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令和2年1月8日知事記者会見

新年明けましておめでとうございます。

健やかに新年を迎えられたということとお慶び申しあげます。今年1年お世話になりますが、よろしくお願いいたします。

京都府特別栄誉賞の授与式について

本日は2点です。

1点目は京都府特別栄誉賞の授与式についてです。

旭化成の名誉フェローで京都大学出身の吉野彰様の2019年ノーベル化学賞の授賞式が12月10日にスウェーデン・ストックホルムで行われました。

京都府では、京都府の名誉を世界的に高め、広く府民に希望と力を与えられたことに対し、その栄誉を称えるために京都府特別栄誉賞を授与することとし、1月15日の午後3時30分から京都府公館のレセプションホールで授与式を開催いたします。当日の取材につきましてよろしくお願いいたします。

 

京都府特別栄誉賞の授与式について(PDF:254KB)

 

「第38回京都府文化賞」受賞者の決定について

2点目は、今年度の京都府文化賞の受賞者の発表です。この賞は文化芸術分野で顕著な功績を収められ、京都の文化の向上に寄与された方で京都にゆかりのある方を顕彰する制度で、昭和57年に創設しました。

今年度は特別功労賞4名、功労賞8名、奨励賞5名、計17名の授賞を決定いたしました。

 

はじめに特別功労賞です。

1人目は、憲法学者の佐藤幸治様です。日本国憲法の人権保障の意義を基礎理論的に究明して、憲法学の研究水準の向上に画期的な貢献をされました。京都府でも、情報公開条例と個人情報保護条例の制定において、京都府個人情報保護審議会委員、また会長としてもお世話になりました。国においても、司法制度改革審議会の会長を務められたほか、多くの審議会にも参画されました。

 

2人目は、ピアニストの田隅靖子様です。

ピアニストとしても多くの人々を魅了されて、京都市立芸大で後進の指導にも尽力されました。平成21年から昨年の5月まで、京都コンサートホールの館長を務められ、演奏と語りで構成する「田隅館長のワンコインコンサート」でクラシック音楽ファンの拡大にも尽力されました。現在も、現役のピアニストとして活躍されています。

 

3人目は、数学者の森重文様です。

代数幾何学において図示できない高次元の図形を方程式で表し、端射線を用いた図形に変換して研究するという極小モデル理論がご専門で、3次元極小モデルの存在定理を確立された業績で、平成2年にフィールズ賞を受賞されています。現在は、京都大学の高等研究院の院長として、国内外の研究者への研究支援や若手研究者の育成にも努めておられます。

 

4人目は、陶芸家の柳原睦夫様です。

大学の教員として渡米されまして、各地で講演また陶芸指導されたご経験から、現代美術や日米の陶芸を見つめ直して独特の造形に金銀彩や鮮明な多色文を使用した作品を制作されています。時代へのメッセージを込めた存在感のある作品は、国内外で高く評価されています。

 

功労賞は、8名です。

1人目は、歴史小説家の安部龍太郎様です。

優れた歴史小説を多数執筆されており、平成25年には絵師の長谷川等伯の生涯を描いた「等伯」で直木賞を受賞されています。現在執筆中の「家康」では戦国時代を、大航海時代を背景に経済が急速に成長した時代と捉えて、経済を制することで天下を制するという新たな徳川家康像を提示されています。外交・流通の視点から日本史の見直しを世に問う作品を次々と発表されています。

 

2人目は、現代美術家・作曲家の池田亮司様です。

電子音楽を駆使する作曲家・アーティストとして、ライブやインスタレーションを世界各地で発表されています。音そのものが持っている本質的な特性とその視覚化を数学的精度と徹底した美学で追及されており、国際的にも高く評価されています。

 

3人目は、声楽家の片桐直樹様です。

オペラでバス、バリトン、コミカルな役からシリアスな役まで100以上の役を演じておられて、端正な音楽性の存在感のある多彩な役作りに定評があります。オラトリオ、宗教曲などのソリストとして著名な指揮者やオーケストラとの共演も多く、バロックから現代の楽曲まで幅広い音楽で活躍されています。

