○京都府豊かな緑を守る条例

平成17年10月18日

京都府条例第43号

京都府豊かな緑を守る条例をここに公布する。

京都府豊かな緑を守る条例

目次

前文

第1章 総則(第1条―第5条)

第2章 森林の利用及び保全の促進(第6条―第18条)

第3章 森林開発行為(第19条―第33条)

第4章 土砂搬入禁止区域(第34条―第36条)

第5章 雑則(第37条―第41条)

第6章 罰則(第42条―第45条)

附則

森林は、木材生産という経済的機能にとどまらず、大地にしっかりと根を張り、緑あふれる葉を繁らせることで、水を蓄え、清らかな水と美しい川の流れを作り、災害の発生や地球の温暖化を防止するなど様々な機能を有している。

京都では、森林が府域の4分の3を占め、農山村の暮らしが息づく里山の風景や京都盆地などの山紫水明の美しい景観を形作ってきた。また、私たちは、長年にわたって、この森林の恵みを生活の中に巧みに生かし、木の文化をはじめとする特徴ある文化や産業を発展させてきた。このような京都の森林は、子どもたちの未来をはぐくむ府民共通の貴重な財産である。

しかし、木材需要の減少などの社会経済の大きな変化によって人と森林との関係が希薄化し、森林の放置や荒廃が進み、更には不適正な利用により災害が発生する状況も生じている。

私たちは、持続可能な循環型の社会づくりを進めるため、森林の公益的機能を今一度見つめ直し、先人の知恵を学びながら、人と森林との望ましい共生関係を築くことにより、京都の豊かな緑を守らなければならない。

このような認識に基づき、森林の適切な利用及び保全を府民の主体的な参画の下に促進するための制度並びに森林における開発行為の計画的かつ適正な施行を確保するための制度を定めることにより、森林の公益的機能の一層高度な発揮を図り、もって現在及び将来の良好な地域環境の形成及び保全並びに府民生活の安全の確保に寄与することを目的として、この条例を制定する。

第1章 総則

(定義)

第1条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 森林 森林法(昭和26年法律第249号)第5条第1項の規定による地域森林計画の対象となっている民有林をいう。

(2) 森林の公益的機能 土砂の流出又は崩壊の防止、水害の防止、水源のかん養、地球温暖化の防止、健康の増進、良好な景観の形成その他の森林が有する公益的な機能をいう。

(3) 森林の利用及び保全 森林を木材生産、自然観察、健康増進その他の用に供するとともに、森林を間伐等の作業により健全に育成することをいう。

(4) 森林開発行為 森林(森林法第25条又は第25条の2の規定により指定された保安林及び同法第41条の規定により指定された保安施設地区(以下「保安林等」という。)の区域内並びに海岸法(昭和31年法律第101号)第3条の規定により指定された海岸保全区域内の森林を除く。)において土石又は樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為をいう。

(府の責務)

第2条 府は、森林の利用及び保全に係る総合的かつ計画的な施策を策定し、これを実施するものとする。

 府は、前項の規定による施策の策定及び実施に当たっては、府民と協働するとともに、国及び市町村と連携するものとする。

 府は、府民及び市町村の協力を得て、森林開発行為の状況を適切に把握するとともに、森林開発行為を行う者に対し、森林開発行為が適正に行われるよう必要な指導を行うものとする。

(府民の責務)

第3条 府民は、森林の公益的機能についての理解を深めるとともに、府が実施する森林に関する施策への積極的な協力並びに森林の利用及び保全のための活動への主体的な参画により、森林を世代を越えた府民共通の財産として適切に利用し、及び保全するよう努めなければならない。

(森林所有者等の責務)

第4条 森林の土地を所有し、又は管理する者(以下「森林所有者等」という。)は、持続可能な林業の実施に努めるとともに、府が実施する森林に関する施策への協力及び主体的な参画により、森林を適切に利用し、及び保全しなければならない。

