○京都府歯と口の健康づくり推進条例

平成24年12月27日

京都府条例第67号

京都府歯と口の健康づくり推進条例をここに公布する。

京都府歯と口の健康づくり推進条例

目次

前文

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 歯と口の健康づくりに関する各主体の責務や役割(第4条―第8条)

第3章 歯と口の健康づくりに関する施策

第1節 歯と口の健康づくりに関する基本的な施策(第9条―第14条)

第2節 歯と口の健康づくりに関する計画や調査研究(第15条―第17条)

第3節 歯と口の健康づくりに関する府民運動(第18条・第19条)

第4章 その他の規定(第20条・第21条)

附則

歯と口の健康を保つことは、しっかりむことができるための基本であり、健康で豊かな生活を送る上で必要なことである。更には、子どもの健やかな成長を促したり、糖尿病をはじめとする生活習慣病の改善、誤嚥ごえん性肺炎などの高齢期に起こりやすい病気の防止など全身の健康につながるものであり、全ての府民にとって大切なことである。

したがって、府民ひとりひとりが、歯と口の健康づくりの重要性を理解し、自ら歯と口の健康づくりに取り組むことができるよう、府民の取組を促進していくことが求められる。

そして、乳幼児から高齢者、妊産婦、また、障がい者や介護を必要とする者などの歯科保健医療サービスの提供に配慮を要する者など全ての府民が、生涯を通じて、その年齢、居住する地域、心身等の状況などにかかわらず、適切かつ効果的な歯科治療や歯科健診などを受けることができる環境の整備に努めていかなければならない。

こうした認識に基づき、府民の歯と口の健康を保つことができるよう、市町村、歯科医療等業務従事者などの歯と口の健康づくりに携わる者の連携と協力の下、歯と口の健康づくりに関する施策を推進するため、この条例を制定する。

(令3条例22・一部改正)

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、歯と口の健康づくりについて、基本理念を定め、府や歯科医療等業務従事者の責務、保健医療関係者、介護福祉関係者、教育保育関係者、食育関係者、事業者、医療保険者や府民の役割を明らかにするとともに、歯と口の健康づくりに関する施策の基本となる事項を定めることにより、歯と口の健康づくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって府民の生涯にわたる健康の保持増進の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 歯と口の健康 歯や歯肉などの歯周組織をはじめとする口腔こうくう(その機能を含む。)の健康をいう。

(2) 歯と口の健康づくり 歯科疾患の予防、歯科保健指導、歯科医療や8020運動、オーラルフレイル対策などによって、歯と口の健康を保持増進させることをいう。

(3) 歯科健診 歯科についての健康診査や健康診断をいい、歯科についての検診を含むものとする。

(4) 歯科医療等業務 歯科医療や保健指導についての業務をいう。

(5) 歯科医療等業務従事者 歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士などの歯科医療等業務に従事する者をいう。

(6) 保健医療関係者 保健医療サービスを提供する者で、歯と口の健康づくりに関する活動、指導、助言や医療行為を行うものをいう。

(7) 介護福祉関係者 介護福祉サービスを提供する者で、歯と口の健康づくりに関する活動、指導、助言や医療行為を行うものをいう。

(8) 教育保育関係者 学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく学校や専修学校、各種学校と児童福祉法(昭和22年法律第164号)に基づく保育所、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)に基づく幼保連携型認定こども園(以下「学校等」という。)において、乳幼児、児童、生徒や学生の歯と口の健康づくりに関する指導を行う者をいう。

(9) 食育関係者 地域や学校等において、栄養指導、食生活の相談などの食育推進活動に携わる管理栄養士、栄養士、調理師などをいう。

(10) 医療保険者 健康保険法(大正11年法律第70号)、国民健康保険法(昭和33年法律第192号)などの法律に基づく医療保険制度により医療に関する給付を行う者をいう。

