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令和2年7月8日臨時知事記者会見

まず、会見項目に先立ち、ひとこと申し上げます。

九州地方を襲っております豪雨により、多くの方の尊い命が奪われました。心からご冥福をお祈りいたしますとともに、ご遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。また、被害に遭われ、現在も避難生活を余儀なくされておられます皆様に対し、心からお見舞いを申し上げますとともに、1日も早い復旧をお祈り申し上げます。

京都府におきましても、毎年のように水害に見舞われております。私も改めて気を引き締めて防災・減災活動に取り組むとともに、府民の皆様におかれましても、避難情報に接した場合には、躊躇なく命を守るための行動を取っていただきますようお願い申し上げます。

新型コロナウイルス感染に係る基準の見直しについて

それでは、新型コロナウイルス感染に係る基準について発表いたします。

先ほどの本部会議でも議題に挙がっておりましたが、足下の感染状況につきましては、6月25日以降、13日連続で新規の感染者が発生しております。25日から昨日までに、48名の陽性者が発生し、うち15名が感染経路不明となっております。

6月29日には、注意喚起基準に達したため、改めて、新しい生活様式の実践とガイドラインの徹底、ICTを活用した予防について、府民の皆様に対してお願いしたところです。一番重要なことは、感染をどのようにコントロールできているのかということですので、順次ご説明いたします。

 

最近の感染者の状況を申し上げますと、6月15日までの360名につきましては、30代以下が39%ですが、6月16日以降の53名のうち30代以下が72%で若い方の感染が多いということと、それに伴ってだと思いますが、重症の割合も0%です。

 

また、この間医療関係の皆様に非常にご協力いただき、医療提供体制等については、3月末との比較で病床数は68床から現在431床、ホテルは0室から338室、PCR検査も1日当たりの検体が260検体から今では550検体、最終的には670検体を目指しますが、医療・検査体制は充実しております。

 

今回の基準の見直しについては、新たに基準を設定したつもりでありまして、その背景としましては、医療検査体制が充実してきたこと、これは第2波に備えて更に拡充していきます。それから、府民の皆様に新しい生活様式が浸透していることや接触確認アプリの運用が開始されたことがあります。そうした状況を踏まえ、しかも、第1波の時のように大きな網をかけることが本当に有効なのか、可能かどうかということもありますので、今後は感染状況に応じたきめ細かな対応を図る必要があるということで、新しい基準といたしましては、「注意喚起基準」、「警戒基準」、「特別警戒基準」の三段階、指標としては、感染拡大の兆候を捉える「新規陽性者数」「感染経路不明者数」と、医療体制のひっ迫度を表し、しかも命を守るという観点に立てば最も重要な「重症者病床使用率」とします。新規陽性者数の増加傾向を示す「前週増加比」は、感染者数が非常に低いところでは異常値が出ることも多いですが、増加傾向にあるということはその都度捉えたいと思いますので確認しますし、「PCR検査の陽性率」も検査体制の充実に伴い、検査の母数自体が非常に大きくなりますので、それを単独の指標として設けるのはなかなか的確に感染状況を捉えられないと思いますが、その都度どれくらいの陽性率が出ているかは確認します。

なお、対策内容につきましても、これに達したら自動的にこういうことが行われるということでは有効な対策が打てませんので、その都度専門家の意見を聞いて、感染経路や感染地域、PCR検査、医療体制等を総合的に勘案して内容について判断していきたいと思っています。

「注意喚起基準」については、今と同様ですが、「警戒基準」については、新規陽性者5名以上、かつ、感染経路不明者2名以上、又は重症者病床使用率20%以上です。重症者病床使用率は専門家会議の中でも、今の感染状況ですとこれが20%になるのと、他の2つの指標とは若干ギャップがあるのではないかというご意見がありましたが、いずれにしても、先に(指標に)到達した時に病床の使用率は確認しますので、その時の状況に合わせてもし必要があれば対策をとることを考えています。

それから、先に申し上げますと、社会的な要請をする基準として、1週間に10万人あたり2.5人、京都府に置きなおすと約10人ですけれども、そうした基準が国から示されており、「第1波の時と同等の効果のある社会的な要請」としか書かれていなくて具体的ではないのですが、いずれにしても、京都府の警戒基準が5名ですので、これが10名に到達した時には、さらなる対策の拡大や強化を考えていかなければいけないと思っています。