 森林所有者等は、森林開発行為のために森林の土地を使用させるときは、開発影響区域(森林開発行為に係る森林の区域及びその森林開発行為により災害が発生した場合に影響を受ける周辺の区域をいう。以下同じ。)に災害が発生するおそれが生じないよう、森林開発行為の状況を適切に把握し、森林開発行為を行う者及び森林開発行為に関する工事を施工する者に対し、開発影響区域における災害の発生の防止のために必要な措置を講じるよう求めなければならない。

(開発計画者等の責務)

第5条 森林開発行為を行おうとする者(以下「開発計画者」という。)は、開発影響区域において災害が発生するおそれが生じないよう、森林開発行為の計画(以下「開発計画」という。)を定めなければならない。

 森林開発行為を行う者は、開発影響区域において災害が発生するおそれが生じないよう、森林開発行為を計画的かつ適正に行わなければならない。

 森林開発行為に関する工事を施工する者は、開発影響区域において災害が発生するおそれが生じないよう、森林開発行為に関する工事を適正かつ安全に行うとともに、森林開発行為に係る森林の区域を適正に管理しなければならない。

第2章 森林の利用及び保全の促進

(森林利用保全指針)

第6条 知事は、森林の利用及び保全に係る施策を総合的かつ計画的に推進するための指針(以下「森林利用保全指針」という。)を地域の生態系及び風土との調和に配慮して定めるものとする。

 森林利用保全指針には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 自然的、社会的及び歴史的な背景を踏まえた地域の区分

(2) 地域の区分ごとの森林に関する長期的な目標

(3) 前号に掲げる目標を達成するための方針及びその方針に基づく施策の基本的な方向

(4) その他必要な事項

 知事は、森林利用保全指針を定めるに当たっては、あらかじめ、府民、市町村長及び京都府森林審議会の意見を聴くものとする。

 知事は、森林利用保全指針を定めたときは、規則で定めるところにより、遅滞なく、これを公表するものとする。

 前2項の規定は、森林利用保全指針の変更について準用する。

(森林利用保全重点区域)

第7条 知事は、森林利用保全指針に基づいて森林の利用及び保全を総合的に推進することにより森林の公益的機能を一層高度に発揮させる必要があると認める森林の区域を、その森林の区域を所管するすべての市町村長の提案を受けて、森林の利用及び保全を重点的に行う森林の区域(以下「森林利用保全重点区域」という。)として指定することができる。

 知事は、前項の規定によるほか、特に必要があると認めるときは、森林利用保全重点区域を、あらかじめ、当該森林利用保全重点区域を所管するすべての市町村長の同意を得て指定することができる。

 前2項の規定による森林利用保全重点区域の指定には、保安林等の区域を含めることができない。ただし、その指定の目的を達成するために特に必要があると認められる森林利用保全重点区域については、この限りでない。

 知事は、森林利用保全重点区域を指定しようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、その旨及びその区域を公告し、当該森林利用保全重点区域の指定の案を当該公告の日から起算して1月間縦覧に供するものとする。

 森林利用保全重点区域の指定の案に意見がある者は、前項の縦覧期間満了の日までに、知事に理由を付した意見書を提出することができる。

 知事は、前項の規定により森林利用保全重点区域の指定の案に異議がある旨の意見書の提出があったときその他森林利用保全重点区域の指定に関し広く意見を聴く必要があると認めるときは、公聴会を開催するものとする。

 知事は、森林利用保全重点区域を指定したときは、規則で定めるところにより、その旨及びその区域を告示するとともに、当該森林利用保全重点区域を所管するすべての市町村長に通知するものとする。

 前各項の規定は、森林利用保全重点区域の指定の変更及び解除について準用する。

(森林利用保全計画)

第8条 知事は、森林利用保全重点区域を指定するに当たっては、当該森林利用保全重点区域を所管するすべての市町村長の提案を受けて、当該森林利用保全重点区域における森林の利用及び保全の総合的な推進に係る計画(以下「森林利用保全計画」という。)を定めるものとする。