(11) 8020はちまるにいまる運動 80歳になっても自分の歯を20本以上に保つことを目指した運動をいう。

(12) オーラルフレイル対策 加齢に伴う口腔の機能の低下その他の口腔の状態の変化等に起因する口腔の機能の虚弱な状態が心身の機能までを低下させる影響を及ぼすものであることを考慮して、その口腔の状態について早期に把握し、虚弱な状態を回復させたり、虚弱な状態となることを未然に防いだりするための取組をいう。

(平27条例26・令3条例22・一部改正)

(基本理念)

第3条 歯と口の健康づくりに関する施策は、次に掲げる事項を基本として行わなければならない。

(1) 府民が、生涯にわたって日常生活において歯科疾患の予防に向けた取組を行うとともに、歯科疾患を早期に発見し、早期に治療を受けることを促進すること。

(2) 乳幼児期から高齢期までのそれぞれの時期における歯や口など口腔の機能の状態や歯科疾患の特性に応じて、適切かつ効果的に歯と口の健康づくりを推進すること。

(3) 保健、医療、社会福祉、労働衛生、教育などの関連する施策や取組との適切かつ効果的な連携を図りつつ、その関係者の協力を得て、総合的かつ計画的に歯と口の健康づくりを推進すること。

(4) 全ての府民が生涯を通じて、その年齢、居住する地域、心身等の状況などに応じた適切かつ効果的な歯科保健医療サービスの提供を受けることができる環境の整備を推進すること。

第2章 歯と口の健康づくりに関する各主体の責務や役割

(府の責務)

第4条 府は、前条の基本理念にのっとり、歯と口の健康づくりの推進に関する施策を総合的に策定するとともに、計画的に実施する責務を有する。

 府は、歯と口の健康づくりに関する施策の推進に当たっては、市町村や歯科医療、保健指導、医療、社会福祉、労働衛生、教育などの関連する分野の業務を行う者やこれらの業務を行う団体との連携や協力に努めるものとする。

 府は、市町村や事業者、医療保険者などが行う歯と口の健康づくりに関する取組が効果的に行われるよう、情報の提供、助言などの必要な支援に努めるものとする。

(歯科医療等業務従事者の責務)

第5条 歯科医療等業務従事者は、府や市町村、事業者、医療保険者などの歯と口の健康づくりに関する施策や取組を行う者との連携を図りつつ、それらの者が行う歯と口の健康づくりに関する施策や取組に協力するよう努めるものとする。

 歯科医療等業務従事者は、歯科健診などの機会を通じて、児童虐待の早期発見に努めるものとする。

 歯科医療等業務従事者やそれらの者で組織する団体は、歯と口の健康づくりを推進するため、歯科医療等業務に関わる者や構成員などに対する研修の機会の確保など資質の向上に関する取組を行うよう努めるものとする。

(令3条例22・一部改正)

(保健医療関係者、介護福祉関係者、教育保育関係者や食育関係者の役割)

第6条 保健医療関係者、介護福祉関係者、教育保育関係者や食育関係者は、それぞれの業務において、歯と口の健康づくりの推進に努めるとともに、歯と口の健康づくりに関する府の施策や歯と口の健康づくりに携わる他の者の取組との連携や協力を図るよう努めるものとする。

 保健医療関係者、介護福祉関係者、教育保育関係者や食育関係者は、歯と口の健康づくりを推進するため、関係する業務に従事する者に対する研修の機会の確保など資質の向上に関する取組を行うよう努めるものとする。

(事業者や医療保険者の役割)

第7条 事業者は、府内の事業所で雇用する従業員が歯科健診や歯科保健指導を受けるための機会の確保などの歯と口の健康づくりに関する取組を推進するよう努めるものとする。

 医療保険者は、自らの医療保険加入者が歯科健診や歯科保健指導を受けるための機会の確保などの歯と口の健康づくりに関する取組を推進するよう努めるものとする。

(令3条例22・一部改正)

(府民の役割)

