○生活保護法に基づく保護施設の設備等の基準に関する条例

平成24年7月27日

京都府条例第26号

生活保護法に基づく保護施設の設備等の基準に関する条例をここに公布する。

生活保護法に基づく保護施設の設備等の基準に関する条例

目次

第1章 総則(第1条―第10条)

第2章 救護施設(第11条―第20条)

第3章 更生施設(第21条―第26条)

第4章 授産施設(第27条―第32条)

第5章 宿所提供施設(第33条―第37条)

第6章 雑則(第38条)

附則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この条例は、生活保護法(昭和25年法律第144号)第39条第1項の規定により、保護施設の設備及び運営に関する基準を定めるものとする。

(基本方針)

第2条 救護施設、更生施設、授産施設及び宿所提供施設(以下「救護施設等」という。)は、利用者に対し、健全な環境の下で、社会福祉事業(社会福祉法(昭和26年法律第45号)第2条第1項に規定する社会福祉事業をいう。以下同じ。)に関する熱意及び能力を有する職員による適切な処遇を行うよう努めなければならない。

 救護施設等は、利用者の意思及び人格を尊重して、常に当該利用者の立場に立った処遇を行うように努めなければならない。

 救護施設等は、地域及び家庭との結び付きを重視した運営を行い、都道府県、市町村その他の保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければならない。

 救護施設等は、利用者の人権の擁護、虐待の防止等のため、責任者を設置すること等必要な体制の整備を行うとともに、その職員に対し、研修を実施すること等の措置を講じるよう努めなければならない。

(構造設備の一般原則)

第3条 救護施設等の配置、構造及び設備は、日照、採光、換気等利用者の保健衛生に関する事項及び防災について十分考慮されたものでなければならない。

(設備の専用)

第4条 救護施設等の設備は、専ら当該施設の用に供するものでなければならない。ただし、利用者の処遇に支障がない場合には、この限りでない。

(職員の資格要件)

第5条 救護施設等の長(以下「施設長」という。)は、社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者若しくは社会福祉事業に2年以上従事した者又はこれらと同等以上の能力を有すると認められる者でなければならない。

 生活指導員は、社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者でなければならない。

(職員の専従等)

第6条 救護施設等の職員は、専ら当該施設の職務に従事することができる者をもって充てなければならない。ただし、利用者の処遇に支障がない場合には、この限りでない。

 救護施設等は、職員の資質の向上のための研修の機会を確保しなければならない。

(秘密の保持等)

第7条 救護施設等の職員は、正当な理由なく、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らしてはならない。

 救護施設等は、職員であった者が、正当な理由なく、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう、必要な措置を講じなければならない。

(苦情への対応)

第8条 救護施設等は、その行った処遇に関する入所者からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置すること等の必要な措置を講じなければならない。

 救護施設等は、その行った処遇に関し、生活保護法第19条第4項に規定する保護の実施機関から指導又は助言を受けた場合は、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。

 救護施設等は、社会福祉法第83条に規定する運営適正化委員会が行う同法第85条第1項の規定による調査にできる限り協力しなければならない。

(就業環境の整備)

第8条の2 救護施設等は、利用者に対し適切な処遇を行う観点から、職場において行われる性的な言動又は優越的な関係を背景とした言動であって業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより職員の就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置を講じなければならない。

(令3条例19・追加)

(業務継続計画の策定等)

第8条の3 救護施設等は、感染症又は非常災害の発生時において、利用者に対する処遇を継続的に行うため及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(以下「業務継続計画」という。)を策定し、当該業務継続計画に従い必要な措置を講じなければならない。

 救護施設等は、職員に対し、業務継続計画について周知するとともに、必要な研修及び訓練を定期的に実施しなければならない。

 救護施設等は、定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行うものとする。

(令3条例19・追加)

(非常災害対策)

第9条 救護施設等は、消火設備その他の非常災害に際して必要な設備を設けるとともに、非常災害に対する具体的計画を立てておかなければならない。

 救護施設等は、非常災害に備えるため、定期的に避難又は救出の訓練その他必要な訓練を行わなければならない。

 救護施設等は、前項に規定する訓練の実施に当たっては、地域住民の参加が得られるよう連携に努めなければならない。

(令3条例19・一部改正)

(帳簿の整備)

第10条 救護施設等は、設備、職員、会計及び利用者の処遇の状況に関する帳簿を整備しておかなければならない。

第2章 救護施設

(規模)

第11条 救護施設は、30人以上の人員を入所させることができる規模を有しなければならない。

 救護施設は、当該施設と一体的に管理運営を行う、日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて生活扶助を行うことを目的とする施設であって入所者が20人以下のもの(以下この章において「サテライト型施設」という。)を設置する場合は、5人以上の人員を入所させることができる規模を有するものとしなければならない。

 救護施設は、被保護者の数が当該施設における入所者の総数のうちに占める割合がおおむね80パーセント以上としなければならない。

(設備)