 

4人目は、現代美術家・演出家の高嶺格(ただす)様です。

マイノリティーや抑圧された人々に視点を向けられまして、社会問題や集団による無意識の抑圧などを、自らの身体を使った表現で可視化する作品を発表されています。その表現は、映像インスタレーションから写真、彫刻、舞台作品の演出まで多岐にわたり、国内外で高く評価されています。

 

5人目は、日本画家の西久松吉雄様です。

「生活のある風景」を主なモチーフにして、人々が自然と共に暮らす山里や舟屋などを題材とした日本画を制作されています。実際の風景をそのまま描くのではなく、その地域の歴史、文化、生活を風景の中に投影しながら画面を形成していくという作品で、非常にスケールが大きく力強い画風が評価されています。

 

6人目は、能楽師で金剛流シテ方の廣田幸稔(ひろたゆきとし)様です。

3歳の初舞台以来、多くの舞台を踏まれています。重厚な芸を目指されていましたが、サッカーで鍛えた高い身体能力を生かした舞が高く評価されたことから、芸の質が「軽い」という自身の特徴を生かした魅力的な舞台を創っておられます。次世代の教育指導や能の普及のための「廣田鑑賞会」を主宰されています。

 

7人目は、書家の真神巍堂(まがみぎどう)様です。

漢字を専門とされておられまして、王羲之の格調高い気韻を基軸に、装飾性を抑えつつも宋代の気風をたたえた豊かな書風で「現代書道二十人展」に選出されるなど日本を代表する書家の一人に数えられています。

 

8人目は、彫刻家の松井紫朗様です。

時間と空間を強く意識した彫刻作品を発表されています。我々にとって自明のはずだった時間や空間が作品を媒介に揺さぶられて逆転し、異次元に吸い込まれるような感覚を与えることによって、見る人に新しい発見を呼び起こす「装置」としての作品が国内外で高く評価されています。

 

奨励賞は、5名です。

1人目は、截金(きりかね)作家の江里朋子様です。

重要無形文化財保持者(人間国宝)だった母親の江里佐代子様の技術を継承され、仏像や仏画の加飾荘厳として用いられる截金技術を工芸品や建築装飾に転用して飾筥(かざりばこ)や茶器、欄間装飾などに截金の可能性を広げるような魅力的な作品を作られています。

 

2人目は、補綴家・ドラマトゥルクの木ノ下裕一様です。

歌舞伎を現代演劇にアレンジして上演する木ノ下歌舞伎を主宰されています。木ノ下歌舞伎では、古典演目の背景や時代による変遷などを綿密に調査した上で、現代的な解釈を加えて台本を作成され、作品ごとに選んだ演出家と協働で舞台をつくりあげられています。

 

3人目は、現代美術家の笹岡由梨子様です。

ドローイング、ペインティング、操り人形、演劇の実写などいろんなものを駆使した映像インスタレーション作品が非常に高く評価されています。大学で専攻された油絵が創作の原点であることから、映像と絵画の接点を探る作品を制作されています。絵画の手の痕跡のような「編集のノイズ」をあえて映像に残し、自ら「絵画軸映像」と呼ぶ独自のアプローチで、通常のコンピュータグラフィックの映像にはない異物感や違和感は、どこか懐かしいけれどもあまり誰も見たことがないような、独特の世界を感じさせるものです。

 

4人目は、作曲家の平野一郎様です。

宮津市の出身でシューベルトの曲に感動して西洋音楽の道を進まれましたけれども、自分自身の音のルーツを求めて日本各地での祭礼やその音楽を調べられて、日本の風土や神話、伝承に根ざした交響曲やオペラなどの作品を発表されています。現実と幻想、現代と太古を融合させたような独自の多彩な音楽の世界が高く評価されています。