第8条 府民は、歯と口の健康づくりに関する関心や理解を深めるとともに、歯と口の健康づくりに関する正しい知識を持ち、生涯にわたって日常生活において自ら歯と口の健康づくりに関する取組を行うよう努めるものとする。

 府民は、その年齢や発達段階、心身等の状況などに応じて、定期的な歯科健診、必要に応じた歯科保健指導や早期の治療を受けることにより、歯と口の健康づくりに努めるものとする。

 父母などの保護者は、子どものむし歯や歯周病の予防、適切な食習慣の定着、早期に適切な治療を受けさせることなど、子どもの歯と口の健康づくりに関する取組を行うよう努めるものとする。

(令3条例22・一部改正)

第3章 歯と口の健康づくりに関する施策

第1節 歯と口の健康づくりに関する基本的な施策

(全ての年齢層に共通する歯と口の健康づくりの推進に関する施策)

第9条 府は、府民の歯と口の健康づくりを推進するため、第3条の基本理念を踏まえ、全ての年齢層に共通するものとして、次に掲げる施策など必要な施策を実施するものとする。

(1) 歯と口の健康づくりに関する情報の提供や知識の普及啓発に関すること。

(2) 食育を通じた歯と口の健康づくりに関すること。

(3) 8020運動などを通じた府民の歯と口の健康づくりに関する意識の向上の促進に関すること。

(4) 府民ひとりひとりが生涯にわたって定期的に歯科健診を受けることや必要に応じて歯科保健指導を受けることの促進に関すること。

(令3条例22・一部改正)

(乳幼児期や学齢期における歯と口の健康づくりの推進に関する施策)

第10条 府は、乳幼児期や学齢期における歯と口の健康づくりを推進するため、第3条の基本理念を踏まえ、次に掲げる施策など必要な施策を実施するものとする。

(1) 歯科健診、フッ化物による洗口やその塗布などのむし歯予防対策に関すること。

(2) 適切な食生活や歯みがきを子どもに定着させることなど歯周病の予防対策その他の歯と口の健康づくりに関する指導に関すること。

(令3条例22・一部改正)

(成人期における歯と口の健康づくりの推進に関する施策)

第11条 府は、成人期における歯と口の健康づくりを推進するため、第3条の基本理念を踏まえ、次に掲げる施策など必要な施策を実施するものとする。

(1) むし歯や歯周病など歯科疾患の予防や改善に関すること。

(2) 事業者や医療保険者などによる歯科健診や歯科保健指導の機会の確保に関すること。

(3) 喫煙による歯と口の健康への悪影響の防止に関すること。

(4) 糖尿病などの生活習慣病の改善に資する歯と口の健康づくりに関すること。

(5) 歯科健診の促進など妊産婦の歯と口の健康づくりに関すること。

(令3条例22・一部改正)

(高齢期における歯と口の健康づくりの推進に関する施策)

第12条 府は、高齢期における歯と口の健康づくりを推進するため、第3条の基本理念を踏まえ、次に掲げる施策など必要な施策を実施するものとする。

(1) オーラルフレイル対策を含めた歯科健診の促進など高齢期における口腔機能の維持向上に関すること。

(2) 高齢者が住み慣れた地域で適切な歯科保健医療サービスの提供を受けることができるための環境の整備に関すること。

(令3条例22・一部改正)

(障がい者や介護を必要とする者などの歯科保健医療サービスの提供に配慮を要する者に対する歯と口の健康づくりの推進に関する施策)

第13条 府は、障がい者、介護を必要とする者などの歯科保健医療サービスの提供に配慮を要する者に対する歯と口の健康づくりを推進するため、第3条の基本理念を踏まえ、次に掲げる施策など必要な施策を実施するものとする。

(1) 障がい者が適切な歯科治療の提供を受けることができるための環境の整備に関すること。

(2) 介護を必要とする者が適切な歯科保健医療サービスの提供を受けることができるための環境の整備に関すること。

(歯と口の健康づくりの推進のための環境の整備に関する施策)