第12条 救護施設の建物(入所者の日常生活のために使用しない附属の建物を除く。)は、耐火建築物(建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第9号の2に掲げる耐火建築物をいう。次項(第22条第2項において準用する場合を含む。)において同じ。)又は準耐火建築物(同法第2条第9号の3に掲げる準耐火建築物をいう。次項(第22条第2項において準用する場合を含む。)において同じ。)でなければならない。

 前項の規定にかかわらず、知事が、火災予防、消火活動等に関し専門的知識を有する者の意見を聴いて、規則で定める要件を満たす木造かつ平屋建ての救護施設の建物であって、火災に係る入所者の安全性が確保されているものと認めたときは、耐火建築物又は準耐火建築物とすることを要しない。

 救護施設には、次に掲げる設備を設けなければならない。ただし、他の社会福祉施設等の設備を利用することにより施設の効果的な運営を期待することができる場合であって、入所者の処遇に支障がないときは、設備の一部を設けないことができる。

(1) 居室

(2) 静養室

(3) 食堂

(4) 集会室

(5) 浴室

(6) 洗面所

(7) 便所

(8) 医務室

(9) 調理室

(10) 事務室

(11) 宿直室

(12) 介護職員室

(13) 面接室

(14) 洗濯室又は洗濯場

(15) 汚物処理室

(16) 霊安室

(17) 前各号に掲げるもののほか、運営上必要な設備

 前項第1号に掲げる居室については、一般居室のほか、必要に応じ、常時の介護を必要とする者を入所させる居室(以下「特別居室」という。)を設けるものとする。

 第3項各号の設備及び前項の特別居室の設置の場所、床面積等の基準は、規則で定める。

(サテライト型施設の設備)

第13条 サテライト型施設の設備の基準は、前条に規定する基準に準じる。

(職員)

第14条 救護施設には、次に掲げる職員を置かなければならない。ただし、調理業務の全部を委託する救護施設にあっては、第7号に掲げる職員を置かないことができる。

(1) 施設長

(2) 医師

(3) 生活指導員

(4) 介護職員

(5) 看護師又は准看護師

(6) 栄養士

(7) 調理員

 前項第3号から第5号までに掲げる職員の総数は、規則で定める。

(給食)

第15条 給食は、あらかじめ作成された献立に従って行うこととし、その献立は、栄養並びに入所者の身体的状況及び好を考慮したものでなければならない。

(健康管理)

第16条 入所者については、その入所時及び毎年定期に2回以上健康診断を行わなければならない。

(衛生管理等)

第17条 救護施設は、入所者の使用する設備、食器等又は飲用に供する水については、衛生的な管理に努め、又は衛生上必要な措置を講じるとともに、医薬品、衛生材料及び医療機械器具の管理を適正に行わなければならない。

 救護施設は、当該救護施設において感染症又は食中毒が発生し、又はまん延しないように、規則で定める措置を講じなければならない。

(令3条例19・一部改正)

(生活指導等)

第18条 救護施設は、入所者に対し、生活の向上及び更生のための指導を受ける機会を与えなければならない。

 救護施設は、入所者に対し、その精神的及び身体的条件に応じ、機能を回復し、又は機能の減退を防止するための訓練又は作業に参加する機会を与えなければならない。

 入所者の日常生活に充てられる場所は、必要に応じ、採暖のための措置を講じなければならない。

 1週間に2回以上、入所者を入浴させ、又は清しきしなければならない。

 教養娯楽設備等を備えるほか、適切にレクリエーション行事を行わなければならない。

(給付金として支払を受けた金銭の管理)

第19条 救護施設は、当該救護施設の設置者が入所者に係る救護施設、更生施設、授産施設及び宿所提供施設の設備及び運営に関する基準(昭和41年厚生省令第18号)第16条の2の厚生労働大臣が定める給付金(以下この条において「給付金」という。)の支給を受けたときは、当該給付金として支払を受けた金銭を規則で定めるところにより管理しなければならない。

(暴力団員等の排除)

第20条 救護施設において、施設長その他規則で定める職員は、京都府暴力団排除条例(平成22年京都府条例第23号)第2条第3号に掲げる暴力団員であってはならない。

 救護施設は、その運営について、京都府暴力団排除条例第2条第4号に掲げる暴力団員等の支配を受けてはならない。

第3章 更生施設

(規模)

第21条 更生施設は、30人以上の人員を入所させることができる規模を有しなければならない。

 更生施設は、被保護者の数が当該施設における入所者の総数のうちに占める割合がおおむね80パーセント以上としなければならない。

(設備)

第22条 更生施設には、次に掲げる設備を設けなければならない。ただし、他の社会福祉施設等の設備を利用することにより施設の効果的な運営を期待することができる場合であって、入所者の処遇に支障がないときは、設備の一部を設けないことができる。

(1) 居室

(2) 静養室

(3) 集会室

(4) 食堂

(5) 浴室

(6) 洗面所

(7) 便所

(8) 医務室

(9) 作業室又は作業場

(10) 調理室

(11) 事務室

(12) 宿直室

(13) 面接室

(14) 洗濯室又は洗濯場

(15) 前各号に掲げるもののほか、運営上必要な設備

 更生施設の設備の基準については、第12条第1項及び第2項の規定を準用する。

 前項に規定するもののほか、更生施設の設備の設置の場所、床面積等の基準は、規則で定める。

(職員)