 知事は、前項の規定によるほか、特に必要があると認めるときは、森林利用保全計画を、あらかじめ、当該森林利用保全重点区域を所管するすべての市町村長の同意を得て定めるものとする。

 森林利用保全計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 森林利用保全重点区域内の森林に関する長期的な目標

(2) 前号に掲げる目標を達成するための森林の利用及び保全に関する取組及び施策

(3) その他必要な事項

 森林利用保全計画は、森林法第5条第1項の規定による地域森林計画の内容に適合したものでなければならない。

 前条第4項から第7項までの規定は、森林利用保全計画の策定及び変更について準用する。

(森林利用保全計画の推進に係る措置)

第9条 知事は、森林利用保全計画に基づく取組を計画的かつ円滑に推進するため、市町村と連携して、次に掲げる措置を講じるものとする。

(1) 森林利用保全計画に基づく造林事業等の重点的な実施

(2) 森林の利用及び保全のための技術等に関する講習会の開催、情報の提供その他の必要な支援措置

(3) 森林の利用及び保全の促進に係る府民の理解を深めるための広報活動、学習の機会の提供その他の必要な措置

(森林利用保全活動団体の登録等)

第10条 森林利用保全重点区域において森林の利用及び保全のための活動を行おうとする団体は、知事の登録を受けることができる。

 前項の規定により登録を受けようとする団体は、規則で定めるところにより、申請書を知事に提出しなければならない。

 知事は、前項の規定により申請書を提出した団体が次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、その団体を名簿に登録するものとする。

(1) 森林の利用及び保全のための活動の実績を有する法人その他の団体で規則で定めるもの

(2) 森林利用保全計画に基づいて森林の利用及び保全のための活動を安定的かつ継続的に行うことができると認められる法人その他の団体で規則で定めるもの

 知事は、規則で定めるところにより、前項の規定により登録した団体(以下「森林利用保全活動団体」という。)に登録証を交付するものとする。

 知事は、規則で定めるところにより、森林利用保全活動団体の名簿を備えて一般の閲覧に供するものとする。

 知事は、森林利用保全活動団体の求めに応じ、森林利用保全重点区域に係る情報を提供するものとする。

(森林利用保全活動団体の登録の更新)

第11条 前条第1項の登録の有効期間は、3年とする。

 前項の登録の有効期間の満了後引き続き登録を受けようとする森林利用保全活動団体は、更新の登録を受けなければならない。

 前条第2項から第4項までの規定は、前項の登録の更新について準用する。

(森林利用保全活動団体の登録の抹消)

第12条 知事は、森林利用保全活動団体が次の各号のいずれかに該当するときは、遅滞なく、当該森林利用保全活動団体の登録を抹消するものとする。

(1) 規則で定めるところにより、森林利用保全活動団体からその登録の抹消を求める旨の届出があったとき。

(2) 森林利用保全活動団体が第10条第3項各号のいずれかに該当しなくなったとき。

(森林の利用及び保全に関する協定)

第13条 森林利用保全活動団体は、森林利用保全重点区域内の森林の公益的機能の増進を図るため、森林の土地の所有者と森林の利用及び保全に関する協定を締結し、当該協定が適当である旨の知事の認定を受けることができる。

 前項の規定により認定を受けようとする森林利用保全活動団体は、規則で定めるところにより、申請書を知事に提出しなければならない。

 第1項の規定により知事の認定を受けようとする協定には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 協定の目的となる森林の土地の区域及びその面積

(2) 森林利用保全活動団体が行う森林の利用及び保全のための活動に関する事項

(3) 林産物の利用及びその収益の分配に関する事項

(4) 協定の有効期間

(5) 協定の当事者が当該協定に違反した場合の措置

(6) その他必要な事項

 知事は、第2項の規定により申請のあった協定が次の各号に掲げる要件のいずれにも該当すると認めるときは、その協定を認定するものとする。

(1) 協定の内容が法律及び条例の規定に違反するものでないこと。

(2) 協定の内容が森林の利用を不当に制限するものでないこと。

(3) 協定の内容が森林利用保全計画の達成に資するものであること。

(森林利用保全協定の変更)