 

5人目は、画家の松平莉奈様です。

今回の受賞者で最年少の30歳です。日本画の伝統に倣いつつ現代性と普遍性を併せ持つ生彩豊かな人物画を中心に制作され、平成27年に「VOCA展」で佳作賞を受賞されるなど早くから高く評価されていました。平成30年には日本最古の仏教説話集であります「日本霊異記」を題材にして、物語を絵画化した一連の作品を発表して注目をされています。

 

授賞式は、2月6日午前11時から京都ブライトンホテルで行います。当日の取材をよろしくお願いいたします。

 

「第38回京都府文化賞」受賞者の決定について(PDF:656KB)

 

主な質疑応答

記者

京都府特別栄誉賞の吉野彰先生への授与について、昨年に続き、2年連続の授与となるが、知事の所感は。

 

知事

改めて吉野様のノーベル化学賞の受賞を心からお祝い申し上げたいと思います。受賞内容は1980年代の旭化成時代の研究ですが、京都大学で6年間学ばれた時の研究開発に対する姿勢や知見が基礎になっているということを言っていただいており、府民に夢や希望、勇気や感動を与えていただいたと思っております。本庶様に続いて、連続して京都ゆかりの方が受賞されたことは、府民の一人として大変誇らしく思っております。

持続可能な社会、地球環境問題の解決は受賞理由の一つにもなっておりますが、世界に貢献する研究内容も我々の誇りだと思っています。更に、決定後のコメントの中で、京都大学だけでなく京都の持っている反骨精神を引用され、「疑ってみる」ということで画期的な研究ができるというようなことをおっしゃっていますし、現在の京都企業がベンチャーから育ったこともあり、シリコンバレーに近い風土があるということや、基幹部品の製造を京都の企業が支えているということで、京都の研究フィールドや企業活動について評価いただいくなど、京都に対する吉野様の思いを発言していただくことで京都府民も、誇りに思えるような契機になったと思います。そうしたノーベル賞受賞について、府民を代表してこの賞を贈り栄誉を称えたいと思います。

 

記者

11日に京都スタジアムが完成する。知事は府中北部のゲートウェイにしたいと言っているが、そのために具体的に何をするのか。

 

知事

いよいよ今週末に竣工式が行われます。まずは地元の方だけでなく、関係者の方のご努力に対して心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。

京都スタジアムは府内初の専用の球技場で、サンガのホームグラウンドとして、サッカー、そしてラグビーといった球技の臨場感あふれるプレーが見られますので、スポーツイベントについて魅力ある試合がたくさん行われることが必要だと思っています。一部発表されました女子サッカーワールドカップ誘致では想定される球技場として挙げていただいたり、京都にある利点を活かして国際的な大会や国内大会の決勝戦等を誘致することでスポーツ施設として魅力があることをPRする。それから、スポーツイベントだけでなく文化的なイベントも行うことができますので、イベント会場としてのポテンシャルがあることもアピールしたいです。

周辺との関係では、1年だけですが大河ドラマ「麒麟が来る」のドラマ館ができます。ボルダリング施設やVR、ARの体験施設もできます。川下りの起点になっているところを終点にすることや、湯の花温泉との連携もあります。トロッコ列車は毎月120万人を超える方が利用されていますが、川下りをされるのが30万人なので、スタジアムにお越しになった方が周遊されることも期待できます。

私も京都駅周辺の出身で「亀岡は遠いな」と言っていたのですが、実はJRの快速で21分で行けます。京都駅から行って「近いな」と実感してもらえますし、高速道路が繋がって近くなっていますので、北中部に魅力がたくさんあることを実感してもらうためのとっかかりとして、多くの方を惹きつけていければと思います。

北中部のスポーツファンの方にも、今までより近くなりますから、臨場感あふれるスポーツイベントにアクセスしていただきたいと思います。こうした交流が行われることで、ゲートウェイの機能が果たせることが重要だと思います。まずはスポーツイベント、周辺地域の活性化につなげたいと思います。