第23条 更生施設には、次に掲げる職員を置かなければならない。ただし、調理業務の全部を委託する更生施設にあっては、第7号に掲げる職員を置かないことができる。

(1) 施設長

(2) 医師

(3) 生活指導員

(4) 作業指導員

(5) 看護師又は准看護師

(6) 栄養士

(7) 調理員

 前項第3号から第5号までに掲げる職員の員数、その算定方法等の基準は、規則で定める。

(生活指導等)

第24条 更生施設は、入所者の勤労意欲を助長するとともに、入所者が退所後健全な社会生活を営むことができるよう入所者各人の精神及び身体の条件に適合する更生計画を作成し、これに基づく指導をしなければならない。

 前項に定めるもののほか、生活指導等については、第18条(第2項を除く。)の規定を準用する。

(作業指導)

第25条 更生施設は、入所者に対し、前条第1項の更生計画に従って、入所者が退所後自立するのに必要な程度の技能を修得させなければならない。

 作業指導の種目を決定するに当たっては、地域の実情及び入所者の職歴を考慮しなければならない。

(準用)

第26条 第15条から第17条まで、第19条及び第20条の規定は、更生施設について準用する。

第4章 授産施設

(規模)

第27条 授産施設は、20人以上の人員を利用させることができる規模を有しなければならない。

 授産施設は、被保護者の数が当該施設における利用者の総数のうちに占める割合がおおむね50パーセント以上としなければならない。

(設備)

第28条 授産施設には、次に掲げる設備を設けなければならない。ただし、他の社会福祉施設等の設備を利用することにより施設の効果的な運営を期待することができる場合であって、利用者の処遇に支障がないときは、設備の一部を設けないことができる。

(1) 作業室

(2) 作業設備

(3) 食堂

(4) 洗面所

(5) 便所

(6) 事務室

 前項各号の設備の仕様等の基準は、規則で定める。

(職員)

第29条 授産施設には、次に掲げる職員を置かなければならない。

(1) 施設長

(2) 作業指導員

(工賃の支払)

第30条 授産施設の利用者には、事業収入の額から、事業に必要な経費の額を控除した額に相当する額の工賃を支払わなければならない。

(自立指導)

第31条 授産施設は、利用者に対し、作業を通じて自立のために必要な指導を行わなければならない。

(準用)

第32条 第17条の規定(医薬品、衛生材料及び医療機械器具の管理に係る部分を除く。)及び第20条の規定は、授産施設について準用する。

第5章 宿所提供施設

(規模)

第33条 宿所提供施設は、30人以上の人員を利用させることができる規模を有しなければならない。

 宿所提供施設は、被保護者の数が当該施設における利用者の総数のうちに占める割合がおおむね50パーセント以上としなければならない。

(設備)

第34条 宿所提供施設には、次に掲げる設備を設けなければならない。ただし、他の社会福祉施設等の設備を利用することにより施設の効果的な運営を期待することができる場合であって、利用者の処遇に支障がないときは、設備の一部を設けないことができる。

(1) 居室

(2) 炊事設備

(3) 便所

(4) 面接室

(5) 事務室

(6) 前各号に掲げるもののほか、運営上必要な設備

 前項に規定するもののほか、宿所提供施設の設備の設置の場所、床面積等の基準は、規則で定める。

(施設長)

第35条 宿所提供施設には、施設長を置かなければならない。

(生活相談)

第36条 宿所提供施設は、生活の相談に応じること等利用者の生活の向上を図ることに努めなければならない。

(準用)

第37条 第17条の規定(医薬品、衛生材料及び医療機械器具の管理に係る部分を除く。)及び第20条の規定は、宿所提供施設について準用する。

第6章 雑則

(規則への委任)

第38条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

この条例は、公布の日から施行する。

(令和3年条例第19号)

(施行期日)

 この条例は、令和3年8月1日から施行する。

(業務継続計画の策定等に係る経過措置)

 この条例の施行の日(以下「施行日」という。)から令和6年3月31日までの間、この条例による改正後の生活保護法に基づく保護施設の設備等の基準に関する条例(以下「改正後の条例」という。)第8条の3の規定の適用については、同条第1項中「講じなければ」とあるのは「講じるよう努めなければ」と、同条第2項中「実施しなければ」とあるのは「実施するよう努めなければ」と、同条第3項中「行う」とあるのは「行うよう努める」とする。

(感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止に係る経過措置)

 施行日から令和6年3月31日までの間、改正後の条例第17条第2項(改正後の条例第26条、第32条及び第37条において準用する場合を含む。)の規定の適用については、同項中「講じなければ」とあるのは、「講じるよう努めなければ」とする。

生活保護法に基づく保護施設の設備等の基準に関する条例

平成24年7月27日 条例第26号

(令和3年8月1日施行)

体系情報
第4編 生/第2章 低所得者対策
沿革情報
平成24年7月27日 条例第26号
令和3年7月7日 条例第19号