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人権口コミ講座 135

カミングアウトとアウティング

公益財団法人 世界人権問題研究センター登録チーム6研究員 谷口洋幸

多様な性、その現状

 わたしたちはそれぞれ多様な性を生きている。自分をどういう性別と認識するか、どんな体の特徴を持っているか、服装や言葉遣いをどうしたいか、誰かと共に過ごしたいと思う時、それはどういう人とか。これらは性自認や性的特徴、性別表現、性的指向という人の属性や特徴の一部であり、人権の中核にある尊厳に関わる。性的少数者(LGBT)の立場に置かれる人々の多くは、生涯のいろいろな場面で、自らの性のあり方を無視され、否定され続けている。

尊重されるべきは本人の意思

 自分の性のあり方を本人の意思で公言することをカミングアウトといい、他者の性のあり方を本人の同意を得ずに暴露することをアウティングという。出自や国籍、思想信条、職歴や犯罪歴、結婚・離婚や家族状況などと同じく、個人的かつ外見から確証しづらい事柄に共通して用いられている。アウティングは単なる秘密の暴露ではない。言葉の暴力である。それは人を社会的に、時には肉体的にも、葬り去る強い力をもつ。発言者に差別意識や偏見がなくとも、また、〝本人のためを思って〞第三者に伝えたとしても、アウティングは正当化されない。世の中にはびこる差別や偏見は、他ならぬその本人にふりかかる。だからこそ、カミングアウトの時期や範囲は、本人の意思が最大限に尊重されなければならない。カミングアウトは身勝手な行動ではない。その人が自分らしく尊厳を持って生きるための選択肢なのだ。

◎令和2年3月発行の「人権口コミ講座21」の内容を加筆・修正し、再掲載しています。

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