第14条 府は、歯と口の健康づくりの推進のための環境を整備するため、第3条の基本理念を踏まえ、次に掲げる施策など必要な施策を実施するものとする。

(1) 歯と口の健康づくりの推進に向けた調査や研究に関すること。

(2) 歯科医療等業務従事者の確保に関すること。

(3) 歯と口の健康づくりの推進に携わる者の資質の向上に関すること。

(4) 歯と口の健康づくりの推進に携わる者の連携体制に関すること。

(5) 府内の全ての地域で適切な歯科保健医療サービスの提供を受けることができるための環境の整備に関すること。

(6) 災害発生時、感染症まん延時などにおける適切な歯科保健医療サービスの提供に関すること。

(令3条例22・一部改正)

第2節 歯と口の健康づくりに関する計画や調査研究

(歯と口の健康づくりに関する基本的な計画)

第15条 知事は、歯と口の健康づくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、歯と口の健康づくりに関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。

 基本計画は、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 歯と口の健康づくりに関する基本的な方針

(2) 歯と口の健康づくりに関する目標

(3) 歯と口の健康づくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

 知事は、基本計画を定めたときや変更したときは、遅滞なくこれを公表するものとする。

 知事は、基本計画を定めようとするときは、あらかじめ歯と口の健康づくりに関する学識経験者、歯科医療等業務従事者、市町村など、関係者の意見を聴くとともに、府民の意見を反映することができるよう必要な措置を講じるものとする。

(歯と口の健康づくりに関する調査)

第16条 府は、府民の歯と口の健康づくりの総合的な推進を図るための基礎資料とするため、おおむね5年ごとに、歯と口の健康づくりに関する実態調査を行うものとする。

 府は、学齢期からの府民の歯と口の健康づくりを効果的に推進するため、児童や生徒のむし歯、歯肉炎など歯科疾患の状況について、毎年、調査を行うものとする。

 知事は、前2項の調査の結果を歯と口の健康づくりに関する施策に反映させるとともに、必要に応じて基本計画を見直すものとする。

(歯と口の健康づくりに関する研究)

第17条 府は、歯と口の健康づくりに関する教育研究機関、歯科医療等業務従事者で組織する団体などの歯と口の健康づくりに関する教育、研究、調査などを行う団体の協力を得ながら、口腔の状態が全身の健康に及ぼす影響に関する研究など、歯と口の健康づくりに関する研究を推進するとともに、その成果の普及と活用の促進に努めるものとする。

(令3条例22・一部改正)

第3節 歯と口の健康づくりに関する府民運動

(よい歯の日等)

第18条 歯と口の健康づくりに関する府民の関心と理解を深めるとともに、8020運動やオーラルフレイル対策をはじめとする歯と口の健康づくりに関する取組が府民に定着することを目指して、よい歯の日、歯と口の健康週間、いい歯の日記念週間を設ける。

 よい歯の日は4月18日とし、歯と口の健康週間は6月4日から6月10日までとし、いい歯の日記念週間は11月8日から11月14日までとする。

(令3条例22・一部改正)

(歯と口の健康づくりに関する府民運動の推進組織)

第19条 府は、歯と口の健康づくりに関する府民運動が効果的に行われるよう、歯と口の健康づくりに関する関係団体等との推進組織を設けるものとする。

第4章 その他の規定

(財政上の措置)

第20条 府は、歯と口の健康づくりに関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講じるよう努めるものとする。

(雑則)

第21条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、知事が定める。

この条例は、公布の日から施行する。

(平成27年条例第26号)

この条例は、平成27年4月1日から施行する。

(令和3年条例第22号)

この条例は、公布の日から施行する。

京都府歯と口の健康づくり推進条例

平成24年12月27日 条例第67号

(令和3年7月7日施行)

体系情報
第5編 生/第6章 予防衛生
沿革情報
平成24年12月27日 条例第67号
平成27年3月20日 条例第26号
令和3年7月7日 条例第22号