対策の例としては、感染発生施設や疑いのある施設の利用者に対してPCR検査を呼びかけたり、改めてガイドラインやアプリの導入を徹底する等です。府民・事業者向けではないですが、医療提供体制も当然その時にはさらなる拡充をする等、その都度有効な対策を検討して速やかに実施したいと思います。

それから、「特別警戒基準」については、新規陽性者20名以上、又は、重症者病床使用率40%以上としていますけれども、なるべくここに至らないように、警戒基準の時に有効な対策を打つようにということは、専門家会議でもご意見いただいておりました。

こういった感染状況になりますと、当然近隣府県でも、かなり広域的なエリアで感染が拡がっていることもありますので、専門家のご意見の聴取もさることながら、近隣府県、場合によってはオールジャパンで連携をしていく必要があると思います。

ここになりますと、施設の利用の自粛、行動の自粛、府県間移動やイベントの自粛等の対策が必要になると思います。ただ、この時でも有効な対策はどういうものかというのは、専門家のご意見を聞いて決めてまいりたいと思います。

資料には書いていませんが、例えば大規模なクラスターが発生するなど特別な事例があれば、それはその都度対応してまいりたいと思います。

 

改めて、府民の皆様には、注意喚起基準に達した時にも申し上げましたが、身体的距離の確保、マスクの着用、こまめな手洗い等を心がけていただきたいと思います。

 

この際ですが、一部報道にもありましたが、予防接種や定期健診の受診率が低くなっているということがありました。

これは、秋冬になれば、普通の風邪やインフルエンザによって、かかりつけ医が大変になるのではないかということがありますが、予防接種が実施されていないことによって、子どもさん達の罹患が増えるのではないかということが心配されておりますので、是非秋冬に備えるという意味だけではなく、子どもさんの健康のためにも予防接種についても積極的にやっていただきたいと思います。

 

それから、注意喚起基準の時に申し上げましたが、職場や店舗での対策として、ガイドラインの順守、テレワークの実施です。特にICTについては、国の接触確認アプリ「COCOA」は6月19日からですが、京都府の「新型コロナウイルス緊急連絡サービス」が7月1日から運用を開始しております。観光関連で約2,000件、ぐるなびと連携した店舗等で約13,000店が登録されております。もともとは、コロナ専用で始めたものではないですが、基盤としてはかなりの数登録していただいておりますので、これを活用して進めてまいりたいと思っています。

 

いずれにしても、感染がここのところ続いておりまして、じわりじわりと増えている雰囲気があります。引き続き感染動向をきちんと把握して、感染拡大防止に向けて全力を傾けてまいりたいと思いますので、府民の皆様のご協力をよろしくお願いします。

 

私からは以上です。よろしくお願いします。

 

新型コロナウイルス感染に係る基準の見直しについて(PDF:658KB)

 

質疑応答

記者

13日連続で計48名の新規感染者が出て、感染経路不明があるという状況であるが、京都府の感染状況をどのように捉えているか。

 

知事

6月中旬以降の感染状況の特徴としては、府内の広範な地域で感染者がみられるわけではく、また、多くの事例で感染経路の追跡ができています。家庭内感染、二次感染にとどまっており、10~30代の若者の感染者が多く、軽症者が多いこと、医療提供体制と検査体制が充実しており、感染はコントロールできていると考えています。

 

記者

「コントロールできている」ということは、第2波の兆候ではないという認識に変わりはないか。

 

知事

第2波の兆候ではないと今のところ思っています。ただ、13日連続で新規感染者が出ていますから、引き続き警戒感を持って注視したいと思います。

 

記者

新しい基準の「重症者病床使用率」については、専門家から「ギャップがある」という意見があったということだが、「特別警戒」になると1週に140人以上が感染する計算になる。最初の緊急事態宣言より悪化している状況だと思うが、どのような状況を想定して特別警戒基準を設定されたか。

 

知事

「特別警戒」は、国の緊急事態宣言を出す基準とほぼ同等の水準と考えており、それに準拠しました。この段階に至る前に、より効果的な感染拡大防止対策を実施したいという意味を込めています。政府が緊急事態宣言をどのような運用方針で出されるかわかりませんが、緊急事態宣言を想定した水準と考えていただければと思います。

