害情報によって犯罪に巻き込まれること。制服の売買や、大麻の取引、自殺サイトヘの誘導などがその例である。そして、三つ目は、「ネットいじめ」と呼ばれる問題である。今や子どもたちの交友関係には、実際に面と向かって会話する対面型とは別に、通話アプリなどを使ったネット上での交友関係が存在する。そこで友だち同士のグループを作り、文字や画像による会話をするのだが、その中で、特定の児童生徒を誹謗中傷し、笑いの対象としたり仲間から外したりする。ネット上では罪の意識が希薄になり面と向かっては言えないような心無い言葉がグループ内でエスカレートする。
 どうすればこうした問題から子どもたちを守ることができるのか。学校は、情報モラルに関する啓発や教育を継続する必要がある。保護者は、子どもとできるだけ多く会話する機会を持ち、対面型の交友関係の基礎を育み、子どもの様子を常に注意深く観察する。また、有害情報の「フィルタリング」は必須であり、親子で守れる家庭のルール作りも効果的である。子どもの様子を共有する学校と家庭の緊密な連携も非常に大切である。地域社会の大人たちが、登下校時のあいさつや声掛けによって、見守られている安心感を子どもに持たせることも肝要だ。いずれにせよ、決定的な特効薬がないのが現実である。われわれ大人は、ネットは分からないとか、悪であるという先入観を排して、子どもたちの実態を怠りなく理解しようとする目を持つことが大切である。

◎ 平成31年3月発行の「人権口コミ講座20」の内容を加筆・修正し、再掲載しています。

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