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京都市内のホタル情報を掲載したいので飛翔状況を教えて欲しいという出版社の要請を度々受けます。当所としては生物の管理までなかなか手が回っていない状況です。
加えて、 ホタルといえば午後7時頃から飛翔するのですが、北は旧京北町から南は伏見区まで京都市内の河川を観察して回るとなると、かなりの人員と時間が必要となります。従って、状況の把握はできていませんとの回答にならざるを得ません。
とはいうものの「鴨川真発見記」としては、鴨川にホタルが飛翔との情報を聞けば個人的に「一度でいいから見てみたい」と好奇心が頭をもたげます。
というわけで小雨降る中、鴨川のホタル鑑賞に出掛けました。
出掛けた場所はというと、鴨川を紹介する写真によく使用される「北大路橋から出雲路橋間」です。この場所は今年の2月まで中洲を一部を残して除去した区間です。
数年前に同じく中洲を一部残して除去したある区間では、「前年まで数多くのホタルが飛翔していたのに…」とのご指摘もあるのですが、 こちらでは、今までにも増してホタルをみることが出来るのでした。毎年ホタルが飛翔することで有名な「みそそぎ川」(鴨川の高水敷に整備された人工水路)の二条大橋近辺に負けず劣らずの飛翔数でした。
<ホタルの写真は素人には難しい。かろうじての一枚。>
しかしながら、ホタル自身にとって鴨川周辺の環境はどうなのでしょうか。一年かけて成虫になるホタルの羽ばたく期間はわずか1週間。その一週間を「交尾」という子孫を残す行為に命をかけるわけですが、車のヘッドライトや街灯などの強い光がパートナー探しの妨げになるとホタルに詳しい大学の先生お話しがありました。
<出町付近早朝のホタル。行き倒れ寸前でした。>
街中でホタルの鑑賞ができると自然を取り戻したと人間は喜びますが、昔のように控えめな光の世界ではホタルも快適だったでしょうが、人間の生活を中心に考える今の世の中では街中のホタルは少し迷惑顔かもしれません。
<ホタルの飛翔する中洲>
<鴨川の北大路橋から下流すぐの左岸です>
ホタル鑑賞の翌日は梅雨の雨で増水し中洲も水没、ホタルの運命やいかに。
<どっぷり水に浸かって草はなぎ倒されました。>
※昨年有志職員と委託業者が実施した同区間での幼虫調査
の様子
ホタルの自己調査(PDF:956KB)
平成24年6月19日(京都土木事務所Y)
6月に入って鴨川の鮎釣りも解禁を迎えました。(6月3日)
都市の街中で鮎釣りの竿を担いだ釣り人を見ることが出来るのは鴨川ならではの光景です。
<四条大橋から上流を望む 川の中の点が釣り人>
<釣れますか?ギャラリーも多いです>
鴨川では、昨年から「京の恵みを活かす会」により、仮魚道を設け鮎の遡上を手助けする取組が行われています。
今年は去年の龍門堰に加えて四条大橋下流に簡易な施設を設けて鮎を更に上流域へといざなう試みが実施されています。
<四条大橋下流の落差工に竹の簡易な堰>
このような仮設魚道が設置されたことにより、鮎の遡上する様子が間近で見られるようになったのですが、以前から鮎はこの落差を一生懸命遡上していたそうです。(漁協の方のお話し)
<四条大橋上流の落差工で遡上する魚を狙うサギ>
遡上した鮎は、「釣り人に釣られて食卓へ」「鳥に捕獲されて胃袋へ」「生き延びて産卵」といった具合に一年間の生涯を閉じるのでしょう。(鮎はほぼ1年間の寿命)
<ここが良いんだよね!と言わんばかりに集います>
「釣り人」と「野鳥」どっちが捕獲量が多いのか?鮎の餌となる「苔」はどの位有るのか?産卵までたどり着いて、生まれた稚魚は何匹が海までたどり着けるのか?