 

記者

交通アクセスについて、渋滞などの問題はどう対処するか。

 

知事

JR亀岡駅から近いという立地特性があるので、興行主とも連携しながら公共交通機関の利用を強く呼び掛け、できるだけこれを使っていただく。そうは言っても道路の利用もありますので総合的に対応したいと思います。

JRはイベント終了後の混雑時には車両の増結や増便で吸収することや、京阪京都交通では阪急桂駅とJR亀岡駅の直行バスを運行することや、交通需要のコントロールになりますが、駐車場の利用を抑制するためにイベント開催時には駐車料金を若干値上げすることもあり得ます。高速道路は、千代川ICなど北側を使っていただくような案内をするなど、いくつかの対策を総合的に講じていきます。

実際にイベントが開催された時に備え、まだまだ試行錯誤のところもありますが、課題が判明すれば柔軟に即応できる態勢を取ることが重要だと思います。報道機関の皆様には、なるべく公共交通機関を利用していただくことについて、周知いただきたいと思います。

 

記者

知事の今年の抱負は。

 

知事

一昨日の訓示に尽きると思います。皆さんも驚かれていると思いますが、この時期に低気圧で暴風になるというのは、気候が相当荒くなっているのかなと思います。自然災害だけでなく、昨年は京都アニメーションの事件もありました。今年が府民の皆様にとって安心・安全で幸多い年となることを願っており、まず、安心・安全が第一だと思っています。

もう一つは、昨年10月に「京都府総合計画(京都夢実現プラン)」を議会の議決を得て策定しました。本格的なスタートは、今年になります。今年の干支は十二支の最初の子年で、ねずみは子どもをたくさん産むことから子孫繁栄や豊かさの象徴とされています。そのような年に、新しい総合計画をスタートさせ、将来に向かって新しい京都を築き上げていくのにふさわしい年にするために、施策展開をして参りたいと思います。

去年はラグビーワールドカップや吉野様のノーベル賞受賞がありました。今年はスタジアムができ、京都にゆかりの多い明智光秀を題材にした大河ドラマや、東京2020オリンピック・パラリンピックがあります。2021年はワールドマスターズゲームズ、文化庁の本格移転があり、さらに大阪・関西万博に続いていきます。そうした機会を捉え、元気・活力あふれる京都にしていくためのスタートにふさわしい年にしたいというのが私の抱負です。

危機管理については、本当に油断してはいけないと思います。今日は暖かいと言っていますが、本当に温暖化しているのかなというのが今日の印象としてあります。安心・安全が一番だと思います。

 

記者

京都アニメーションの事件に関して、第二回の配分委員会の予定や今後のスピード感について、どの程度検討しているのか。

 

知事

第一回配分委員会で、委員の中からそれぞれの被害者や遺族からきめ細かく実態に合わせた配分や公平・公正に配分するべきだという意見がありました。個別の事情に即したものになると個人情報との兼ね合いもありますし、きめ細かく状況を把握しなければならないため、私が想定していたより若干時間が掛かっています。当初から申し上げておりますが、義援金を寄せられた方の思いをなるべく的確に早くお届けしたいという思いもありますので、急ぎたいと思いますが、配分を部分的に始めるわけにはいかないと思いますので、公平・公正の観点や個別の事情に即して、納得する形で行うことができるよう、作業は急ぎたいと思います。第二回配分委員会の開催時期については、目処は立っておりません。

 

記者

2月や3月の開催はあるのか。

 

知事

なるべく早くやりたいという思いです。

 

記者

年度内の配分を目指すことは可能か。

 

知事

これは財政年度と関係はありませんが、役所は人事異動もあるので、年度内は一つの区切りではあります。そこに必ず間に合わせないと制度上問題になるということではありませんが、早さと丁寧さの兼ね合いとなります。ただ、一つの線として意識はしています。

 

 

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