第14条 前条第1項の規定により認定を受けた協定(以下「森林利用保全協定」という。)の当事者である森林利用保全活動団体は、当該森林利用保全協定において定めた事項を変更しようとするときは、当該森林利用保全協定のすべての当事者の合意をもってその旨を定め、知事の認定を受けなければならない。

 前条の規定は、前項の規定による変更の認定について準用する。

(森林利用保全協定の承継)

第15条 森林利用保全協定は、当該森林利用保全協定の当事者である森林利用保全活動団体が合併により解散し、若しくは分割したとき又は当該森林利用保全協定の当事者である森林の土地の所有者が死亡し、合併により解散し、若しくは分割したときは、その包括承継人に対しても、その効力を有する。

 森林利用保全協定の当事者である森林の土地の所有者は、森林の土地の所有権を第三者に移転するときは、併せて当該森林利用保全協定に基づく地位を当該第三者に承継させるよう努めるものとする。

 前2項の規定により森林利用保全協定の当事者の変更があったときは、当該森林利用保全協定の当事者である森林利用保全活動団体は、規則で定めるところにより、遅滞なく、その旨を知事に届け出なければならない。

(森林利用保全協定に係る支援措置等)

第16条 知事は、森林利用保全協定の当事者である森林利用保全活動団体に対し、技術的な指導、講習会の開催、情報の提供その他の必要な支援措置を講じるものとする。

 森林利用保全協定の当事者である森林利用保全活動団体は、当該森林利用保全協定の対象となる森林を含む森林利用保全重点区域に係る森林利用保全計画の変更について、知事に提案をすることができる。この場合において、知事は、遅滞なく、当該提案を踏まえて当該森林利用保全計画の変更をする必要があるかどうかを判断し、その結果を当該提案をした森林利用保全活動団体に通知するものとする。

(森林利用保全協定の終了等)

第17条 森林利用保全活動団体は、森林利用保全協定に基づく活動を終了したとき又は廃止したときは、規則で定めるところにより、遅滞なく、その旨を知事に届け出なければならない。

(森林利用保全協定の認定の取消し)

第18条 知事は、森林利用保全協定の当事者である森林利用保全活動団体の登録を抹消したとき又は森林利用保全協定の内容が第13条第4項各号のいずれかに該当しなくなったときは、当該森林利用保全協定の認定を取り消すものとする。

 知事は、前項の規定により森林利用保全協定の認定を取り消したときは、当該森林利用保全協定に基づき森林の利用及び保全のための活動を行った森林利用保全活動団体に対し、必要な指導を行うものとする。

第3章 森林開発行為

(開発計画の協議)

第19条 開発計画者は、森林の公益的機能が良好な地域環境の保全及び府民生活の安全の確保に大きな役割を果たしていることにかんがみ、森林開発行為の計画的かつ適正な施行を確保し、森林における災害の発生を防止するため、あらかじめ、開発計画について、知事に協議をしなければならない。ただし、次に掲げる森林開発行為については、この限りでない。

(1) 森林開発行為に係る森林の区域の面積が規則で定める規模以下であるもの

(2) 国、地方公共団体その他規則で定める団体が行うもの

(3) 法律又は条例の規定による許可、認可その他これらに準じる処分の対象となる森林開発行為で規則で定めるもの

(4) 火災、風水害その他の非常災害のために必要な応急措置として行うもの

(5) 森林の土地の保全に著しい支障を及ぼすおそれが少なく、かつ、公益性が高いと認められる事業の施行として行う森林開発行為で規則で定めるもの

 知事は、規則で定める森林開発行為実施基準(開発計画者が適正な開発計画を作成するための基準をいう。以下同じ。)に基づき、前項の規定による協議(以下「協議」という。)を行うものとする。

(開発計画書の提出等)