<一撃必殺の「ハヤワザ」です 捕獲の瞬間は下記PDFで>
<ガッチリくわえました この魚は鮎でしょうか?>
まだまだ知りたいことは沢山ありますが、いずれにしても鴨川は、野鳥にとっても「恵み多い」河川の様です。
※鴨川での鮎釣りは遊漁料が必要です。
・年間 8,000円
・日釣り 3,500円 (8月1日以降1,500円)
平成24年6月11日(京都土木事務所Y)
「オオサンショウウオ」の目撃情報といえば、鴨川中流域や下流域でも寄せられています。
下流では、鮎の仮設魚道で話題となっている桂川合流部近くの龍門堰で、漁協の方が目撃されたと聞きました。
昨年度に実施した三条~四条間の工事現場では、オオサンショウウオが現れて大暴れして現場の作業員さんを驚かせました。
<鴨川三条四条間工事現場のオオサンショウウオ>
また、出町付近では交番へ「オオサンショウウオがいるがどうしたらいいのか?」と駆け込む方もあって、交番から相談の電話が度々入っています。
当所の近所、北山大橋の下流に設置している飛び石のすぐ傍にゆらゆらと流れに揺られる「オオサンショウウオ」を目撃したこともあります。
北山大橋のオオサンショウウオ(PDF:630KB)
目撃情報に対しては、大きな口を開けて噛みつくことがあり危険であるのと同時に、特別天然記念物ということもあり、そっとしておいて頂くようお願いしてきました。
しかしながら 先日開催された第18回鴨川府民会議の「オオサンショウウオ生息調査」に関する報告の中で目撃したときの連絡先を知りました。
目撃した場合は、京都市又は京都府の文化財保護課へ連絡すると、平日、休日を問わず担当職員が現地へ赴いて適切な対応をするとのことです。
皆さんも「オオサンショウウオ」を目撃した場合は、交番や土木事務所ではなく、文化財保護課へ御一報願います。
京都府文化財保護課 075-414-5903
京都市文化財保護課 075-366-1498
当所では、生き物そのものの管理は担っておりませんので、悪しからず御了承をお願いします。
※オオサンショウウオの他にも鴨川の水辺には外来種の両生類が生息しています。
平成24年6月12日(京都土木事務所Y)
<甲羅干しのミシシッピアカミミガメ>
<水に漂うミシシッピアカミミガメ>
<水辺に佇むウシガエル>
<少年に一時捕獲されたウシガエル>
ウナギとスッポン(PDF:766KB)
京都市内に水族館がオープンして数ヶ月が経ちました。
連日多くの人が訪れて大変賑わっているとのことです。
(私はもう少し賑わいが去ってから行くつもりです。)
この水族館に鴨川の上流域が再現されていて、ここに生息している特別天然記念物のオオサンショウウオも展示されているとのこと。
先日、京都市の文化財保護課が実施されている「オオサンショウウオの生息調査」の23年度調査報告を聞きました。
この調査は、日本に古来から生息しているオオサンショウウオと近縁外来種であるチューゴクオオサンショウウオとの混在状況を把握することを目的に平成23年度から28年度までの間実施されるものです。
23年度は鴨川水系を中心に調査されたそうで、その結果は鴨川の上流部のオオサンショウウオは9割以上がハイブリッドだそうです。
ハイブリッドと言えば「ハイブリッドカー」とかを連想しますが、広辞苑では一番最初に「雑種」と記載されています。
在来種、外来種は共に僅かな割合でしか生息していないことが判明しました。
ちなみに、京都水族館には全三種類のオオサンショウウオ十数匹が預けられているそうです。
他の河川の調査結果では、サンプル数は9個体と少ないものの、「清滝川」では10割と全ての個体が在来種だったそうで、交雑が進んでいる水域と在来種のみの繁殖水域があるようです。
私も昨年、管内河川の点検中に「清滝川」の「オオサンショウウオ」を見ました。
<清滝川 この落差を自力で登るのは不可能でしょう>
この時は、2個体の「オオサンショウウオ」が時間差で同じルートを辿って、階段状にコンクリートで固められた所を下流へ移動し、同じ岩陰に入りました。