 

記者

緊急事態宣言を想定するということだが、前回の緊急事態宣言の発出前に京都府が含まれない時期があり、発出を求めて京都市と共同で会見をしたこともあった。そうしたパターンを想定したわけではなく、京都府を含めて国で緊急事態宣言が出ることを想定しての基準か。

 

知事

国の緊急事態宣言が出なければ何もしないということではなく、政府が想定していた従来の緊急事態宣言を発出するような状況なので、この基準に達すれば総合的な判断で対策を打ちたいと思っています。ただ、緊急事態宣言に連動しているわけではありません。

 

記者

これまでの基準では、青・黄・赤の「信号」で点いたり消えたりということがあったが、今回の基準では、一度達したら「何日間有効」といった期間は考えているか。

 

知事

何日間といったことは考えておりません。それよりもこの基準に達した時に我々が行う対策をどの期間やるかが重要です。今は注意喚起基準なので、従来からお願いしているように、生活習慣に気をつけていただきたいのですが、新たに「警戒基準」に達すれば対策を打ち、基本は続けると考えていただければと思います。

 

記者

前の基準から「前週増加率」と「PCR検査陽性者率」を外しているが、その理由は。

 

知事

「前週増加率」は、上昇局面で感染が拡大している状況を捉えるために緩和判断基準と一緒に入れたのですが、感染者が少ない時には異常値が出て、かえって誤解を招くので、それだけをもって判断する指標からは落としました。ただ、増加傾向にあるかどうかは見たいので、例えば「前週増加率」が1以上ならば、感染者が増えているというのは分かりますので、チェックとして使いたいと思います。

「PCR検査陽性率」は検査体制が拡充されていますので、検査数が非常に多く、単純に検査率だけで判断しても感染拡大状況を的確に捉えられないと考え、外しています。この数値も、専門家会議で諮るときには使いたいと思います。今の傾向としては、PCR検査の陽性率は濃厚接触者や積極的疫学調査で感染経路を追っている時にはかなり低く出ているのではないかと思っています。ある程度の感染状況とセットで考えられるといいのですが、ばさっと割っても感染状況が捉えられないので、この数値も分析には使いますが、単独の数値としては採用しないこととしました。

 

記者

7月10日からイベントで人がたくさん入れるようになり、プロスポーツでもサッカーでも無観客試合から観客を入れられるようになる。人の移動が大きくなる可能性があるが、京都府として対策等は考えているか。

 

知事

特にプロスポーツについては、京都には京都サンガがあります。Jリーグのプロトコールを見ましたが、極めて厳格で精緻に作られていましたので、対策が守られたら感染拡大予防につながると思っています。京都スタジアムですと、入り口は北側の2ヶ所だけにもなりますし、我々が用意したサーモメーターで複数の人の体温測定ができます。3席ずつ空けて1メートルの間隔を取り、2万1,000人以上入れるところを、4,800席での観戦にしますし、入場時は1メートル間隔を開ける、動線も選手とマスコミの方と分けるなど、かなり厳格にやっておられるので、それを守っていただいて安心・安全に見ていただけるようにしていただければありがたいと思います。改めて我々が注意喚起をするよりも、それぞれの団体がきちっとガイドラインを作られていますので、それを守っていただきたいと思います。

 

記者

前回の基準を設けられた時は、長い自粛の末に出口戦略を見据えて基準を設けられたタイミングだと理解している。今回の基準は、恒常的な対策のための基準に見受けられる。その点で当時と現在、現行基準と新基準で知事の姿勢や考え方の違いがあるか。

 

知事

基本的には第2波に備え、感染拡大予防をするという考えは変わっていません。現行の基準を作った時は、緩和判断基準を作る時で、いよいよ緩和をするが、次に感染がまた拡大したときにはなるべく兆候を的確に捉えたいということで、当時数値はそれほどなかったので、同じ数値を設定しました。感染拡大予防という意味では変わりませんが、今起こっている感染状況や医療提供体制、検査体制をみると、どのように絞って感染の予兆を取ればいいのかというと、例えば今はホテル療養も始まっていますので、春の時には陽性者が増えるだけで医療体制を圧迫するという危機感がありましたが、今はそれよりも積極的疫学調査で濃厚接触者を捉えて感染拡大予防をしています。当然、陽性者が出てきますが、積極的にPCR検査で陽性を確認して隔離していくことですので、それにふさわしい基準が必要なのではないかということです。