第20条 協議をしようとする開発計画者は、規則で定めるところにより、森林開発行為に係る計画書を知事に提出しなければならない。

 知事は、前項の規定により提出された計画書(以下「開発計画書」という。)に森林開発行為実施基準に適合しない事項があると認めるときは、当該事項について検討するよう開発計画者に求めるものとする。

 前項の規定により検討を求められた開発計画者は、協議をしている開発計画が森林開発行為実施基準に適合するものとなるよう努めるものとする。

(協議の終了等)

第21条 知事は、開発計画書が森林開発行為実施基準に適合すると認めるとき又は協議により開発計画が森林開発行為実施基準に適合するに至ったと認めるときは、開発計画者との協議が成立したものとして、当該協議を終了しなければならない。

 知事は、開発計画書の提出があった日から60日を経過した日以後に、規則で定めるところにより、開発計画者から協議を終了する旨の申出があったときは、当該協議を終了しなければならない。

 知事は、前2項の規定により協議を終了したときは、遅滞なく、当該協議の結果を記載した書面(以下「協議終了通知書」という。)を当該協議をした開発計画者に交付しなければならない。

 知事は、第2項の規定により協議を終了したときは、当該協議をした開発計画者に対し、開発影響区域における災害の発生の防止のために必要な事項について指導するものとする。

 知事は、協議を終了するまでの間に、関係市町村長の意見を聴かなければならない。

(変更の協議)

第22条 前条第3項の規定により協議を終了し、協議終了通知書の交付を受けた者(以下「協議を終了した者」という。)は、当該協議に係る開発計画の内容を変更しようとする場合は、あらかじめ、知事に変更の協議をしなければならない。ただし、規則で定める軽微な変更をしようとするときは、この限りでない。

 前3条の規定は、前項の規定による変更の協議について準用する。

 協議を終了した者は、第1項ただし書に規定する軽微な変更をしたときは、規則で定めるところにより、速やかに、その旨を知事に届け出なければならない。

(標識の設置)

第23条 協議を終了した者は、当該協議に係る森林開発行為を行っている間、規則で定めるところにより、氏名又は名称その他の事項を記載した標識を公衆の見やすい場所に設置しなければならない。

 協議を終了した者は、当該協議に係る森林開発行為を完了し、又は廃止したときは、速やかに、前項の規定により設置した標識を撤去しなければならない。

(森林開発行為の着手の届出)

第24条 協議を終了した者は、当該協議に係る森林開発行為に着手したときは、規則で定めるところにより、当該森林開発行為に着手した日から10日以内に、その旨を知事に届け出なければならない。

(定期的な報告)

第25条 協議を終了した者は、当該協議に係る森林開発行為に着手した日から6月ごとに区分した各期間(当該期間内に森林開発行為を廃止し、又は完了したときは、当該期間の初日から廃止又は完了の日までの間)ごとに、規則で定めるところにより、当該期間の末日から10日以内に、当該期間における森林開発行為の状況について、知事に報告しなければならない。

(森林開発行為の中止等の届出)

第26条 協議を終了した者は、当該協議に係る森林開発行為を中止したときは、規則で定めるところにより、当該森林開発行為を中止した日から10日以内に、その旨を知事に届け出なければならない。

 協議を終了した者は、前項の規定により中止した旨を届け出た森林開発行為を再開しようとするときは、規則で定めるところにより、当該森林開発行為を再開しようとする日の10日前までに、あらかじめ、その旨を知事に届け出なければならない。

(開発計画の再協議)

第27条 協議を終了した者は、協議終了通知書の交付を受けた日から起算して1年以上経過した協議に係る森林開発行為に着手しようとするときは、改めて、第19条第1項の規定により、知事に協議をしなければならない。協議終了通知書の交付を受けた協議に係る森林開発行為を中止した日から起算して1年以上経過して再開しようとするときも、また同様とする。

(地位の承継)

第28条 協議を終了した者が死亡し、合併により解散し、又は分割したときは、その包括承継人は、当該協議について、協議を終了した者の地位を承継する。

 協議を終了した者から森林開発行為に係る森林の区域のすべての土地の所有権を取得した者は、当該協議について、協議を終了した者の地位を承継する。

 前2項の規定により協議を終了した者の地位を承継した者は、規則で定めるところにより、速やかに、その旨を知事に届け出なければならない。

(森林開発行為の完了の届出等)