階段を下る度に「ベタン、ベタン」と痛々しい音が辺りに響き渡り、その音で存在を知ったのでした。
※オオサンショウウオの在来種は国の特別記念物です。一般の方の捕獲は禁止されています。発見された場合は、京都市又は、京都府の文化財保護課へ連絡してください。
京都文化財保護課 075-414-5903
京都文化財保護課 075-366-1498
この2個体はおそらく在来種と思われます。この次の世代も在来種が後を継いでいくのでしょうか。
<清滝川 同じ岩陰へと進む2個体のうちの1個体>
平成24年6月12日 (京都土木事務所Y)
清滝川のオオサンショウウオ(PDF:772KB)
鴨川に「観光名所への案内板を設置して欲しい」という御意見を耳にすることが多いです。
実は、欲しい情報がギュッと詰まった案内板があるのです。それは、平成18年に国際ソロプチミスト京都からいただいた案内板です。
これらの案内板のデザインは、府民の皆様に対するアンケート調査に基づき
1 誰もが利用しやすい
2 周辺環境と調和し、鴨川らしい
3 鴨川の自然環境保護、歴史、文化の継承に寄与する
を基本方針に、平成16年に京都府が考案したものを国際ソロプチミスト京都さんに実現いただいたものです。
日頃、鴨川を歩いている方は良く御存知かと思いますが、この場を借りて紹介させていただきます。
この仕様の案内板は、鴨川の上流にある賀茂川通学橋から下流の塩小路橋、高野川の高野橋下流の各橋の右岸か左岸、又は両岸に配置されています。
<繁華街の真ん中 四条大橋にも>
<市内中流域の最上流 賀茂川通学橋にも>
<最下流は塩小路橋>
国際ソロプチミスト京都さんからの寄贈25基、京都府設置4基、京都大学持久走同好会からの寄贈1基の計30箇所で見ることが出来ます。
しかしながら、設置場所が足下で、高さも五〇センチ程度なため、草が伸びると見づらくなります。
そのため、視界に入っていても気づきにくいのが現状ではないでしょうか。まして、たまに通る人や自転車で通過する人が認識するのは難しいかもしれません。そんな中、冒頭の御意見が出てくるのは仕方ないとして、どうすれば視認性が良くなるかの検討も必要だと考えています。
私自身、整理の為に散歩のついでに確認作業をしたのですが、見つけるのに苦労した箇所もありました。景色に溶け込んでいるのということだと思います。
皆様も鴨川散歩のついでに、オリエンテーリング気分で各橋の案内板を巡ってみるのはいかがでしょうか。
平成24年6月4日(京都土木事務所Y)
鴨川位置案内板(PDF:608KB)
様々な種類の桜がバトンタッチしながら長い間その美しさを楽しめる京都ですが、ピンクに染まった鴨川の河川敷も目にも鮮やかな新緑でぬりつぶされました。
足元を見ると桜が主役の時期は終わったとばかりに、様々な野草が花を咲かせています。名もない野草たち。(正確には私が名を知らない野草たちです)
よく見ると微妙な色使いで、何とも言えない淡いやさしい感じを受ける花もあります。
《シロバナタンポポ》
子どもの頃は野草の上で寝転がることもしばしばありましたが、そこに生えているのが何という名前かは興味も無く、誰でもが知っている「タンポポ」とか「レンゲ」とかしか知りませんでした。
《ナズナ》
今回は、春から初夏にかけて鴨川で目にする野草の花を、野草図鑑を片手に見てみたいと思います。
ド素人なので、多分これと判断出来たものには、?と付けながら紹介しますが、判断できないものには?とコメントを付けてみました。(詳しくはPDFファイルにて)
《シロツメグサ》
沢山の種類の花を眺めていると、「世界で一つだけの花」のメロディーが頭の中にながれてきます。桜に負けず一番になるのではなく、一生懸命なオンリーワンと思うと愛着もわくのではないでしょうか。
平成24年5月28日(京都土木事務所Y)
《アセビ》
<なんでしょうか>
様々な野草たち(PDF:710KB)
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