もう1つは、第2波への備えと感染拡大予防対策の徹底、社会経済活動の段階的な取戻しが基本的な要請としてあるので、そこをきちっと捉えるために、より感染状況に合わせた有効な対策が取れる形で基準を作ったとご理解いただきたいと思います。

 

記者

当時と現在で知事自身の心構えは変わっているか。

 

知事

感染拡大予防の姿勢については変わらないです。人と人との接触が増えれば一定の新規感染者が出ることは想定されているところで、それがクラスター対策を含めてある程度コントロールされていれば大丈夫だという思いで作らせていただきました。

 

記者

第1波の感染経路で同居家族が34%で多く、最近の感染経路でも家族への感染が多い。家族の感染を防ぐことをどのように考えるか。

 

知事

非常に難しい話です。現にホテル療養が原則でも自宅療養をされる方には、特に小さなお子さんや高齢者の方の面倒をみられているという理由があります。陽性がわかってからは、物理的にスペースに余裕があれば、家庭内で感染予防していただきたいと思いますが、常日頃の生活で感染予防をすることは非常に難しいと思います。私としては、体調不良などの兆候があれば積極的に相談センターに相談していただければと思います。家庭内感染を積極的疫学調査で捉えていけば、さらに外に感染を拡大させることを防ぐ効果はあると思いますが、一般的な生活の中で家庭内の感染を防ぐのは難しいと思います。

 

記者

現行基準で青信号・黄色信号(注意喚起基準)として出しているが、報道機関としてもどのタイミングでどう変わったかという情報を受け取るのが難しかった。府民にとっても難しかったと思うが、基準の見直しに合わせて府民にどのように知らせていくか何か考えているか。

 

知事

信号が点けばということだが、一方で信号が点いても自動的に何をするかということが決まっていなければ、「信号が点いたからといって何をするの?」ということになります。全国的にも、シグナルとの関係を見ても必ずしも点けば自動的に何をすべきかとはなっていません。なぜかというと、感染拡大防止対策について非常にきめ細かくやっていかなければいけないことになったからだと思います。

今回基準を明確にしましたので、それに合わせた指標が今どういう数字になっているかは出しますし、基準に達すればそのサインを出しますが、重要なのは「こういうことをやってください」という対策とセットだと思います。我々としてはその都度、府民の皆様に感染状況と必要な対策を広報していくしかないと思います。単純にこうなれば対策はこうだ、とできればいいのですが、今の感染状況と信号の対応を見ると誤解を生むことの方が多いと思いましたので、今回の基準に変えました。なるべくわかりやすい広報に努めていきたいと思います。

 

記者

京都府の「警戒基準」は大阪府よりも厳しい基準になっている。京都の実体を踏まえた指標だと思うが、この基準に至った考え方は。

 

知事

「警戒基準」については、大阪に比べてそれほど厳しいものにしているつもりはないです。京都ベースにしてもそれほど厳しくないと思います。何をするかについては、どういう感染が発生しているかにもよります。京都府の「特別警戒基準」に相当する基準は、大阪府では「非常事態」と言いますが、大阪府では「重症者病床使用率」が70%で、京都府では40%なので単純に比較すれば厳しくなっていますが、これは医療機関からすると、重症患者の病床を維持するのは人員や機材等の面からも大変なので、命を守ることになれば40%くらいがいいのではないかという声がありましたが、厳しさにおいて差はつけていません。感染が拡大すれば広域的な連携の話になりますので、感染が爆発的に拡大した場合には、違う対応が出てくる可能性があることを充分念頭においています。

 

記者

特別警戒の時には、独自の休業要請を行うことも想定しているのか。

 

知事

特措法に基づく緊急事態措置に伴う休業要請は、最初に東京都が決めてほぼ横並びでやったものです。あの休業要請と同じことをできるともやるべきだとも思っていないです。個別に行うというのも法に基づく権限があるか、独自にやるかという違いはありますが、いずれにしても「要請」なので、クラスターが発生した施設の地域と種類が特徴的であれば休止していただくことは想定しています。ただ、前回と同じことをやるのはなかなか難しいと思っています。感染状況次第です。

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