第29条 協議を終了した者は、当該協議に係る森林開発行為を完了したときは、規則で定めるところにより、当該森林開発行為を完了した日から10日以内に、その旨を知事に届け出なければならない。

 知事は、前項の規定による届出があったときは、遅滞なく、当該届出に係る森林開発行為が当該協議に係る開発計画の内容及び森林開発行為実施基準に適合しているかを調査するものとする。

(森林開発行為の廃止の届出等)

第30条 協議を終了した者は、当該協議に係る森林開発行為を廃止したときは、規則で定めるところにより、当該森林開発行為を廃止した日から10日以内に、その旨を知事に届け出なければならない。

 知事は、前項の規定による届出があったときは、遅滞なく、当該届出に係る開発影響区域において、災害の発生のおそれがあるかどうかを調査するものとする。

(停止命令)

第31条 知事は、第21条第3項(第22条第2項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定による協議終了通知書の交付を受けずに、森林開発行為(第19条第1項各号に掲げるものを除く。以下この条及び次条において同じ。)を行っている者に対し、第21条第3項の規定により協議終了通知書の交付を行うまでの間、当該森林開発行為の停止を命じることができる。偽りその他の不正な手段により、同項の規定による協議終了通知書の交付を受けた者に対しても、また同様とする。

 知事は、森林開発行為の継続により開発影響区域において災害が発生するおそれがあると認めるときは、当該森林開発行為を行っている者に対し、当該森林開発行為の停止を命じることができる。

 知事は、前項の森林開発行為に関する工事を請負等により施工している者に対し、当該森林開発行為の停止を命じることができる。

 知事は、第1項から第3項までの規定による命令をした場合においては、標識の設置その他規則で定める方法により、その旨を公示しなければならない。

 前項に規定する標識は、第1項から第3項までの規定による命令に係る土地に設置することができる。この場合において、当該土地の森林所有者等は、当該標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。

(措置命令)

第32条 知事は、森林開発行為による開発影響区域における災害の発生を防止するため必要があると認めるときは、当該森林開発行為を行っている者又は行った者に対し、災害の発生を防止するために復旧その他の必要な措置をとるべきことを命じることができる。当該森林開発行為に関する工事を請負等により施工している者若しくは施工した者又は当該森林開発行為に主体的に関与している森林所有者等に対しても、また同様とする。

 前条第4項及び第5項の規定は、前項の規定による命令について準用する。この場合において、同条第4項及び第5項中「第1項から第3項まで」とあるのは、「第32条第1項」と読み替えるものとする。

(承継人に対する効力)

第33条 前2条の規定による命令は、命令の対象とする森林の土地の所有者又は占有者の承継人に対しても、その効力を有する。

第4章 土砂搬入禁止区域

(土砂搬入禁止区域の指定等)

第34条 知事は、次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、土砂(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物を除く。以下同じ。)の搬入による森林開発行為(第19条第1項第2号第4号及び第5号に掲げるものを除く。以下「土砂の搬入」という。)がなされている森林の区域(進入路、排水施設その他の土砂の搬入に関連する区域を含む。)及びその土砂の搬入により災害が発生するおそれのある周辺の区域を、6月を超えない範囲で期間を定めて、土砂の搬入を禁止する区域(以下「土砂搬入禁止区域」という。)として指定することができる。

(1) 土砂の搬入に係る森林の区域の面積が規則で定める規模を超えるとき。

(2) 土砂の搬入を継続することにより、人の生命、身体又は財産を害するおそれがあるとき。

 知事は、前項の規定による土砂搬入禁止区域の指定期間中に当該指定の事由が消滅しないと認めるときは、6月を超えない範囲で当該指定期間を延長することができる。

 知事は、第1項の規定による指定又は前項の規定による指定期間の延長をしたときは、規則で定めるところにより、その旨及びその区域を公示しなければならない。

 第1項の規定による指定及び第2項の規定による指定期間の延長は、前項の公示の時からその効力を生じる。

 知事は、第1項の規定による指定又は第2項の規定による指定期間の延長の準備のため必要があるときは、その職員に、他人の土地に立ち入り、測量させ、又は調査させることができる。

