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公益財団法人 世界人権問題研究センター嘱託研究員
京都産業大学現代社会学部教授 惣脇 宏
2020年4月に施行された改正児童虐待防止法※によって、親が子どものしつけに際して体罰を加えてはならないことが明文で定められました。これによって、子どもに対する体罰は、監護・教育する権利を持つ親を含めすべての人に対し、いかなる場合・理由であっても禁止されることが明確になりました。
しつけに名を借りた子どもの虐待問題は後を絶ちません。2018年と2019年に起きた父親による子どもの虐待死事件は、今回の法律改正の直接のきっかけとなりました。
あらゆる場所での体罰を法律で禁止することは、世界中で取り組まれています。国連・子どもの権利委員会からは、子どもを体罰などから法的に保護することや、社会全体の意識啓発が必要であることが示されてきました。日本は、このような国際的な動きの中で、59番目の体罰全面禁止国となりました。
体罰が子どものしつけに効果がないどころか、子どもの成育にさまざまな悪影響を生じさせることは、心理学や脳科学などの数多くの研究によって明らかになっています。体罰禁止規定を実効あるものとするためには、子育てをする人はもとより、すべての人が、体罰が禁止されていることと有害であることを認識して、体罰に頼らないしつけについて学習するとともに、社会全体で子育てをサポートし、子どもの権利と尊厳を尊重する必要があります。
※2019年6月に公布され2020年4月に施行された「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律」によって、「児童虐待の防止等に関する法律」が改正されました。
◎令和3年3月発行の「人権口コミ講座22」の内容を加筆・修正し、再掲載しています。
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