 知事は、第1項の規定による指定をしたときは、その職員に、土砂搬入禁止区域に立ち入り、規則で定める方法により、土砂搬入禁止区域の明示をさせなければならない。

 土地の所有者又は占有者は、正当な理由なく、前2項の規定による立入り、測量、調査又は明示の措置を拒み、又は妨げてはならない。

 第5項及び第6項の規定により他人の土地に立ち入ろうとする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の求めに応じ、これを提示しなければならない。

(土砂の搬入の禁止)

第35条 何人も、土砂搬入禁止区域に土砂の搬入をしてはならない。

(土砂搬入禁止区域の指定の解除)

第36条 知事は、土砂搬入禁止区域の指定の事由が消滅したと認めるときは、直ちに、当該土砂搬入禁止区域の指定を解除しなければならない。

 第34条第3項及び第4項の規定は、前項に規定する指定の解除について準用する。

第5章 雑則

(報告の徴収)

第37条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、森林利用保全活動団体、森林所有者等、森林開発行為を行う者又は森林開発行為に関する工事を施工する者に対し、必要な事項についての報告又は資料の提出を求めることができる。

(立入検査)

第38条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、その職員に、前条に定める者の事務所、森林開発行為に係る森林の区域その他これらの者が業務を行う場所に立ち入り、工事その他の行為の状況及び施設、帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は関係人に質問させることができる。

 前項の規定により立入検査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の求めに応じ、これを提示しなければならない。

 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(市町村等による情報提供)

第39条 知事は、市町村、森林組合及び地域住民から森林開発行為に係る積極的な情報の提供を受けて、森林開発行為を行う者、森林開発行為に関する工事を施工する者及び森林所有者等に対し、必要な指導を行うものとする。

(適用除外)

第40条 市町村が森林開発行為に関する条例を制定した場合において、当該条例の規定で、前2章の規定と同等以上の効果を有するものとして規則で定めるものが適用される森林開発行為については、当該規定に相当する規則で定める規定は、適用しない。

(規則への委任)

第41条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

第6章 罰則

(罰則)

第42条 第35条の規定に違反して土砂の搬入をした者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

第43条 次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処する。

(1) 第31条第2項又は第3項の命令に違反した者

(2) 第32条第1項の命令に違反した者

第44条 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。

(1) 第21条第3項に規定する協議終了通知書の交付を受けずに森林開発行為(第19条第1項各号に掲げるものを除く。)をした者

(2) 第31条第1項の命令に違反した者

(3) 第34条第7項に規定する立入り、測量、調査又は明示の措置を拒み、又は妨げた者

(両罰規定)

第45条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して前3条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。

(施行期日)

 この条例は、平成18年4月1日から施行する。

(経過措置)

 この条例の施行の際現に着手している森林開発行為については、第19条から第30条までの規定及び第31条第1項の規定は適用しない。

 前項の規定にかかわらず、この条例の施行の日から6月以内に完了しない森林開発行為については、この条例の規定を適用する。この場合において、第19条第1項中「開発計画者」とあるのは「森林開発行為を引き続き行おうとする者」と、「あらかじめ」とあるのは「この条例の施行の日から4月以内に」と、第20条及び第21条の規定中「開発計画者」とあるのは「森林開発行為を引き続き行おうとする者」と、第31条第1項中「第21条第3項」とあるのは「この条例の施行の日から6月を経過した日以後において、第21条第3項」とする。

京都府豊かな緑を守る条例

平成17年10月18日 条例第43号

(平成18年4月1日施行)

体系情報
第8編 農林水産/第8章 業/第1節
沿革情報
平成17年10月18日 条例第43号